Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 衆議院 第61回

在日米軍及び自衛隊における化学・細菌作戦に関する質問主意書

衆議院 第61回 第16号お答えすることは困難 ×1

提出者
衆議院
提出日
1969年8月4日
内閣転送 1969年8月5日
答弁書受領日
1969年8月22日
提出から18日
答弁の項目数
0
質問 8,544字/答弁 3,143字

質問本文

衆議院議長 松田竹千代 殿

在日米軍及び自衛隊における化学・細菌作戦に関する質問主意書

政府は沖繩における米軍毒ガス事故に関連し、今後一切の化学・生物兵器(CBW)の実験、製造、貯蔵、使用禁止に対する積極的意向を表明するとともに、現在、開かれているジユネーブ二十箇国軍縮委員会において国際的な協力を宣言した。

しかし、わが国の国際的説得力は、日本自らが、まず行動の面において厳然たる態度を示すことによつて生れる。

沖繩における米軍毒ガス事故について、レアード米国防長官は七月二十八日、米政府研修生として勤務している大学生との「化学・生物兵器(CB兵器)能力の維持」について討論し、「米国は他の国からの同種の攻撃に対する抑止力としても、CB兵器を保持しなければならない。これらのガス兵器その他がわれわれの時代に使用されないことを望むならば、この抑止力は重要である。この分野で米国は研究や開発をやめるといいたいところだが、この種の計画をやめるとしたら、米国民および同盟諸国に公正であるとはいえない」と答えて、米国は今後もCB兵器を保持、開発してゆく決意を明らかにした。

沖繩からのC兵器撤去言明も、そのすべての撤去なのか、また撤去の時期、方法はどうなるのか、現在のCB部隊編成及びその施設はどうなるのか、一切は不明のままである。

さらに米国は日本本土にはCB兵器はおいていない。B兵器については他国に配置していないというが、それを立証するものは何もない。むしろその反対の可能性の方が強いのである。

一方、日米安保条約によつて日米共同作戦の義務を負う日本の自衛隊は、米国がCB兵器使用の可能性を残す限り、共同作戦の必要上、当然、CB作戦に関する連動を要求されるはずであるし、自衛隊自身も自主防衛を目指す以上、独自のCB作戦展開の装備と訓練を行なつていると推定せざるをえない。

以下、わたくしはそれらの事実を裏付けると思われる数々の事故、及びCB兵器の研究、開発、実験、訓練の実態を明らかにし、政府の所信と見解をただしたい。

一 米軍は日本本土にもCB兵器を持込んでいるのではないか。

CB兵器の持込みは安保条約第六条の事前協議の対象にされてはおらず、米軍が日本本土にそれらを持込んでいないという保証はどこにもない。

1 日本における米軍CB兵器関係施設の代表的なものは、神奈川県相模原市にある米陸軍医療本部第四〇六部隊医学研究所と埼玉県朝霞基地にある米陸軍技術本部化学課である。

それら日本における米軍のCB兵器関係機関、及び施設の全面撤去を求めるべきではないか。

2 以下の問題について事実関係を明らかにされたい。

(イ) 相模原市宮下地区における農作物被害事件

昭和三十九年八月、同市宮下地区の農作物が「有毒ガス」による被害をうけ、関係者は米軍より補償金をもらつたはずである。この事件について

a 被害発生の明確な日時について

b 被害補償の実態について

c 原因は何か

米軍相模原市補給廠の某所に貯蔵されていた一トン・ボンベいりの窒息性ガス(塩素ガス)がろうえいしたためといわれるが事実関係はどうか。

(ロ) 横浜港内における清掃船乗組員被害事件

昭和三十八年九月一日、横浜港内において作業中の清掃船「新和丸」(新和海運所有)の乗組員六名が百メートルほど離れた米軍施設から流れ出したと思われる「有毒ガス」で卒倒し、直ちに六人は米軍の手で病院に収容され、うち四人は一週間入院するという事故が発生したはずである。右につき

