Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 参議院 第154回

大使天下り人事と北方三島疑惑に関する質問主意書

参議院 第154回 第49号お答えすることは困難 ×1

提出者
参議院
提出日
2002年7月30日
内閣転送 2002年7月31日
答弁書受領日
2002年8月27日
提出から28日
答弁の項目数
10
質問 3,665字/答弁 2,306字

質問本文

外務省をめぐる数々の汚職事件や疑惑が明らかになり、外務大臣においても「変える会」を作って改革案を検討し、七月二二日その「最終報告書」を受け取ったとされる。

しかし、数々のいわゆる「鈴木宗男疑惑」の中でも中核とされる総額四二億円の北方三島の発電所発注疑惑については、三井物産側三名の逮捕、元ロシア大使=現同社顧問の参考人取調べなど検察の追及が急進展しているにもかかわらず、外務大臣は現時点(七月一五日の本院行政監視委員会の席上)においても、今や旧聞となった三月及び四月時点の二つの報告書の「鈴木議員の関与は確認されなかった。」というくだりを全面肯定する有様である。

本件疑惑は、「捜査中であるので当局に委ねる」といった常套句による傍観的姿勢では済まされない、捜査以前からの長年の外務省の経理及び人事慣行の誤りに端を発しているのであるから、捜査を待つまでもなく自浄努力として解決すべき課題である。すなわちその一は「国際機関なる支援委員会」を乱用した支出であり、その二は、大使(公使)人事の入口=任用と、出口=再就職の両面、とりわけ後者、すなわち「特別職」だからという理由で取引先企業への再就職が全く規制されないという不合理である。

よって以下のとおり質問する。

一 鈴木宗男氏と都甲元大使の関与について

外務大臣は前記七月一五日の私の質問に対する答弁において、「これ(三月の調査)はその当時、国会でこういうことが問題ではないかと御指摘いただいたことについて、園部参与に調べてもらった。したがって、その時点でこれが問題だといって表に出ていなかったことについては対象としなかった」、また「国会の御要望があってできるだけ早くということで調査、それで十分でない部分については、四月に入り新日本監査法人にお願いして、これも任意の調査ということで限界が当然あるけれども、そこで調べたことは発表させていただいた」旨述べている。

しかるに本件は既に三月の報告書で「(ニ)ディーゼル発電設備(色丹島、択捉島、国後島)設置」という項目を立て、報告したのであるから、「国会で御指摘いただいたこと」として外務省の視野の内にあった事案である。にもかかわらず三月及び四月の報告書は、限りなく鈴木氏の関与を否定するに近い結論を述べていた。しからば、

1 当時の右二回の調査は、誰を対象にどのように行った結果「鈴木宗男氏の関与は確認できなかった」との結論に達したのか。この対象の中に佐藤優職員、都甲元大使(各本人、又は彼らに関する周辺の調査)は含まれていたのか。けだし、(1)佐藤職員は当時から既に、鈴木宗男氏の外務省関連の疑惑のほぼすべてに参画していたことが知られており、かつその後の検察の捜査では佐藤職員は鈴木宗男氏に対して「三井物産に決めました」と報告したことが明らかになった、と報道されているからであり、(2)また、都甲元大使は「支援委員会」の日本側代表として色丹と択捉の案件の決定時に在職し、かつまた国後の案件の決定時には三井物産顧問(ロシア関係担当)として受注側に在職していたからである。

2 仮に当時の二回の調査では、右両氏の関与を通じた鈴木宗男氏の関与を「確認できなかった」としても、現時点ではどう認識しているか。七月一五日の私の質問への答弁ではこの点が答弁漏れとなっていたので、重ねて伺う。

3 捜査が進行しているからそれに協力する、との説明は、外務省独自の調査を平行して行わないことの理由にはならないと考える。ことの重大性にかんがみ、捜査に先立ち又は平行して、三度独自の調査を行うべきではないか。

二 「支援委員会」の法的性格、支出の正当性と都甲氏の関与について

四月の報告書においては、「支援委員会」が形骸化していたこと、すなわち(1)当初は国際協定に基づく国際機関として設立されながら、すぐに相手国の代表が不存在となってその実体を欠いていたこと、(2)また支援委員会は各種事業について独立の決定主体ではなく、外務省ロシア支援室の事業請負機関となっていたことを述べている。(3)さらに前記七月一五日の答弁では齋藤泰雄欧州局長が「しかしながら、都甲前大使の在任期間中、支援委員会は全く開催されておりませんでしたので、都甲大使が支援委員会日本側代表として、色丹、択捉のディーゼル発電施設の案件に関与していたという事実はございません。」と言明している。また私の聞き取り調査によれば、これら案件の決定はすべて本省(東京)で行っていたため、当時ロシア駐在だった都甲大使は物理的に関与できなかったという。そこで伺うが、

