ことばで探す › 参議院 第174回
初犯の薬物事犯者による再乱用防止対策に関する質問主意書
参議院 第174回 第61号検討してまいりたい ×2
質問本文
平成二十一年の薬物事犯の検挙人員(暫定値)は一万四千九百九十二人であり、このうち覚せい剤事犯の検挙人員が七十八%(一万千六百八十八人)、大麻事犯の検挙人員が十九・六%(二千九百三十一人)を占めている。特に覚せい剤事犯は、再犯率が約六割と高く、再乱用防止のための対策が重要である。
従来、政府の薬物乱用防止対策は、取締りの徹底に重点が置かれてきたが、近年ではこれとともに、薬物依存症の治療・支援の充実が再乱用防止に資するとされており、政府が平成二十年八月に策定した「第三次薬物乱用防止五か年戦略」(以下「第三次五か年戦略」という。)においても、治療・社会復帰の支援等による再乱用防止の推進が目標の一つとして掲げられている。
薬物の再乱用防止のためには、一度薬物を使用した者が依存症に陥ることのないよう早期の段階における対処が不可欠と考えるが、本年三月二十六日に総務省行政評価局が公表した「薬物の乱用防止対策に関する行政評価・監視-需要根絶に向けた対策を中心として-」(以下「行政評価・監視」という。)は、初犯の薬物事犯者に対する再乱用防止対策が「必ずしも十分とは言えない状況」であると指摘している。
そこで、以下のとおり質問する。
一 行政評価・監視の結果によると、薬物事犯者のうち、実刑判決が確定し刑事施設に収容されている者や保護観察を付した執行猶予判決を受けた者に対する再乱用防止のための指導等は行われているものの、初犯の薬物事犯者は保護観察が付されない執行猶予判決を受ける場合が大半であり、再乱用防止の指導等を受ける機会がないまま社会復帰をしている現状にあるとされている。このように、初犯の薬物事犯者に対する再乱用防止のための取組が進んでいないことに対する政府の認識を明らかにされたい。また、これまでに実施した取組があればその評価を含めて示されたい。
二 警察庁は平成十九年度及び二十年度において、薬物事犯で検挙され、即決裁判手続により執行猶予判決を受けることが見込まれる成人男性(希望者)について、保護観察の付されない執行猶予判決確定後に特定非営利活動法人アパリが実施する薬物依存回復プログラムに参加させる「薬物再乱用防止モデル事業」を実施したところである。
行政評価・監視の結果によると、同モデル事業は「実績が低調であったため、モデル事業の終了後は、本格的な取組の実施には至っていない」とされている。政府は同モデル事業が期待された実績をあげることができなかった理由について、どのように分析しているか。政府の見解如何。
三 栃木県では、初犯者等で執行猶予付き判決が見込まれる者に対して薬物依存回復プログラムを実施する「栃木県薬物再乱用防止教育事業」を平成二十一年度より実施している。同事業は、厚生労働省の地域依存症対策推進モデル事業に採択されており、平成二十三年度までの三か年実施される予定である。栃木県のこうした取組について、政府はどのように評価しているか。また、こうした地域の取組を他の都道府県においても普及させることが必要と考えるが、この点についての政府の見解を明らかにされたい。
四 警察庁のモデル事業及び栃木県の薬物再乱用防止教育事業は、それぞれ薬物依存からの回復を支援する特定非営利活動法人に委託して行われている。第三次五か年戦略には、民間団体と連携した薬物再乱用防止の推進が盛り込まれているところ、政府は民間団体による初犯の薬物事犯者への早期支援の重要性に鑑み、薬物乱用問題に知見を有する医師、薬剤師、保健師などの人材を民間団体が活用できるようにするなど、民間団体の活動を支援する取組を検討する必要があるのではないかと考えるが、政府の見解如何。
五 行政評価・監視では、初犯の薬物事犯者に対する再乱用防止対策を推進する観点から、未決拘禁の段階からの取組について検討することを勧告している。同勧告を踏まえた、今後の政府の取組方針を明らかにされたい。また、政府は第三次五か年戦略に基づく対策を一層強化・充実させるため、本年六月を目途に「薬物乱用防止戦略加速化プラン(仮称)」を策定する方針とのことである。そこで、政府一体となった取組として、初犯の薬物事犯者に対する再乱用防止対策を同プランに盛り込む必要があるのではないかと考えるが、政府の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねについては、刑事施設における薬物依存離脱指導等の施策を実施してきたところであるが、今後、関係府省が連携して、初犯の薬物事犯者のうち、保護観察が付されない執行猶予判決を受けた者に対する再乱用防止のための取組を、更に進めていく必要があるものと認識している。
二について
お尋ねの事業については、薬物依存をやめようとする意欲のある者が自主的に参加することを前提としていたこと等により、結果的に、薬物再乱用防止プログラムへの参加者が少なかったものと考えており、今後、関係機関及び民間団体の協力の下に、例えば、警察において、薬物事犯で検挙された者に対し、民間団体が実施する各種の薬物再乱用防止プログラムに関するリーフレットを配布するなど、薬物再乱用防止プログラムへの参加の拡大に向けた取組を強化していく必要があると考えている。
三について
お尋ねの栃木県の事業については、初犯の薬物事犯者に対し、県が民間団体と連携してグループミーティング等を活用したプログラムによる教育等を実施するなど、先進的な内容を含むものであると評価している。
政府としては、多くの地方自治体において効果的な薬物依存症対策が実施されることが重要であると考えており、今後、地方自治体に対し、御指摘の地域依存症対策推進モデル事業(以下「モデル事業」という。)の成果を周知してまいりたい。
四について
薬物依存症からの回復については、リハビリ施設等を運営する民間団体の活動が重要な役割を果たすものと認識しており、モデル事業のほか、本年度より、薬物依存症患者等に対する支援を医学的知識等に基づき効果的に行うことができるよう、民間のリハビリ施設等の職員に対して研修を行う依存症回復施設職員研修事業を実施し、民間団体の活動を支援していくこととしている。
五について
御指摘の勧告を踏まえ、薬物事犯者を対象とした啓発等の支援を推進する観点から、関係行政機関が連携し、例えば、刑事施設において、未決拘禁者に貸与する書籍等の中に薬物乱用防止に関する資料等を含めること、当該資料等の閲覧を希望する者には優先的に貸与すること等の取組を検討してまいりたい。
また、薬物乱用対策推進会議及び同会議に置かれた薬物乱用防止戦略加速化ワーキングチームにおいて、薬物事犯者に対する再乱用を防止するためのプログラムの受講の促進も含め、より実効的な薬物乱用防止対策について議論する予定であり、その中で、「薬物乱用防止戦略加速化プラン(仮称)」に、初犯の薬物事犯者に対する再乱用防止対策を盛り込む方向で検討してまいりたい。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。