ことばで探す › 衆議院 第203回
国際連合人権理事会の作業部会意見書を受けた刑事司法制度の改正に関する質問主意書
衆議院 第203回 第58号お答えすることは困難 ×1個別の事案 ×1
質問本文
今月二十四日、国際連合人権理事会の作業部会は、カルロス・ゴーン・ビシャラ被告人について、四回にわたって逮捕され、勾留が繰り返し延長されたことについて「恣意的(しいてき)な拘禁」にあたるとする意見書を公表した。これに対し、外務省は、「ゴーン被告人に対する刑事手続についても、自由権規約を含め、我が国が締結する人権諸条約に抵触するものではなく、法に定められた適正手続を厳格に履行し、ゴーン被告人の権利を十分に保障しつつ進められてきたものであり、ゴーン被告人に対する措置は『恣意的拘禁』には当たらないことを強調する」旨の反論文を速やかに公表するとともに、政府として、同部会に対し、異議の申し立てを行ったことは評価する。
もっとも、日本が平仄を合わせるべき欧米諸国で一般的に採用されている、被疑者拘禁の抑制、取調べにおける弁護人の立会いなどのように、現行の刑事司法制度には改善すべき点もあるといえる。
このような現状が、日本の刑事司法制度に対する誤解を生む素地となっているのではないかと懸念する。
そこで、次のとおり質問する。
一 現行の刑事訴訟手続が当事者主義に基づくことを原則としていることから、政府として、令和二年一月六日の森まさこ法務大臣(当時)が議題の一つとして述べたとされるGPS(全地球測位システム)など、保釈された被告人の二十四時間監視を可能とする機器の導入を前提として、推定無罪の原則にのっとり、被告人を原則として保釈するよう運用を改めるべきと考えるが、政府として如何。
二 刑事事件の取調べにおいて、被疑者・被告人に対して、弁護士の同席が権利として保障されていない。特に、初めて被疑者・被告人という立場に置かれた際、刑事事件に精通した警察官、検察官に誘導される危険性は顕著ではないかという指摘もある。そこで、被疑者・被告人の弁護権を実効性あるものとするために、被疑者・被告人の取調べの際の弁護士同席制度を導入すべきと考えるが、政府として如何。
三 刑事事件が、検察官が起訴した事実を追認するのではなく、検察官と被告人・弁護人の当事者が起訴事実の存否を争うという当事者主義が原則とされているのであれば、本来、どのような証拠であっても、被告人・弁護人に証拠全てが開示されるのが原則とされるべきといわれたりもするが、このように証拠全てを被告人・弁護人に開示する制度を導入すべきと考えるが、政府として如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねは、保釈に関する裁判所又は裁判官の実務運用に関わるものであり、政府としてお答えする立場にないが、一般に、裁判所又は裁判官において、個別の事案に応じ、法の趣旨にのっとり適切に判断されるものと承知している。
なお、保釈されている被告人にGPS装置を着用させて位置情報を取得する制度の導入については、現在、法制審議会において、調査審議が行われているところである。
二について
御指摘の「被疑者・被告人の取調べの際の弁護士同席制度」の具体的な内容が明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
三について
検察官による証拠開示については、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二編第三章第二節の規定において、検察官が取調べを請求した証拠について被告人又は弁護人に開示することはもとより、その証明力を判断するために重要であると認められる一定の類型の証拠や、被告人又は弁護人が明らかにした主張に関連すると認められる証拠についても、被告人又は弁護人から開示の請求があった場合には、開示の必要性の程度と開示によって生ずるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、開示をしなければならないこととされており、争点の整理や被告人の防御の準備のために必要かつ十分な証拠の開示をする制度になっていると考えている。一方、御指摘の「証拠全てを被告人・弁護人に開示する制度」を導入することについては、関係者の名誉・プライバシーの侵害、罪証隠滅、証人威迫等の弊害が生ずる場合があることや、国民一般から捜査への協力を得ることが困難になるおそれがあるなどの問題があり、慎重に検討する必要があると考えている。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。