1 では三井物産との契約三案件それぞれの決裁者は、実質上及び形式上、誰であったのか。

2 都甲氏及び後任の丹波駐ロシア大使は、大使として、また支援委員会代表として、三案件それぞれにどの段階で、どのように関与し、又はなぜ関与しなかったのか。

特に当時の支援委員会は都甲大使と外務省ロシア支援室長の二名のみで構成していたのであるから、「支援委員会は開催されておりませんでした」としても両名間の意思疎通は容易である。にもかかわらず大使をあえて関与させなかったというなら、特別の理由、組織ルール無視があったことになるが、どうか。

3 「支援委員会」が国際協定に根拠する国際機関の実質を持たなかったという四月報告書の指摘を是とするならば、これへの支出は「国際機関への拠出金」としてはその時点にさかのぼって法的正当性がない。

一方これを国内の「人格無き社団」への支出として位置付け直すのであれば、「補助金」としての適格性を再審査し、その結果、不適切であれば返還請求の対象となると考えるが、どうか。

4 支援委員会に渡し切りにされた予算は一一年間で六〇二億円に上るが、四月報告書も指摘するように、毎年一〇〇億円以上(平成一二年度末では一五八億円)を繰り越して、定期預金として保有している。しかも「この中には過去事業が終了した後の残余についても含まれている」というずさんさである。これは直ちに返還させるべきものと考えるが、どうか。

三 大使等の天下り規制について

私が七月一五日の質問で述べたとおり、大使(公使)に関して特別職であることを理由に営利企業への天下りを規制してこなかったことが、都甲氏のロシア大使から三井物産顧問(ロシア担当)への転職につながり、前記三案件のすべてに実質的に関与することを許したのである。そこで伺うが、

1 川口外務大臣はこれについて同日の答弁で、「広く政府として今議論をしていただいて、一定のルールが今既に存在をしているということだ。そういうルールがありますから、そのルールにのっとって行われている限りは、基本的にいいということで、官から民に行くことについてもルールにのっとって行われることが大事で、国民の疑惑を招くようなことは十分に注意深くなければいけないけれども、やはりこれもルールにのっとって、透明性を持ってということではないか」旨述べている。これは甚だ意味不明であるが、

(1) 大使(特別職)の民間企業への天下りについても人事院承認のルールがある、という意味か。とすれば人事院総裁も言うように大臣の誤認であるが、それとも外務省独自の、未公表の内規があるのか。

(2) 一般職の天下りに関する人事院による現行規制があるので、これを新たに大使等にも同様に適用すべきだ、との意見を述べたのか。とすれば前記答弁の前段は「ルールはあるが大使等には現在適用されていない」旨を補足しなければ、著しく精確さを欠くのではないか。

(3) 同様の大使等の天下りは、純民間企業へに限っても、一九九七年~二〇〇一年の五か年で三三件に上る。後述「変える会報告書」を真摯に受け止めるなら、これら過去の事例についても独自に調査すべきではないか。

2 外務大臣の答弁から七日後の七月二二日付『外務省「変える会」最終報告書』は、その「アクション・プログラム」の「Ⅲ 人事制度の再構築 1」の「(7)大使」の(チ)において「特別職である大使の再就職については、人事院規則「営利企業への就職」の基準に則るものとする。【平成一四年度中に実施】」と書かれている。これについて、

(1) 「変える会」報告書全般について、多くの報道は「外務省冷淡」等の評価をし、官僚がこれを部外者による実現性の無い意見だとし、実行する気が無い旨、論評している。これが実情だとすれば外務大臣自ら主唱した改革に内部から逆行する由々しき事態となるが、右の(チ)について外務省の実施の決意を示されたい。

(2) 実施するとすれば、どのような枠組みで行うのか。四月報告書が繰り返し述べているように第三者のチェックが皆無であったことが一連の不正を生んだことにかんがみれば、これと密接に関連する大使退職者の人事については、第三者たる人事院の審査に完全に委ねると解してよいか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

お尋ねの色丹島、択捉島及び国後島におけるディーゼル発電施設の設置事業(以下「本件事業」という。)については、本年三月四日に園部逸夫外務省参与から川口外務大臣に対して提出された「北方四島住民支援に関する調査結果報告書」(以下「三月報告」という。)に取りまとめられた調査の過程において、外務省及び支援委員会事務局の関係者から聞き取り調査を行った。また、本年四月二十六日に新日本監査法人から外務省に対して提出された「支援委員会の活動に関する調査報告書」(以下「四月報告」という。)に取りまとめられた調査の過程において、外務省及び支援委員会事務局の関係者から聞き取り調査を行ったものと承知している。

これらの聞き取り調査は、対象者の氏名等を公表しないことを前提として行われたものであり、対象者の氏名については答弁を差し控えたい。

一の2について

三月報告においては、本件事業について、「今回の調査の範囲では、鈴木議員の関与は確認されなかった。」とされており、四月報告においても、本件事業について、「鈴木議員の意向を配慮する形で案件内容、入札条件、入札評価等が変更された事実は発見されなかった。」とされているところ、これらの調査は、任意の調査という制約のある中で、可能な限り事実の解明を行ったものであり、外務省としては、これまで右認識を変えるに足りる事実等に接していないものである。