a 「有毒ガス」の種類及び、それを保管していた米軍施設は何か。

b 被害補償及び事件の事後処理はどうなつているか。

(ハ) 日本における米軍CB兵器の廃棄処分はどうされているか。

次の二つの事実は米軍CB兵器の廃棄処分を意味するのか。

それとも在日米軍射爆場はCB兵器の実験訓練に使われているのか。

a 岩国基地沖合の姫小島における事実

昭和四十三年七月十二日、午後四時から約二十分にわたり岩国市内に白い霧のようなガス体がひろがり、のど鼻などを刺激した。目撃者の話及び県議会の質疑によれば、米軍基地沖の約四キロの地点にある姫小島附近から白い煙が上つたという。姫小島附近では米軍の爆弾処理をしているが、この事実は毒ガス性の爆弾を処理した疑いが濃厚である。

b 三沢基地天ケ森米軍射爆場における事実

昭和四十年六月二八日午前十一時ごろ、三沢市天ケ森射爆場で、米軍が演習中、異状な爆発音ののち、南東の風にあおられて幅四百メートルにわたつて煙と異臭がひろがり、約三キロ四方の広さに被害を与えた。平沼部落では約五十ヘクタールの野菜畑と約二十ヘクタールの水田が被害をうけ、豚や鶏が死に、のどを痛め、吐き気、頭痛を訴える人もでたという。

米軍はこの事件を「水道消毒用の塩素ガスボンベがもれたため射爆場で処理した」と説明したようだが、塩素ガスボンベを爆破によつて処理するなど常識では考えられず、それにしては被害範囲が大きすぎるし、「毒ガスの演習をしているのではないか」という疑いが濃厚である。

(ニ) かつて朝鮮戦争で、そして現在はベトナム戦争で米軍はCB兵器を使用しているし、また沖繩にも持込まれている事実からみて、日本の米軍基地がCB兵器運搬の中継基地として使われたり、一時貯蔵が行なわれている事実はないか。

二 自衛隊はCB兵器の研究開発を行ない、またその実験訓練をしているのではないか。

1 自衛隊は、いかなるCB兵器をもち、いかなるときにそれを使用するのか。

特に、今度の沖繩毒ガス事件の原因となつたGBガス(神経性ガス)をすでに持つているのではないか。あるいは実験用と称して米軍よりGBガスを貸与されている事実はないか。「野外における化学剤の作用」教範はC兵器使用を前提としているし、「化学学校記事」では実際にGBガスを使つた想定演習を行なつている事実が記載されている。

(註)

※ 「野外における化学剤の作用」(陸上自衛隊教範一四 ― 三 ― 一)摘出

2 本教範の目的は化学科隊員に次に関する知識を授けるにある

(1) 化学戦に関連した気象の基礎原理

(2) 局地気象予知と化学剤を用いる作戦におけるその効用

(3) 化学剤運用計画に利用するための気象班の予報

(4) 化学剤の使用、及び野外作用に及ぼす影響

※ 「化学学校記事」第十一号(一九六七年陸上自衛隊)摘出

想   定

(1) 目標地域 〇・八キロ×〇・五キロ

(2) 気温傾度 中立

(3) 風速・風向 約九キロ/時、概ね目標地域〇・八キロの辺に直角

(4) 使用弾種 一五五ミリGB弾 六〇発

問  題 危険を無視しうる風下危険距離を求めよ

解  答 六キロ

2 自衛隊はCB兵器の研究開発を計画しているのではないか。

三次防技術研究開発計画によれば

(イ) 無傷化学剤研究開発計画

T用ガス(催涙ガス)

四三年度

二〇万円

精神ガス(GBなど神経性ガス、LSD25など幻覚ガス、あるいはBZなどマヒガスか)

四四年度

二〇万円

(ロ) エロゾル噴霧器(化学剤噴霧器)

四二年(部試)、四三年(技試)、四四・四五年(技試、実試)

(ハ) Gガス(神経性ガス)関係器材の研究開発 ― 器材研究開発にはGガスが必要のはず。

G用新皮膚防護剤 ― 四三年(委託)、四四年(試作)、四五・四六年(委託)

G剤予防治療セツト ― 四一年〜四三年(委託)、四三・四四年(試作技試)

精神障害予防治療剤 ― 四三年(委託)、四四年(試作)、四五・四六年(委託)

3 CBR作戦に関する防衛庁の専門研究員、上級技官の増員、特訓計画はどうなつているか。

三次防技術研究開発計画によれば、四六年度末の専門別研究員八五〇人のうち、CBR作戦に関係のある物理、化学(薬学、農芸化学を含む)数学、医学の専門研究員は二一六人にのぼり、上級技官に対する特訓は、軍事学、軍事技術の必修や、採用後、五〜七年の幹部クラスに対する兵器別専門分野についての特修、さらにこの中から選択して大学、研究機関への派遣の制度が設けられている。

