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政府と沖縄県が争う「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」解決に向けた政府の取組姿勢の変化に関する質問主意書
衆議院 第193回 第408号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2
質問本文
「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」を抜本的に解決し、膠着している政府と沖縄県の関係を改善するためには沖縄県民が切望する「世界一危険な普天間飛行場の即時閉鎖と県外・国外への移転を図る」という原点に立ち戻って、問題の洗い出しと見直しを行うことが必要であり、そのための質問主意書については、平成二十九年六月十二日付質問主意書第三九三号及び平成二十九年六月十三日付質問主意書第四〇二号で提出したところであるが、それを補うため、以下お尋ねする。
一 日米の安保関係者の中に「海兵隊が沖縄から撤退すれば中国に誤ったメッセージを送ることになる」という懸念を表明する者があると聞く。そのような懸念について政府の承知するところを明らかにした上で、そのような懸念は客観的に見て妥当な懸念と言えるかについて政府の見解を答えられたい。
二 巷では、米軍は部隊の分散配置の観点から海兵隊の沖縄からの移転を望んでいるが、日本政府が拒んでいるというのが通説となっている。それを裏付けるのがマイケル・アマコスト元米国駐日大使の「沖縄の嘉手納基地こそ王冠の宝石のように重要で、海兵隊は重要でない」との発言や、リチャード・アーミテージ元米国務副長官の「対案があれば米国は耳を傾ける」との発言である。このような通説は真実であるのか、明らかにされたい。
三 東アジアの安全保障上の懸念は、中国による海洋進出と北朝鮮の核・ミサイル開発に留まらない。この地域で多発する台風や地震、津波など世界有数の大規模な自然災害もそうである。そのために日米が主導して中国を含む多国間の安全保障協力関係を構築すべきである。政府の認識と見解を答えられたい。
四 本職は、米国政府が進めようとしている「在沖米海兵隊のグアム移転計画の見直し」を受け入れて、辺野古への新基地建設を断念するとともに、米海兵隊が希望する「高速船の新造船建造若しくは民間の高速船を借り上げて米海兵隊への貸与」を実施するならば、政府と沖縄県の間のぎすぎすした関係が改善できることや、政府が民意を無視して辺野古新基地建設を強行しているため「憲法で保障する民主主義を踏みにじる」とか「政府と地方の対等と自治権を付与された地方自治法を否定している」とかの誹りを正すことができること、無許可での岩礁破砕や未協議の設計変更等法令違反を是正でき法治国家としての尊厳を取り戻すことが出来ること、人道支援・災害救援活動(HA/DR)を中心とした国際的な貢献が可能となること、予算難の米国を支援することとなり米国と日本の同盟関係をより深化することが可能となること、など四重五重のウィン・ウィンが果たせることとなり、大変有益なことであると考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。
五 本職を始め沖縄問題に造詣が深い方々や、沖縄のあるべき姿を模索し続けている心ある人々、さらにはほとんどの沖縄県民は、ラムズフェルド元米国国防長官をして「世界一危険な飛行場」と言わしめた普天間飛行場の移設・返還が進まなかった最大の理由は沖縄県民がこぞって反対したためではなく、危険な基地の危険性の除去という、日米両政府にとっても県民にとっても最も優先すべきであったはずの目標を政府が「移設なければ返還なし」という政治問題にすり替えてしまったことにあると考えているが、政府の認識と見解を答えられたい。
六 本職は、政府が、普天間飛行場の辺野古への移設が、基地という国の安保政策に基づく負担をより人口が少ない地域に背負わせることによって、国民多数の目から見えないようにするばかりでなく、沖縄県民の目からも見えないようにするという意味で、矛盾の局所化と問題の不可視化に繋げようとしているのではないかと考えるが、政府の認識と見解を答えられたい。
七 政府が「普天間飛行場の移設先は辺野古しかない」とか「沖縄に我が国の安全保障を担う米軍基地を押し付けても良い」とする理由は、周囲の人口が名護市辺野古では宜野湾市より少なく、沖縄県では他都道府県より少ないからなのか、政府の認識と見解を答えられたい。
