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不正指令電磁的記録に関する罪の解釈に関する質問主意書

衆議院 第198回 第294号お答えすることは困難 ×1個別の事案 ×2

提出者
立憲民主党・無所属フォーラム
提出日
2019年6月21日
内閣転送 2019年6月26日
答弁書受領日
2019年7月5日
提出から14日
答弁の項目数
3
質問 2,272字/答弁 805字

質問本文

不正指令電磁的記録に関する罪(刑法第一六八条の二)についての大コンメンタール刑法の解説を参照すると、同罪の「その意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき」との要件について、

「不正指令電磁的記録に関する罪は、電子計算機のプログラムに対する社会一般の信頼を保護法益とするものであるから、あるプログラムが使用者の「意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせる」(中略)ものであるか否かが問題となる場合における、その「意図」についても、そのような信頼を害するものであるか否かという観点から規範的に判断されるべきであると考えられる。すなわち、その「意図」については、個別具体的な使用者の実際の認識を基準として判断するのではなく、当該プログラムの機能の内容や機能に関する説明内容、想定される利用方法等を総合的に考慮して、その機能につき一般に認識すべきと考えられるところを基準として規範的に判断することとなる。」

との解説(大コンメンタール刑法第三版三百四十五頁。以下、「本件解説」という。)がなされている。

先日の衆議院法務委員会において、本件解説による理解と一部相違する解釈が可能な答弁があったことから、疑義を解消すべく以下質問する。

一 二〇一九年三月二十六日衆議院法務委員会の私の質疑において、山下法務大臣は、同罪に関し、「(これに関して実害を求めるかどうかということに関しまして、)意図に反する動作をさせるようなものであれば、やはりこれはこの不正指令電磁的記録ということに当たるのであろう(ということは一般人において判断可能であると思います。)」との答弁(以下、「本件大臣答弁」という。)をしている。本件大臣答弁を文言通りに解釈した場合、「少しでも利用者の意図に反していれば」、すなわち、個別具体的な使用者の実際の認識を基準として、使用者の個別具体的な意図に反しさえすれば同罪の「意図に反する」ものに該当するかのような誤解が生じかねない。

この点は、冒頭に示した本件解説によれば、そのような解釈をすべきではなく、同罪の保護法益に照らして規範的に判断し、「電子計算機のプログラムに対する社会一般の信頼を害する」と評価できる程度に至っている場合に限り「意図に反する」ものに該当すると解釈すべきと考えるが、本件大臣答弁もそのような趣旨をいうものであったと理解してよいか。

二 法務省のホームページ上に掲載されている「いわゆるコンピュータ・ウイルスに関する罪について」(以下、「本件文書」という。)には、不正指令電磁的記録作成・提供罪の客体について、「当該プログラムの機能の内容や,機能に関する説明内容,想定される利用方法等を総合的に考慮して,その機能につき一般に認識すべきと考えられるところを基準として判断することとなる。」(本件文書三、四頁)との解説がなされている。

一方、本件解説においては、「当該プログラムの機能の内容や機能に関する説明内容、想定される利用方法等を総合的に考慮して、その機能につき一般に認識すべきと考えられるところを基準として規範的に判断することとなる。」との解説がなされており、両解説を比較すると「規範的に」という文言の有無に違いがある。

本件文書の解説には「規範的に」との文言がないが、これにより本件解説の解釈との間に相違はあるか、又は両解説は同じ意味に理解してよいか政府の見解を示されたい。

三 本件文書は、同罪の客体に当たるか否かは、「その機能につき一般に認識すべきと考えられるところを基準として判断する」と解説している。しかしながら、新しく登場したプログラムがまだ世間の多くの者に知られていない場合、その動作は「一般に認識すべき」と言えるのかは疑問もある。このことは、本件文書の解説に「規範的に」との文言がないため、より強く懸念されるところである。

また、二〇一九年三月八日の衆議院法務委員会における私の質疑において、小山政府参考人は「不正な指令」の解釈に関し、「電子計算機の使用者の意図に沿うべき動作をさせず、又は意図に反する動作をさせるべき指令を与えるプログラムであれば、多くの場合、それだけで、その指令の内容を問わず、プログラムに対する社会の信頼を害するものとして、その作成、供用等の行為に当罰性があるようにも考えられてしまいますところ、(中略)社会的に許容し得るものが例外的に含まれるところでございまして、このようなプログラムを処罰対象から除外するためのものでございます。」と答弁(以下、「本件政府参考人答弁」という。)している。

本件文書の解釈により、新しく登場したプログラムは動作が「一般に認識すべき」とは言えないがゆえにすべて「意図に反する」ものとして同罪の客体(すなわち犯罪)とされ、さらに、本件政府参考人答弁が言うように、社会的に許容されるものは「例外的に」許容されるということであれば、新しいものは例外的にしか許容されないこととなってしまい、そのような解釈が法の趣旨に沿うものなのか疑問がある。

この点は、立法趣旨及び本件解説等を斟酌すれば、未だその動作につき一般的な認識がない新しいプログラムであっても、すべてが直ちに「意図に反する」わけではなく、一の問いの通り保護法益であるプログラムに対する社会一般の信頼を害するものでなければ「意図に反する」と解釈されず、同罪の客体(すなわち犯罪)ではないと考えるがその理解でよいか政府の見解を示されたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御指摘の平成三十一年三月二十六日の衆議院法務委員会における山下法務大臣の答弁は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百六十八条の二の不正指令電磁的記録作成等の罪(以下「本罪」という。)の構成要件が明確性の点で問題はない旨を述べたものであって、御指摘のような「「意図に反する」ものに該当する」との「解釈」について述べたものではなく、「使用者の個別具体的な意図に反しさえすれば同罪の「意図に反する」ものに該当するかのような誤解が生じかねない」との御指摘は当たらない。

二について

御指摘の「本件解説」は、法務省が作成したものではなく、その記載内容についてお答えする立場にないが、本罪は、電子計算機のプログラムに対する社会一般の信頼を保護法益とするものであるから、ある電子計算機のプログラムが刑法第百六十八条の二第一項第一号に規定する「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせる」ものであるか否かが問題となる場合における、その「意図」についても、そのような信頼を害するものであるか否かという観点から、すなわち、個別具体的な使用者の実際の認識を基準とするのではなく、当該プログラムの機能の内容や機能に関する説明内容、想定される利用方法等を総合的に考慮して、その機能につき一般に認識すべきと考えられるところを基準として、規範的に判断されるべきものと考えており、御指摘の「本件文書の解説」はそのような趣旨を述べたものである。

三について

ある電子計算機のプログラムが刑法第百六十八条の二第一項第一号に規定する「意図に反する」ものといえるか否かを含めて、犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断されるべき事柄であるため、「同罪の客体(すなわち犯罪)ではないと考えるがその理解でよいか」とのお尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1個別の事案 ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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