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建設省直轄の利賀ダムに関する質問主意書

衆議院 第146回 第10号

提出者
衆議院
提出日
1999年12月1日
内閣転送 1999年12月6日
答弁書受領日
2000年2月15日
提出から76日
答弁の項目数
9
質問 1,930字/答弁 2,585字

質問本文

現在、建設省は、庄川水系の直轄ダムとして富山県において利賀ダムの建設を進めている。利賀ダムの建設は昭和六二年の「庄川水系工事実施計画」の計画に基づいて行われている。六二年の改定により、昭和四一年の「庄川水系工事実施計画」に比べ、基本高水流量が一四四%増の毎秒六五〇〇立方メートルになり、ダム群による調節流量が七〇〇立方メートルとなった。そのことが、利賀ダムの建設理由となっている。

建設省では、平成一〇年八月二七日に平成十一年度の予算概算要求と併せて「ダム事業総点検」の結果を発表した。必要性の根拠が不明確な利賀ダムは休止または中止の措置がとられると予想されたが、それらの措置はとられなかった。利賀ダムについては、富山県の市民グループや県議会議員などから建設に対して疑問の声が上がっている。そうした声に答えるために、十分な情報提供が必要である。その一環として、以下の質問に対する回答を求める。

1 富山県内河川で庄川水系だけが基本高水流量として一五〇年に一度の降雨に対応する洪水流量となっているが、それは何故か、根拠を示し、また各水系の洪水の確率年を定める基本的考え方を明らかにされたい。

2 昭和六二年に策定した「庄川水系工事実施基本計画」の中では、雄神基準地点の基本高水のピーク流量毎秒六五〇〇立方メートルのうち、ダムによる調節流量を七〇〇立方メートルとし、二〇〇立方メートルを利賀ダム以外のダムで対応することになっている。具体的にどのダムがどの程度の調節を行うようになっているのかを明らかにされたい。

3 昭和四一年の「庄川水系工事実施基本計画」が策定されて以降、雄神基準地点上流では、利賀川で昭和四九年に利賀川ダム、庄川で平成五年に境川ダムが完成している。ともに洪水調節を目的の一つとしたダムであり、洪水調節のピークカットはそれぞれ毎秒一三〇立方メートル、四三〇立方メートルとなっている。利賀川ダム、境川ダム等の既設ダム群が最大限の洪水ピークカットを行った場合、雄神基準点での洪水調整水量はどの程度と試算しているか、各ダムの雄神基準地点での効果を明らかにされたい。

4 「ダム事業総点検」の中で、過去の水害の実績として昭和九年以外は庄川支流和田川下流の大門地点での被害を指摘している。利賀ダムの洪水調節が和田川の洪水被害の軽減にどのように寄与するのかを明らかにされたい。

5 庄川支流和田川において、庄川合流点での基本高水流量は毎秒二一〇立方メートルであり、ダムによるピークカットは一一〇立方メートルとなっている。現在、和田川には昭和四二年に完成した和田川ダム(ピークカット量毎秒六五立方メートル)がある。庄川合流点における和田川ダムとその他のダム群の各々のピークカット量を明らかにされたい。また、和田川の洪水の計画規模は五〇年に一度である。和田川が庄川本流と同じ計画規模、すなわち、一五〇年に一度の計画規模になっていない理由を明らかにされたい。

6 庄川は建設省の平成十年度全国清流ランキングで前年の二四位から八八位に順位を下げ、年々清流度が下がっている。利賀ダム等の新たなダム建設によって水質の悪化が予想されるが、そのことに対する見解と対策を明らかにされたい。

7 建設省は、今まで、ダム事業総点検等により、どのような考え方や基準でダム事業の見直しを行ってきたのか。その考え方、基準を具体的に明らかにされたい。

8 『直轄の利賀ダム(富山県庄川水系)に関する資料及びデータ』の資料請求に対する回答において一〇〇年間の流入土砂を貯水池に堆積するため堆砂対策費は必要ない」とあるが、実際の堆砂速度が計画堆砂速度を大きく上回るダムが多く、利賀ダムにおいても一〇〇年よりもっと短い期間で、ダムの機能に支障を生じることが予想される。また、仮に計画どおりであったとしても、一〇〇年を過ぎれば、ダムの機能に支障が生じる。しかし、同ダムの治水目的は、一五〇年に一度の出水の際のピーク流量に備えることになっている。一五〇年に一度の出水は確率的にはいつ来るか分からないにせよ、実際には数十年、計画上でも一〇〇年を過ぎれば、機能に支障が生じるダムで一五〇年に一度の出水に備えるというのは論理的に無理がある。これについての考え方の整合性を明らかにされたい。また、計画堆砂量を一〇〇年間分しか考えない理由も明らかにされたい。

9 利賀ダム建設のための工事用道路の総事業費は約三三〇億円を予定している。これはダム建設がなければ必要ない道路であるにもかかわらず、「ダム事業の総点検」の代替案の検討の中では現計画の事業費に加わっていない。その理由を明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

1について

洪水防御に関する計画の規模については、一般に、河川の大きさ、当該河川における洪水により被害を受けると想定される地域の社会的及び経済的重要性、当該洪水で想定される被害の状況、当該河川の既往洪水による被害の実態等を総合的に考慮して定めているものであり、一級河川庄川水系庄川(以下「庄川」という。)についてもこのような考え方により、河川法の一部を改正する法律(平成九年法律第六十九号)による改正前の河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第十六条第一項に規定する工事実施基本計画(以下「工事実施基本計画」という。)における基準地点雄神(以下「基準地点雄神」という。)の基本高水のピーク流量を百五十分の一の年超過確率を用いて定めているところである。

