ことばで探す › 参議院 第171回
裁判員制度下の性犯罪被害者の保護に関する質問主意書
参議院 第171回 第227号個別の事案 ×1
質問本文
平成二〇年中の裁判員裁判対象事件の起訴件数は二三二四件であるが、そのうちの約二割に当たる四六八件が、強姦致死傷や強制わいせつ致死傷などのいわゆる性犯罪事件である。性犯罪事件の刑事手続では、被害者の名誉、プライバシーなどの保護や精神面に対する配慮がとりわけ重要である。しかし本年五月二一日から始まった裁判員制度の下では、裁判員選定手続において、性犯罪被害者の個人情報が裁判員候補者に公開されることへの懸念が、関係者の間で広まっている。
そこで、最高裁判所との協議を行うなど、政府としても何らかの対応が必要との観点から、以下質問する。
一 これまで、性犯罪事件の被害者に関する情報の保護のために講じてきた立法措置にはどのようなものがあるか。また、政府としては、現行の法律のままで、名誉、プライバシーの侵害から性犯罪被害者を十分保護することができると認識しているのか。
二 裁判員制度開始から本年六月三〇日までの一か月余りで、裁判員裁判の対象となる性犯罪事件は何件起訴されているか示されたい。
三 裁判員選定手続において、性犯罪被害者の氏名、住所等の個人情報が公開されることによる名誉、プライバシーの侵害から、政府としては、性犯罪被害者をどのように保護していくべきと考えるか、見解を示されたい。
四 守秘義務のない裁判員候補者が、性犯罪被害者の氏名、住所等の個人情報を公開した場合、当該情報がインターネット等を通じて流される危険があると考える。このような危険に対して政府としては、どのように対処すべきと考えるか、見解を示されたい。
五 性犯罪被害者の受けている精神的打撃を考えると、裁判員として選任され守秘義務が課されてから被害者の氏名、住所等の個人情報を公開すべきだと考える。政府としては、この点をどのように考えるか、見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
刑事手続において性犯罪の被害者に関する情報を保護するために講じられてきた立法措置としては、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第九十五号)により、裁判所が性犯罪等の被害者の氏名等を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をするなどの措置を採ることができることとされたこと、検察官が証拠開示をする際に弁護人に対して被害者の氏名等が被告人その他の者に知られないようにすることを求めることができることとされたこと等があり、これらが適切に運用されることが重要であると考えている。
二について
平成二十一年五月二十一日から同年六月三十日までの間に起訴された裁判員裁判対象事件のうち、強制わいせつ致死傷罪、強姦致死傷罪、集団強姦致死傷罪、強盗強姦罪(未遂を含む。)により起訴されたものは、把握している限りで、二十八件であると承知している。
三及び四について
性犯罪事件等被害者のプライバシー保護を図る必要性が高い事件については、各裁判所は、裁判員等選任手続において、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号。以下「裁判員法」という。)第十七条及び第十八条の不適格事由該当性の判断のための必要性と被害者のプライバシーを保護する必要性との双方を勘案して、裁判員候補者に対する当該事件の被害者を特定する事項の提供の方法及び程度を慎重に検討し、提供する情報や対象者を、右不適格事由該当性の判断をするために必要最小限の範囲に限定するとともに、当該事項を告げた裁判員候補者に対し、これを筆記したり口外したりしないよう求めるなどして、適切に対処されるものと承知している。
五について
裁判員法第三十四条第一項の規定により、裁判員等選任手続において、裁判長は、裁判員候補者が、裁判員法第十七条各号に掲げる者に該当しないかどうか、不公平な裁判をするおそれがないかどうか等の判断をするため、必要な質問をすることができることとされているところ、裁判員候補者に対して被害者の氏名等を告げて質問をすることがそのような判断をするために必要か否かについては、個々の事案における具体的事情に応じて判断されるものと考えているが、三及び四についてで述べたとおり、各裁判所において適切に対処されるものと承知している。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。