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給与所得者の納税制度の見直しに関する質問主意書

参議院 第154回 第34号お答えすることは困難 ×1

提出者
参議院
提出日
2002年7月18日
内閣転送 2002年7月22日
答弁書受領日
2002年9月6日
提出から50日
答弁の項目数
5
質問 1,469字/答弁 1,798字

質問本文

我が国の個人所得課税においては、申告納税制度を基本としつつも、給与や利子等については、支払者が支払の際に一定の税額を徴収して納付する源泉徴収制度(個人住民税においては特別徴収制度)が設けられている。また、給与に関しては、源泉徴収義務者である給与の支払者が、その年の最後の給与を支払う際に、「年末調整」を行い、給与の総額に対する最終的な税額と、年間を通じて納付された源泉徴収税額の合計額との過不足を調整する仕組みになっていることから、給与収入二千万円以下の給与所得者は、医療費控除等の適用を受ける場合などを除き、確定申告を要しないこととなっている。こうした源泉徴収・年末調整制度は、適正で確実な課税を確保する観点からも、また、納税者の便宜に配意する観点からも、その意義を否定するものではないが、一方で、給与所得者自身が主体的に申告を行い、税を納付することがないため、納税意識を高めるとの観点からの問題点も指摘されている。

したがって、給与所得者に関しても、自らが確定申告を行い、納税者としての権利と義務とを明確に意識していくことを促していくような制度改善が求められていると考える。

こうした観点から、以下質問する。

一、給与所得に関し、現行制度を改め、源泉徴収を廃止し、確定申告による納税に一本化すること、あるいは源泉徴収制度は維持しつつも、年末調整を行わないこととし、給与所得者自らが確定申告により、税額の精算、確定を行うことについて、導入の是非、導入した場合の問題点について政府の見解を示されたい。

二、アメリカ、イギリス、ドイツなどでは、給与所得に関しては、源泉徴収制度が採用されていると承知しているが、

1 主要国においても、例えば、フランスでは源泉徴収は行われておらず、前年の納税額が一定額以上の納税者に対してのみ予納制度を設けていると聞いているが、その制度の概要及び制度の適用を受けない者に関する納税の仕組みはどのようになっているのか。また、他の主要国(例えばOECD加盟国)において、給与所得に関し、源泉徴収制度を設けていない国はあるか。あるならば、そのような国では、どのような仕組みにより、納税させることとしているのか。

2 源泉徴収を行っているアメリカでも、年末調整は行わず、納税者が確定申告により税額の精算、確定を行うこととしていると聞いているが、他の主要国(例えばOECD加盟国)で同様の制度を設けている国はあるか。

3 フランス、アメリカを含め、1及び2において挙げられた国では、前述一で政府が問題とする点について、どのような対処を行っているのか。また、こうした対処方針を踏まえて、我が国にも同様の制度を導入することの可否についての見解を示されたい。

三、我が国では、給与所得者が確定申告を行う場合の一つとして、給与所得者に対し、特定支出控除の選択適用(所得税法第五十七条の二)が認められているが、

1 特定支出控除は、給与所得控除との選択適用となっており、平成十二年の給与所得者約四千四百九十四万人に対し、特定支出控除を選択して申告した者は、わずか七人に過ぎない。特定支出控除の選択状況について、過去五年間の実績を伺うとともに、特定支出控除の選択が極めて低調な要因をどのように分析しているか、明らかにされたい。

2 特定支出控除の適用要件を大幅に見直し、給与所得者の多くが制度を利用可能とすることにより、給与所得者の多くが、自ら確定申告を行い得るよう制度を改めることについて、政府の見解を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

給与所得に対する源泉徴収制度は、適正な課税を実現し、納付の便宜を図り、納付を平準化することなどのために必要な制度であると考える。また、年末調整制度は、納税者の手続を簡便化し、納税のために必要な社会的な費用をできる限り小さくする仕組みとして評価できるものと考える。したがって、これらは今後とも基本的に存置するべきであると考える。仮に、これらの制度を廃止した場合には、納税者の申告の事務負担や税務行政に要する定員及び経費が増加することなどの問題に留意しなければならないと考える。

二の1について

フランスにおいては、賦課課税方式が採用されており、納税者の各暦年の納税額は税務当局が決定するが、原則として、納税者は通常夏季に行われる納税通知書の交付があった日から三十日以内に全額を納付しなければならないものと承知している。

しかしながら、すべての納税者は月払制度の適用を選択することを認められており、これを選択した場合、一月から、その年の納税額に達するまで、原則として、前年の納税額の十分の一に相当する額を、毎月の口座振替によって納付することができるものと承知している。また、この月払制度の適用を選択しなかった納税者で前年の納税額が一定額以上である者は、二月十五日と五月十五日までに、それぞれ前年の納税額の三分の一に相当する額を納めなければならないものと承知している。

給与所得に対する源泉徴収制度が採用されていない国としては、例えばスイスがそれに該当すると承知している。スイスの個人所得課税制度においては賦課課税方式が採用されており、税務当局からの税額の通知を受けて納付が行われるものと承知している。

二の2について

給与所得に対する源泉徴収制度を採用しつつ、年末調整制度を採用していない国としては、例えばカナダがそれに該当すると承知している。

二の3について

お尋ねの対処の方法については、それぞれの国において、社会経済情勢を始めとする様々な事情に違いがあり、源泉徴収制度や年末調整制度以外の制度についても我が国と異なる点があることから、源泉徴収制度や年末調整制度が採られていないために、一についてで述べたような問題がどの程度生じ得たかは明らかでなく、これらの制度が無いことから生ずる問題に対処するために採られたと考えられる特定の施策をお示しすることは困難である。

いずれにせよ、「あるべき税制の構築に向けた基本方針」(平成十四年六月十四日税制調査会答申。以下「基本方針」という。)において、「給与所得者が自ら確定申告を行うことは、社会共通の費用を分かち合っていく意識を高める観点から見れば重要である。電子申告をはじめとする申告手続簡便化の環境整備など、税務執行面にも配慮しつつ、これを拡充する方策について引き続き検討する必要がある。」と指摘されており、今後、給与所得に対する課税の在り方を検討する際には、この指摘も踏まえながら検討していく必要があると考える。

三について

所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第五十七条の二に規定する給与所得者の特定支出の控除の特例(以下「特定支出控除」という。)は、給与所得者が同条第二項に規定する特定支出をした場合において、その年中の当該特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えるときは、確定申告により、給与等の収入金額からその給与所得控除額及びその超える部分の金額の合計額を控除した金額を給与所得の金額とすることができる制度である。

特定支出控除を選択して申告した者の数は、平成九年分が一人、平成十年分が三人、平成十一年分が三人、平成十二年分が七人、平成十三年分が四人となっている。特定支出の範囲は、諸外国の類似の制度とおおむね同等であると考えるが、その一方で、特定支出控除を選択して申告した者が少ないのは、給与所得控除の水準が高いためであると考えられる。

基本方針においては、「今後、給与所得控除の水準を縮減すれば、特定支出控除の選択的適用が増加することになろう。また、同制度の対象となる特定の支出の範囲は主要国と比較して狭いものではないが、社会経済情勢の変化を踏まえ、その範囲についての検討も必要であろう。」と指摘されており、給与所得者の多くが確定申告を行うような制度については、今後、この指摘を踏まえながら検討していく必要があると考える。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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