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富山県営熊野川ダムからの取水事業に関する質問主意書

参議院 第151回 第16号承知していない ×1検討してまいりたい ×1

提出者
参議院
提出日
2001年4月12日
内閣転送 2001年4月16日
答弁書受領日
2001年6月29日
提出から78日
答弁の項目数
17
質問 2,104字/答弁 4,601字

質問本文

一九八四年に、富山県営の多目的ダムとして富山県大山町に熊野川ダムが完成した。このダムの事業目的の一つに、水道利用がある。当初の計画では、熊野川水道用水供給事業によって、一九八五年より周辺六市町村で構成する受水団体に日量十万立方メートルの給水を始めることになっていた。しかし、ずさんな事業計画の結果、現在に至っても用水供給事業を開始するために必要な取水施設や浄水施設、加圧送水施設などは建設されていない。当然、完成後、受水団体には一滴の水も供給されていない。

この間、建設費百九十三億円のうち水源費の負担金が約七十一億円を占め、国庫補助などを除いた約三十三億円を企業債で賄い、その返済総額は利子分と合わせて二〇一四年までで九十八億円に及ぶ。受水団体の一つ富山市では、企業債の償還として毎年約六千万円から七千五百万円の支払を続けている。

熊野川水道用水供給事業の目的は、幾度か変遷してきた。一九七四年に基本計画が厚生省に提出されたときには、目的を「人口増加に備えた将来に向けた水源確保」としていた。その後、「災害時などに備えた水源の複数化」に理由が変わった。こうした中、本年二月六日、富山市が市議会建設委員会で「富山市の水道用水では常願寺川からの取水が、水利権を越える取水をしているために国から是正するように指導を受けている。そのため、市単独事業として熊野川ダムから取水事業を行う」という報告が行われた。このことは、従来の水源開発の理由になかったことである。

現在、多くの自治体において、水道料金の値上げが行われている。それは、施設整備に巨額の投資を行い、水道料金の値上げ分をその償還財源としていることによる。熊野川水道用水供給事業及び今回の富山市からの熊野川ダムからの取水事業は、山形県鶴岡市の水道行政問題と並び、全国の自治体水道行政の抱える典型的な例と言える。よって、この問題に関する政府の見解を明らかにする必要がある。

以上の観点から、次の事項について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、富山市による常願寺川からの超過取水について、建設省による是正指導がなされていたと聞くが、その経緯を明らかにされたい。

二、富山市による常願寺川からの超過取水について、これまで水利権上の位置付けはどうなっていたのか。また、超過取水を続けてきた富山市当局に法的な責任は生じないのか。

三、建設省が富山市に超過取水是正の指導をした際、建設省は富山市から常願寺川の水利権量の増大を求められたか。

四、建設省が富山市に超過取水是正の指導をした際、熊野川から取水する案のほか、複数代替案の検討をしたのか。検討をしたならば、その内容を具体的に明らかにされたい。

五、富山市は、常願寺川に日量二万立方メートルの水利権を持つ朝日工業水道と、日量二・六五万立方メートルの水利契約を交わして、超過取水を続けている。このことについて、政府の見解と今後の対応を示されたい。

六、富山市は、新たに農業用水から日量二・六万立方メートルの水利権を得るため、政府に働きかけをしていると聞く。その経緯について、具体的に明らかにされたい。

七、富山市は常西用水土地改良区に常西用水施設使用料を支払っている。政府は、その根拠と金額の算出方法を承知しているか。承知しているならば、その内容を示されたい。

八、今回の取水事業で富山市に付与される水利権は、暫定水利権であると聞く。この暫定水利権の期限を明らかにされたい。また、この暫定水利権の更新可否についても、併せて明らかにされたい。

九、河川の水利権に、表流水と伏流水の区別があるのか。

十、工業用水を水道用水に転用する場合の必要条件及び手続を示されたい。

十一、常願寺川の水利権の許可条件を明らかにされたい。また、河川維持流量を地点別に提示するとともに、流量を決めた根拠についても併せて明らかにされたい。

十二、富山市では、今回の熊野川ダムからの取水事業を市単独事業だとしているが、そのとおりか。

十三、熊野川水道用水供給事業は、周辺六市町村で構成する受水団体に水を供給する目的で、国庫補助が行われた。補助金適正化法などの関係法令に照らし、富山市単独の取水事業として水利用が行われることについて、問題はないのか。

十四、受水団体では、熊野川ダムの水源費の負担金支払を始めている。熊野川水道用水供給事業が始まらない場合、受水団体の負担金はどうなるのか。

十五、給水予定量の七十五・四パーセントを占める富山市が事業を先行して実施すれば、受水団体全体の水需要が伸び悩んでいるため、熊野川水道用水供給事業の休止状態が続くと考えられる。こうした事態に対する政府の対応を明らかにされたい。

十六、富山県が熊野川水道用水供給事業の中止を決めた場合、補助金の返納を求めるのか、政府の方針を明らかにされたい。

十七、取水事業開始に当たり、富山県から富山市に熊野川ダム負担金の追加負担金が課せられている。この追加負担金の発生について、政府の見解を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

