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警察庁による日本人外交官殺害事件の調査結果概要報告等に関する質問主意書

参議院 第159回 第22号お答えすることは困難 ×1承知していない ×6個別の事案 ×1

提出者
参議院
提出日
2004年5月20日
内閣転送 2004年5月24日
答弁書受領日
2004年6月11日
提出から22日
答弁の項目数
51
質問 7,472字/答弁 7,362字

質問本文

昨年十一月二十九日にイラクにおいて発生した日本人外交官殺害事件をめぐっては、外務省・警視庁を中心に各種調査・捜査が継続中であるが、依然として真相が明らかにされていない。

去る四月五日の参議院イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会においては、警察庁警備局長がその時点までの警察の捜査結果の主な要点について、「被害者が乗車していた車両の検証、日本人外交官二人の司法解剖、採取された金属片、その他、入手した証拠資料に関する捜査を行った結果の概要」の説明として答弁を行った。また、答弁とほぼ同内容の書面が、「イラクにおける外務省職員殺害事件の捜査状況について」と題する文書として作成されている。

しかしながら、いずれの内容も要点のみを示したもので、しかも国会においてもこれまで十分な質疑の機会が確保されていないことから、国会や国民に対する説明責任を果たしているとは言えない状況にある。

また、これらの警察庁の報告によれば、被害車両に残る三十六か所の弾痕のうち、射入角の測定が可能だったのは十か所のみで、大多数を占めるガラス部分の弾痕は測定不可能とされ、また、犯行に使用された銃器の種類や数、銃弾の種類は特定に至っていないとされている等、依然解明されていない点が多い。

したがって、五か月以上を経ても依然として明らかにならない具体的な犯行状況や犯人像を追求するためにも、去る五月十二日に外務省より公表された「イラクにおける外務省職員殺害事件(事件の状況・経緯等)」と題する報告書(以下「外務省報告書」という。)とともに、警察庁の調査結果の詳細を広く一般国民に向けて明らかにし、有識者の専門的な見識を活用できるようにすることが重要である。

そこで、以下の各事項について質問する。

一 被害車両であるトヨタ製ランドクルーザーについて

1 年式及び型式を明らかにされたい。

2 セキュリコ社が防弾仕様を施し販売しているArmored Cruisersであったと聞くが、そのとおりか。

3 防弾レベルについて

(一) 何らかの公的証明を受けている車両か。受けている車両である場合は、具体的にはどのような防弾レベルと証明されているか。

(二) 三月三十日付け東京新聞によれば、ドイツ国家弾道学研究所により「レベル6」に該当するとされているが、この報道は正しいか。

4 被害車両は、トヨタ社の純正車両に対して、具体的にどのような防弾加工が講じられているものであるのか。

5 ボンネット部分には防弾加工が講じられているか。講じられている場合、具体的にはどのような防弾加工が講じられているか。

6 運転席、助手席、後部座席各々について、事件発生時における座席面の地表面からの高さを明らかにされたい。

二 金属片等の調査結果について

不明とされている使用された銃器の種類や数、銃弾の種類を明らかにして、犯人特定につなげるために、御遺族の感情にも配慮しつつ、回収された金属片等の調査結果について可能な限り明らかにすべきである。

1 奥大使の御遺体から摘出された各金属片の①摘出箇所、②重量、③大きさ(直径・長さ等)、④形状、⑤銃弾の一部と推定されるか否かの別、⑥銃弾の一部と推定される場合は線条痕の分析結果、⑦成分分析結果を明らかにされたい。

2 奥大使の御遺体から摘出された金属片以外の各破片の①摘出箇所、②重量、③大きさ(直径・長さ等)、④形状、⑤材質を明らかにされたい。

3 井ノ上書記官の御遺体から摘出された各金属片の①摘出箇所、②重量、③大きさ(直径・長さ等)、④形状、⑤銃弾の一部と推定されるか否かの別、⑥銃弾の一部と推定される場合は線条痕の分析結果、⑦成分分析結果を明らかにされたい。