4 自衛隊は細菌(生物)戦にそなえ、人体実験を行なつているのではないか。(別紙)(一)

5 自衛隊は公害調査に名をかり、化学・細菌戦の実験、演習を行なつているのではないか。(別紙)(二)

6 昭和六年「関作命第三九八号其一」によつて(旧)ハルピン郊外の平房につくられた第七三一部隊、いわゆる石井部隊(部隊長、石井四郎)関係者は現在、防衛庁、自衛隊関係機関に何人就職しているか。

三 大久野島=旧陸軍造兵廠火工廠忠海兵器製造所=患者の救済は国賠法の対称になぜならないのか。

別紙(一)

『自衛隊は細菌戦にそなえ集団人体実験をしているのではないか』

一

研究論文

「集団赤痢発生防止の研究」について

研 究 者

陸上自衛隊衛生学校副校長

陸 将 補

園  口  忠  男

〃   研究部第二研究室長

二等陸佐

時 岡 正 十 郎

指  導

陸上自衛隊衛生学校校長

陸   将

中 黒

支  援

〃   勝田施設学校校長

陸 将 補

吉 武

論文記載

「研究年報」(昭和四二年度)第一分冊

昭和四三年九月、陸上自衛隊衛生学校

1 研究内容概略

(イ)

目  的

成人集団人体実験による赤痢及び食中毒予防効果の追跡

(ロ)

被 験 者

陸上自衛隊 勝田部隊々員 約一六〇〇名の成人集団

(ハ)

期  間

昭和四二・六・一〜昭和四二・七・三一

(ニ)

試験材料

「株式会社ミドリ十字」で開発した乳酸菌製剤「ポリラクトン」

(プラセボ ― 外見的に同一の剤型であつて、カプセル内容に乳酸菌を加えな

かつたもの)

(ホ)

試験要領

a 部隊被検者約一六〇〇名をほぼ二分し、一群に真正カプセル(ポリラクトン)を、他群にプラセボを昭和四二年六月一日より七月三十一日にいたる二箇月間連続投与、(日曜日は除く)

b 服用方法は、両群とも一日二回、一回一カプセルを朝夕に服用(隊員中には服用を怠つたものあり)

c 総員に対する赤痢菌検便(培養検索はSS培地)直接採便法

第一回

服用開始前

(一、四一六名)五月二五日、二六日、二九日

第二回

服用後約一箇月

(一、四四六名)七月三日、五日、六日

第三回

服用終了後

(一、二〇五名)八月一日、二日

(ヘ)

研究成績

※ 観察所見(以下原文通り)

薬剤服用における副作用と赤痢予防効果を見ることを期待したところ、偶然投与コースの途中で赤痢患者若干の発生があり、さらに投薬終了直後、集団食中毒(細菌性)の発生があつて、効果判定の好機会をえた。薬剤投与(プラセボ投与を含む)の期間と、事件発生の関係は左表のとおり。

※細菌性食中毒((註)参照)

(ト) 総括(原文通り)

(1) 約一、六〇〇名の成人集団(陸上自衛隊)を対象としてその約半数にポリラクトン、他の半数にプラセボを二ケ月連続投与して赤痢及び食中毒予防効果の追跡を試みた。(この種の多数の人に対する投与試験では被験者に確実に服用させることに統制上困難が伴うものである。本試験でも最初の三〜四週間までは、ほゞ計画どおり服用したものが多かつたが、二ケ月連続服用を続けた者は六三名にすぎなかつた。)

(2) 服用後一ケ月後、二ケ月後に総員の検便を行つたところ、ポリラクトン服用者群及び非服用者群のいづれからも赤痢菌は検出されなかつた。すなわち、これらの総員検便によつては赤痢の予防効果を確かめることができなかつた。

(3) ポリラクトン投与ほぼ四週間後に、たまたま二八名の者が集団として赤痢感染の機会に暴露し、非服用者群の五名中一名の患者と二名の保菌者の発生を見たが、ポリラクトン服用者群二三名からは患者も保菌者も出なかつた。本剤の赤痢感染、発病予防効果について多少の期待をもたらすものと思われた。

