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強制連行朝鮮人の厚生年金に関する質問主意書
参議院 第166回 第71号お答えすることは困難 ×2検討してまいりたい ×1
質問本文
年金データの不整備問題が国民の関心事となっているが、かつて日本国民として扱われていた旧植民地の朝鮮人・韓国人、「台湾人」の厚生年金についても、その受給資格を洗い直さなければならないと考える。これまでに、年金受取の申請のあった韓国人について、申請に基づいて支払いが行われた者も存在するが、この際、強制連行朝鮮人(いわゆる「朝鮮人旧民間徴用者」、以下同じ。)の厚生年金問題解決のためにも「旧台帳」の年金データを電算化し、韓国政府に提供すべきと考える観点から、次のとおり質問する。
一 現在進行中の韓国政府と日本政府のいわゆる旧民間徴用者の遺骨問題の協議の過程で、韓国側より戦時中の韓国人の厚生年金データについて提供してほしい旨の要望が出され、日本側は可能な限り提供したい、どのように提供できるか検討したいとの回答をしたと伝えられているが、それは事実であるか明らかにされたい。
二 韓国政府は、日韓基本条約締結に際し請求権を放棄した経緯にかんがみ、被害者救済の立法を準備中であると聞くが、それは事実であるのか。また、その場合の厚生年金の扱いはどのようになっているのか。それぞれ明らかにされたい。
三 昭和十七年より開始された厚生年金に強制連行朝鮮人が加入していたと聞くが、それは事実であるか明らかにされたい。
四 現在問題になっている年金データの不整合問題で公表された電算化されていない「旧台帳」分の千四百三十万件の中に、強制連行朝鮮人の年金記録が含まれていると聞くがそれは事実であるか。明らかにされたい。
五 「旧台帳」に記録されている強制連行朝鮮人の厚生年金加入者数を明らかにされたい。
六 強制連行朝鮮人の年金の支払いに関し、日韓会談の内容や年金支給資格について、明らかにすべきことがある。
1 強制連行朝鮮人の年金支払いについて、日韓会談で話し合われた経緯はあったかどうか、話し合われたのであれば、どのような結論に達したのか明らかにされたい。
2 「旧台帳」などの年金データに記録が確認される強制連行朝鮮人の年金受給資格は現在どのようになっているのか、時効の問題も含めて明らかにされたい。また、在日韓国・朝鮮人の年金受給資格について、政府の認識を明らかにされたい。
七 韓国政府が要望する韓国人の年金データを提供することは、日本のあるべき姿として当然のことと考える。
1 韓国人年金データを整理して早急に提供すべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。
2 「旧台帳」は、電算化されていないので、早急に電算化し、電算化されているデータとの突き合わせを行えるようにすることが必要と考えるが、いつ頃までに電算化する予定であるか明らかにされたい。
3 電算化することにより、外国人の厚生年金データも整理されることになり、韓国政府などの要請にもこたえられることとなる。外交交渉での日本の約束も履行できる意義は大きいと考えるが、政府の見解を示されたい。
八 死亡者の情報は個人情報保護法の適用から除外されているにもかかわらず、過剰に拡大解釈されている現状がある。死亡した強制連行朝鮮人の身元確認資料として、社会保険事務所に情報提供を求めたところ、社会保険庁からの通達があれば提供するとの回答があった。政府が所持する年金データについて、強制連行朝鮮人の遺骨の身元調査のための資料として、仏教界やこれまで遺骨調査に携わってきた調査関係者に提供するよう社会保険庁より社会保険事務所に通達することを求めるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
平成十七年十一月二十八日から二十九日まで行われた朝鮮半島出身旧軍人・軍属及び旧民間徴用者等の遺骨の問題に関する第三回日韓協議の際に、大韓民国(以下「韓国」という。)側より、現在韓国籍を有する者であって終戦前に我が国で雇用されていた者に係る厚生年金保険被保険者名簿の提供が要請され、これに対し、日本側より、引き続き現実的にどのような対応が可能か検討していく旨回答した。
二について
平成十九年七月三日、韓国の国会において「太平洋戦争前後国外強制動員犠牲者等支援に関する法律(仮訳)」が議決されたと承知している。同法における我が国の厚生年金保険の扱いについては、韓国国内法の解釈に係ることであり、政府としてお答えする立場にない。
三から五までについて
社会保険庁において、昭和二十九年四月一日以前に厚生年金保険の被保険者の資格を取得して同日以前に資格を喪失し、昭和三十四年三月三十一日までの間に再取得していない者の被保険者台帳(以下「旧台帳」という。)については、マイクロフィルム化し管理しているところであるが、旧台帳の記録を含む厚生年金保険の被保険者記録は、当該被保険者がいわゆる朝鮮人徴用者であるか否かの情報を保有していないため、お尋ねの点についてお答えすることは困難である。
六の1について
日韓間では、財産及び請求権の問題、経済協力等について議論した結果、千九百六十五年の国交正常化に際して、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和四十年条約第二十七号)を締結し、同協定第二条1において「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、(中略)完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認」しているが、その議論の詳細については、今後の日朝間の協議に与える影響等にかんがみ、お答えすることは差し控えたい。
六の2について
厚生年金保険制度においては、制度発足以来、いわゆる朝鮮人徴用者であるか否かにかかわらず、基本的に適用事業所で使用される者は厚生年金保険の被保険者となるものであり、また、三から五までについてで述べたとおり、厚生年金保険の被保険者記録は、当該被保険者がいわゆる朝鮮人徴用者であるか否かの情報を保有していないため、お尋ねの点についてお答えすることは困難である。
また、厚生年金保険制度においては、日本国籍の有無にかかわらず、基本的に適用事業所で使用される者は厚生年金保険の被保険者となるものである。
七の1について
お尋ねの点については、日韓両国政府間で協議されているところであり、引き続き検討してまいりたい。
七の2及び3について
政府としては、平成十九年七月五日に年金業務刷新に関する政府・与党連絡協議会において取りまとめた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」に基づき、旧台帳の記録を社会保険オンラインシステムに収録し、国民年金又は厚生年金保険の受給権者又は被保険者(以下「受給権者等」という。)に係る記録との名寄せを行い、その結果、基礎年金番号へ統合することができると思われる受給権者等に対しては、平成二十年五月までを目途にその旨と加入履歴をお知らせすることとしている。
なお、韓国政府の要請については、政府として引き続き検討していく考えである。
八について
死者に関する情報については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)の適用対象外とされているものではあるが、同法の趣旨にかんがみ、その利用目的を超えた取扱いや漏えい等の不適切な取扱いを避け、適切な管理を行うことが必要であることから、社会保険庁においては、「個人情報保護に関する周知徹底について」(平成十七年四月二十一日付け社会保険庁運営部企画課長事務連絡)により、死者の情報を提供できる範囲を、死亡した者の配偶者、子及び民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百五十二条に規定する相続財産の管理人等の明らかに正当な権利を有する者又はこれらの者の同意を得た者としているところであり、この要件に該当する者であれば情報の提供は可能である。したがって、御指摘のような通達を行うことは考えていない。
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