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柏崎刈羽原子力発電所に適用される粗度区分及び設計基準風速の考え方に関する質問主意書
参議院 第208回 第40号趣旨が明らかではない ×3
質問本文
柏崎市を約六十年前に襲った第二室戸台風は、柏崎市の記録(https://www.city.kashiwazaki.lg.jp/material/files/group/19/shiryouhenn-1.pdf)によると、瞬間最大風速五十二メートル毎秒に達している。また、昭和三十六年十月二十日付の「とよさか広報」(http://opac.niigatacitylib.jp/shisei/koho/kita/koho_toyosaka/1961/611020/40_1.pdf)によれば、現新潟市北区である旧豊栄町において、「阿賀野川の泰平橋附近で瞬間最大風速五十六メートルを記録」とある。昭和三十六年十月十日の衆議院災害対策特別委員会においても、島本虎三委員が、新潟県における最大風速を「四六・二メートルの暴風」と報告している。これらを踏まえると、新潟県における第二室戸台風の瞬間最大風速は少なくとも五十二メートル毎秒であり、最大風速は四十六・二メートル毎秒と考えることが適当であろう。
ところが、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東電」という。)作成の「柏崎刈羽原子力発電所六号及び七号炉 設計基準対象施設について」(平成二十九年一月)によると、現行の柏崎刈羽原子力発電所(以下「柏崎刈羽原発」という。)において適用されている風荷重を算出する際において採用されている台風を想定した最大瞬間風速は四十五・五メートル毎秒速、最大風速は四十・一メートル毎秒であり、気象庁の観測記録を基にしている。これでは、最大風速を四十六・二メートル毎秒で計算した場合と比して、約一・三倍の風荷重を軽く見積もることになってしまう。
また、柏崎刈羽原発において適用されている、風荷重を算出する際の粗度区分においても、建築基準法関係法令・告示をそのまま採用し、粗度区分Ⅱとなっている。しかし、原発周辺の土地が遮るものが何もない海岸線近辺のロケーションであることを鑑みれば、特定行政庁が将来、粗度区分Ⅰを適用する可能性は十分にあろう。また、粗度区分Ⅰが適用され、最大風速を四十六・二メートル毎秒で計算した場合、現行と比して約一・五倍程度の風荷重を見込む必要がある。
右を踏まえて、以下質問する。
一 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和四十九年五月一日自治省告示第九十九号)第四条の十九によって、高さ十五メートルの地点において風速六十三メートルに耐えうる設計が求められていることについて
1 特定屋外貯蔵タンクにおいて、今でも高さ十五メートルの地点において風速六十三メートルに耐えうる設計を求める理由如何。
2 かつては発電用原子炉施設建設時の建築基準法施行令第八十七条にて、発電用原子炉施設の外部事象防護施設以外の設備においても、特定屋外貯蔵タンクと同様の基準を求めていたが、なぜこの基準を緩和したのか。特定屋外貯蔵タンクのように、個別に規制緩和しないとすることはできなかったのか。政府の見解如何。
二 特定行政庁である柏崎市長が、柏崎刈羽原発の住所地に対して、規則で粗度区分Ⅰの区域と設定することは可能であり、この場合、東電は、風荷重の再計算を強いられることとなる。
政府は、なぜ柏崎市長が粗度区分Ⅱをそのまま維持することを前提にした基準を策定し、風荷重の再計算による原発再稼働が遅れるリスクを負うこととしたのか。最初から粗度区分Ⅰを適用すればよいと考えるが、政府の見解如何。
三 風荷重の算出に当たり用いる観測記録等について
1 気象庁の観測記録のみを用いて、柏崎刈羽原発の風荷重を算出することに対し、政府の見解如何。
2 前述の島本虎三委員の報告にも残っている以上、柏崎刈羽原発の台風の風荷重を算出する際の最大風速は、四十六・二メートル毎秒とすべきではないか。政府の見解如何。
3 前述の柏崎市の記録や「とよさか広報」の記述を無視して基準風速を設定することで、地元の方々に対し余計な心配を与えることは想像に難くない。政府は、仮に瞬間最大風速五十六メートルの台風が襲来したとしても、外部事象防護施設のうち建屋等及びその他安全施設はこの風荷重に耐えることを強く周知すべきではないか。政府の見解如何。
