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生物多様性等の確保にかかる環境調和型河川構築物等の推進と地域活性化に関する質問主意書
参議院 第173回 第34号趣旨が明らかではない ×4検討してまいりたい ×1
質問本文
明年は、生物多様性の国際条約締約国すべてが参加し、実効ある次期枠組みの国際合意を目指す生物多様性条約第一〇回締約国会議(COP一〇)が開催される。この開催の年、二〇一〇年は国連の定めた「国際生物多様性年」であり、二〇〇二年のCOP六で採択された「締約国は現在の生物多様性の損失速度を二〇一〇年までに顕著に減少させる」という「二〇一〇年目標」の目標年にもあたる。この生物多様性条約における節目の重要な会議に向け、我が国が国際的なリーダーシップを発揮するためには、既になされた「生物多様性基本法」の法制化とあいまって世界に冠たる生態系の豊かさ・バランスを保つ社会の構築を目指さなければならない。一部においてであるが、工業立地においても自然共生型立地が進め始められているところである。また、世界的な経済危機に直面する今こそ環境と経済が両立する新たなビジネスモデル構築のチャンスである。
そこで、以下質問する。
一 河川等における生物共生に関する全国実態調査と、魚類等の遡上のためのバリアフリー型技術の開発について
生物の生息地たる河川の役割は重要である。近年、環境問題を積極的に推進する学府では「森里海連環学」という新しい学問体系を構築しつつあり、森から海に至る自然生態系を統合的に模索し、生態系の調和を図る研究と人材育成の試みを開始している。その森と海を繋ぐものが河川である。
「河川および河川構築物における生物共生に関する全国実態調査」を行い、同時に魚道や小生物の生態系への影響に十分に対応した遡上のためのバリアフリー型技術の開発や社会的実験及び全国河川構築物の改修等の行動計画の策定について、政府の見解を示されたい。
二 河川構築物を含めた設置の在り方について
河川は人的営みとしての上水道供給や農作物への水分供給に留まらず、多種多様な生物を育み、大規模な生物間の交流を行う生物の宝庫であり不可欠なものであるが、河川より上水を採取する堰などは、内水面魚の遡上も堰き止め、河川上流域での生態系を大きく変化させている。魚道等が整備されつつあるが、必ずしも効果は充分でない。
二〇一〇年に開催されるCOP一〇に向け、それに対応できる河川構築物を含めた設置の在り方について、実態調査を踏まえた十分な検討と河川改修などに関する明確な実行計画の策定について、政府の見解を示されたい。
三 生物多様性の視点と環境等との調和について
平成十二年に河川法改正案の附帯決議として、「環境や歴史的風土との調和」等が採択されるなど、治水・利水・環境の多面的視点が必要な今、国土交通省及び農林水産省は、全国共通の課題である河川の生態系保護を意識した生物多様性のあり方を関係省庁と連携して加速的に普及、向上させるよう全力で取り組むことが重要である。
河川法に基づく生物多様性の視点を明確にした環境や歴史的風土との調和の実現について、政府の見解を示されたい。
四 河川レンジャーの育成支援等について
住民参加による川の管理を目指して、住民等との橋渡し役となる河川レンジャーの育成支援と適切な配備について、政府の見解を示されたい。
五 健全な水循環について
河川周辺地域にある里地・里山との一体的な河川環境の整備と仕組みの構築を進めるとともに、土地利用に起因する汚染対策を行い、健全な水循環が進展し、鮎等の生物の生息が促進できる環境の整備について、政府の見解を示されたい。
六 流域全体を環境管理の単位とすることについて
健全な水循環に関する政策を考える場合は、水が汚染物質の媒体になることから水質管理が非常に重要である。水環境の汚染対策や管理は、様々の課題があるが、市町村の行政の制約を乗り越えてできるだけ流域全体を一つの単位として統合的に捉えた総合的な環境管理計画を推し進めることが必要である。政府の見解を示されたい。
七 小水力発電について
二〇二〇年を目指して、温室効果ガス一九九〇年比二五%削減にチャレンジし、低炭素社会を目指す上で、再生可能エネルギーでもある小水力発電を拡充するために、これを併設した河川構築物への助成支援について、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の「河川および河川構築物における生物共生に関する全国実態調査」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、国土交通省において、一級河川の直轄管理区間に設置された魚道を対象として、当該魚道の配置及び構造、対象とする魚類並びに当該魚類が魚道を遡上できるかどうかに関する調査(以下「河川の連続性実態調査」という。)を現在行っているところである。