富山市は、昭和五十四年五月二十九日に、水道用水を確保するため一級河川常願寺川水系常願寺川(以下「常願寺川」という。)から最大で毎秒一・二三八立方メートル(日量約十・七万立方メートル)の取水を行うこと、毎日の取水量を測定し一年ごとにその結果を取りまとめて翌年の一月三十一日までに建設省北陸地方建設局富山工事事務所長(以下「富山工事事務所長」という。)を経由して同省北陸地方建設局長に報告すること等を内容とする河川法(昭和三十九年法律第百六十七号。以下「法」という。)第二十三条の許可を建設大臣から受けた。

その後、富山市は、当該許可に係る取水量の報告を行っていなかったが、昭和六十年一月三十日に富山工事事務所長に昭和五十四年から昭和五十九年までの取水量の報告書を提出した。この報告書により、同市が許可された取水量を上回る量の取水(以下「超過取水」という。)を行っていることが判明した。

超過取水が判明したことを受けて、建設省北陸地方建設局富山工事事務所(以下「富山工事事務所」という。)は、富山市に対し、その是正を繰り返し口頭で求めたほか、富山工事事務所長から富山市長に対し、「常願寺川水系常願寺川における水利使用(富山市水道)に係る是正について(通知)」(平成十年二月九日付け建北富河管第九十九号)により、常願寺川からの超過取水を直ちに是正し、是正されるまでの間は取水量の報告を富山工事事務所長に対し毎月提出するよう求めた。

二について

富山市による超過取水は法第二十三条の許可を受けたものではなく、同市には違法な行為である超過取水を是正する義務がある。

三について

富山工事事務所が昭和六十一年六月、富山市に対し超過取水の是正を口頭で求めた際に、同市から常願寺川からの取水量の増量を求められた。

四について

富山市が平成十年三月二十六日に富山工事事務所長に提出した「常願寺川水系常願寺川の水利使用に係る是正措置について(報告)」によれば、同市においては、常願寺川から取水している農業用水の一部の水道用水への転用、地下水の新規開発等の方策についても検討しているとのことであった。

五について

御指摘の朝日工業水道とは常願寺川左岸富山市朝日地先を取水地点とする工業用水道を指すものと考えられるが、これは富山市工業用水道事業の一部であり、富山市に確認したところ、御指摘のような水利契約は存在しないとのことである。また、同市から富山工事事務所長に提出された平成三年度から平成十二年度までの当該工業用水道事業の取水量の報告書によれば、当該工業用水道事業については、超過取水が行われている事実はない。

六について

富山市は、平成十一年八月二十日に農林水産省北陸農政局に対し常願寺川から取水している農業用水の取水量のうち最大で毎秒〇・三〇〇立方メートル(日量約二・六万立方メートル)を同市に転用させてほしいと要望したことを、同月二十七日に富山工事事務所に報告した。

その後、富山市は、常願寺川における水道用水のための取水量を最大で毎秒〇・三〇〇立方メートル(日量約二・六万立方メートル)増加させ毎秒一・五三八立方メートル(日量約十三・三万立方メートル)とすること等を内容とする法第二十三条の許可を申請するに当たり、法第三十八条ただし書の適用を受けるため、農林水産省北陸農政局長(以下「北陸農政局長」という。)に対し、「上水道用水の取水について(依頼)」(平成十三年一月十二日付け水総第百七十七号)により取水量の増加に対する同意を求めた。これに対し、北陸農政局長は、富山市長に対し、「上水道用水の取水について(同意)」(平成十三年一月二十三日付け十二陸建第四百四十四号)により同意した。

なお、富山市は、国土交通省北陸地方整備局長に対し、当該許可の申請書を平成十三年一月十七日付けで提出した。

七について

富山県は、富山市が富山県営かんがい排水事業により建設された常西用水施設の一部を水道施設として使用するに当たり、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号。以下「補助金等適正化法」という。)第二十二条及び「補助金で取得し、又は効用の増加した財産の処分の承認に関する事務を委任した件」(昭和四十一年農林省告示第四百四十四号)に基づき北陸農政局長の承認を受けるとともに、当該承認に係る条件に基づき昭和六十三年度に国に対し常西用水施設の建設に係る補助金の一部を返還している。したがって、同市が常西用水施設の一部を水道施設として使用していることは承知しているが、同市が常西用水土地改良区に使用料を支払っているか否か等については承知していない。

八について

御指摘の暫定水利権とは六についてで述べた富山市が提出した申請書に記載されている最大で毎秒〇・三一〇立方メートル(日量約二・七万立方メートル)の取水に係る部分(以下「本件暫定分」という。)を指すものと考えられるが、当該申請書においては、その取水する期限は平成十五年三月三十一日と記載されている。

また、この申請については、現在、国土交通省北陸地方整備局において審査中である。

仮に、本件暫定分について法第二十三条の許可がなされ、その取水する期限が到来し、新たに同条の許可の申請が行われた場合には、その時点において水利使用の緊急性等を総合的に勘案して、許可するか否かを判断することとなる。