四 外部事象防護施設のうち、建屋等及びその他安全施設にかかる風荷重が設計用地震力を上回ることはないが、たとえ外部事象防護施設以外の設備であったとしても、その設備が台風によって破損すれば原子力発電所の運転に支障が出ることは間違いない。現実論を考えれば、再稼働後、速やかに最大風速四十六・二メートル毎秒かつ粗度区分Ⅰで風荷重を再計算し、再計算された風荷重に耐えない設備があれば、都度補強するべきと考えるが、政府の見解如何。
なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和四十九年自治省告示第九十九号)第四条の十九第一項第一号の規定は、特定屋外貯蔵タンクが同号に掲げる計算方式により算出された風荷重に耐える設計であることを求めるものであり、必ずしも御指摘の「高さ十五メートルの地点において風速六十三メートルに耐えうる設計」を求めるものではない。
同号については、近年の台風の風速が、同号を定めた際に想定した台風の風速に比べ弱まっていないこと等により、現在まで改正していない。
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第八十七条については、お尋ねの「特定屋外貯蔵タンクのように、個別に規制緩和しないとすることはできなかったのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、技術的知見の蓄積を踏まえ、規制の合理化を図るため、建築基準法施行令の一部を改正する政令(平成十二年政令第二百十一号)により、建築物の屋根の高さ、当該建築物の周辺の地域に存する風速に影響を与えるものの状況、当該建築物の存する地方における風の性状等に応じて、同条の規定により風圧力が算出されるように改正したものである。
二について
平成二十五年九月二十七日に核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第四十三条の三の八第一項の規定に基づき東京電力株式会社から原子力規制委員会に対してなされた同社の柏崎刈羽原子力発電所(以下「柏崎刈羽原発」という。)の発電用原子炉の設置変更許可申請(六号及び七号原子炉施設の変更)に係る審査(以下「審査」という。)において、同委員会は、実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)第六条第一項の規定に基づき、同規則第二条第二項第八号に規定する安全施設(以下「安全施設」という。)が風や台風を含む想定される自然現象が発生した場合においてもその安全機能を損なわない設計方針であることを確認しているが、その際「粗度区分」に関する具体的な「基準」は「策定」していない。
また、お尋ねの「風荷重の再計算による原発再稼働が遅れるリスクを負うこととした」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、同委員会が審査で確認した風荷重の計算結果は、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)が「柏崎市長が粗度区分Ⅱをそのまま維持することを前提」として示したものである。
三の1及び2について
東京電力は、風や台風に関しては、「気象庁の観測記録のみ」ではなく、建築基準法施行令第八十七条第二項に基づき国土交通大臣が定める風速、柏崎刈羽原発近隣の気象観測所の観測記録等を基に、最大風速毎秒四十・一メートルを想定し、また、竜巻に関しては、柏崎刈羽原発が立地する地域等において過去に発生した竜巻の規模、頻度等を基に、最大風速毎秒九十二メートルを想定しており、原子力規制委員会として、審査において、これらの自然現象が発生した場合においても安全施設が安全機能を損なわない設計方針であることを確認しており、現時点においては、御指摘のように「柏崎刈羽原発の台風の風荷重を算出する際の最大風速は、四十六・二メートル毎秒とすべき」とは考えていない。
三の3について
お尋ねの「強く周知すべきではないか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、審査の結果については、原子力規制委員会のウェブサイトにおいて公開しているところである。
四について
審査の結果に基づき、原子力規制委員会として、現時点においては、東京電力が、御指摘のように「再稼働後、速やかに最大風速四十六・二メートル毎秒かつ粗度区分Ⅰで風荷重を再計算」する必要はないと考えている。
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