ことばで探す › 参議院 第170回
麻薬・覚醒剤等乱用撲滅と依存離脱プログラム等に関する質問主意書
参議院 第170回 第105号検討してまいりたい ×1個別の事案 ×1
質問本文
今日の社会問題として、いのちにかかわる重大な問題を含んでいるものが多く存在する。
自らいのちを絶つ人、凶悪犯罪の低年齢化、さらに麻薬・覚醒剤等の薬物の乱用など、混迷する社会にあって、このような現代の問題を自らのことと考え、現代社会の秩序の回復に貢献していかなければならないと強く思う。
さて、近年、麻薬・覚醒剤等の薬物乱用が一般の主婦や二十代以下の若年層への広がりを見せていると言われてきたが、現在国内における薬物乱用事犯は増加の一途を辿り、ついに平成十九年度の検挙人数は一万五千百七十五人となり、その内覚醒剤の再犯者が占める割合は五十五%と益々初犯・再犯とも増加傾向にある。
また、同年度受刑者総数七万五十三人の内薬物依存指導対象者は一万五千八百七十人(二十二・七%)にもなっており、広く一般にも広がっている実態を示している。
また、大麻やMDMA等合成麻薬事犯件数の七割以上(平成十九年度)を未成年者や二十歳代の若年層が占めており、青少年を中心に乱用されている実態もうかがわれる。
中でも大麻は、既に今年一月~六月に大麻取締法違反で摘発を受けた一千二百二人(前年同期比十二%増)の内二十代までの若者が六十五%にも上る。特に、近年大学生の使用や栽培による逮捕者が続出し、キャンパス内での売買や使用が横行するなど、薬物のキャンパス内への浸透には危機感を感じざるを得ない。
青少年は次代を担う貴重な人材であり、このような事態は我が国はもとより広く世界の将来展望を見据えた時、非常に深刻な問題である。
よって、薬物の密輸、製造及び販売組織の摘発など取締りに重点を置いた「川上」対策とともに、薬物乱用の恐ろしさを訴える教育や啓発活動、そして再犯防止の為の薬物依存離脱プログラム等の、より一層の充実と対策が必要だと考える。
現在、政府では、本年八月より薬物対策推進本部による「第三次薬物乱用防止五カ年戦略」に取り組んでいるところであるが、現状からするとその体制・内容は万全とは言い難い。
よって薬物乱用撲滅と青少年健全育成の観点から、以下質問する。
一 巧妙化・広域化・組織化する薬物供給側に迅速かつ的確に対応する為の麻薬取締官体制の充実を含む取締り強化の具体策には不安が残る。特に、個人輸入での大麻の種の取得などが見られるのは、水際対策における各省庁の意識の共有や連携が不十分であることによるのではないかと危惧するが見解を示されたい。
二 薬物供給者は、使用者がいずれは心身共に蝕まれて人生さえ台無しにしてしまい、場合によっては周りを巻き込み新たな犯罪に結びつくかもしれないという、社会的重罪を犯している認識が希薄すぎると思うが、国として薬物密売が重罪であるという意思を示す為にも量刑の在り方を再検討すべき時期に来ているのではないかと考えるが見解を示されたい。
三 薬物使用者も気軽に手を出す傾向が強いと聞くが、例えば飲酒運転においては罰則規定の強化によって検挙数の著しい低下という結果を出している。薬物使用者においては初犯者の多くは執行猶予付き判決を受けており、一方で再犯率の高さが問題にもなっている。この際量刑の見直し、薬物依存離脱指導カリキュラムの実施及び受講の完全義務化等が必要だと考えるが見解を示されたい。
四 大麻取締法において使用の禁止項目が無いことや、従来の医学では検査において大麻の副流煙を吸った場合と大麻を使用した場合との違いが解らなかったことが、とかく使用に関する甘い認識を生む原因ともなった。
しかし、近来の医学では検査において大麻の副流煙を吸った場合と大麻を使用した場合との違いが解る様になってきたと聞く。
禁止項目についても、現在の法的解釈によるものではなく、国内の大麻取扱者(都道府県知事許可)を条文で明確に区別した上で、全ての種が発芽出来ない様に処理しなければ例え観賞用であっても売買が出来ないとする等法の明文の規定によって厳密に使用・所持・売買等の禁止項目を設ける必要があると考えるが見解を示されたい。
五 依存者に対し受刑中に薬物依存離脱指導を行うことは非常に効果的だと考えるが、未だ七十六ヶ所の全刑務所への教育専門官・調査専門官の配置が完了していないと聞く。緊急に配備が必要と考えるが、配置計画の促進策について問う。
六 性犯罪者は東京・大阪などに専用の刑務所があり、独自のプログラムによる受刑者教育に成果を上げていると聞く。薬物依存指導対象者は特に精神面を考慮する必要から遠隔地での収容を控えていることは理解出来るが、収容人数の多い大都市圏内において、まずは薬物依存離脱や回復に必要な研究所や医療施設を併設した薬物依存者専用の刑務所を設立し、現在の認知行動プログラムを含む、独自の薬物依存離脱プログラムの研究開発や教育・ケアの可能性を探るべきだと考えるが見解を示されたい。
七 再犯防止の観点から、仮出所後の依存者への離脱の為のプログラムやケアの効果を上げる為、専門的な保護監察官の配置が有効だと思うが如何か。
八 青少年健全育成の観点から考えると、薬物乱用の若年化の実態にかんがみれば、現在の高校までの薬物乱用防止教育の在り方と共に大学や専門学校における教育・啓発活動の充実を考えざるを得ない。大学までの防止教育の義務化をどう考えるか見解を示されたい。また、就職している青少年への啓発活動の強化策を問う。
九 薬物事犯に対し迅速な対応をすべき組織としての国民の期待に沿える体制づくりの観点から、現在の薬物対策推進本部と各省庁の担当課や各都道府県担当者との情報の共有や認識の一致、そして一層の協力体制が必要と考えるが如何か。