4 井ノ上書記官の御遺体から摘出された金属片以外の各破片の①摘出箇所、②重量、③大きさ(直径・長さ等)、④形状、⑤材質を明らかにされたい。

5 被害車両内から回収された各金属片(両外交官の御遺体からの摘出分を除く。)の①回収箇所、②重量、③大きさ(直径・長さ等)、④形状、⑤銃弾の一部と推定されるか否かの別、⑥銃弾の一部と推定される場合は線条痕の分析結果、⑦成分分析結果を明らかにされたい。

6 米軍や現地警察、病院等が回収・保管している銃弾又はその一部と推定される金属片はあるか。ある場合は、その鑑定結果を明らかにされたい。

三 被害車両に残された弾痕・射入角等について

1 各弾痕(車両内部も含む。)の①発見箇所、②貫通しているか否かの別、③大きさ(直径・深さ(貫通している場合は厚さ)等)、④形状、⑤射入角が推定されている場合はその方向・角度(上下方向・前後方向の両方を含む。)と推定の根拠を明らかにされたい。

2 射入角の測定が可能であったとされる十か所の弾痕、エンジンルーム内部の弾痕、カンガルーバンパー部分の弾痕各々の具体的な位置(高さ、車両最前面及び左右側面からの距離等)を明らかにされたい。

3 エンジンの損傷状況を具体的に明らかにされたい。

4 三月三十日付け東京新聞によると、事件後に上村臨時代理大使が「入射角度からみて車の前方の高い位置から撃たれた」と発言しているが、そのように判断した根拠を明らかにされたい。

5 米側から提供されている十一枚の被害車両の写真に映っている内容と相違する弾痕は存在するか。

四 事件現場に残された薬莢について

米軍・現地警察等により、事件現場から薬莢は回収されているか。回収されている場合は、その鑑定結果を明らかにされたい。回収されていない場合は、米軍や現地警察に回収を要請したか。

五 弾痕以外の被害車両の損傷状況について

1 事件発生時に生じたと推定される外面の損傷部分はあるか。ある場合は、位置・程度等の特徴を損傷部分別に具体的にすべて列挙されたい。

2 前1項の損傷部分から、被害車両以外の車両の塗料等が検出されている場合は、その鑑定結果について、具体的に明らかにされたい。

六 事件現場の状況の把握等について

事件現場の具体的な道路状況(車線数、中央分離帯の有無、走行可能な道路面の幅、道路面内の高低差、道路面と隣接地の高低差等)、銃撃時の具体的な走行状況(速度、車間距離、走行車線等)をどのように把握・推定しているか。また、射入角等を推定する際に、その内容をどのように反映させているか。

七 被害者の負傷状況、死因等について

不明とされている使用された銃器の種類や数、銃弾の種類を明らかにして、犯人特定につなげるために、御遺族の感情にも配慮しつつ、両外交官及びイラク人運転手の負傷状況や死因等について可能な限り明らかにすべきである。

1 現地病院発行の死亡診断書の記載や救命措置の担当医師の証言に基づく、奥大使、井ノ上書記官各々の具体的な負傷状況や死因、死亡(推定)時刻を明らかにされたい。

2 司法解剖結果に基づく、奥大使の主要な銃創の①発見箇所、②貫通しているか否かの別、③大きさ(長さ・深さ(貫通している場合は厚さ)等)、④射入方向が推定されている場合はそのおおむねの方向と推定の根拠、⑤金属片等の摘出の状況を明らかにされたい。

3 司法解剖結果に基づく、井ノ上書記官の主要な銃創の①発見箇所、②貫通しているか否かの別、③大きさ(長さ・深さ(貫通している場合は厚さ)等)、④射入方向が推定されている場合はそのおおむねの方向と推定の根拠、⑤金属片等の摘出の状況を明らかにされたい。

4 1項から3項の内容の検証に基づく、奥大使、井ノ上書記官各々の銃撃後の推定生存時間はどの程度か。

5 ジョルジース運転手の具体的な負傷状況や死因、死亡推定時刻を明らかにされたい。

八 遺留品について

1 「外務省報告書」には、回収された遺留品の一部として「外交旅券や運転免許証等の各種身分証明書類」と記載されているが、「各種身分証明書類」の内訳を奥大使、井ノ上書記官のいずれの所持品かの別も併せて明らかにされたい。

2 ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電子端末、フロッピー等の記憶媒体、前1項の「各種身分証明書類」、車載無線マイク、携帯電話、防弾チョッキはそれぞれ、現地大使館、外務省本省各々がいつ受け取り、警視庁にはいつ提出されたか。奥大使、井ノ上書記官のいずれの所持品かの別も併せて明らかにされたい。

3 ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電子端末、車載無線マイク、携帯電話は各々、いつ、だれがどこから最初に回収したか、また、だれの血液が付着していたか。

4 ノートパソコン、携帯電子端末、フロッピー等の記憶媒体からは何人分の指紋が各々採取されたか。だれの指紋か特定されている場合はだれのものかも併せて明らかにされたい。

5 1項の「各種身分証明書類」各々から何人分の指紋が採取されたか。だれの指紋か特定されている場合はだれのものかも併せて明らかにされたい。

6 デジタルカメラで撮影されていた写真について

(一) 事件発生当日分には人物は映っていたか。映っていた場合は各写真別に、被害者の内のだれか、あるいは第三者か、また、何時にどこで撮影されたものであるかを具体的に明らかにされたい。

(二) 「外務省報告書」に「午前十一時過ぎの時点でのバグダッド郊外の風景の写真」と記載されているが、午前十一時何分に撮影されたものか、また、撮影場所の所在地(住所、バグダッドの日本大使館からのおおむねの運行距離・位置関係等)を具体的に明らかにされたい。

(三) 事件発生当日に、井ノ上書記官保有のデジタルカメラで撮影された写真の撮影時刻、撮影場所の所在地(住所、バグダッドの日本大使館からのおおむねの運行距離・位置関係等)を具体的にすべて列挙されたい。

(四) 奥大使、井ノ上書記官が所持していたデジタルカメラ各々の機種名を、具体的に明らかにされたい。

九 銃撃の状況や犯人像について

1 現在までに検証されている証拠資料や目撃証言等から、現在のところ、どのように銃撃を受けた可能性が高いと把握・推定しているか、犯行の目的、使用車両の台数・種類、走行速度・車線、車間距離、銃撃時間・距離、銃撃姿勢・窓内外の位置・高さ、使用銃器の数・種類、他の車両の通行状況等について具体的に明らかにされたい。また、そのように把握・推定する根拠について具体的に明らかにされたい。

2 「外務省報告書」によると、七・六二ミリ軽機関銃RPKが使用されたとの目撃情報が得られているとされているが、仮にRPKが使用された場合、銃撃姿勢、窓内外の位置、高さ等、どのように使用された可能性が高いと考えられるか、具体的に明らかにされたい。

3 「外務省報告書」でも、目撃証言の評価に関して「目撃したと称する者が現地で置かれている状況等を踏まえ、慎重に評価する必要がある」「現地がフセイン元大統領の出生地に近く、前政権の支持基盤であったということも勘案して評価しなければならない」等との問題意識が示されているとおり、戦闘状態にある現地情勢や部族社会における情報伝達の特性等を考えると、目撃証言による心証を排除して、把握・検証されている物証から銃撃の状況や犯人像を検証することが重要である。

現在までに検証されている物証から判断して、現在のところ、どのように銃撃を受けた可能性が高いと把握・推定するか、犯行の目的、使用車両の台数・種類、走行速度・車線、車間距離、銃撃時間・距離、銃撃姿勢・窓内外の位置・高さ、使用銃器の数・種類、他の車両の通行状況等について具体的に明らかにされたい。また、そのように把握・推定する根拠について具体的に明らかにされたい。

4 犯行集団を絞り込む上で、計画性や運転手・銃撃者の習熟度等を明らかにすることが重要であり、実際の車両等を用いて忠実に1項から3項と同一の条件を再現し、実行の難易度を測定することが重要である。捜査当局である警視庁は当然何らかのそうした実地の検証を行っていると推察する。その検証結果と推定される犯行集団の特徴(計画性や運転手・銃撃者の習熟度等)について、各項別に具体的に明らかにされたい。仮にそうした検証を行っていない場合は、今後速やかに行うべきではないか。

5 事件発生後間もない十二月十三日にティクリート周辺においてフセイン元大統領が拘束された。元大統領拘束に向け、周辺では米軍等による厳戒態勢が敷かれていたと推察される。元大統領と関わりのある人物・集団が逃亡を手助けするために、警戒の目を反らすことを企図して、アメリカとの結び付きが強い同盟国日本の外交官を対象にテロを実行した可能性も考えられる。

(一) 当時、ティクリート周辺では米軍等がどのような警戒体制、作戦行動を行っていたか、具体的に明らかにされたい。

(二) 現地米軍を通じて、テロに関する何らかの情報は入っていたか、具体的に明らかにされたい。

(三) 事件後、犯行声明や更なる犯行の予告等はなされているか、具体的に明らかにされたい。

6 「外務省報告書」の冒頭で、「イラクで引き続き勤務する外務省員の今後の安全にも関わる」と、真相究明の重要性について強調されているが、犯人像について「当初から殺害を目的とした者による犯行で、テロである可能性が高い」と結論付けられているものの、今後大使館員の安全を確保する上で最も解明が求められるテロ実行の目的や計画性について言及されていない。

(一) テロ実行の目的は何であったと分析しているか、その根拠も含めて具体的に明らかにされたい。

(二) テロ実行の計画性について

(1) 日本人外交官であることを前提に狙い撃ちしたものか、それとも身分は問わずに無差別に犯行に及んだものか、その根拠も含めて具体的に明らかにされたい。

(2) 両外交官の当日の行動について把握・推定していたか、また待ち伏せをしたものか、尾行を経たものか等、事件の計画性についてどのように分析しているか、その根拠も含めて具体的に明らかにされたい。

十 事件に使用された車両や銃器について

犯人を特定する上で、使用された車両や銃器のイラク国内における稀少性が重要な判断材料になる。

1 使用された車両について

(一) 「外務省報告書」によると、SUVが使用されたとの目撃情報があるとされているが、SUVとはどのような車両を指すか、具体的な特徴を明らかにされたい。

(二) イラク国内におけるSUVの普及状況を具体的に明らかにされたい。

2 使用された銃器について

(一) 「外務省報告書」によると、「現地イラク警察、現地米軍、及び被害者が搬送された病院の医師ら」が使用された武器はAK-47であるとの認識を述べている。イラク国内におけるAK-47の普及状況を具体的に明らかにされたい。

(二) 「外務省報告書」によると、RPKが使用されたとの現場付近の地元住民の目撃証言が得られている。

(1) イラク国内におけるRPKの普及状況を具体的に明らかにされたい。

(2) イラク国内の一般的な民間人が離れた場所から瞬時にRPKであることを識別できる程度に、RPKは広く普及していると考えられるか。

(3) 「外務省報告書」によれば、「米軍による誤射との噂もあったが、イラク民間防衛隊より、米軍はRPKを携行しない、したがって襲撃はしていないことを説明したことで、噂は否定されている。」と米軍より報告がなされている。使用された銃器がRPKであることに目撃者が強い確信を持っているがゆえに噂が否定されたと関係当局は分析しているか。

十一 事件翌日の銃撃事件について

事件発生翌日の十一月三十日にティクリート近郊で韓国人四人が乗った車両が銃撃を受けた事件に関して、現地警察、米軍、韓国政府等が作成した報告書等の資料を入手しているか、入手状況を具体的に明らかにされたい。また、両事件の関連性について、具体的にどのように判断しているか。

十二 米軍等による誤射の可能性について

1 米軍による誤射の可能性については検討しているか。検討している場合、現時点におけるその可能性の有無と具体的な根拠を明らかにされたい。

2 米軍等が業務委託している民間警備会社による誤射の可能性については検討しているか。検討している場合、現時点におけるその可能性の有無と具体的な根拠を明らかにされたい。

十三 現地地区長等の犯行関与の可能性について

米軍に第一報を伝えた現地地区長や同地区長に事件発生を連絡した者、パスポートを最初に回収した者及びその関係者が犯行に関与した可能性の有無について、何らかの具体的な情報を得ているか。得ている場合は、どのような内容かを明らかにされたい。

十四 被害車両及び写真の公開について

有識者等の専門的な見識を生かし真相究明を図るためにも、被害車両や写真を最低でも国会議員や有識者向けに公開すべきと考える。

1 被害車両の公開について、具体的にどのように検討しているか。

2 米側から提供を受けている十一枚の被害車両の写真の公開について、具体的にどのように検討しているか。

3 御遺族の感情への配慮として車両に付着した血液が写らない形で弾痕の拡大写真を撮影した上で、その写真を公表すべきと考えるが、どのように考えるか。

十五 米国政府の事件報告書について

渡辺周衆議院議員が本年一月に訪米した際に、リチャード・ローレス国防副次官補が日本政府に既に送ったと発言したとされる事件報告書を日本政府は既に受領しているか。また、受領している場合はその具体的な記載内容を明らかにされたい。受領していない場合は、速やかに入手し公表すべきではないか。

十六 現地の捜査担当機関について

現地ではこれまで、どこの機関が捜査を担当し、また、現在担当しているか。捜査担当機関ごとに担当期間も含め具体的に明らかにされたい。

十七 報道発表について

国民への説明責任を果たす上で、四月五日の警察庁による報告や「外務省報告書」についてマスコミからも十分な理解を得る必要があると考える。具体的にはいつどのように発表されたか、また記者会見等においては政府側からはだれが出席したか、各々の公表について具体的に明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

被害車両のレバノンにおける車両登録書によれば、当該車両の年式は千九百九十九年式、型式はトヨタ自動車株式会社ランドクルーザーである。

一の2について

被害車両の防弾仕様はトヨタ自動車株式会社により施されたものであり、お尋ねのセキュリコ社によるものではない。

一の3の(一)について

被害車両の具体的な防弾レベルの詳細については、館員の安全対策の具体的内容にかかわることでもあり、お答えを差し控えたいが、防弾レベルはけん銃弾に抗し得る程度であり、通常の防弾車と比べれば低いレベルのものであった。

一の3の(二)について

お尋ねの報道があったことは承知しているが、被害車両の防弾レベルは報じられている「レベル六」とは異なっていると認識している。

一の4及び5について

防弾加工の具体的内容については、館員の安全対策にかかわることでもあり、お答えを差し控えたい。

一の6について

お尋ねの事項を含め、トヨタ自動車株式会社から提供を受けた被害車両の寸法図は別紙のとおりである。

二の1について

奥大使の遺体からは、頭部から大腿部にかけて、左半身を中心に十八点の金属片が摘出された。金属組成については、銅、亜鉛、鉛及びアンチモンが検出された。

うち十点は、銃弾の一部と推定され、重量は合計で十・二九グラムであった。他の八点は、銃弾の一部であるかどうか不明であった。銃弾の一部と推定された十点のうち三点は、右回り四条の腔旋を有する口径七・六二ミリメートル程度の銃から発射されたものと推定された。

なお、お尋ねのその他の事項については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

二の2について

奥大使の遺体からは、金属片以外に、ガラス片が摘出された。

なお、お尋ねのその他の事項については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

二の3について

井ノ上書記官の遺体の左肩甲部及び左上腕部から、二点の金属片が摘出された。金属組成については、銅、亜鉛、鉛及びアンチモンが検出された。

二点とも銃弾の一部と推定され、重量は合計で一・○八グラムであった。うち一点は、右回り四条の腔旋を有する口径七・六二ミリメートル程度の銃から発射されたものと推定された。

なお、お尋ねのその他の事項については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

二の4について

井ノ上書記官の遺体から、金属片以外の破片は摘出されていない。

二の5について

被害車両の天井、ドア等からは、百十二点の金属片が発見された。

うち三十七点は、銃弾の一部と推定され、重量は合計で二十三・七三グラムであった。金属組成については、銅、亜鉛、鉛及びアンチモンが検出された。他の七十五点のうち、十五点は明らかに銃弾の破片ではなく、六十点は銃弾の一部であるか否か不明であった。

銃弾の一部と推定された三十七点のうち六点は、右回り四条の腔旋を有する口径七・六二ミリメートル程度の銃から発射されたものと推定された。

なお、お尋ねのその他の事項については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

二の6について

現地アメリカ合衆国軍隊(以下「現地合衆国軍隊」という。)、イラク警察当局等に対しては、御指摘のような証拠物件がある場合にはそれを提供するよう要請してきているが、これまでに、そのような提供は受けていない。

三の1から3までについて

検証の結果、被害車両の前部に四か所、左側前部ドア部に十四か所及び左側後部ドア部に十八か所の弾痕が確認された。

うち左側前部ドア部の九か所及び左側後部ドア部の十三か所については、銃弾が貫通して車内に到達したとみられ、貫通した銃弾による弾痕が、車内の右側面に七か所確認された。うち一発は、車外に射出されたものとみられる。

車両後部及び屋根上部には、弾痕はなかった。

被害車両の前部、左側前部ドア部及び左側後部ドア部に確認された三十六か所の弾痕のうち、射入角を測定することが可能であるものは十か所であった。

上下の方向の射入角に関しては、高さ七十七・八センチメートルと最も低い位置にある左側前部ドア部の弾痕については、上方から下方に向けて四・八度の角度で銃弾が射入したと考えられる。また、高さ百・九センチメートルと二番目に低い位置にある弾痕については、下方から上方に向けて○・一度の角度で銃弾が射入したと考えられる。この二か所よりも高い位置にある八か所の弾痕については、すべて下方から上方に向けて銃弾が射入したと考えられる。高さ百十六・○センチメートルのボンネット部の弾痕についても、下方から上方に向けて一・四度の角度で銃弾が射入したと考えられる。こうしたことから、被害車両は、おおむね一メートルの高さから銃撃されたと推定される。

前後の方向の射入角に関しては、ボンネット部の弾痕一か所については、左前方二十八度の角度から銃弾が射入したと考えられる。このほか九か所の弾痕については、ほぼ真横ないしは左斜め前方から銃弾が射入したと考えられる。

被害車両のエンジンルーム内部及びカンガルーバンパー部には弾痕は確認されなかった。

なお、お尋ねのその他の事項については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

三の4について

上村在イラク日本国臨時代理大使が、お尋ねのような発言をしたとは承知していない。

三の5について

アメリカ合衆国から提供された十一枚の写真の内容と警視庁の検証により明らかとなった弾痕の状況との間に矛盾する点はなかった。

四について

現地合衆国軍隊、イラク警察当局等に対しては、御指摘のような証拠物件がある場合にはそれを提供するよう要請してきているが、これまでに、そのような提供は受けていない。

五について

被害車両の外面には、弾痕以外に事件発生時に生じたと推定される損傷は認められなかった。

六について

写真等によると、事件現場の道路は、中央分離帯を有する片側二車線の舗装道路である。道路の片側の幅員は約七メートルで、道路面と隣接地との高低差は少ないと推測される。

銃撃時の具体的状況は必ずしも明らかでないが、弾痕の状況等から判断すると、走行中の被害車両の左側を併走する被疑車両から銃撃が行われた可能性が高い。

七の1について

現地の病院から両外交官の死亡診断書は発行されていない。ティクリート総合病院の医師によれば、両外交官が病院に搬送された正確な時刻についての記録はなく、正確に記憶していないとしているが、「勤務時間(午後一時まで)が終わってから夕方までの時間」に両外交官が病院に搬送されてきたとしている。搬送された時点で、既に井ノ上書記官は死亡していたが、奥大使は、頭部等に銃創等があったものの存命しており、すぐに緊急処置室へ収容されたが、間もなく死亡したとのことである。

七の2について

奥大使の遺体には、致命傷となった左側頭部から頭蓋内に入り脳実質内に達した二つの銃創を始め、頭部から大腿部にかけて左半身を中心に広範囲にわたる銃創群等が認められた。銃弾はいずれも貫通していない。遺体からは、頭部から大腿部にかけて、左半身を中心に十八点の金属片が摘出された。

なお、お尋ねのその他の事項については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

七の3について

井ノ上書記官の遺体には、左半身を中心に、約十か所の主要な銃創が認められた。銃弾はいずれも貫通していない。遺体の左肩甲部及び左上腕部から、二点の金属片が摘出された。

なお、お尋ねのその他の事項については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

七の4について

事件発生から相当な時間が経過した後に我が国で司法解剖が行われたこと等から、両外交官の受傷後の生存期間を推定することは困難であった。

七の5について

ジョルジース運転手の家族の要請によりティクリート総合病院の医師が発行した死亡証明書によれば、死因は銃創によるものとされている。また、ディジュラ警察署によればディジュラ警察署の警察官が現場に到着した際には既に絶命していたとしているが、現場に到着した正確な時刻は特定できておらず、死亡推定時刻も特定できていない。

八の1について

「各種身分証明書類」とは、両外交官それぞれの、外交旅券、運転免許証、外交団身分証明証及び連合暫定施政当局(CPA)入構許可証である。

八の2について

遺留品は、現地合衆国軍隊が、事件直後から二千三年十二月中旬にかけて逐次現地地区長から回収し、連合暫定施政当局(CPA)を経由して在イラク日本国大使館(以下「大使館」という。)に逐次返却したことから、遺留品のそれぞれについて大使館の受取の日時を特定することは困難である。外務省本省へは、同月十五日及び本年一月十三日に、外務省職員が携行して持ち帰った。これらの遺留品については、外務省からすべて警察当局に提示し、警察当局が捜査上必要と判断したものについて、御遺族の同意を得た上で、二千三年十二月二十七日及び本年一月二十二日に、外務省からすべて警察当局に任意提出した。また、お尋ねの遺留品が奥大使と井ノ上書記官のいずれの所持品であるかについては、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電子端末、フロッピーディスク等の記憶媒体及び携帯電話については奥大使の所持品であり、「各種身分証明書類」は奥大使、井ノ上書記官両名のものである。なお、車載無線マイクは無線機本体と共に被害車両に搭載されていたものであり、防弾チョッキについては携行していなかったと承知している。

八の3について

遺留品は現地合衆国軍隊が、事件直後から二千三年十二月中旬にかけて逐次現地地区長から回収した。ただし、車載無線マイクについては無線機本体と共に、被害車両に搭載されており、被害車両と共に回収した。血液の付着に関しては、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

八の4及び5について

お尋ねの事項については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

八の6の(一)について

事件発生当日に奥大使が所持していたデジタルカメラに撮影されていた写真には被害者は写っていない。それ以上の詳細については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

八の6の(二)について

お尋ねの「バグダッド郊外の風景の写真」は、二千三年十一月二十九日午前十一時十一分及び二十二分に撮影されたものである。撮影場所は、それぞれ、バグダッド西部のマンスール地区で、大使館から直線距離で約七キロメートルないし八キロメートルの所及びバグダッド北西部で、大使館から直線距離で約十数キロメートルの所であると思われる。

八の6の(三)について

現場から回収した遺留品の中に、井ノ上書記官のデジタルカメラは含まれていない。井ノ上書記官はバグダッド勤務中、デジタルカメラを保有していたと思われるが、その現在の所在は特定できていない。

八の6の(四)について

奥大使の有していたデジタルカメラは、ソニー株式会社製サイバーショットである。井ノ上書記官はバグダッド勤務中デジタルカメラを保有していたと思われるが、その機種は特定できていない。

九の1から3までについて

弾痕の状況等から判断すると、走行中の被害車両の左側を併走する車両から銃撃が行われ、銃口の高さは一メートル程度であったと考えられる。多数の銃弾が被害車両の乗員に向けて集中的に発射されている一方で、乗員のいない後部の物品積載用の場所の窓ガラスや甲板部分には弾痕が認められないことから、本件犯行は、被害車両の乗員を殺害する目的で行われたと考えられる。

使用車両の台数・種類や銃撃の姿勢は、特定できていない。

使用銃器は、銃弾の一部と推定される金属片の鑑定結果から、右回り四条の腔旋を有する口径七・六二ミリメートルの銃であったと考えられるが、その数や種類は特定できていない。

なお、お尋ねのその他の事項については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

九の4について

お尋ねのような実行の難易度を測定するための模擬的な犯行の再現は行っていないが、今後その実施の必要性が認められた場合には、その時点で行うことになると考える。

九の5の(一)について

事件当時に実施されていた現地合衆国軍隊の具体的な作戦行動については、承知していない。

九の5の(二)について

今般の事件を予想させる具体的なテロ情報は入手していなかった。

九の5の(三)について

事件の発生後、犯行声明や更なる犯行の予告がなされたとは承知していない。

九の6の(一)について

犯行がテロによるものであるとした場合のその目的をどのように分析しているかについては、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

九の6の(二)について

イラクにおける治安情勢の収集・分析活動の中で、大使館に対する脅威に関する情報は随時入手に努めてきており、事件当時も関係方面との間でこうした情報を共有してきていたが、今般の事件を予想させる我が国を対象とした個別具体的なテロ情報は得ていなかった。犯行の計画性をどのように分析しているかについては、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

十の1の(一)について

SUVはスポーツ・ユーティリティー・ビークル(Sport Utility Vehicle)の頭文字で、スポーツタイプの多目的車を指す。SUVの特徴としては、強固な車体に高度な四輪駆動システム、高い車高及び大径タイヤを組み合わせることで、悪路についても高い走行性を有することなどが挙げられる。

十の1の(二)について

SUVがイラク国内においてどの程度存在し、実際に使用されているかについて確たる情報を有しておらず、その具体的な普及状況は承知していない。

十の2の(一)について

一般的に、イラク国内においてAK―47という型の機関銃は広く普及しているようであるが、それがどの程度存在し、実際に使用されているかについては確たる情報を有していない。

十の2の(二)の(1)及び(2)について

RPKという型の軽機関銃がイラク国内にどの程度存在し、実際に使用されているかについて、確たる情報を有しておらず、その具体的な普及状況は承知していない。

なお、イラクにおいても、RPKと同様の型の軽機関銃が国産され、イラク軍において使用されていたと承知している。

十の2の(二)の(3)について

現地合衆国軍隊が、お尋ねの報告を行うに際して、具体的にどのような分析を行ったかについては、承知していない。

十一について

お尋ねの事件に関して、種々関連情報を入手してきているが、その具体的な入手状況については、相手方との信頼関係を損なうおそれがあり、また、両事件の関連性については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

十二について

お尋ねの事項については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

なお、御指摘の現地合衆国軍隊による誤射の可能性については、現地合衆国軍隊の誤射であるという説がどのような根拠に基づくものであるか、これまで全く明らかでなく、政府としてもそのような説に与するものではない。また、アメリカ合衆国政府もこれを完全に否定してきている。

十三について

お尋ねの事項については、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

十四の1について

被害車両の公開については、今後被害車両に関しての必要な捜査が終了した後で、御遺族等の関係者の意向にも十分配慮しつつ、公開の態様について検討していく考えである。

十四の2について

アメリカ合衆国から提供を受けた十一枚の被害車両の写真については、そのうち三枚は二千三年十二月四日に公開済みである。残りの写真の取扱いについては、被害車両に関しての必要な捜査が終了した後で、被害車両の公開の態様と併せ検討していく考えである。

十四の3について

御指摘の弾痕の拡大写真の撮影や公表については、被害車両の公開の態様に関する検討とも関連することであり、被害車両に関しての必要な捜査が終了した後で、対応を検討していく考えである。

十五について

事件発生直後から、アメリカ合衆国とは緊密に連絡を取り合っており、様々な手段で随時、情報の提供を受けてきている。提供を受けた情報の内容を明らかにすることは、相手方との信頼関係を損なうおそれがあり、また、捜査中の事件にかかわることであるため、お答えを差し控えたい。

十六について

今般の事件については、ディジュラ警察署が捜査を担当しており、また、現地合衆国軍隊においては、主に現地合衆国軍隊第四歩兵師団の現地治安担当部隊や憲兵隊が捜査を担当してきたが、本年三月中旬以降、現地合衆国軍隊第一歩兵師団に引き継がれている。

十七について

外務省報告は、本年五月十二日午後に発表した。具体的には、外務省の記者クラブにおいて配布するとともに、外務省のホームページに掲載した。また、外務省の記者クラブでの資料配布後、外務省中東アフリカ局中東第二課長が記者との質疑応答を行った。

車両検証結果、弾丸の射入状況、金属片の鑑定結果、司法解剖結果等に関する警察庁の報告については、同年四月五日午後参議院イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会において、政府参考人として出席した警察庁警備局長が答弁をするとともに、その後は、各方面からの問い合わせに対し、警察庁警備局長の答弁を書面にしたものを配布した。また、同日午後、本件捜査を担当する警視庁公安部外事第三課長が警視庁の記者クラブにおいて、車両検証結果、弾丸の射入状況、金属片の鑑定結果等について発表した。

別紙

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1承知していない ×6個別の事案 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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