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政府開発援助大綱見直しに関する質問主意書
参議院 第187回 第101号
質問本文
政府開発援助大綱(以下「ODA大綱」という。)が平成十五年に改定され、現行ODA大綱が閣議決定されて以降、十年以上の歳月が経過した。その間に生じた開発課題の多様化、複雑化、広範化など、開発協力環境の変化に適切に対応するため、政府は本年三月、ODA大綱を見直すことを発表し、去る十月二十九日、「開発協力大綱」(以下「新大綱」という。)の案文が公表された。新大綱(案)は、概ね現行ODA大綱の基本的な精神を受け継ぎつつ、我が国の開発協力の新たな可能性を切り開く可能性を有する一方で、懸念すべき点も見られることから、年内が目途とされている新大綱の閣議決定を前に、政府の考え方を明らかにする必要がある。
よって、以下質問する。
一 新大綱(案)では、ODA大綱の名称を「開発協力大綱」と改めることが示されているが、その一方で、閣議決定の際に付される説明文書「開発協力大綱の決定について」において、「ここで言う「開発協力」とは、「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」を指す」と定義されている。「開発協力大綱」とする以上、もう一歩踏み込んで、他省庁や他の主体との連携の在り方などについて、より具体的な方向性や指針等を含んだ大綱とすべきと考えるが、このような限定を付したことについて、政府の見解を示されたい。
二 新大綱(案)では、人間の安全保障が「我が国の開発協力の根本にある指導理念」と位置付けられた。これは、現行ODA大綱において「「人間の安全保障」の視点で考えることが重要である」と記述されていることと比較し、我が国の援助理念がより明確になったものと評価できるが、これにより、具体的な政策や取組においてどのような影響が見込まれるのか、政府の見解を示されたい。
三 「人間の安全保障」については、従来から我が国が重視してきた理念であるが、その内容について、国民に浸透しているとは言い難い。新大綱(案)は、ODAの量を対GNI比〇・七パーセントとする国際的目標について「念頭に置く」としているが、十分なODA予算を確保するためには、国民のODAに対する理解が不可欠であり、とりわけ人間の安全保障の理念についての理解を促進するための取組を強化する必要がある。これまで「人間の安全保障」の理念が国民に十分に浸透してこなかった原因と理解促進に向けた今後の具体的な取組について、政府の見解を示されたい。
四 新大綱(案)では、基本原則の一つとして、「非軍事的協力による平和と繁栄への貢献」を明確に打ち出したことは評価できるが、一方で、実施上の原則では、民生目的や災害救助などの非軍事目的の開発協力の場合、相手国の軍や軍籍を有する者が関係しても、個別具体的に検討してODAを実施する方針が示されている。途上国の場合、軍の役割は多面的、流動的な面があり、後になって支援物資等が軍事転用されるリスクが懸念されるため、具体的な歯止めとして、新たなガイドラインなどを定める必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
五 新大綱(案)では、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場が強調されているが、我が国の平和国家としての歩みを強調するのであれば、唯一の被爆国として、核拡散防止に対する取組を「平和で安全な社会の実現」への取組に加えることとし、そこでもODAを戦略的に活用していく必要があると考えるが、具体的な方策について政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの開発協力大綱案(以下「大綱案」という。)において、「開発協力」を「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」と定義したのは、大綱案は政府及び政府関係機関による活動についての指針を示すことを目的としているためである。当該定義にある「政府及び政府関係機関」には、外務省以外の府省も含まれる。
また、大綱案においては、「開発を目的とする又は開発に資する民間の資金・活動(企業や地方自治体、NGOを始めとする多様な主体による資金・活動)との連携を強化」することとし、そのためのより具体的な指針について記述している。
二について
我が国は、テロ、災害、感染症、貧困等、人間に対する直接的な脅威に対処するため、個々の人間の保護と能力強化を重視する「人間の安全保障」の考え方を推進してきており、大綱案においては、「我が国の開発協力においては、人間一人ひとり、特に脆弱な立場に置かれやすい子ども、女性、障害者、高齢者、難民・国内避難民、少数民族等に焦点を当て、その保護と能力強化を通じて、人間の安全保障の実現に向けた協力を行う」こととしている。
三について
「人間の安全保障」の考え方を推進する政府としては、国際連合(以下「国連」という。)を中心とする国際的な場における議論を通じてその概念の普及に努めるとともに、我が国が国連に設置した人間の安全保障基金への拠出、草の根・人間の安全保障無償資金協力等を通じ、その実践に努めている。
また、平成二十五年に横浜で開催された第五回アフリカ開発会議で「人間の安全保障」に関するシンポジウムを開催するとともに、平成二十六年に東京で開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」において「これからの「人間の安全保障」と女性」をテーマとして取り上げる等、様々な機会において「人間の安全保障」を取り上げてきている。
これらの取組については、報道発表など報道機関への情報提供や、外務省ホームページへの掲載等を通じて国民に周知するよう努めているところであり、今後ともこうした取組を通じ、「人間の安全保障」の考え方に対する国民の理解の一層の促進を図っていく考えである。
四について
大綱案においては、「開発協力の実施にあたっては、軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する」との原則を定めている。具体的な協力の事案は多岐にわたるため、我が国の協力については、相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合を含め、その趣旨及び目的、対象となる主体並びに内容及び効果を個別具体的に慎重に検討した上で、相手国の開発の需要及び経済社会状況、我が国との二国間関係等を総合的に判断の上実施することが適当と考えている。
五について
我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界を目指して、国際社会における核軍縮・不拡散に積極的に取り組んできており、これまでも、独立行政法人国際協力機構が主催する「アジア不拡散セミナー」の開催や、核兵器の不拡散の取組を有効に行うための関税管理等の技術協力プロジェクト等について、政府開発援助による支援を行ってきている。大綱案においても、「普遍的価値の共有、平和で安全な社会の実現」を我が国の「開発協力」の重点課題の一つとしているところであり、核兵器の不拡散への取組も含め、平和で安定した安全な社会の実現のための支援を引き続き行っていく考えである。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。