なお、庄川以外の富山県内の河川では、一級河川常願寺川水系常願寺川及び一級河川神通川水系神通川についても、それぞれの工事実施基本計画における基準地点である瓶岩及び神通大橋の基本高水のピーク流量を百五十分の一の年超過確率を用いて定めているところである。

2について

利賀ダムは、御指摘の「昭和六十二年に策定した「庄川水系工事実施基本計画」」には位置付けられておらず、平成六年六月に改定された庄川水系工事実施基本計画(以下「庄川水系工事実施基本計画」という。)において、ダムによる調節流量の一部を担うダムとして位置付けられたものである。

また、庄川水系工事実施基本計画では、利賀ダム以外のダムは具体的に位置付けられておらず、今後着手するダムについては、調査検討の上、計画を決定することとしている。

3について

庄川水系工事実施基本計画の基本高水のピーク流量の決定に当たり用いた八つの計画降雨について、洪水調節を行うダムが存在しないとした場合と利賀川ダムのみが存在するとした場合及び境川ダムのみが存在するとした場合の基準地点雄神におけるピーク流量の差の最大値は、それぞれ、毎秒約六十立方メートル及び毎秒約百十立方メートルとなっているものと承知している。

なお、和田川ダムは、基準地点雄神より下流で合流する一級河川庄川水系和田川(以下「和田川」という。)に設置されたものであるから、基準地点雄神における同ダムの洪水調節の効果は存しない。

4について

利賀ダムは、和田川の洪水調節を行うものとして計画されたものではないが、同ダムの洪水調節により庄川の和田川合流点の水位が低下することから、和田川の洪水による被害の軽減に寄与するものと考えている。

なお、御指摘の「ダム事業総点検」における「大門地点」とは、建設省北陸地方建設局富山工事事務所(以下「富山工事事務所」という。)が流量を観測している地点を指すものであり、過去に災害のあった地点を指すものではない。

5について

河川法第七十九条第一項の規定に基づき昭和四十三年三月三十日に建設大臣が認可した和田川総合開発事業全体計画(以下「和田川全体計画」という。)において、和田川の和田川左支川鴨川合流地点から庄川合流地点までの区間における基本高水のピーク流量は毎秒二百七十五立方メートル、計画高水流量は毎秒二百十立方メートルとされており、御指摘のような和田川における「ダムによるピークカットは一一〇立方メートルとなっている」という事実はない。また、和田川には、現在、和田川ダム以外に洪水調節を目的とする既設ダム、建設中のダム及び計画中のダムは存在しない。

さらに、本川、支川等の各河川における洪水防御に関する計画の規模については、一般に、河川の大きさ、当該河川における洪水により被害を受けると想定される地域の社会的及び経済的重要性、当該洪水で想定される被害の状況、当該河川の既往洪水による被害の実態等を総合的に考慮して定めているものであり、和田川における洪水防御に関する計画の規模についてもこのような考え方により、和田川全体計画の基本高水のピーク流量を五十分の一の年超過確率を用いて定めているところである。

6について

御指摘の「清流ランキング」は、各河川で観測された生物化学的酸素要求量の年平均値を基に、建設省において、毎年、その順位を公表しているものである。

庄川水系には、現在十七のダムが設置されているが、富山工事事務所が水質を観測している三地点(河口からそれぞれ〇・五キロメートル、六・八キロメートル及び二十四・二キロメートルに位置する新庄川橋地点、大門大橋地点及び雄神橋地点)における庄川の流水の生物化学的酸素要求量のそれぞれの七十五パーセント水質値(年間の全データをその値の小さなものから順に並べたときに、全データ数の七十五パーセントに相当する順番に当たるデータの値をいう。)は、「庄川水域等が該当する水質汚濁に係る環境基準の水域類型の指定について」(昭和四十八年九月二十八日付け富山県告示第九百三十六号)において指定された同川の水域類型に係る基準値を超えておらず、良好な水質が確保されている。

また、利賀ダムは、流水の正常な機能の維持をその目的の一とするダムであり、建設省においては、水質の予測計算等の結果を踏まえ、同ダム下流の水質の確保についても十分配慮していくこととしている。

7について

建設省所管のダム等事業に係る御指摘の「ダム事業総点検等」においては、その対象となる個々のダム等事業について、事業の必要性及び緊急性、事業をめぐる社会情勢、事業に係る費用対効果、事業の進ちょく状況等の視点から、今後の事業の進め方を総合的に判断している。

8について

利賀ダムの堆砂容量は、ダムの耐用年数を考慮して百年間分の堆砂容量を見込んだものであり、庄川水系工事実施基本計画の策定に当たり用いた統計的概念である年超過確率と論理的な関連性はないものと考えている。

9について

御指摘の「工事用道路」の建設のために要する費用である約三百三十億円から道路改修に係る費用を除いた費用のうち、河川法第五十九条及び第六十条第一項の規定に基づく国及び富山県の負担額を、平成十年度価格に換算した上で、利賀ダムの洪水調節に用いる容量と流水の正常な機能の維持と増進を図るための貯留量との比によりあん分した当該洪水調節相当分の費用が、御指摘の「現計画の事業費」である約六百八十二億円に含まれている。

衆議院の原文

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