また、御指摘の「魚道や小生物の生態系への影響に十分に対応した遡上のためのバリアフリー型技術」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、堰等の河川工作物の設置等に当たっては、魚類や甲殻類の遡上環境改善の技術開発や実験的な魚道の整備等を行い、これらを通じて得られた知見も活かしながら各地で魚道の整備等を計画的に進めているところであり、これまでに設置した魚道等の状況も確認しながら、引き続き技術の改善を進めてまいりたい。
二について
御指摘の「COP一〇に向け、それに対応できる河川構築物を含めた設置の在り方」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、国土交通省においては、平成十七年に効果的な魚道整備等の方法をまとめた「魚がのぼりやすい川づくりの手引き」を作成し、これに基づく魚道の整備等を計画的に進めているところであり、引き続き、河川の連続性実態調査の結果も踏まえ、魚類や甲殻類の遡上環境改善のための所要の対策を計画的に行ってまいりたい。
三について
政府としては、環境や歴史的風土と調和した河川管理は重要であると認識しており、平成十八年十月十三日に国土交通省河川局長から各地方整備局長、各都道府県知事等に対し通知した「多自然川づくり基本指針」においても、すべての川づくりの基本として、「河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために、河川管理を行うこと」を示しているところである。
四について
国土交通省においては、近畿地方整備局内の四事務所において、行政と住民との間の橋渡し役となって、河川環境の保全や河川の安全利用に関する啓発等の一定の河川管理上の役割を担う河川レンジャー制度を試行的に運用しているところである。今後、この試行の結果も踏まえて、行政と住民との間の橋渡し役の育成支援やその配備の在り方について必要に応じて検討してまいりたい。
五について
河川周辺地域と一体的に行う河川環境整備として、例えば、兵庫県内を流れる円山川等において、河川管理者と関係機関等が協議会を設置し、生物の良好な生息環境の保全・創出に関する連携した取組を実施しているところである。
また、河川流域において、下水道整備や農地における各種汚濁負荷削減対策等を推進しているところであり、特定の水環境の悪化が著しい河川等においては、「第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスⅡ)」に基づき、地元市町村、河川管理者、下水道管理者及び関係者が一体となって、特定汚染源対策及び非特定汚染源対策に総合的に取り組んでいるところである。さらに、魚道整備や良好な瀬と淵の形成等の施策を進めているところであり、これらを含め、健全な水循環の進展に資する取組を今後も進めてまいりたい。
六について
政府としては、流域の住民、事業者、民間団体、地方公共団体、国等の協働により、流域ごとの特性に応じた水質、水量、水生生物及び水辺地を含む水環境が保全されるとともに、その持続可能な利用が図られ、環境保全上健全な水循環がもたらす恩恵を最大限享受できる社会を構築することが重要であると考えており、流域の地方公共団体等による環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の作成及び実行の促進及び支援を行っているところである。
七について
お尋ねの「これを併設した河川構築物への助成支援」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、現在でも、低炭素社会の構築を目指す観点から、いわゆる小水力発電の導入を促進するため、例えば発電出力が千キロワット以下の水力発電の導入について事業費の一部を補助するなど、調査から設計、建設に至る様々な段階で支援措置を講じているところであり、引き続き、必要な施策を講じてまいりたい。
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