………………………………(省  略)…………………………………………

(8) 要するに本剤は、赤痢予防及び赤痢保菌者治療を目標として、今後試用検討を続ける価値があるものと認めた。

(註) 細菌性食中毒発生

本剤の試験服用期間の終了した直後、八月三日午前、たまたま集団食中毒が発生した。即ち八月二日昼食(副食イカの塩焼)実喫食者隊員一、〇八九名のうち、五七七名が八月三日午前から四日午前にかけて急性の食中毒病状を訴えた。

患者の発生は、きわめて短時間(五〜六時間)で爆発的に多発し、その後は散発的となり二四時間で患者の新生発生はなくなつた。

これらの患者の症状は、下痢を訴えた者四九八名、嘔吐を訴えたもの一〇七名ほとんど全員が腹痛を訴え、頭痛を訴えた者、三八九名に及んだ。

二 問題点 ― 質問事項

1 乳酸菌製剤ポリラクトンの人体実験ではないか。

(イ) 論文緒言によれば「この製剤は、あるいは赤痢ないし食中毒予防の目的を達するかもしれないとの希望がもたれた。よつて、この製剤の集団投与による効果判定試験を実施した。」とある。すなわち、効果は不明で希望的観測で人体実験をしていることに問題はないか。

(ロ) 2研究方法(ウ)「無害性はすでに四〇〇名の臨床試験によつて確認されている」とあるが、この確認もまた人体実験によつてではないか。

(ハ) ポリラクトンは市販されているか。

2 研究は赤痢発生を前提としなければ成立しない。

赤痢発生をなぜ予見されるのか、赤痢菌を投与したのではないか。

それとも当時、勝田市には赤痢患者が発生していたので(患者六名、保菌者十一名)その赤痢菌に曝露するため、わざわざ二十八名の隊員は野外生活をさせられたのではないか。また半分にポリラクトン、半分にプラセボを与えたことは、当然、赤痢菌の存在(発生)を前提としなければ意味をなさないではないか。(当然赤痢発生を予想してのことである)

3 四十二年五月に二名、六月に三名赤痢患者と保菌者が出ているのに、勝田市衛生部(保健所)に届出がしてないのはなぜか。(法定伝染病届出義務)

4 八月三日突如として集団食中毒が発生したことにも疑問がもたれる。

細菌戦では食中毒菌ポリスチヌ菌をどう使うかが世界的課題となつているからだ。ポリラクトンで食中毒予防効果の人体実験をしたとすれば、食中毒が偶然おこつたということにも疑問がもたれる。

5 大牟田市の集団赤痢事件の教訓 ― かつて昭和十二年九月、大牟田市で集団赤痢発生事件がおこつた。(患者総数一万二千三百三十二人、死者七百十二人)

当時、この事件の調査団(内務省、予防局防疫課、県衛生課、医学陣、陸軍省医務局のほか久留米十二師団軍医部が参加)は約五十日間にわたつて調査し、「水道の汚水以外にはとうてい考えられない」と原因を推論した。このため大牟田市の当時の水道課長、※(注)本久光氏は引責辞職をしいられた。

しかし、(1)水道から赤痢菌は検出できなかつたこと。(2)水道汚染説の決め手となつた水源井の番人の幼児、田中広稔ちやん(昭和十一年二月生れ)は赤痢でなく、消化不良であつたことが診療医師の署名押印した診断書、カルテに明記されていること。(3)水道水を飲用している全家庭から患者が発生しておらず、三井三池染料工業所(七月二十三日、衆院外務委員会で、わたくしが指摘したベトナム戦争枯葉剤二四五TCPを製造している三井東圧化学の前身)の周辺の住宅街に患者が集中していること。

以上から水源汚染説には今でも疑問をもつ人々が多い。※(注)本課長の当時のメモによれば、「真相は赤痢爆弾の爆発によるものではないか」と疑問をなげかけている。

※(注)本メモは憲兵隊や陸軍小倉工廠の情報として、九月二十二日、二十五日、二十六日の三日間に三井三池染料の秘密工場、N工場(硫化染料工場)で爆発事故がおこつており、負傷者は羽犬※(注)伝染病院に運ばれたらしいことを指摘し、メモ用紙の余白には「特に秘」と記入して「十月二十五日、憲兵ノ言ニヨレバ、赤痢菌弾ヲ三井染料工業所ニオイテ、目下、海軍関係八割、陸軍二割、製作シツツアリ。戦地ニ使用中ナルコト。ナオ赤痢菌弾ノ件ハ小倉工廠調査ノ結果ナル旨聴取セリ」(メモ原文のまま)と添えられており、当時の彼の疑惑の目がここにむけられていたことがわかる。

