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裁判員制度における性犯罪被害者に関する質問主意書

参議院 第171回 第194号検討してまいりたい ×1個別の事案 ×2

提出者
参議院
提出日
2009年6月2日
内閣転送 2009年6月8日
答弁書受領日
2009年6月12日
提出から10日
答弁の項目数
6
質問 1,578字/答弁 1,009字

質問本文

裁判員制度が本年五月二十一日からはじまった。同制度は司法改革の柱と承知している。また、最高裁判所はその裁判員制度のホームページの中で「国民のみなさんが刑事裁判に参加することにより、裁判が身近で分かりやすいものとなり、司法に対する国民のみなさんの信頼の向上につながることが期待されています。」としている。こうした中で、五月二十日付け毎日新聞の報道にあるように、多くの性犯罪被害者やその支援者から、守秘義務のない裁判員候補者に被害者の情報が伝えられることにより、二次被害が起きる危険があるとの指摘がなされている。性犯罪被害者は、社会的な偏見のため、第三者に事件を知られることで二次被害を受けることが多く、中には社会生活が困難になったり、長期にわたり深刻な精神障害に苦しむ者もある。こうした性犯罪被害者の懸念にこたえ、裁判員制度においては二次被害を防止する確実な対策がとられるべきとの観点から、以下のとおり質問するので、それぞれ政府の見解を示されたい。

一 多くの性犯罪被害者が経験している二次被害の深刻さについて、政府はどのように認識しているか。裁判員選任手続きにおいて性犯罪被害者の情報が開示されることにより、二次被害が生じる危険性について、政府の認識はいかがか。確実な二次被害防止策がとられなければ、被害者が被害届をためらい、ひいては性犯罪の処罰・防止に支障が及ぶことが危惧されているが、政府の見解はいかがか。

二 五月六日付け読売新聞(西部版)の報道によれば、裁判員選任手続きの際、候補者に事件との関係の有無を確認するため、数十人から約百人の裁判員候補者に対し、被害者の氏名などが伝えられる可能性があるが、裁判員に課せられる守秘義務も候補者には及ばず、情報を他人に教えても罰せられることはないという。以上の報道は事実か。事実と異なるとすれば、実際には、どのような手続きにより、どの程度の情報が裁判員候補者に開示されることになるのか。

三 『判例タイムズ』一二八七号、四十九頁によれば、裁判員候補者に対し、被害者特定事項について「口外しないよう依頼する」「筆記しないよう求める」ことが考えられるとされている。これでは確実に情報漏えいを防ぐ手段とはいえないのではないかと思われるが、いかがか。この他に情報漏えいを防ぐ確実な対策は検討されているのか。

四 個々の性犯罪事件について、被害者情報の取り扱いが各地裁の判断にゆだねられるとすれば、人権状況が地域によって異なる状況が生じることになるが、これは問題ではないか。最高裁はガイドラインを作成し各地裁に方針を示すべきではないかと考えられるが、いかがか。

五 五月二十三日付け読売新聞朝刊(西部版)によると、裁判員制度の対象となる強姦致傷罪で、鹿児島地検の次席検事が「性犯罪被害者の個人情報漏えいを防ぐため、地裁に配慮を求めたい」と候補者に被害者の氏名などを伝えないよう地裁側に要請する方針を明らかにした、とされている。この報道に間違いはないか。間違いがあるとすれば、事実と異なる部分を示されたい。また間違いがなければ、地裁側からどのような回答があったのか、また鹿児島以外の各地検等が今後同種の事案に対し、同様の要望を裁判所に行う考えがあるか、示されたい。

六 被害者保護のための刑事訴訟法一部改正では、被害者への負担を減らすことを目的として、被害者からの申し出があり、裁判所が相当と認めるときは、氏名や住所などを法廷で伏せることができるよう定めている。裁判員制度において、性犯罪被害者に対する二次被害防止策がとられなければ、同改正法との整合性を欠くことになるのではないか。

七 裁判員制度における性犯罪被害者への二次被害防止について、今後、被害者や支援者の意見を聞き対策を検討するつもりはないか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

犯罪被害者等への支援については、二次的被害の問題も含め、犯罪被害者等基本法(平成十六年法律第百六十一号)に基づき、「犯罪被害者等基本計画」(平成十七年十二月二十七日閣議決定)を策定して、府省庁横断的な対策が講じられてきたところであり、裁判員等選任手続を含めた刑事手続の過程においても、性犯罪の被害者を含めた関係者の名誉やプライバシーには十分配慮する必要があるものと認識している。

二及び三について

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)において、裁判員候補者に守秘義務は課せられていないが、性犯罪事件等被害者のプライバシー保護を図る必要性が高い事件については、各裁判所は、裁判員等選任手続において、同法第十七条及び第十八条の不適格事由該当性の判断のための必要性と被害者のプライバシーを保護する必要性との双方を勘案して、裁判員候補者に対する当該事件の被害者を特定する事項の提供の方法及び程度を慎重に検討し、提供する情報や対象者を、右不適格事由該当性の判断をするために必要最小限の範囲に限定するとともに、当該事項を告げた裁判員候補者に対し、これを筆記したり口外したりしないよう求めるなどして、適切に対処されるものと承知している。

四について

裁判員等選任手続における被害者の個人情報の取扱いは、個々の事案における具体的な情況に応じて判断されるべき事柄であるから、各裁判所における個別的な判断にゆだねざるを得ないものと承知している。

五について

お尋ねについては、個別具体的な事件の捜査・公判にかかわる事柄であり、お答えを差し控えるが、検察当局においては、裁判員制度の下においても、性犯罪の被害者を含めた関係者の名誉やプライバシーには十分配慮していくものと承知している。

六について

刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百九十条の二等の規定は、裁判所が性犯罪等の被害者の氏名等を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をするなどの措置を採ることができることとするものであり、他方、裁判員等選任手続は公開しないこととされていることなどから、御指摘のように「整合性を欠く」ということはないものと考えている。

七について

裁判員制度における性犯罪の被害者に対する配慮の在り方等については、裁判員制度の実施状況や、被害者を始めとする関係各方面の意見を踏まえつつ、今後更に検討してまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

検討してまいりたい ×1個別の事案 ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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