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ニホンウナギの生息地保全、資源回復のための河川環境保全と再生に関する質問主意書
参議院 第196回 第137号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2
質問本文
昨今、シラスウナギの歴史的不漁がたびたびニュースで報道されるなど、ニホンウナギの資源減少が懸念されている。二〇一九年五月にはワシントン条約の締約国会議がスリランカで開催される予定であり、ニホンウナギがワシントン条約による保護の対象とされ、国際取引が制限されることが危惧されている。ニホンウナギの生息地保全、資源回復は喫緊の課題であるので、以下質問する。
一 二〇一七年三月に環境省が取りまとめた「ニホンウナギの生息地保全の考え方」において、ニホンウナギの生息地保全に係る国土交通省の取り組みが紹介されているが、二〇一八年度の国土交通省の予算では、具体的にどのような事業により、ニホンウナギの生息地の保全・再生を行うこととしているのか。
二 国土交通省に設置された「河川法改正二〇年 多自然川づくり推進委員会」が二〇一七年六月に「持続性ある実践的な多自然川づくりに向けて」という提言を出しているが、この提言及び同委員会における議論の過程において、環境省の「ニホンウナギの生息地保全の考え方」が全く言及されていないのは不適切ではないか。
三 前記二の提言では、多自然型川づくりの課題への対応方針として、目標の設定、技術の向上・一連の取り組み過程の徹底、人材の育成・普及啓発などが挙げられている。ニホンウナギの生息地保全の取り組みにも同様の課題と対応方針があれば、それぞれ具体的に挙げられたい。
四 「ニホンウナギの生息地保全の考え方」の中では、取水堰や落差工等のように小規模であっても、河川横断構造物の中にはニホンウナギの遡上に影響を与えているものがあるため、水位差が四十センチ程度以上ある状態が恒常化しているものについては、落差の緩和や効果的な魚道の設置等を行うことが望ましいとされている。河川横断構造物については、防災・減災の視点が最優先ではあるが、トータルコストの削減のためにも、集約化や不要な箇所の撤去に長期的な視野をもって対応していくことが必要である。国土交通省水管理・国土保全局の二〇一七年度予算では、「公共施設のストック管理・適正化」として千九百七十九億円が計上されていたが、このうち、ニホンウナギの遡上に影響を与えている河川横断構造物について集約化や不要な箇所の撤去を行う取り組みとして、どの程度の予算がどのような内容に使われたのか具体的に示されたい。
五 国土交通省水管理・国土保全局の二〇一八年度予算では、「公共施設のストック管理・適正化」として二千二十一億円が計上されているが、このうち、ニホンウナギの遡上に影響を与えている河川横断構造物について集約化や不要な箇所の撤去を行う取り組みについて、新たにどのような内容のものが計画されているか。
六 河川における不要な堰等の抽出には、水利権の現状についての実態把握が不可欠である。慣行水利権のうち、利用の実態のない水利権の把握は、全国でどの程度進んでいるのか。また、今後どのように慣行水利権の実態を把握し、対処していく予定なのか。
七 「ニホンウナギの生息地保全の考え方」に基づく取り組みを実効性あるものとするために、関係省庁の担当部署、国土交通省の地方整備局、地方自治体に対して、同考え方で示されたニホンウナギの生息地保全のための考え方と技術的な手法を周知徹底するほかに、「ニホンウナギの暮らせる川づくりという視点」を国が補助金等を交付する際の要件とすることが必要ではないか。例えば、河川の整備に関する事業を行うために社会資本整備総合交付金の交付を受けるためには、当該事業の内容にニホンウナギを含む自然や環境に配慮した川づくりに係る取り組みが含まれることを要件とするという制度へと変更することは考えられるか。
八 独立行政法人水資源機構は、水資源開発水系として指定されている七水系(利根川、荒川、豊川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川)において、ダム、用水路等の建設及び管理等を行っているが、同機構が事業や業務を行う際には、ニホンウナギを含む自然や環境に配慮した川づくりに係る取り組みを併せて行うことを義務付けることが必要ではないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
