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トラック運送事業における人材不足の解決に関する質問主意書

参議院 第189回 第334号

提出者
参議院
提出日
2015年9月25日
内閣転送 2015年9月25日
答弁書受領日
2015年10月6日
提出から11日
答弁の項目数
5
質問 1,523字/答弁 1,098字

質問本文

トラック運送事業に従事するドライバーの平均年収は全産業平均と比較して、百万円以上も低い。一方、月間実労働時間は全産業平均と比較して、約三十時間以上も長い。ドライバーは、他産業と比べて長時間労働であるにもかかわらず低賃金という実態にある。一方、トラック運送事業の有効求人倍率は、年々上昇傾向にあり、平成二十六年には職業全体の有効求人倍率が一・〇〇倍であるのに対して、一・五五倍と非常に高いものとなっているが、「ドライバーが募集しても集まらない」状況が継続している。このようなドライバー不足が更に悪化すると、トラック運送事業が我が国経済のライフラインとしての機能を維持できなくなるおそれがある。

この問題意識を前提に、以下質問する。

一 ドライバー不足の最大の要因は、他産業に比べて長時間労働で低賃金という厳しい労働条件にあり、安定した輸送力を確保するためには、ドライバーの労働条件を他産業並に向上させなければならないと考える。しかしながら、この問題の背景には、運賃・料金が値崩れしてしまっていることがある。事業者自体が、適正な運賃・料金を収受できていないために、非常に厳しい事業経営を強いられており、結果として、ドライバーの労働条件の低下を余儀なくされていると考える。この運賃・料金が適切な水準を維持できていない問題について、政府はどのような問題意識を持ち、どのような対策を検討しているのか、明らかにされたい。

二 トラックドライバー不足に対応した具体的な人材確保対策が必要だと考える。

厚生労働省が所管する雇用関係助成金については、例えば、建設業では業種に特化した形で従業員の処遇や職場環境の改善を図る際に利用できる「建設労働者確保育成助成金」がある。トラック運送事業についても同等の内容の助成金を設けることを検討すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 前記二に関して、同じくトラックドライバー不足に対応した人材確保対策としては、ハローワーク等も積極的に活用すべきであり、例えばトラック運送業界に特化した合同企業説明会等の開催などについて、ハローワーク等に働き掛けるべきではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 平成二十七年度から「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」を中央及び全都道府県に設置し、取引環境と労働時間の改善をテーマに、関係者が一体となって取組を推進している。来年度以降、パイロット事業を実施し、長時間労働抑制に向けて、トラック運送事業者と荷主が諸対策を講じることとされているところ、長時間労働抑制が促進されるよう、中小企業に対する労働時間の短縮を支援する助成金の拡充等、諸対策に係る補助・助成の充実を図るべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 トラックドライバーの労働条件を改善するための「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下「改善基準告示」という。)の遵守に当たっては、ドライバーや事業者だけの努力では対応が困難であり、荷主企業の協力が必須である。例えば長時間労働の防止については、積み込み時の出荷遅れや荷卸し時の順番待ちなどによる「手待時間」の短縮などが必要となる。しかしながら、このようなコンプライアンスのためのルール遵守に向け荷主企業の理解と協力が得られている事例は数少ない。

したがって、運送事業者の自主的な努力だけに頼るのではなく、行政から荷主企業への改善基準告示の周知を徹底し、その遵守へ向け運送事業者に対する協力を厳しく指導すべきではないかと考えるが、この問題について政府はどのように具体的に取り組んでいるのか、明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

トラック運送業を営む者(以下「トラック運送業者」という。)の大半を占める中小企業においては、荷主に対する価格交渉力の弱さや重層的な下請構造により、適正な運賃及び料金の収受が難しい場合があると認識している。このため、従来より、「トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン」の作成及び普及啓発を通じて、トラック運送業者の交渉力の強化や荷主、元請企業、下請企業間における問題意識等の共有を図ってきたところである。

また、トラック運送業者における適正な運賃及び料金の収受は、ドライバーの労働条件の改善及びトラック運送業の労働力不足の解消にとっても重要な課題であるところ、その実現に向けては荷主も含めた関係者が一体となった取組が必要であると認識している。このため、本年五月から八月にかけて、荷主、トラック運送業者、関係省庁等により構成される「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」(以下「協議会」という。)を全国に設置したところであり、この枠組みも活用しながら、トラック運送業者における適正な運賃及び料金の収受の実現に向けて一層の取組を推進してまいりたい。

二について

御指摘については、政府としては、トラック運転者の人材確保を図ることは重要な課題であると認識しており、従業員の処遇や職場環境の改善については、その取組を進める事業主に対する支援を行うための助成金である職場定着支援助成金を利用することができることから、その活用を促進しているところであり、御指摘のような助成金を設ける予定はない。

三について

御指摘については、政府としては、公共職業安定所において、きめ細かな職業相談及び職業紹介、企業等からの要望に応じたトラック運送業者に特化した説明会等を実施しているところであり、今後とも、これらの取組を推進してまいりたい。

四について

御指摘については、政府としては、所定外労働の削減等を行った中小企業を助成対象とする職場意識改善助成金について、引き続き、トラック運送業者に対し、その活用を促してまいりたい。

五について

御指摘については、政府としては、荷主やトラック運送業者を対象とした長時間労働の改善のためのセミナーを全国で開催し、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第七号)の内容や荷主やトラック運送業者における長時間労働の改善のための取組事例の周知を行っている。

また、今年度、協議会を全国に設置したところであり、当該協議会への荷主の参画等を通じて、トラックドライバーの労働条件の改善に向けた荷主の理解と協力を得ることとしている。

参議院の原文

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