九について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかでないが、法第二十三条の許可をするか否かに当たって、当該許可に係る河川の流水が表流水か伏流水かによってその取扱いに差異が生じることはない。

十について

工業用水を水道用水に転用するためには、工業用水及び水道用水の利水者間で転用に係る水量等の条件について合意がなされていることを前提として、その上で関係法令に基づく手続がなされることが必要である。

具体的な手続としては、工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)に関して、工業用水の一部を水道用水へ転用することにより工業用水道の給水区域、給水能力等が変更される場合、地方公共団体である工業用水道事業者は同法第六条第一項の規定に基づきその旨を経済産業大臣に届け出なければならず、地方公共団体以外の工業用水道事業者は同条第二項の規定に基づき経済産業大臣の許可を得なければならない。また、工業用水道事業費補助金の交付を受けた工業用水道事業者にあっては、工業用水道事業費補助金交付規則(昭和三十二年通商産業省告示第三百二十三号。以下「補助金交付規則」という。)第六条の規定に基づき、経済産業大臣の計画変更等の承認を受けなければならない。さらに、転用により工業用水道事業の目的以外に使用することとなる財産の処分については、補助金等適正化法第二十二条及び補助金交付規則第十二条の規定に基づき、当該工業用水道事業が所在する地域を管轄する経済産業局長の承認を得なければならない。

水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)に関しては、水道事業者が工業用水の一部を水道用水へ転用することにより給水区域、給水量等が変更される場合、同法第十条等の規定に基づき、給水人口、一日最大給水量等の規模等に応じて厚生労働大臣又は都道府県知事による水道事業の変更の認可を受けなければならない。

また、法に関しては、工業用水の取水量の減量及び水道用水の取水量の増量について法第二十三条の許可を受けなければならないほか、取水施設の設置等を伴う場合にあっては、法第二十四条、第二十六条等の許可を受けなければならない。

十一について

法第二十三条の許可に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第五条第一項に規定する審査基準については、「行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の審査基準の策定等について」(平成六年九月三十日付け建設省河政発第五十二号建設省河川局長通達)において、次のとおり定めており、これらの審査基準は常願寺川においても適用されるものである。

1 水利使用の目的及び事業内容が、国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与し、公共の福祉の増進に資するものであること。

2 申請者の事業計画が妥当であるとともに、関係法令の許可、申請者の当該事業を遂行するための能力及び信用など、水利使用の実行の確実性が確保されていること。

3 河川の流況等に照らし、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に支障を与えることなく安定的に当該水利使用の許可に係る取水を行えるものであること。

4 流水の占用のためのダム、堰、水門等の工作物の新築等が法第二十六条第一項の審査基準を満たしているなど、当該水利使用により治水上その他の公益上の支障を生じるおそれがないこと。

また、常願寺川における流水の正常な機能を維持するための必要な流量は、河川維持流量、既に許可された取水量等を考慮して定めるべきであるが、「常願寺川水系工事実施基本計画」において「流水の正常な機能を維持するため必要な流量については、流水の収支機構、並びに利水実態の把握を図るとともに、水質保全対策等を、今後さらに調査検討のうえ決定するものとする。」とされており、したがって、御指摘のような地点別の河川維持流量についても定めていない。

十二について

厚生労働省において富山市に確認したところ、御指摘の熊野川ダムからの取水事業(以下「本件取水事業」という。)については、同市のみで実施することで富山県が了解しているとのことであった。

十三について

本件取水事業は、現在のところ、水道法第六条による認可を受けた富山市水道事業には位置付けられていないが、仮に、富山市が本件取水事業を実施しようとする場合には、水源の種別、取水地点等の変更を伴うため、厚生労働大臣による当該水道事業の変更認可を受ける必要がある。また、富山県の熊野川水道用水供給事業についても、これらに伴い事業内容の変更が必要となる。さらに、熊野川水道用水供給事業者である同県に対し交付した国庫補助金についても、同市に譲渡等される財産の処分を行う場合には、補助金等適正化法第二十二条の規定に基づき、厚生労働大臣の承認を得なければならない。厚生労働省において同市に確認したところ、これらの点については今後検討していくとのことであった。

十四について

御指摘の場合における負担金の取扱いについては、水道用水供給事業者である富山県とその給水対象である六市町村との間で協議して定められる問題であると承知している。

十五について

熊野川水道用水供給事業及び本件取水事業の在り方については、現在、富山県、富山市等で検討中であると承知しているが、今後とも、これらの地方公共団体に対し必要な助言を行ってまいりたい。

十六について

熊野川水道用水供給事業が中止となった場合の当該事業に係る国庫補助金の取扱いについては、厚生労働省において、富山県から補助金等適正化法第二十二条の規定に基づく承認の申請があった際に判断することとなる。

十七について

御指摘の追加負担金の取扱いについては、水道用水供給事業者である富山県とその給水対象である富山市との間で協議して定められる問題であると承知している。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×1検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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