以上の事実は細菌戦用としてすでに赤痢菌弾が日本で製造されて日支事変で使用されていたことを立証するものであり、細菌研究部隊第七三一石井部隊の活動といい、C(化学)兵器開発の元祖はドイツであるが、B(細菌、生物)兵器開発の元祖は日本であつたことが明らかである。この大牟田市における集団赤痢発生事件と、この園田、時岡研究論文とは果たして無縁のものであろうか。

また後で取上げる瀬戸内海沿岸における公害調査に名をかりた自衛隊の大気汚染調査訓練とあわせ考えるとき、これらの事実は敵に向かつて赤痢菌を撒布した地区に侵攻する作戦のための研究ではないと断言できる反証があるであろうか。

別紙(二)

「自衛隊は公害調査に名をかり、化学・細菌戦の実験、演習を行なつているのではないか」

一 エロゾル散布によるCB作戦とスモッグの大気汚染研究方法は同一のものである。

エロゾル散布を主体にした化学、細菌戦の研究、演習は、最近方々で問題になりはじめたスモッグに関する研究と結びつく可能性は十分である。

スモッグがどういう気象条件のなかで生れたか、その発生を防ぐにはどうしたらよいか。という研究が、毒ガス、毒薬或は病源体をばらまいた場合、どうすれば、これがこまかい霧状で長時間、目的地域の上にとどまり、より効果的に兵器としての威力を発揮するかという方法の開発にそのまま役立つのである。

穀物のより豊かな「みのり」をこいねがつておこなつた除草剤、殺虫剤の研究が、また人々を伝染病から救うためにおこなつた微生物の研究が、いつの間にか毒薬、毒ガスなどの化学兵器、病源体をばらまく生物兵器にそつくり利用され、人殺しの兇器となるのである。このようにわたくしたちのごく身近かにある研究や産業、人間に幸せをもたらすための研究や産業が、「みな殺し兵器」の研究開発、製造とは紙一重の隣り合わせの関係、うらおもての関係にあるという事実をわたくしたちははつきりと認識し、問題がアイマイになり易いだけに厳重な監視と観察が必要なのである。

CB兵器とは、まさにそういう種類の恐るべき兵器である。

ここに実例としてあげる通産省が最近行なつている一連の公害調査も、そのような意味で、公害調査に名をかりた自衛隊の化学、細菌戦実験、演習とみなさざるをえない。

二 陸上自衛隊機関紙「朝雲」七月三日付によれば、山口県の瀬戸内海を中心とした宇部、小野田地区(昭四三年九月〜四四年三月)、岩国、大竹地区(昭四四年六月〜四五年三月)、徳山、南陽地区(昭四四年六月〜四五年三月)六箇所の通産省による産業公害綜合事前調査に陸上自衛隊十七普通科(歩兵)連隊が全面協力をし、調査要領としては、けい光粒子「エアートレーサ」の拡散状況を、一・五キロ、三キロ、五キロ、七・五キロの地上四地区四〇箇所に設置された捕集器と、高さ二五〇メートルにまであげた気球の捕集器で捕え、汚染分布の基礎資料にするというものである。

しかし、少しでも軍事知識のあるものからみれば、この調査が明らかに自衛隊の化学、細菌CB作戦の攻撃、及び防護訓練であることが分るであろう。

とくに「適度の湿気」を有する気象条件(梅雨時期が最適)をえらび、サンプリングと収集を容易にするため、紫外線のもとで螢光を発する性質をもつ直径二ミクロンの亜鉛化カドミユムの粒子(エアートレーサ)を発射していることは、CB兵器、とくにB(細菌)兵器の発射、及び汚染区域の実験、訓練特有のものだからである。

このことは米陸軍生物戦争研究所顧問リロイ・D・フオースギル氏の「生物兵器」に関する発表を読めば、全く同じ方法で「炭疽菌(無害化されたもの)」及び「直径二ミクロンの亜鉛化カドミユムの粒子」の風下汚染地域の実験結果を報告している。