河川管理は、御指摘の「ニホンウナギの生息地の保全・再生」のみを目的として実施されているものではないが、国土交通省において、全ての河川における川づくりの基本として、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全又は創出するために河川管理を行う「多自然川づくり」を推進しており、ニホンウナギを含む水辺の生態系の保全を目指して行われている事例がある。平成三十年度の国土交通省の予算においても引き続きこの「多自然川づくり」に取り組んでいるところである。
二について
御指摘の「河川法改正二〇年 多自然川づくり推進委員会」は、ニホンウナギのみならず、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境等の保全又は創出のために河川管理を行う「多自然川づくり」の成果のレビュー及び今後の重点化の方向の検討を目的として設置され、平成二十九年六月に提言を行ったところであり、「不適切」との御指摘は当たらないものと考えている。
三について
平成二十九年三月に環境省が公表した「ニホンウナギの生息地保全の考え方」(以下「考え方」という。)において、「今後の課題」として、「ニホンウナギの生息環境の保全と回復を進めようとするとき、必要とされる知見は必ずしも十分とはいえない。しかし、このような不確実な状況においても、予防原則と順応的管理の考え方に沿って、それぞれの取組を実地での実験に位置づけながら、対策を進めることは可能である。これらの取組によって新しく得られた知見は、国内外を問わず幅広く集積・共有する必要があり、また、そのための仕組みを構築することが求められる」とされており、これに基づき対応することとしている。
四及び五について
御指摘の「ニホンウナギの遡上に影響を与えている河川横断構造物」については、その定義が明らかではなく、お答えすることは困難である。
六について
御指摘の「利用の実態のない水利権」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いわゆる慣行水利権(以下「慣行水利権」という。)を有する者は、河川管理者に対し、必要な事項を届け出なければならないこととされており、河川管理者において慣行水利権について把握しているところである。この届出がなされた慣行水利権については、その権利内容が明確ではないものも含むことから、取水施設の改築や治水事業の施行等の機会を捉えて、この慣行水利権を有する者に対し、権利内容の明確な河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第二十三条に規定する許可に基づく水利権への切替えを指導してきたところであり、引き続きこの取組を進めてまいりたい。
七について
考え方については、環境省から関係省庁及び地方公共団体に対し送付するとともに、報道発表を行っており、その周知に努めているところである。
また、「ニホンウナギの暮らせる川づくりという視点」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国の補助金等の交付対象となる事業は、それぞれの事業目的や事業内容に応じて、必要な要件が定められているところであり、ニホンウナギの生息地保全について、一律に国が補助金等を交付する際の要件とすることは適当ではないと考えている。一方で、「生物多様性国家戦略二〇一二-二〇二〇」(平成二十四年九月二十八日閣議決定)において、「安全・安心と環境が調和した多様な河川空間の保全・再生、豊かな水量の確保と河川本来の変動性の回復、河川の上下流や流域をつなぐことなどで、海域とのつながりも念頭に置きつつ、多様な生物の生息・生育環境を流域の視点から保全・再生する」とされており、その実現に向けた取組を進めていく必要があると考えている。
八について
独立行政法人水資源機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人水資源機構法(平成十四年法律第百八十二号)第二十条の規定において、同法第十二条に規定する業務の実施に当たっては、環境の保全について配慮しなければならないこととされている。また、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二十九条第一項の規定に基づき、主務大臣が平成三十年二月二十八日に指示した「独立行政法人水資源機構第四期中期目標」において環境の保全について記載するとともに、同法第三十条第一項の規定に基づき機構が同年三月三十日に認可を受けた「独立行政法人水資源機構第四期中期計画」において、「環境保全への取組を着実に実施することにより、事業実施区域及びその周辺の自然環境の適切な保全を図る」とされているところである。
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