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民法第七六六条及び第八一九条、ならびに、非親権者と子の面接交流に関する質問主意書

参議院 第170回 第79号

提出者
参議院
提出日
2008年10月30日
内閣転送 2008年11月5日
答弁書受領日
2008年11月11日
提出から12日
答弁の項目数
5
質問 1,273字/答弁 1,043字

質問本文

民法第七六六条及び第八一九条、ならびに、非親権者と子の面接交流に関する質問に対する答弁書(内閣参質一六九第一二五号)を本年五月二十三日に受領したが、その答弁内容について以下のとおり質問する。

一 答弁書の一においては、父母のどちらか一方のみを親権者とする単独親権を採用している現行の民法第八一九条が、親権者をめぐる争いによって離婚係争中の夫婦の対立を一層激化させ、あるいは、離婚後の親子の交流を難しくさせている側面があるとの指摘について「御指摘のような問題は、いわゆる単独親権制度を採用することによって生じる問題であるとは必ずしも考えていない」と述べている。では、どのようなことが原因であり、それに対してどのような対策を講じているのか、あるいは講じようとしているのか、そしてその対策は問題解決に対して共同親権制度の採用以上の効果が期待されるのか、政府としての見解を明らかにされたい。

二 答弁書の二においては、親権者の指定について「裁判所が、子の福祉の観点から、事案に応じて適切に行っているものと承知している」との回答がなされている。この「適切に行っているものと承知している」と判断する根拠は何か、示されたい。また、裁判所による親権者の指定に対する上級審への不服申し立ての件数についても、政府として承知しているところを示されたい。

三 答弁書の三、四及び五において、父母が離婚した後の親と子との面接交渉については、民法第七六六条第一項に規定する子の監護に必要な事項として「裁判所が定めることができると解され」るとの表現が多用されている。しかし、「定めることができる」という表現と「定めなくてはならない」という表現では、全く意味が異なる。先の質問主意書で指摘した「国連子どもの権利条約」第九条第三項では、親の離婚後も子どもの権利として親と引き離されないことが明記されているが、この条約を批准しているならば、親と引き離されないという子どもの権利を保障するために、「定めなくてはならない」としなければならないはずである。この点についての更なる説明を求める。

四 答弁書の二において「子の福祉」という語を用いているが、政府としてこの語をどのような意味で用いているのかが不明である。具体的なイメージを含めて、多くの国民が理解可能なかたちで明らかにされたい。

五 答弁書の十においては、児童相談所が、親権者である親に虐待された子の情報を親権者でない親に提供すること等の運用を行うことについて「必ずしも当該親権者でない親の支援を期待することが適当でない場合も想定されるため、各児童相談所において、個別・具体の事例に応じて、御指摘の憲法第二十四条の趣旨、個人情報の取扱い等を勘案しながら適切に判断されるべき」と述べているが、実際に親権者ではない親の支援を期待することが適当でないことをどのように判断するのか、具体的に親権者ではない親に連絡を取った上で判断するのか、また裁判所等から調停時の情報を得ることができる態勢がとられているのか、説明されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

離婚係争中の夫婦の対立を激化させたり、離婚後の親子の交流を難しくさせたりしている原因は、個別の事情によって異なるものと考えられるが、先の答弁書(平成二十年五月二十三日内閣参質一六九第一二五号)一についてでお答えしたとおり、いわゆる単独親権制度を採用することによって生じる問題であるとは必ずしも考えておらず、また、いわゆる共同親権制度の採用がこの問題の対策として効果が期待されるものであるとも考えていない。

二について

法務省としては、家庭裁判所は、親権者の指定について、子の福祉の観点から、適切に判断をするために、当事者から提出された資料のほか、事案に応じて、子の監護状況や子の意向の調査の結果を判断資料とするなどしているものと承知している。

平成十九年に高等裁判所が受理した、家庭裁判所の親権者の指定又は変更の審判に対する即時抗告の事件数は、九十八件であると承知している。

三について

民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百六十六条第一項の「監護について必要な事項」には、父母が離婚した後の親と子との面接交渉に関する事項が含まれるものと解されている。したがって、裁判所は、父母が離婚した後の親と子との面接交渉について、当事者の申立てがある場合に、子の福祉の観点から必要であると認めるときは、面接交渉を認めることとなり、他方、面接交渉が子の福祉に反すると認めるときは、面接交渉を認めないこととなる。

御指摘の「父母が離婚した後の親と子との面接交渉については、民法第七百六十六条第一項に規定する子の監護に必要な事項として、裁判所が定めることができると解され」るというのは、以上のような趣旨を述べたものである。

四について

裁判所は、事案に応じて、子の健全な育成を確保し、子の幸福を実現するために、よりふさわしい者を親権者に指定しているものと承知している。

五について

親権者である親に虐待された子に対する児童相談所の措置については、親権者でない親からの支援以外にも、里親委託や施設入所等の選択肢があり、各児童相談所において、個別・具体の事例に応じて適切に判断されるべきものであり、こうした判断の過程において、親権者ではない親に連絡を取る場合もあり得ると考えている。

各児童相談所が、裁判所に対し、司法行政上の便宜供与として調停記録についての閲覧の要請を行うことは可能であるが、閲覧に供されるか否かは、裁判所において個々の事例に応じて個別具体的に判断されるものと承知している。

参議院の原文

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