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中立政策に関する質問主意書
衆議院 第34回 第14号
質問本文
衆議院議長 ※(注)※(注)一※(注) 殿
中立政策に関する質問主意書
岸首相は、しばしば中立主義は現実的でないとし、また共産圏に近づく危険あるとし、日米関係の経済的軍事的強化を図ることの理由にしている。この点につき、次の疑問につき政府の御見解を承りたい。
一 政府は「資本主義が善、社会主義、共産主義は悪」との偏見に立つていないか。人類はすでに社会主義を国家体制として実施しつつあり、その実績をあらわしている。日本国民は資本主義と社会主義を自由に選択して、これからの政治のあり方をきめる権利があると思うが、政府の所見を承りたい。
二 戦後世界が米ソ二大陣営に分裂したために、その谷間に位置する弱少国家の中には、朝鮮、ドイツ、ヴィエトナムのように民族が分裂して自由国家と社会主義国家にわかれているものが多い。幸い、わが国は分裂をまぬがれて民族の統一を保持している。そのかわりに、国民の思想を反映して資本主義政党である自民党と社会主義政党である日本社会党、日本共産党及び民主社会党が対立して政党政治が行なわれているのは自然のおもむくところであろう。
この異質の政党の対立の中で議会主義を守り憲法にしたがつて民主政治を行なうためには、米ソいずれにも軍事基地を与えず、軍事的援助義務をもたない「中立政策」によつてのみ共通の土俵をもつことができる。すなわち民族の統一を守る道であるとともに議会主義を守る唯一の道であると思うが政府の所信を承りたい。
自民党が日米軍事同盟を主張し、社会党が日ソ軍事同盟を主張するとすれば、民族の分裂の道をあゆむか、しからざれば一方が他方を弾圧して議会主義を否定し、独裁の道を選ぶことになろうと思うが政府の見解をおききしたい。
右質問する。
政府答弁書
一 通常資本主義、社会主義、共産主義等と称せられるものは、各種の社会ないし経済構造のあり方をその特徴にしたがつて分類したものであつて、善ないし悪というような道徳的、倫理的規準をもつて測定し得るものとは本質的にことなる。したがつて政府が資本主義は善であり、社会主義、共産主義は悪であるというような道徳的ないし倫理的判断や偏見を有していると考えることは誤まりである。
わが政府は、自由民主主義の根本原則に則り、自由に表明された国民多数者の意志にしたがつて形成され、その多数者の意志にしたがつて行政を運営しているのであつて、現在わが国民の多数者は経済上ないし社会構造上の原則として資本主義の諸原則を採用することを適当と認めている。しかしながらここにいう資本主義という概念も時代とともに徐々に変化しているのであつて、わが国においても基本的人権としての自由と平等、勤労者の団結権等が憲法によつて保障されているのであり、かかる前提の上に資本主義の諸原則が適用されているのである。
これらは前述のごとく、すべて自由に表明されたわが国民の意志に基いて行なわれているのであつて、わが国民が将来とも自由にその多数者の意志にしたがつて政治なり経済なりのあり方を決める権利を有することは当然である。
二 民主主義といい議会主義といわれるものは、自由に表明された国民の意志の中多数者の意志を実現することを根本原則とする。この原則が常に支障なく実現される限り、議会主義ないし民主主義は破壊される危険はない。
したがつて根本は常にわが国民多数者の欲するところにあるのであつて、「中立政策」というような特定な政策を採用することによつて議会主義が守られるという論理には矛盾がある。
現在わが政府が国民多数の意志にしたがつて形成され、国民多数の意志にしたがつて国政の運営に当たつていることは前述のとおりであるが、政府は東西に相対立する世界の現状と、特に政治的、経済的に不安定な東亜の現状とを冷静に考慮すれば、現在わが国が「中立政策」をとることはわが国の安全とその民主主義的発展を保障するゆえんではなく、むしろ米国との協力によつてその安全を保障することが最も適当であると考えている。これは国民多数者の意志を反映するものであつて、民主主義の根本原則にしたがつて決定された意志であるから、このような意志をわが国民全体が尊重する限り、議会主義も、民族の統一も破壊される危険はない。
民族の統一を破り、ないし独裁への道を開くものは、むしろこのような民主主義の根本原則を無視ないし否認することである。
右答弁する。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。