ことばで探す › 参議院 第167回
新潟県中越沖地震と原子力発電所に関する質問主意書
参議院 第167回 第3号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1
質問本文
二〇〇四年一一月一八日、私は「新潟県中越地震と原子力発電所に関する質問主意書」(第一六一回国会質問第七号)(以下「前回質問主意書」という。)において、「耐震設計審査指針では直下地震の規模をマグニチュード六・五と想定しているが、これは過小評価につながらないか」と、政府に対し原子力発電所の耐震基準の見直しを強く求めた。
これに対して政府は、「敷地の直下又は近傍に、マグニチュード六・五を超え、敷地に大きな影響を及ぼす可能性がある地震の震源となり得るような活断層がないことを確認している。マグニチュード六・五という直下地震の規模を見直すことが必要となるとは考えていない」旨の答弁をした。
柏崎刈羽原子力発電所(以下「本原発」という。)の耐震設計の地震想定は、S1地震動(設計用最強地震動)で三〇〇ガル、S2地震動(設計用限界地震動)で四五〇ガルである。しかし去る七月一六日発生の新潟県中越沖地震(以下「今回の地震」という。)では、水平最大六八〇ガルが観測された。
本原発は、三〇〇ガルで損傷がないこと、三〇〇以上四五〇ガル未満は塑性変形があっても破断やリーク(容器や配管から冷却材などが漏えいするような亀裂や裂け目などの貫通孔)がないことで設計、運転され、四五〇ガル以上はあり得ないとされている。言い換えれば三〇〇ガル未満は再使用可能であるが、三〇〇ガル以上は再使用せず廃棄することを前提に設置許可が与えられている。
しかし今回の地震では、この政府が想定したS2地震動を大きく超えている。まさに私が指摘し続けてきたことが現実のものになったのであり、政府と東京電力の地震規模の想定の甘さと危機意識の欠如が露呈したと言える。
そこで、以下質問する。
一 今回の地震を踏まえれば、「敷地の直下又は近傍に、マグニチュード六・五を超え、敷地に大きな影響を及ぼす可能性がある地震の震源となり得るような活断層がない」との前回質問主意書に対する答弁は、認識に誤りがあったのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
二 大前提が大きく崩れた今、本原発の敷地地盤は、新しい耐震設計審査指針の「基本方針」に照らしたとき、原子力発電所の立地として著しく不適格であることが明らかであり、本原発の全号機の設置許可は取り消すべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
三 東京電力は海域を含む周辺地域の地震を引き起こす断層を過小に評価し、「想定」を上回る地震に見舞われたと述べている。しかし、なぜ「想定」できなかったのか。また、過小評価したのか。「想定外」だったこと自体が問題ではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
四 東京電力は、改めて海底断層の調査を自ら行うとしているが、従前の調査方法を抜本的に改めるべきではないか。又は東京電力に任せるのではなく、国が責任をもって直接調査をすべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
五 今回の地震を引き起こした海底断層が、本原発の直下付近まで延びている可能性を認めるか、明らかにされたい。
六 政府は、前回質問主意書に対する答弁で、「マグニチュード六・五という直下地震の規模を見直すことが必要となるとは考えていない」としているが、今回の地震を契機に、前回の答弁を撤回すべきではないか。また、昨年九月改訂の新耐震指針を含め、原子力発電所の「耐震基準」を全面的に見直すべきではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
七 設計上の想定を超えた地震、とりわけS2地震動を超えた地震に見舞われたということは、原子炉内外の重要機器がひずみ・塑性変形を受けた強い可能性があるということである。ひずみ・塑性変形は受けていないということを単なる計算による推論ではなく、完璧に証明できない限り、本原発は動かすべきではないのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
八 かねてより、本原発の敷地内の西山層とともに安田層を切る断層であるα・β断層やF系V系断層等の存在と、その再活動が論争となっていた。今回の地震で、これら断層の一部が再活動したことが、原子力発電所敷地の大きな変状から示唆されている。敷地内の西山層とともに安田層や番神砂層を切る断層について、全調査が必要だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
九 従前の基準では、「原子炉等の重要構造物は岩盤に支持されなければならない」とされ、岩盤とは、Ⅴs(横波速度)で毎秒七〇〇メートル以上との民間基準があった。本原発Ⅴsで毎秒七〇〇メートル以上は地下二〇〇メートルより深い。本原発は従前基準で岩盤支持の条件を逸脱した違法なものではないか。違法なものでないならば、その理由を明らかにされたい。
十 改定された指針では、「建物・構築物は十分な支持・性能を持った地盤に敷定されなければならない」と規定されている。建物・構築物が著しく不等沈下し、損傷を受けた本原発は指針に違反していることになると考えるが、政府の見解を示されたい。
十一 炉心が損傷を受けずに正常に停止したかどうかはデータが公表されていないので確認できない。スクラム(緊急停止)時の炉内の様子を示す全データを公表するべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
十二 全国の原子力発電所を停止させて緊急の安全点検を行うとともに、全国の原子力発電所の耐震補強を実施する必要があるのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