また前掲「化学学校記事」第十一号掲載「新しい化学剤及び生物剤の用法」(阿達憲、三佐)ではG剤(神経性ガス)風下危険見積(友軍の攻撃によるGB(神経性ガス)危険)の算定法を説明しているが、やはり同じ方法である。(左図参照)

三 生物兵器の攻撃方法は、兵器の技術開発の中でも一番秘密が守られ、攻撃目標も、人間、動物、植物など多様である。使用される細菌も多種多様である。

四 問題点 ― 質問事項

1 山口県の公害事前調査のプランメーカーは誰か、調査責任者は誰か。

2 自衛隊の協力理由は何か。

3 協力部隊の編成、指揮系統を明らかにせよ。

4 エアートレーサの種類、成分を明らかにせよ。

5 三次防で創設予定の化学隊の全貌を明らかにせよ。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一 米国政府は、日本本土には致死性化学兵器は存在せず、これをわが国に貯蔵する意図もない旨七月二十日わが方に通報してきている。また、七月二十二日米国防省は生物兵器を海外基地に配備している事実はない旨明言している。

政府としては米国の右の通報及び言明は十分信頼するに足るものと考えている。

1 日本においては米軍の生物・化学兵器機関ないし施設はないと承知している。

神奈川県相模原市の米陸軍医療センター(施設番号三〇九八)内の第四〇六部隊医学研究所においては、動物及び昆虫の分布調査、蛇毒の研究、食品検査、水質検査、微生物検査、風土病の研究、寄生虫の研究及び血液銀行に関することなどの医学的研究が行なわれているのみで、生物・化学兵器の研究開発が行なわれている事実はない。

なお、埼玉県キヤンプ朝霞(施設番号三〇四八)には米陸軍技術本部化学課なるものは存在していない。

2(イ)a 昭和三十九年六月二十日である。

b 米軍相模総合補給しよう(施設番号三〇八四)の北側に隣接する果樹園及び畑の農作物に塩素ガスによる損害が発生したので、政府は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法(昭和二十七年法律第百二十一号)(以下「民事特別法」という。)の規定に基づき、昭和四十一年二月二十五日に被害者関口沖五郎ほか三名に対し、桑、陸稲、甘藷等の減収等に係る損害賠償金として五五、七九二円を支払つた。

c 米軍相模総合補給しようにある塩素ガスボンベ保管所のボンベは、二時間ごとに点検し、ガスの漏洩している不良ボンベを発見するとコンベアを利用し、隣接の苛性ソーダ水溶液タンク(鉄製、七立方米)に投入して処理し、廃液はパイプを通じて素堀りの排水溝に流し込む仕組みとなつていた。調査の結果、漏洩の原因は中和装置の機能に欠陥が生じたこと、苛性ソーダ水溶液タンクの蓋が木製であつて完全に密閉できなかつたこと及び排水溝が素堀りであつたこと等が原因であつたものと認められた。

なお、この塩素ガスは、飲料水滅菌用及び下水消毒用のもので管理の瑕疵により被害を与えたものであるが、その後、この施設は改善され、事故は発生していない。

(ロ)a 飲料水滅菌用及び下水消毒用塩素ガスである。また、その保管施設は米軍相模総合補給しよう横浜貯蔵所(施設番号三〇六七横浜ノースドツクの一部)である。

b 処理のため海中に沈めてあつた塩素ガスボンベから流出した塩素ガスにより被害を受けた秋山剛臣ほか六名に対しては、民事特別法の規定に基づき、休業、財産及び療養賠償として昭和三十九年七月三日六〇二、七一三円支払つた。

なお、米軍に対し、再びこの種の事故を発生させないように注意を喚起するとともに塩素ガスの海中処理を中止するよう要請したところ、じ後、この方法による処理は取り止めた。

(ハ) 米軍は、日本本土において廃棄処分は行なつていない。また、実験訓練も行なつていない。

なお、ご指摘の事実については次のとおりである。

a 昭和四十三年七月十二日米軍岩国飛行場(施設番号四〇九二)の沖合にある姫小島(提供施設区域であり砲弾爆破場として使用されている。)において米軍が二十ミリ砲弾及び発煙弾を処理したもので、毒ガス性の弾薬ではない。

b 米軍三沢飛行場(施設番号二〇〇一)において飲料水滅菌用液体塩素ガスボンベ(充填量一五〇ポンド)五本のバルブ等が錆つき不良となつたので、ガス洩れによる事故を防止するため三沢対地射爆撃場(施設番号二〇一二)において、ボンベのバルブカバー用キヤツプを取り除くため爆破処理を行なつたところ誤つて五本のボンベもろとも爆発したものである。