八 平成九年二月十三日の衆議院予算委員会で上原康助議員は「普天間の移設先が決まらない現状をどう打開する考えか」と質問し、それに対して橋本龍太郎総理大臣は「地元の強い反対を押し切ってまで移設を強行することはあってはならない」と答弁した。この答弁は憲法が保障する民主主義及び地方自治の観点から政府が当然守るべきことを述べたものである。しかし、現在政府が行っていることは、「普天間飛行場の即時閉鎖・運用停止・県外への移設」及び「辺野古新基地建設反対」という民主主義に則って示した県民の民意と、「地方のことは地方で決定する」という地方自治を無視したものである。しかも全国各地から集めた機動隊員や海上保安庁職員という公権力で強権的に「普天間飛行場の辺野古への移設」を強行しようとするものである。また、県民の協力が得られないならば「普天間飛行場は固定化される」と恫喝する有様である。このような態度は、憲法や、二十年前の政府の答弁・対応とは明らかに異なるものではないか。政府の認識と見解を答えられたい。
九 平成九年二月十三日の衆議院予算委員会で上原康助議員は「復帰の時には沖縄の米軍基地は二万七千八百ヘクタール、五十九%、本土の米軍基地は一万九千六百ヘクタール、四十一%。復帰後、整理縮小すべき沖縄のものは整理縮小しないで、関東計画かそういうもので、現在七千九百ヘクタールが日本の米軍基地、沖縄は依然としてこれだけあるから七十五%。こういう実状である。更なる基地の強化、固定化を受け入れることは困難である。また、安保条約が日本にとって重要であると言うのなら、その責任と負担は全国民が引き受けるべきではないか」と指摘した。二十年前に上原議員が行った指摘と現在の沖縄県の状況を比較すると、沖縄への基地の押し付けや県内へのたらい回し、過重な基地負担は二十年前よりさらに強まり、軽減・見直しは一向に進んでいない。ましてや安保条約に伴う責任と負担を全国民が等しく引き受けるということが全く行われず、逆に本土の基地を整理縮小して、その分を沖縄に集中させてきたのである。二十年前と何ら変わらない過重な基地負担が続いていること並びになぜ沖縄だけに基地を押しつけるのかについて政府の認識と見解を答えられたい。
十 質問九に関連して、上原議員の指摘に対して橋本龍太郎総理大臣は「大田沖縄県知事は、現に米軍施設・区域の約七十五%が沖縄県に集中していることなどから、こうした意見陳述をされました。その心情は、私としても十分理解のできるものである」と答弁した。この橋本総理の答弁からは沖縄への深い思いと理解が感ぜられる。一方、政府がこれまで「沖縄県民の思いに寄り添う」とか「政府ができることは全てやる」とか言いながら、その実、辺野古新基地建設を強引に推し進めるという行動からは、沖縄への蔑視と差別感が透けて見えるところであり、橋本総理の答弁とは雲泥の差が感ぜられるものであるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十一 平成九年二月十三日の衆議院予算委員会での上原康助議員と政府とのやり取りを見ると、沖縄の米軍基地問題や政府の対米追従姿勢、沖縄の振興策への取り組み姿勢は、二十年前より現在のほうが悪化していることが分かり、正直言ってあきれるよりガッカリしてしまう。なぜならば当時の政府答弁は、総理大臣を始め関係する全閣僚が曲がりなりにも誠心誠意答弁していることが感じ取れるが、現在の政府答弁は「沖縄県民の思いに寄り添う」とか「政府ができることは全てやる」とか言うものの、その実態は「県民の思いがどうであろうと問答無用で辺野古に新基地を建設する」というものであり、中身が伴わない、つまり現在の政府の言っていることは口先だけのお為ごかしであり、内容を伴うものではないと思われる。政府の認識と見解を答えられたい。
十二 報道によれば、ネラー米海兵隊総司令官は五月二十四日、上院歳出委員会で在沖米海兵隊のグアム移転計画について、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展やグアムでの環境問題などを踏まえて、見直しを検討していることを明らかにしたとのことである。グアムが北朝鮮ミサイルの射程に入りかねない状況を念頭に置いた発言であると思われる。また、ハリス太平洋軍司令官が航空機の一時的な配置先についても検討していることにも言及したとのことである。米軍のこのような発言は米国がその時々の対外的な脅威や必要性によって、米国・米軍の判断と決定でもって軍の配備を適宜見直すことを示したものであり、政府がこれまで繰り返し唱えてきた「米軍のグアム移転は沖縄の基地負担軽減の一環」との説明とはおよそかけ離れたものであり、「アメリカファースト」という米国の本音が図らずも示されたものであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十三 質問十二に関連して、菅義偉官房長官は五月二十五日の会見で「グアム移転は二〇二〇年代前半に開始される。このことは全く変わっていないと承知している」と発言した。しかし、沖縄に集中して配備されている米軍を北朝鮮からより離れた所に分散配置や移動させるならば、辺野古に新基地を建設する必要性は全くなくなるのではないかと思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
