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国境を超える匿名・流動型犯罪グループの対応に関する質問主意書
衆議院 第219回 第87号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×3
質問本文
特殊詐欺を敢行する匿名・流動型犯罪グループは、SNS等で高額な報酬を示唆して、いわゆる闇バイトとして、詐欺電話をかける「かけ子」等を募集し、犯行に加担させるなどしている。
近年、特殊詐欺を敢行する犯罪グループは、架け場等の拠点を小規模化・多様化して短期間で移転させる傾向を強めているほか、首謀者や指示役に加え、架け子・架け場が海外に所在するなどのケースもみられると、令和六年度版の警察白書に記述されている。
隣国の韓国では、カンボジアに渡航した若者の多くが、周囲に「出稼ぎに行く」と事前に伝えていた。自ら不法行為に加担する人もいれば、犯罪組織に監禁され、特殊詐欺の「かけ子」などをさせられたり、不法賭博サイト運営のために自身の通帳口座を貸すことを強要されたりする人もいると報道されている。
ソウル新聞によると、南東部・慶尚北道と大邱広域市では、昨年から今年十月十五日時点までで、二十から三十代の若者の行方不明申告が二十二件あったという。今年八月、カンボジアで犯罪組織に監禁され、「暴行や拷問に伴う激しい痛みによる心臓まひ」で死亡し遺体で発見された韓国人男子学生も、南東部・慶尚北道出身で、西部・忠清南道(チュンチョンナムド)の大学に通っていた。
日本人も例外ではない。令和七年十月七日、カンボジアを拠点とした特殊詐欺事件で、愛知県警は中国籍の男女を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕した。詐欺電話をかけたとして同容疑などで逮捕された日本人二十九人を、現地で管理していた容疑による。
今年二月には、ミャンマーを舞台にした国際的な詐欺では、日本から渡航した高校生の少年二人が保護され、帰国した。現地では、特殊詐欺のうその電話をかける「かけ子」をさせられていたとみられている。
韓国政府は令和七年十月十六日、政府の代表団をカンボジアに派遣し、外務省の金珍我第二次官らは、フン・マネット首相らと面会。韓国警察庁とカンボジア警察庁間では、カンボジア警察内に連絡担当官として韓国の警察官を派遣する「コリアデスク」設置構想なども協議が進められており、韓国人の犯罪行為に従事するためのカンボジア渡航に対する対応を検討している。
以上を踏まえて質問する。
一 ミャンマーやタイなどにおいて、犯罪グループに利用され逮捕された日本人の人数を、政府は把握しているか。把握しているのであれば、過去、海外で特殊詐欺の実行犯等の容疑で逮捕された人数を示されたい。
二 昨年から今年にかけて、宮城県と愛知県の少年がミャンマーの詐欺拠点に渡航している。未成年が容易に犯罪に巻き込まれることが明らかになった。未成年の海外渡航に際して、未成年単独や片方の親のみ、または親以外の大人の方と渡航する場合、親の「渡航同意書(英文)」を持参することは任意となっている。今後、未成年の海外渡航につき、犯罪に巻き込まれる可能性を念頭に、出国手続を厳格化するなどの対策を講ずる必要があると考えるが、政府の考えを伺いたい。
三 青少年が海外の特殊詐欺犯罪に巻き込まれていることから、韓国政府は、カンボジアに警察官を派遣する「コリアデスク」設置構想などの協議が進めており、韓国人が犯罪行為に従事するためのカンボジア渡航に対する対応を検討している。日本でも、未成年を含む複数の日本人が海外の犯罪に巻き込まれている現状に鑑み、韓国警察と同様の対応が求められると考えられるが、政府の見解を伺いたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「ミャンマーやタイなどにおいて、犯罪グループに利用され逮捕された日本人の人数」及び「過去、海外で特殊詐欺の実行犯等の容疑で逮捕された人数」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないため、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、令和七年中においては、ミャンマー及びタイの国境付近において特殊詐欺に関与したとして八名の邦人がタイ当局に身柄を拘束された旨、在外公館が邦人援護を通じて把握している。
二について
御指摘の「親の「渡航同意書(英文)」」及びお尋ねの「出国手続を厳格化するなどの対策」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、旅券の発給に係る業務を行う事務所や空港において、未成年者が海外で犯罪に巻き込まれる可能性がある旨の注意喚起を行うためのポスターの掲示やリーフレットの配布等を行っているほか、邦人の出国者の多い成田国際空港、東京国際空港及び関西国際空港の出国審査場においては、映像や音声により、単身で出国する未成年者に対して同旨の注意喚起を実施するとともに、未成年者から入国審査官に対し、特殊詐欺に加担させられるおそれがある等の申出があれば、これらの空港を管轄する地方出入国在留管理局支局と警察が連携した対応を行うこと等としている。
また、海外に渡航・滞在する邦人向けに、現地の在外公館から電子メールやホームページを通じた注意喚起を行っている。
三について
お尋ねの「韓国警察と同様の対応」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、一般に、御指摘のように「日本人が海外の犯罪に巻き込まれ」、その生命又は身体に危険が及ぶおそれがあると現地の在外公館において判断される場合には、当該在外公館から現地の警察等への保護要請を行うこととしている。また、御指摘の「匿名・流動型犯罪グループ」の拠点が海外にも所在することなどを踏まえ、警察においては、関係国との二国間協議を実施するとともに、犯罪対策に関する国際会議に積極的に参画しているほか、外務省とも連携しながら、現地の捜査当局との協力・連携を強化し、特殊詐欺等の海外拠点の摘発に向けた捜査を推進している。