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東京電力原子力事故後に行われている甲状腺検査に関する質問主意書

衆議院 第196回 第8号承知していない ×1

提出者
立憲民主党・市民クラブ
提出日
2018年1月22日
内閣転送 2018年1月24日
答弁書受領日
2018年1月30日
提出から8日
答弁の項目数
5
質問 2,405字/答弁 1,579字

質問本文

東京電力原子力事故後、福島県は一部国費も投じながら、事故当時十八歳以下を対象に、甲状腺検査を実施している。しかし、現時点までに、適正な検査結果を得ることを困難にさせる二つの課題が判明している。

第一は、二〇一七年十二月二十五日に開催された福島県の「県民健康調査」検討委員会(以下、委員会)で明らかになった。検査一巡目の受診率八十一.七%、二巡目の七十一%と比べると、三巡目はさらなる減少傾向にあることだ。

二〇一六年度から二〇一七年度までの三巡目では、二〇一七年九月三十日時点で、事故当時十八歳以下だった対象者三十三万六千六百四十人のうち、未だ十六万千八百八十一人しか受診しておらず、受診率は四十八.一%と低迷している。また、対象者に対して福島県立医科大学から送られる検査通知のうち、一万九千通が届かず、返送されていることが委員会の中で報告された。以下、「受診率低下問題」とする。

第二は、一巡目から三巡目の一次検査後に「経過観察」とされた対象者については、二次検査を受けずに保険診療に移るが、その場合は、甲状腺がんの摘出手術を行っても、検査結果に反映されていないことが、四歳児の一例をきっかけに、二〇一七年十月二十三日の委員会で明らかにされたことだ。

また、同年十二月二十五日の委員会でも、二巡目以降の検査を受けていない対象者が、福島県立医科大学以外の病院で甲状腺がんの摘出手術を受け、それが福島県に報告されても、福島県立医科大学の検査結果には反映されていないことが、明らかにされた。

二〇一七年九月三十日時点までで甲状腺がんまたは疑いとされた対象者は百九十三人、手術により甲状腺がんと確定したのは百六十人だが、実際はそれ以上にいて、全体把握ができておらず、検査の精度が低いために、適正な検査結果を得られない状態である。以下、「経過観察等問題」とする。

二〇一八年度から四巡目の甲状腺検査が開始されるにあたり、以下、質問する。

一 そもそも検査の目的は、二〇一一年十一月から始まった一巡目で「チェルノブイリ原発事故後に明らかになった健康被害として、放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児の甲状腺がんがある」ことを前提に、「福島県では、東京電力福島第一原発事故を踏まえ、子どもたちの健康を長期に見守るために」「甲状腺の状態を把握する」とされた。また、二〇一四年四月から始まった二巡目では「甲状腺の状態を継続して確認する」として実施、二〇一六年四月からは同様の目的で三巡目を実施中である。

しかし、二〇一七年十一月三十日に開催された委員会「甲状腺検査評価部会」では、委員の祖父江友孝・大阪大学大学院教授が、目的について、「子どもたちの健康を長期に見守るために」ということだが、「甲状腺にかかわる被害を最小限に食い止める」ことと「放射線と小児甲状腺がんの関係の正しい評価を行う」ことの二点を具体的に記述した方が、今後の方針を検討する際に、議論が明確化すると提案をしていた。

国が国費を投じる目的もまた、甲状腺にかかわる被害を最小限に食い止めることと共に、放射線と小児甲状腺がんの関係を早期に評価することだと考えるが、政府の見解をわかりやすく明らかにされたい。

二 委員会には環境省から環境保健部長が参加しているが、「受診率低下問題」と「経過観察等問題」の解決のために、環境保健部長はこれまでにどのような役割を果たしてきたのか。

三 福島県の甲状腺検査に投じられた国費および東京電力の拠出額は、初年から二〇一七年度まで予算額ベースでいくらか。政府が把握する各年のそれぞれの額を明らかにされたい。福島県から福島県立医科大学への検査委託の総額がそれらの総額と異なる場合は、その旨も明らかにされたい。

四 福島県の県民健康調査課によれば、検査通知に使う住所は、基本的には県が毎年度初めに把握した住民票の情報を福島県立医科大学に提供し、それに加えて福島県立医科大学の放射線医学県民健康管理センターが、ウェブサイトで「住所変更のご連絡をお願い致します」と呼びかけて把握したものである。一万九千通がこうした把握から漏れていることになるが、この「受診率低下問題」について、今後、国としてできることにはどのような手法が考えられるか。