政府として、沖縄に駐留する米軍について、識者等から様々な意見等があることは承知しているが、その一々について、論評することは差し控えたい。
その上で申し上げれば、沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいているという利点を有している。また、南西諸島のほぼ中央にあり、我が国のシーレーンに近いなど、安全保障上極めて重要な位置にある。こうした地理上の利点を有する沖縄に、優れた機動性及び即応性により、幅広い任務に対応可能な米海兵隊が駐留することは、日米同盟の抑止力を構成する重要な要素であり、我が国の平和と安全を確保する上で必要なものであると考えている。
三について
我が国は、東アジア地域において、我が国、中華人民共和国、米国等が参加する東アジア首脳会議や東南アジア諸国連合地域フォーラム等の多国間の安全保障対話の枠組みを活用し、開かれた形で重層的な地域協力のネットワークを強化している。
四について
御指摘の「米国政府が進めようとしている「在沖米海兵隊のグアム移転計画の見直し」を受け入れて、辺野古への新基地建設を断念するとともに、米海兵隊が希望する「高速船の新造船建造若しくは民間の高速船を借り上げて米海兵隊への貸与」を実施する」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
五から八まで及び十について
政府としては、住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないと考えており、これは政府と沖縄の皆様の共通認識であると考えている。同飛行場の移設については、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に代替施設を建設する現在の計画が、同飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であると考えている。これは、日米間でも、本年二月十日に実施された日米首脳会談に際し発出された共同声明において確認されている。政府としては、引き続き、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場代替施設建設事業に関する平成二十八年十二月二十日の最高裁判所の判決及び同年三月四日に政府と沖縄県が合意した和解の趣旨に従って、約二十年越しの懸案である同飛行場の一日も早い移設・返還を実現し、沖縄の負担を早期に軽減するよう努力していく考えであり、「危険な基地の危険性の除去という、日米両政府にとっても県民にとっても最も優先すべきであったはずの目標を政府が「移設なければ返還なし」という政治問題にすり替えてしまった」、政府が「矛盾の局所化と問題の不可視化に繋げようとしている」、「沖縄に我が国の安全保障を担う米軍基地を押し付けても良い」としている、「県民の協力が得られないならば「普天間飛行場は固定化される」と恫喝」している及び「辺野古新基地建設を強引に推し進めるという行動からは、沖縄への蔑視と差別感が透けて見える」との御指摘は当たらない。
九及び十一について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を日本全体で分かち合っていく観点から、これまでの日米合意を踏まえ、沖縄の負担軽減に取り組んできたところである。
例えば、近年では平成二十六年八月に普天間飛行場のKC一三〇空中給油機の岩国飛行場への移駐、平成二十七年三月にキャンプ瑞慶覧の約五十一ヘクタールの返還、平成二十八年十二月に沖縄県内の在日米軍施設・区域の面積の約二割に当たり本土復帰後最大となる北部訓練場の過半に当たる約四千ヘクタールの返還等を実現してきており、このほか、沖縄県外での垂直離着陸機MV二二オスプレイの訓練等の実施等を着実に進めてきている。
十二及び十三について
本年二月十日に実施された日米首脳会談に際し発出された共同声明において、在日米軍の再編に対する日米のコミットメント並びにキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に普天間飛行場の代替施設を建設する現在の計画が同飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを確認している。
いずれにせよ、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、政府としては、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を図るべく、同飛行場の移設・返還及びグアム移転を含む在日米軍再編の着実な実施のため、米国と緊密に協力していく考えである。
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