右質問する。
政府答弁書
一について
不正薬物の密輸阻止に向けた水際対策を徹底するため、関係省庁の十分な連携の下、情報収集活動を強化するとともに、密輸取締り体制の強化及び充実を図るなど、本年八月に薬物乱用対策推進本部が決定した第三次薬物乱用防止五か年戦略に基づき、引き続き薬物乱用防止のための取組を推進してまいりたい。
二について
一般論として、刑事裁判における量刑は、裁判所において、個別の事案の犯罪の軽重や情状等の諸般の事情を考慮して決定されているものであるところ、検察当局においては、薬物密売事犯についても、厳正な科刑の実現に努めているものと承知している。
三について
刑事裁判における量刑は、二についてでお答えしたとおり、裁判所において決定されるものであるところ、検察当局においては、薬物使用事犯についても、厳正な科刑の実現に努めているものと承知している。
また、刑事施設においては、薬物問題に取り組む民間自助グループ等の協力も得つつ、薬物事犯者を収容していない施設を除くすべての施設で薬物依存離脱指導を実施している。この指導については、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)第百三条及び第七十四条第二項第九号の規定により、麻薬、覚せい剤その他の薬物に対する依存がある受刑者にその受講が義務付けられている。
さらに、保護観察所においては、本年六月に施行された更生保護法(平成十九年法律第八十八号)の規定等に基づき、刑の執行を猶予され、その間保護観察に付されている者のうち、保護観察に付される理由となった犯罪事実に覚せい剤の自己使用の罪が含まれ、規制薬物の使用を反復する犯罪的傾向が強いものに対して、特別遵守事項として簡易薬物検出検査を含む「覚せい剤事犯者処遇プログラム」の受講を義務付けている。
四について
大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)においては、同法第二十四条第一項の規定により、大麻を、みだりに、栽培等した者は、七年以下の懲役に処することとされるとともに、これに対応した未遂罪及び予備罪が設けられており、また、同法第二十四条の二の規定により、大麻を、みだりに、所持し、譲り受けるなどした者は、五年以下の懲役に処することとされ、さらに、同法第二十四条の六の規定により、情を知って、大麻の違法な栽培等に要する大麻草の種子を提供した者は三年以下の懲役に処することとされるなど、所要の規定が整備されているところである。
五について
刑事施設の教育専門官・調査専門官の配置については、改善指導を実施するための増員の必要性等を考慮し、平成十八年度から平成二十年度までに五十一人増員してきたところであり、今後も薬物依存離脱指導を始めとする改善指導の実施体制の強化及び充実を図るために、できる限り多くの施設に教育専門官・調査専門官の配置ができるよう、その人的体制の充実に努めてまいりたい。
六について
刑事施設における薬物依存離脱指導については、薬物問題に取り組む民間自助グループ等の協力も得つつ実施しているところであるが、処遇プログラムの一層の充実を図るため、現在、海外における事例を参考にして、一部の刑事施設において認知行動療法を取り入れたプログラムを試行しているところである。今後は、この試行結果を踏まえ、より科学的・体系的な処遇プログラムの開発を行うとともに、同プログラムを使用した薬物依存離脱指導を重点的に実施する施設を指定することなどを含めて、指導体制の充実・強化策を検討してまいりたい。
七について
三についてで述べた「覚せい剤事犯者処遇プログラム」は、各保護観察所において、保護観察官が担当し、実施しているところ、今後とも、保護観察官の専門的能力を更に高めることにより、「覚せい剤事犯者処遇プログラム」を適正に実施してまいりたい。
八について
小学校、中学校及び高等学校においては、学習指導要領に基づき、すべての児童生徒に対し、体育又は保健体育の教科において、薬物乱用防止に関する指導を行うこととしている。
また、大学や専門学校における具体的な教育内容については、各大学や専門学校においてそれぞれの教育理念等に応じて自主的・自律的に定めるべきものであり、文部科学省としては、各種会議等を通じて、各大学や専門学校における適切な取組を引き続き促してまいりたい。
御指摘の「就職している青少年への啓発活動の強化策」については、警察において、青少年に対して、関係機関とも連携して、街頭キャンペーン等を行うとともに、厚生労働省において、青少年に対して、啓発読本の配布等を行い、薬物乱用防止に向けた啓発活動を引き続き推進していくこととしている。
九について
政府においては、関係行政機関相互の緊密な連携を確保するとともに、総合的かつ積極的な施策を推進するため、「薬物乱用対策推進本部の設置について」(平成九年一月十七日閣議決定)に基づき、関係閣僚による薬物乱用対策推進本部を設置し、薬物乱用対策を推進しているところである。また、各都道府県職員及び国の出先機関の職員等を構成員とする薬物乱用対策推進地方本部が各都道府県ごとに置かれており、関係行政機関相互の緊密な連携が図られているところである。今後とも、引き続きこれらの関係行政機関において十分に連携を図りつつ、薬物乱用対策を推進してまいりたい。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。