(ニ) 一ですでに回答したとおりである。

二1 自衛隊では、びらん性ガス、神経性ガス等の毒ガス、細菌兵器等いわゆる生物・化学兵器は、保有していない。ご質問のGBガスは米軍から貸与された事実がない。

ご指摘の教範(現在は教範ではなく参考資料である。)及び化学学校記事は、米軍の資料を化学防護の参考としてほん訳したものである。

2 第三次防衛力整備計画には、生物・化学兵器の研究開発はない。防護器材の研究開発は行なつているが、ご指摘のGガスは使用していない。

3 特別の増員や特訓計画はない。防衛庁の研究要員の研修は、一般の教育を目的としたもので所要の基礎的知識、科学技術等の教育を行なつているものである。

4 ご質問のような実験は行なつていない。

別紙(一)

二1(イ) 乳酸菌製剤は、一九〇八年メチニコフの研究以来、その効用が医学的に注目されるようになり、整膓作用の目的で服用され、赤痢保菌者及び同患者に対して服用効果があるとされているので消化器疾病の流行期を前にして集団生活者に対する赤痢及び食中毒患者発生の予防対策の一助とするために行なつたものである。

(ロ) 自衛隊外の医療機関において、確認されたものである。

(ハ) 市販されている。

2 赤痢は、昭和四十二年度に全国的に約三万人の発生をみており、自衛隊においてもその発生の可能性は十分考えられる。

二十八人の隊員は、施設野整備隊に所属する者であつて訓練のため、営外で作業を行なつていたものである。また、プラセボの使用は、医学の臨床試験における効果測定のために一般に行なわれる方法である。

3 届出の手続を怠つたもので誠に遺憾である。

4 昭和四十二年八月三日に発生した集団食中毒は、同月七日に終息したものであるが、この食中毒は茨城県衛生研究所において行なわれた検査の結果、患者の吐物及び昼食の塩焼イカ、キユウリ漬から検出された膓炎ビブリオが原因である。

5 ご質問のような実験、演習は行なつていない。

別紙(二)

四1 山口県の産業公害総合事前調査は、通商産業省企業局の責任のもとに山口県の協力を得て実施している。

なお、エアトレーサ実験を含む現地調査に関しては、調査のスケジユール、実施方法、人員配置等の具体的プランを定めた調査実施要綱を策定し、この要綱に従つて実施しているものである。

2 通信支援について山口県知事からの要請を受けたことと部隊の通信訓練にも適し、かつ公害防止対策にも資すると判断したからである。

なお、右の要請は、公害の総合事前調査の内容から、その円滑な実施が自衛隊の支援なくしては、実際上きわめて困難である事情によるものである。

3 陸上自衛隊第十七普通科連隊第四中隊長三等陸佐山本善一ほか、通信士、車両操縦手等八十九名であり、装備品としては、無線通信機四十八、車両十二である。

この部隊の指揮官は、第十七普通科連隊長一等陸佐藤本健市である。

4 この調査に使用しているエアトレーサ物質は、硫化亜鉛(ZnS)螢光体及び硫化カドミウム(CdS)螢光体を混合したものである。

5 第三次防衛力整備計画においては、自衛隊の化学防護能力を増強するため、陸上自衛隊に化学隊三を編成することを予定している。同隊は、発煙、除染、焼い及び化学消防の機能を有する部隊である。

6 現在の防衛庁職員のうち、いわゆる石井部隊(旧陸軍の関東軍防疫給水部)に勤務した経験のある者は二人である。

三 国家賠償法(昭和二十二年法律第一二五号)は、同法施行前の行為に基づく損害については従前の例によるものとしているので(同法附則第六項)、本件については適用がないものである。

なお、本件について政府としては、昭和二十九年以降行政措置により全額国費をもつて各種の救済措置を講じてきているところである。

右答弁する。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 1974年7月31日 瀬長亀次郎 答弁 1974年8月6日
衆議院 第73回 第10号
提出 1969年11月29日 谷口善太郎 答弁 —
衆議院 第62回 第1号答弁書なし(内閣転送)

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる