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被後見人の親族への情報提供による成年後見制度の更なる利用促進に関する質問主意書

参議院 第181回 第66号趣旨が明らかではない ×1検討してまいりたい ×2

提出者
参議院
提出日
2012年11月16日
内閣転送 2012年11月16日
答弁書受領日
2012年11月22日
提出から6日
答弁の項目数
3
質問 1,966字/答弁 1,707字

質問本文

成年後見制度における被後見人を日常的に援護してきた被後見人の親族の方から、成年後見制度の信頼性に関わるご意見を頂戴した。その趣旨は、後見人が被後見人の親族に対して十分な情報提供を行わないため、後見人に対する信頼感が損なわれ、意思疎通を十分に図ることが困難となる事態に陥り、家庭裁判所にも相談したが改善が見られない、というものである。現行制度において、成年後見人等は後見の事務などについて被後見人の親族に対する報告の義務を負っておらず、そのため、後見人による被後見人の財産管理について、被後見人の親族は不安や不信を抱かざるを得ないこともあるようである。成年後見制度の利用を促進するためには、不正行為の防止対策を講ずることはもとより、成年後見制度を利用しようとする被後見人の親族の信頼感の醸成が不可欠と考えられる。

そこで、以下のとおり質問する。

一 最高裁判所事務総局家庭局の実情調査(以下「最高裁調査」という。)によれば、平成十二年から平成二十三年までの法定後見開始の認容件数は二十一万八千九百四十五件であり、その内訳は、後見開始の審判の認容件数が十八万八千八百九十四件、保佐開始の審判の認容件数が二万千三十一件、補助開始の審判の認容件数が九千二十件となっている。

厚生労働省のデータによれば、認知症高齢者や知的・精神障害者は国内に約六百八十三万人程度いると推定できる。成年後見制度は平成十二年四月より、介護保険制度導入と同時に開始されたが、法定後見開始の認容件数を見ると、成年後見制度の利用状況は未だに低調であると言わざるを得ない。成年後見制度の利用状況が低調である理由については、成年後見制度を利用しようとしている被後見人の親族が、後見人からの情報提供が十分でないことから、この制度への信頼感を十分持てないことも一因であると考えるが、野田内閣はどのような見解であるか示されたい。

二 最高裁調査によれば、平成二十二年六月から平成二十四年三月までの二十二か月間で報告された後見人等による不正事例件数は五百五十件であり、被害総額は被害額が特定できない十件を除く五百四十件の合計で約五十四億六千万円にも上っている。

三井辨雄厚生労働大臣は平成二十四年十月十二日の閣議後の記者会見において、成年後見制度に係る不正事件の防止対策に関する質問を受け、「事務方ともよく連絡を取りながら、きちっと対応していきたいと思います。」と答えた。野田内閣として不正事件の防止対策について、現在の検討状況を示されたい。また、いつまでにどのような対策を講ずるのか明らかにされたい。

三 東京家裁後見問題研究会編著による「東京家裁後見センターにおける成年後見制度運用の状況と課題」においては、後見監督における今後の課題として、「高齢化社会の進行や成年後見制度の浸透に伴い、申立件数自体も増加することが見込まれ、そうすると、後見監督事件も必然的に増加することから、限られた労力で、いかに後見監督の実(後見等事務の適正の維持)を落とさずに、迅速に後見監督事務を処理できるか、その方策を考えることが火急の課題である。適切な後見人等の選任に始まり、後見人等の職務に対する理解・自覚の徹底、初回報告用財産目録・後見計画の作成・提出・点検の徹底、後見監督の合理化等に関する方策が検討されなければならない。」(同書五十二頁)と具体的に記述している。成年後見人等の監督体制をより適切に構築することが求められていると考えられるが、野田内閣はこのような指摘に対してどのような見解であるのか明らかにされたい。また、成年後見人等の監督体制について検討を行っているのであれば、その内容を明らかにされたい。

四 高齢化や核家族化の急激な進展に伴い、成年後見制度の果たすべき役割は一段と重要になっている。一方、成年後見人等の担い手の確保が課題となっており、特に親族間における関係の希薄化や親族自身の高齢化等により、親族において成年後見人等として選任すべき適任者が見当たらない事案も増加している。最高裁調査によれば、親族以外の後見人等選任率は平成十八年では十七・二パーセントであったが、平成二十三年では四十四・四パーセントとなり、平成十八年と比較すると二・五倍以上増加している。そのため、専門職後見人、市民後見人、法人後見人等の親族以外の第三者による成年後見人等について多面的に検討することが求められている。そこで、今後、成年後見制度をより多くの国民が安心して利用することができるよう、法令等による規定内容とは別に、後見人による被後見人の親族に対する情報提供の在り方などを含め成年後見人等の行動指針又はガイドラインを策定すべきであると考えるが、野田内閣の見解を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御指摘の「最高裁判所事務総局家庭局の実情調査」によれば、後見等の開始の申立件数は、平成十二年四月からの一年間では八千九百五十六件であったものが、平成二十三年一月からの一年間では三万七百六十三件にまで増加しているところ、これによれば、成年後見制度の利用は年々増加しているといえるものの、他方で、認知症の高齢者や知的障害又は精神障害を有する者の数に比較して、御指摘のように「成年後見制度の利用状況は未だに低調である」との意見があることも承知している。

成年後見制度の利用件数がこのような状況である理由は必ずしも明らかではないが、成年後見制度がいまだ十分に周知されていないことのほか、認知症の高齢者等が親族等の援助を受けながら日常生活を送ることができているため、成年後見制度を利用していないという場合も少なからず存在するのではないかと推測されるところである。御指摘のとおり、成年後見人等と本人の親族との間で十分な信頼関係が構築されることは望ましいことではあるが、成年後見人等が本人の財産状況等に関する情報をその親族に提供することについては、本人のプライバシー等の保護を図るべき成年後見人等の責務に照らし、問題があるものと考える。

二及び三について

成年後見人等による不正行為を防止するためには、事案に応じて適切な者を成年後見人等に選任すること、選任された成年後見人等に自らの職務と責任の重大さの自覚を促すこと、成年後見人等に対する適切な監督体制を構築すること等が重要であると考えている。家庭裁判所においても、このような観点から、多額の金銭の受領が見込まれるなど金銭管理に十分な注意を要する事案では弁護士や司法書士等の専門職を成年後見人等に選任したり、親族等の専門職以外の者を成年後見人等に選任する場合には成年後見人等の職務と責任についてビデオの視聴や面接による説明を通じて十分な自覚を促したりしているほか、事案に応じて成年後見人等の事務を監督する後見監督人等を選任するなどして不正行為の防止に努め、また、後見等の事務が開始された後は、成年後見人等に対し、定期的に後見等の事務の報告を求めるなどしてこれを監督し、不正行為の兆候を把握した場合には、速やかに適切な措置を講ずるように努めているものと承知している。このほかにも、成年後見人等の不正行為を未然に防止する趣旨で、平成二十四年二月からは、本人が有する金銭を、その払戻しの要件を厳格化した上で信託銀行等に信託することを内容とする「後見制度支援信託」を利用することができるようになるなど、様々な運用上の工夫がされているものと承知している。

政府としては、成年後見制度の利用の促進のためにも、成年後見人等の不正行為を防止することやそのための合理的な監督体制を構築することが極めて重要であるものと認識しているところ、現在行われている運用上の工夫による効果等も考慮しながら、今後、更に必要な施策について検討してまいりたい。

四について

御指摘のように「親族以外」で成年後見人等になる者としては、弁護士や司法書士等の専門職やいわゆる市民後見人など様々な者が想定されるが、これらの者が成年後見人等に選任される場合には、二及び三についてで述べた家庭裁判所による指導や監督等に加えて、選任の前後を通じて、各地の弁護士会や公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート等の団体により、成年後見人等の事務を適正に行うために必要な知識の習得や経験の共有を図るための研修等が行われているところであり、また、市区町村等が実施する市民後見推進事業等においても、このような研修等のほか、弁護士や司法書士等の専門職等による市民後見人への支援体制の整備などの取組が行われているものと承知している。

政府としては、成年後見人等は、このような指導等を通じて、後見等の職務の内容や責任の重大さについて十分理解するに至るものと考えているが、更に御指摘の「成年後見人等の行動指針又はガイドライン」を策定することが必要か否かについては、これらの指導等による効果等をも踏まえつつ、慎重に検討してまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×1検討してまいりたい ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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