一の3について

外務省としては、三月報告及び四月報告に係る調査において、任意の調査という制約のある中で、可能な限りの解明を行ったと認識しており、今後は、事案全容の解明のため、捜査に全面的に協力していく考えである。

二の1について

本件事業に係る三井物産株式会社と支援委員会事務局との間の契約は、色丹島及び択捉島の案件については末澤昌二事務局長(当時)において、国後島の案件については高野保夫事務局長において、それぞれ締結したものである。

なお、本件事業の実施については、外務省内の決裁によって決定されたが、色丹島及び択捉島の案件については西村六善欧亜局長(当時)が、国後島の案件については東郷和彦欧亜局長(当時)が、それぞれ主管局の局長として決裁を行ったものである。

二の2について

支援委員会の設置に関する協定(平成五年外務省告示第百五十九号。以下「協定」という。)においては、支援の具体的内容については日本国政府が決定することとされていることから、本件事業については、外務本省において支援の具体的内容に関する決定を行い、その後の事務手続は支援委員会事務局において行ったものであり、都甲岳洋ロシア連邦駐箚特命全権大使(当時)及び丹波實ロシア連邦駐箚特命全権大使は、本件事業の決定等に関与しなかったものである。

二の3について

支援委員会については、委員会の会合が開催されていなかったといった点はあったものの、協定に基づいて設置された国際機関として継続的に存在していたものであり、政府としては、協定及び国内の関係法令の規定に従い、所定の手続を経た上で支援委員会に対する資金の拠出を行ってきたことから、支援委員会への「支出は「国際機関への拠出金」としてはその時点にさかのぼって法的正当性がない。」との御指摘は当たらないと考えている。

二の4について

支援委員会については、本年四月二十六日に支援委員会改革のための専門家会議から川口外務大臣に対して提出された「支援委員会改革のための提言」において、「問題の再発を防止し、より適切に支援事業を継続していくために、まず、現行の協定を終了し、それに基づく支援委員会を廃止し、可及的速やかにこれに代替する新たな枠組みを構築することが適切」であるとの提言がなされているところ、政府としては、この提言を重く受け止め、ロシア連邦等協定の締約国との協議を経た上で廃止していく方向で検討しており、御指摘の繰越金の処理についても、その過程において、検討していく考えである。

三の1の(1)及び(2)について

御指摘の平成十四年七月十五日参議院行政監視委員会における川口外務大臣の答弁は、国家公務員の私企業からの隔離について定めた国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百三条が、一般職の国家公務員に関し離職後二年間の就職先につき一定の制約を設けていることを踏まえ、一般に、国家公務員の再就職については、既存の法令の枠組の中で、国民の疑念を招くようなことがないよう、透明性を確保しつつ、行われることが重要である旨を述べたものである。

なお、特命全権大使等の特別職の国家公務員については、同条の直接的な適用はないが、これらの職員がかつて一般職の国家公務員であった場合には、一般職から離職した時点から起算して二年以内に特別職から離職して就職する際には同条の規定が適用される。

三の1の(3)について

お尋ねの「独自の調査」がどのようなものを想定しているのか明らかではないので、お答えすることは困難であるが、外務省が現在把握している限りにおいて、特命全権大使等の特別職から離職した者の就職については、いずれも法令上問題はないものと考えている。

三の2について

特別職である特命全権大使の再就職については、本年八月二十一日に外務省が発表した「外務省改革「行動計画」」において、「国家公務員法第百三条及び人事院規則「営利企業への就職」に規定された基準を準用する。」としている。ただし、特別職である特命全権大使は人事院の所管に属さないことから、これらの者の就職については人事院による承認の対象とはならない。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 2002年3月19日 長妻 昭(民主党・無所属クラブ) 答弁 2002年3月26日
衆議院 第154回 第49号趣旨が明らかではない ×1
提出 2008年5月14日 鈴木 宗男(無所属) 答弁 2008年5月23日
衆議院 第169回 第383号趣旨が明らかではない ×2
提出 2007年5月17日 鈴木 宗男(無所属) 答弁 2007年5月25日
提出 2002年3月1日 長妻 昭(民主党・無所属クラブ) 答弁 2002年3月8日
衆議院 第154回 第38号趣旨が明らかではない ×2
提出 2017年3月22日 緒方 林太郎(民進党・無所属クラブ) 答弁 2017年3月31日
衆議院 第193回 第151号趣旨が明らかではない ×1
提出 2007年3月29日 鈴木 宗男(無所属) 答弁 2007年4月6日
衆議院 第166回 第149号承知していない ×1
提出 2012年11月2日 浅野 貴博(新党大地・真民主) 答弁 2012年11月13日
衆議院 第181回 第21号

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる