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我が国の基礎的な情報管理システムに関する質問主意書

参議院 第164回 第83号お答えすることは困難 ×2承知していない ×1

提出者
参議院
提出日
2006年6月15日
内閣転送 2006年6月16日
答弁書受領日
2006年6月22日
提出から7日
答弁の項目数
14
質問 3,504字/答弁 2,444字

質問本文

今国会において出入国管理及び難民認定法が改正され、日本に入国する外国人についての膨大な指紋その他の生体情報を政府が入手できるようになった。言うまでもなく、コンピューター技術の進展は、政府による多種多様な情報の入手を可能とし、国家の有する膨大な電子情報が、我が国の外交・経済・安全保障はもとより、国民生活の隅々にまで重大な影響をもたらす新たな事態が出現している。にもかかわらず、これら情報管理のシステム設計や機器導入、そして管理運営の各側面で、一貫した国家戦略を欠き、安易に外資系企業のノウハウに依存しようとする姿勢が顕著なのは極めて遺憾である。

たとえば、今国会における入管法改正によって新たな生体情報認証システムの認証装置及び自動化ゲートシステムが導入されることとなったが、法案の審議過程で明らかになったようにこれらのソフトウェアを開発し、その実証実験等の業務を担っているのは、バミューダに本社を置く外国企業・アクセンチュア社である。同社は、アメリカ合衆国(以下合衆国とする)に入国する外国人の指紋情報を入手するUS-VISITなるシステムの管理運営を委託されているが、すでに合衆国議会でも、膨大なセンシティブ情報の管理を同社のみに委ねてしまうことの問題点が議論されたと聞いている。

入管行政の基本的な情報システム及びそれによって得られる膨大な外国人の生体情報は、一国の安全保障の面から言っても極めて重要であることは言うまでもない。それにもかかわらず、ソフトウェアの開発から指紋の認証装置まで、いわば情報管理システムの川上から川下までのすべてを、外国系の一企業に委ねてしまって良いのだろうか。

さらに、我が国と合衆国の指紋情報を管理するのがともにアクセンチュア社ということになれば、両国の持つ外国人の指紋情報を統合的に管理することについてのシステム上の障害はまったくなくなる。その結果として、たとえば合衆国に入国した日本人の指紋情報が、同国政府を介して日本国政府にもたらされることについてのシステム上の障害は存在しないこととなる。このように、我が国の持つ入管情報がアクセンチュア社のシステムによって相互に流用される懸念はないのだろうか。

さらに、アクセンチュア社は、入管法関連の外国人の生体情報にとどまらず、法務省関連だけでも、不動産登記関連の情報や検察情報などの、我が国の存立と自主性を維持する上で極めて重要な基礎的情報の管理システムにも参入しようとしていると聞いている。

このように国家の存立にかかわる基礎的な情報システムの管理を安易に外国系企業に委ねてしまうことは、主権国家の自主独立を確保していくうえで基本的に問題である。

もとより偏狭なナショナリズムを主張し、いたずらな外資への障壁を設けよ、などと言うつもりはない。公正なルールによる国際競争の必要性を認めることもやぶさかではない。しかし、国家の自主独立にかかわる基礎的な情報の管理を、軽々に外資系企業に委ねてしまうことは厳しく慎むべきである。早急に情報管理についての基本原則と国家戦略を確立すべきではないだろうか。以上の懸念に基づき、以下質問する。

一 アクセンチュア社に関係するすべての政府契約について

日本国政府がアクセンチュア社との間で締結したすべての契約について、以下の事項を明らかにされたい。

1 契約年月日

2 契約当事者となった行政部局

3 契約内容

4 とりわけ、契約条項中その取り扱う個人情報について課されている守秘義務の内容

二 アクセンチュア社が関係する将来の政府契約について

政府部内の今後の事業であって、現在アクセンチュア社が応札中のものを含め、アクセンチュア社が受注する可能性があるものがあれば、その事業名及び具体的な事業内容を示されたい。

三 法務省新入管システムとアクセンチュア社について

1 法務省は「認証装置及び自動化ゲート」のソフトウェア開発と実験の業務を、わずか十万円(運営業務費用九万円・成果物作成費用一万円)でアクセンチュア社に落札(平成一七年九月一二日)させたと聞いているが、このような低額入札の目的と政府がこれを認めた理由を説明されたい。

2 現在、成田空港では、指紋認証装置及び自動化ゲートの実証実験が行われているが、今国会で参議院法務委員会として現地を視察した際、機器の納入業者が沖電気株式会社であることを現認した。沖電気株式会社以外に機器の納入業者があるか。さらに、実験後に正式にスタートする指紋認証・自動化ゲートに関連する各機器の納入業者名並びに機器納入に関する契約内容及び契約金額、契約前ならおおよその見積り額を明らかにされたい。

3 2に関連して、各機器の納入業者は、アクセンチュア社の持つ独自のノウハウや特許に対し、パテント使用料やコンサルタント料等を支払う契約を行っていると推測するのが自然である。さらに1の低額入札との関連もある。そこで、法務省は発注官庁として、アクセンチュア社と機器納入業者の費用負担関係を詳細に把握しておくべき必要があると考えるが、これらを調査した事実はあるか。さらに、法務省として把握している機器納入業者のアクセンチュア社に対する費用の負担関係を明らかにされたい。

4 アクセンチュア社は合衆国政府からUS-VISIT制度に伴うシステム開発・運用などの業務の委託を受けていると聞くが、その契約の年月日と契約内容、契約金額について日本国政府として認識しているところを説明されたい。

5 我が国の入管当局が採用しようとしているシステムはその基本OS、ソフトウェア、データ形式などにおいて、US-VISITと同様のものとされていると聞くが、そのとおりか。また、我が国の入管当局の採用しようとしているシステムとUS-VISITとは技術的にデータ共有が可能なシステムとなっていると理解してよろしいか。

6 我が国が生体認証情報システムを通じて得た情報は、合衆国政府に提供可能であるが、他方、同国政府がUS-VISITシステムで得た情報は我が国に提供されるのか、明らかにされたい。

7 法務省ホームページに掲載されている「業務環境分析図」(出入国管理業務)の「出入国管理業務の主要課題分析図」の「システムの見直し」の項目中に「国内外の関係機関との相互運用性の確保」という記載がある。アクセンチュア社への発注はUS-VISITとのシステムの相互運用を念頭に置いているのではないか。

8 合衆国議会では、US-VISITシステムの導入の際に、この事業を落札したアクセンチュア社がバミューダに本社を置く節税企業であることから、強い反対意見も出され、二〇〇四年六月九日には、連邦議会下院歳出委員会で、外国企業と国土安全保障に関する契約を禁止するための措置が可決されたと聞いている。政府として把握している事実を明らかにされたい。また、国の安全保障の根幹となるシステム開発を外国企業に委ねることについて、政府はどのように考えているのか、明らかにされたい。

四 政府間関係について

1 合衆国政府との間で、我が国の入管情報システムとUS-VISITとのデータ共有、システムの相互運用のための取り決めが存在しているのか。存在しているとすれば、その内容を開示されたい。

2 1で指摘した取り決めがまだ存在しないとすれば、現在我が国の如何なる機関と合衆国政府の如何なる機関の間で、この問題についての協議がなされているのか、その進捗状況について説明されたい。

3 合衆国政府と日本国政府との間で、入管システムを統合し、データを共有する場合、そのための法律制度として国内においてどのような法整備が必要であるないし必要でないと考えているのか。

五 法務省作成文書とアクセンチュア社の関与について

法務省のホームページ上に掲載されている別表の文書について、アクセンチュア社がその作成に関与したものはどれか。また、原案の作成にのみ関わったものと作成の責任者として名前が表示されているもの(例「刷新可能性調査結果報告」)とがあるが、関与の方法にどのような違いがあるのか。

六 IC旅券の仕様について

1 IC旅券について、顔写真だけでなく指紋や指静脈をデータとして盛り込むことは仕様上可能か。

2 日本国政府の発行するIC旅券について、指紋データを盛り込むことにより、合衆国の入管ゲートにおいて指紋採取を省略することは可能か。また、これを可能にするための協議がなされているのではないか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

お尋ねについては、膨大な作業が必要であるため、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、宮内庁、公正取引委員会、法務省、国税庁において、アクセンチュア株式会社と委託契約を締結している。

なお、一般に、守秘義務については、契約上知り得た秘密を他に漏らし、又は他の目的に使用してはならない旨が契約で定められている。

二について

お尋ねについては、公正な競争を損なうおそれがあるため、お答えすることは差し控えたい。

三の1について

法務省においては、アクセンチュア株式会社から、生体情報認証技術を利用したシステムに関する知識及び経験を有し、同社の経営戦略の一環として応札したものである旨の説明を受け、契約の内容に適合した履行が可能であると判断したものである。