十三 「大地震の震源域が予想される場所に原子力発電所を建設しない」という常識が確立・実現されるべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
十四 原子力発電所の自主防災・消火体制を強化すべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一及び六について
先の答弁書(平成十六年十一月二十六日内閣参質一六一第七号)一の1についてにおいては、当時の最新の知見に基づく判断を述べたものであり、当時の認識として「誤りがあった」とは考えておらず、また、「前回の答弁を撤回すべき」とは考えていない。
なお、平成十九年新潟県中越沖地震(以下「今回の地震」という。)において、東京電力株式会社の柏崎刈羽原子力発電所の設計時の基準地震動を上回った要因については、柏崎刈羽原子力発電所周辺海域における地質調査結果等を踏まえ判断することとしており、また、平成十八年九月に改訂された後の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(以下「新耐震指針」という。)においては、直下地震についての一律マグニチュード六・五という地震規模の想定は廃止され、個別の発電所ごとに基準地震動を策定することとされている。
また、新耐震指針の見直しの要否に関しては、平成十九年七月三十日に原子力安全委員会において決定された「新潟県中越沖地震による影響に関する原子力安全委員会の見解と今後の対応」(以下「原子力安全委員会決定」という。)において、「バックチェックにより、新耐震指針に基づく地震動を想定し、それを今回の地震等の実際の影響により検証した上で判断すべきものであり、現時点では議論できる状況にはない。原子力安全委員会としては、こうした検証の結果等を踏まえ、専門家の意見を参考に見直しの要否について適切に判断したいと考えている。」としており、これを踏まえ、適切に対応してまいりたい。
二について
御指摘の「大前提」が何を指すかが必ずしも明らかではないが、柏崎刈羽原子力発電所に係る原子炉の設置許可が核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第二十四条第一項各号に掲げる基準に照らし問題があるとは考えておらず、当該設置許可を取り消す必要があるとは考えていない。
三について
今回の地震において、柏崎刈羽原子力発電所の設計時の基準地震動を上回った要因については、柏崎刈羽原子力発電所周辺海域における地質調査結果等を踏まえ判断することとしており、現時点でお答えすることは困難である。
四について
原子力発電所の耐震設計に必要な活断層調査は、事業者が行うべきものと考えており、東京電力株式会社においては、新耐震指針に基づき調査を行うこととしていると承知している。
五について
今回の地震を引き起こした震源断層については、東京電力株式会社等において調査が行われることとされており、その結果を踏まえ、御指摘の可能性も含めて、適切に評価してまいりたい。
七について
今回の地震が発生した後に、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会に設置された「中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」等において、柏崎刈羽原子力発電所の設備の健全性について評価を行うこととしており、適切に対応してまいりたい。
八について
現在、東京電力株式会社において、新耐震指針に基づき、柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性の評価が実施されているところであり、今回の地震を引き起こした震源断層の活動についても、この評価の中に適切に反映されるものと考えている。
九について
社団法人日本電気協会が作成した「原子力発電所耐震設計技術指針」においては、横波速度が毎秒七百メートル相当以上の値を有する硬質地盤を、基準地震動を設定する解放基盤表面の要件としているものであり、御指摘は当たらない。
十について
今回の地震では、柏崎刈羽原子力発電所は設計どおりに停止するなど、安全上重要な機能は確保されており、また、安全上重要な施設に耐震安全上の問題は確認されていないが、地盤の不等沈下等により著しい影響を受けている周辺の設備・機器類や配管・ダクト類が相当数見受けられることから、東京電力株式会社においては、重要度分類SクラスのみならずB・Cクラスの建物・構築物についても、今回の地震による破損状況を調査した上で、その分類に応じ、新耐震指針へ適合するものとなるよう、地盤支持性能の確認やこれを踏まえた必要な補強等の措置を講ずることを、原子力安全委員会決定において要請したところである。
十一について
御指摘の「炉内の様子を示す全データ」の範囲が必ずしも明らかでないが、平成十九年八月十日に、東京電力株式会社から「中越沖地震時におけるプラントパラメータについて」が公表されているものと承知している。
十二について
今回の地震では、柏崎刈羽原子力発電所は設計どおりに停止するなど、安全上重要な機能は確保されており、また、安全上重要な施設に耐震安全上の問題は確認されていないことから、直ちに、「全国の原子力発電所を停止させて緊急の安全点検を行うとともに、全国の原子力発電所の耐震補強を実施する」ことが必要であるとは考えていない。
十三について
原子力発電所の設置に当たっては、新耐震指針に基づき、耐震安全性が確保されることが必要であると考える。
十四について
今回の地震の際、柏崎刈羽原子力発電所で発生した三号機の所内変圧器の火災において、事業者が行う初期消火活動に迅速さが欠けた面が見られたことから、原子炉施設の安全性に直接関係するものではないが、国民の安心を確保する観点から、電力会社等十一社に対し、初期対応要員の確保、化学消防車等の配備、消防機関との専用通信回線の開設・確保、消防機関と連携した訓練の実施等について指示し、改善計画の提出を受けたところである。
今後、これらの改善計画が確実に実施されるよう、電力会社等を厳格に指導してまいりたい。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。