「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下、子ども被災者支援法)第三条は、「国は、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護すべき責任並びにこれまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っている」としていることから、可能な限りの手法を真摯に検討して明らかにされたい。

五 「経過観察等問題」は、厚生労働省が推し進めてきた国民皆保険およびレセプト電算化政策を鑑みれば、その情報を活用し、国として検査対象の三十三万六千六百四十人の全員について、甲状腺がんの摘出手術数が把握できると考える。できないとすれば何故かを明らかにされたい。

六 福島県は、「子どもたちの健康を長期に見守るために甲状腺検査を実施している」のであり、この検査の実効性を高めるためには、検査対象を長期にわたって追跡する仕組みが必要である。

子ども被災者支援法は、東京電力原子力事故により放出された放射性物質が広く拡散していること、当該放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないことを前提にしており、この前提を踏まえて、国が、東京電力原子力事故により放出された放射性物質が広く拡散した地域に事故時に居住等していた住民の健康管理に資する手帳の発行または保険証への記載などの仕組みを創設し、長期にわたる悉皆調査を可能とすべきではないか。できないとすれば何故かを明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

政府は、福島県に対し、原子力被災者等に対する長期及び短期の健康管理・調査事業を行うための福島県民健康管理基金を造成するための交付金を支出しており、同県は、同基金を用いた県民健康調査(平成二十五年度以前は県民健康管理調査。以下同じ。)の一部として、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故(以下「事故」という。)の発生時に概ね十八歳以下であった住民等に対して、甲状腺検査を実施しているものと承知している。

二について

福島県「県民健康調査」検討委員会(平成二十五年度以前は福島県「県民健康管理調査」検討委員会。以下「委員会」という。)は、県民健康調査に関し、専門的な見地から広く助言を得るために設置されているものと承知している。環境省大臣官房環境保健部長(平成二十九年七月十三日以前は環境省総合環境政策局環境保健部長)は、県民健康調査の実施方法等の検討に関すること、県民健康調査の進捗管理及び評価に関することその他県民健康調査の実施に必要な事項に関することに関し、その知見の範囲内で必要に応じ助言を行うために、平成二十四年九月十一日に開催された第八回の委員会から委員会の委員となっている。

三について

福島県が造成した福島県民健康管理基金に対して、政府から放射線量低減対策特別緊急事業費補助金交付要綱(平成二十三年九月一日付け府政防第八百八十七号)又は原子力被災者健康確保・管理関連交付金交付規則(平成二十三年九月二日付け平成二三・〇八・二六財資第五号)に基づくものとして九百六十一億六千四百四十万千円が交付され、東京電力株式会社(当時)から二百五十億円が拠出されており、また、福島県知事から環境大臣等に提出された原子力被災者健康確保・管理関連交付金に係る基金事業実施状況報告書によれば、同基金から支出された金額のうち、甲状腺検査の実施を含む県民健康調査事業(平成二十五年度以前は県民健康管理事業)に対し支出された金額は、平成二十三年度は二十七億二千五百四十五万六千九十六円、平成二十四年度は三十五億千七百九十四万八千七百八十五円、平成二十五年度は二十八億八千九百九万五千九百五十五円、平成二十六年度は三十二億二千三百二十一万六千三百二十七円、平成二十七年度は三十三億五百三十二万七千五百四十九円、平成二十八年度は三十四億五千三百七十八万六千七百三十八円であると承知しているが、これらのうち、甲状腺検査に対し支出された金額及びお尋ねの「福島県から福島県立医科大学への検査委託の総額」については、承知していない。

四について

「県民健康調査における中間取りまとめを踏まえた県の対応について」(平成二十八年十二月二十七日第二十五回福島県「県民健康調査」検討委員会資料六)によれば、福島県は、「県外への転出等が増加する年代に対する受診案内の確実な送付を徹底すべきである」との委員会の指摘への対応として、「就職・進学などにより親元を離れる高等学校卒業予定者等に対して、検査の目的、意義等について理解してもらうため、啓発活動を行っている。住所変更があった場合は県民健康管理センターにご連絡していただくよう「甲状腺通信」にハガキを同封しているほか、電話またはホームページからの入力により手続が行えるようにしている。検査案内が返戻された場合は、住所移転状況を確認し、対象者へ案内が確実に届くよう努めている」と承知しており、政府としては、引き続き、同県に対し、必要に応じて支援を行っていく。

五及び六について

事故に係る住民の健康調査の実施に係る検討を行うに当たっては、医学等の専門家の意見を十分に尊重することが重要であると考えているところ、福島県においては、委員会の意見を踏まえて県民健康調査が実施されており、政府としては、委員会の議論を注視してまいりたい。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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