三の2について

現在、成田空港において行っている出入国審査プロトタイプシステムの実証実験及び試行運用で使用されている機器の納入業者は、沖電気株式会社のほか、日本電気株式会社である。また、当該実証実験及び試行運用の後に導入する予定である生体情報認証技術を利用した出入国審査システム(以下「生体情報システム」という。)に関連する機器の納入業者は未定である。

法務省としては、生体情報システムに要する経費については、詳細なシステム構成が定まっていないため、確定的なことは申し上げられないが、一定の条件の下でシステム構成を仮定して試算したところ、年間に約四十五億円から約七十億円の経費が必要となると考えている。

三の3について

法務省においては、御指摘の費用負担関係について調査した事実はなく、また、その内容は把握していない。

三の4について

お尋ねについては、政府として承知する立場にはないが、米国政府とアクセンチュア社米国法人とがUS―VISITプログラムのシステムに係る業務委託契約を締結した事実は承知している。

三の5について

我が国において構築することを予定している生体情報システムの構築のためのオペレーティング・システム、ソフトウェア及びデータ形式については、今後のシステムの設計開発において具体的に決定されるものであるが、US―VISITプログラムのシステムと同じシステムの構築を目指している、又はUS―VISITプログラムのシステムと技術的にデータの共有を可能にすることを目指しているということはない。

三の6について

現在のところ、米国政府が我が国政府にUS―VISITプログラムのシステムの運用を通じて得た情報を提供するか否かについては確認していない。

三の7について

平成十八年三月三十一日に法務省情報化統括責任者が決定した「出入国管理業務の業務・システム最適化計画」の策定支援業務に係るアクセンチュア株式会社との契約に当たり、法務省として、US―VISITプログラムのシステムとの相互運用について念頭に置いたことはない。

三の8について

米国連邦議会においては、国土安全保障省関連予算案の審議に際し、二千四年六月九日に、下院歳出委員会で、御指摘のような措置に係る予算修正案が可決されたが、同月十八日に、下院本会議で、当該予算修正案が否決されたと承知している。

「日本の公共部門のコンピューター製品及びサービスの調達に関する措置について」(平成四年一月二十日アクション・プログラム実行推進委員会決定)では、「公共部門におけるコンピューター製品・・・及びコンピューターサービス・・・の調達において、無差別待遇、透明性及び公正でかつ開かれた競争という原則に立脚した取引機会を拡大するために、日本政府・・・は、公共部門の調達手続の一層の改善に積極的に努める。そのために、政府は、競争力のある外国系コンピューター製品及びサービスの調達拡大という目的を持ちつつ・・・日本の公共部門のコンピューター製品及びサービスの調達に関する措置・・・を実施する。」とされており、今般の法務省入国管理局におけるアクセンチュア株式会社との契約に係る調達もこれに従って実施したものである。

四の1及び2について

御指摘の「取り決め」はなく、協議も行われていない。

四の3について

お尋ねの点については検討しておらず、お答えすることは困難である。

五について

御指摘の文書は、いずれも法務省が作成したものである。

なお、法務省においては、御指摘の文書に係るシステムの刷新可能性調査を実施したり、見直し方針や最適化計画を策定するに当たり、これに必要な事務の一部を民間業者に委託している例があり、アクセンチュア株式会社に対しては、「出入国管理業務の業務・システム最適化について」、「外国人登録証明書調製業務の業務・システム最適化について」及び「出入国管理業務の業務・システム最適化について(出入国管理業務の業務・システム見直し方針及び外国人登録証明書調製業務の業務・システム見直し方針を最適化計画において統合)」に係るシステムの刷新可能性調査の実施並びに見直し方針及び最適化計画の案の作成を委託しており、また、「刷新可能性調査報告書」で同社について言及されているのは、同報告書に係る調査が、いわゆるレガシーシステムについて、同システムと関係がない第三者に調査をさせて、同システムの刷新の可能性の有無、その程度等を明らかにすることを目的とするものであることから、当該第三者である同社の調査結果を同報告書にそのまま記載することとしたためである。

六について

政府が平成十八年三月に導入したIC旅券については、国際民間航空機関において定められたIC旅券に関する国際標準で、必ず記録することとされ記録に係る技術仕様が確定されている顔写真のみを記録することを前提として、記録媒体の容量や旅券発給システムの設計が行われており、現行の我が国のIC旅券に指紋や手指の静脈のデータを記録することはできない。また、御指摘のような協議がされているとの事実はない。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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