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在日米軍の核爆弾投下訓練に関する質問主意書
衆議院 第73回 第10号
質問本文
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
在日米軍の核爆弾投下訓練に関する質問主意書
最近、米軍が沖繩県下の伊江島射爆場で核模擬爆弾の投下訓練を行つた事実が、日本共産党の調査の結果、明らかになつた。
私も参加した日本共産党の調査団が七月二十八日、二十九日の両日、現地で行つた調査によると、この核模擬爆弾の投下訓練を実施したのは、嘉手納基地の第一八戦術戦闘航空団所属のF4ファントム戦闘爆撃機であり、投下された核模擬爆弾は核爆弾「B四三」の模擬爆弾のBDU8Bで、七月二日には約四発、二十三日には約九発が、伊江島射爆場の爆弾用標的に向かつて投下された事実が確認された。今回の米軍の核爆弾投下訓練は、沖繩の施政権が返還されて以後の事態の下で行われたものであり、極めて重大である。
今回と同様の核爆弾投下訓練は、沖繩の施政権返還以前の一九七二年一月ごろまでは伊江島射爆場でBDU8Bその他の核模擬爆弾を使つて行われていた。しかし、この訓練は、日米沖繩協定の審議に関連して、国会内外で厳しい批判にさらされ、日本政府も、復帰後はこの核模擬爆弾の投下訓練を認めず、やらせない方針であることを公式に繰り返し明らかにしていた。すなわち、当時の佐藤首相、※(注)田外相は、「模擬爆弾といえどもこれは核だ」「(核の)模擬爆弾の演習も差し控えてもらつたほうがいいじやないか、こう存じておりますので、(一九七二年)五月十五日以降にかかる演習が行われることは、厳重に我が方としては警告したい。」(※(注)田外相、一九七二年三月七日・衆院予算委員会、共産党不破哲三議員に対して)、「核の模擬爆弾でもこれは投下訓練はしない、そういう方向でアメリカに問い、十分話し合う。」「日本の率直なこの要望は必ずこたえてくれる、かように思いますので、ただいまもしそれを聞かなかつたらどうするか、こういうところまで考える必要はないように思つております」(佐藤首相、同)と言明していた。
それにもかかわらず、今回、施政権返還後の沖繩において、在日米軍が核爆弾の投下訓練を行つたことが明らかになつた以上、政府はこの問題に関し、次の質問に明確に答弁する当然の責任がある。
一 政府は、前記の通り、核模擬爆弾の投下訓練をやめさせるよう対米交渉を行うと約束していたが、アメリカ側と核爆弾投下訓練をやめさせるための交渉を実際に行つたか。もし、交渉を行つたとすれば、その結果はどうであつたか。
二 今回の沖繩県下での核爆弾投下訓練に対して、どういう措置をとるつもりか。かつて※(注)田外相は「アメリカに申入れをする、警告を発する」「これは解決しうるのじやあるまいか、こう考えております」(一九七二年三月七日・衆院予算委員会、不破哲三議員にたいして)と言明したが、政府は、今回の核爆弾投下訓練について直ちに警告し、中止させるのが当然と考えるが、どうか。
三 政府は国会で核投下訓練はさせないと明言していることからして、今後、在日米軍が二度と核爆弾投下訓練を繰り返さず、核攻撃訓練を一切やらせないようにするため、アメリカ政府の確約をとり、これを国会と国民に報告しなければならないと考えるが、どうか。
四 今回、伊江島で核爆弾投下訓練を行つたのは、嘉手納基地の第一八戦術戦闘航空団であるが、今度の訓練により、同航空団は核攻撃部隊であることが改めて実証された。政府は、当然、核攻撃部隊である第一八戦術戦闘航空団の撤退を要求すべきであると考えるが、どうか。
五 政府は、在日米軍の行動に関してはつねに「信頼する」と、いつてきたが、今回のように核爆弾投下訓練が強行された以上、米軍基地内への立入り、点検を要求し、核持込みの有無、核攻撃機能の保持の有無等について独自に調査すべきであると思うが、どうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
政府は、昭和四十七年五月十三日付松本善明議員提出の沖繩協定発効後の沖繩米軍基地に関する質問に対する答弁書を提出した後、米側と話合いを行つた。その際、米側は、米軍要員については常に一定の技術的水準を維持する必要があり、このため諸種の訓練を行う必要がある旨述べるとともに、核攻撃を受けた場合の対処訓練、模擬弾を使用する訓練などは、安保条約及びその関連取極に照らし、禁止されるべきものではないとの考えを再び明らかにしていた。
二及び三について
政府としては、米軍が質問主意書の指摘しているような核模擬爆弾の投下訓練を行つたか否か、米側に照会中であるが、未だその回答に接していない。今後、かかる訓練に対していかなる措置を採るかについては、なお慎重に検討するが、回答の結果仮りにかかる核模擬爆弾の投下訓練が行われているとした場合、政府としては、我が国国民の核兵器に対する感情にかんがみ、米側に再考方求める所存である。
四について
第十八戦術戦闘機航空団は、あらゆる紛争の態様に対応しうるよう平時から訓練している通常の実戦部隊であり、その我が国への駐留は、安保条約上何等問題はないと考える。
五について
核兵器の我が国への持込みは、事前協議の対象となつているが、政府としては非核三原則に従い、核兵器の持込みはこれを一切認めない方針であり、この点は、従来から明らかにしているところである。
なお、安保条約第六条の実施に関する交換公文に基づき事前協議の主題となる事項について米国がその誓約を遵守することは、条約上の義務であり、また、この条約が日米両国の信頼関係にその基礎を置いている以上、米国がかかる義務を守つていることにつき、政府は何等疑いを有していない。従つて、米軍基地の立入り調査を行う必要はないと考える。
右答弁する。
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