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いわゆる昭和四十七年政府見解と武力行使の新三要件との関係等に関する質問主意書

参議院 第193回 第116号趣旨が明らかではない ×1

提出者
参議院
提出日
2017年5月25日
内閣転送 2017年5月29日
答弁書受領日
2017年6月2日
提出から8日
答弁の項目数
1
質問 1,242字/答弁 2,862字

質問本文

一 いわゆる昭和四十七年政府見解にある「右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」という文言の意味について、安倍内閣の理解においては、これは、二〇一四年七月一日の閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(以下「七・一閣議決定」という。)の中で「従来の政府見解における憲法第9条の解釈の基本的な論理」の一部分として示されている「そのための必要最小限度の「武力の行使」は許容される」との文言と同じ意味のものであると解して良いか。

二 いわゆる昭和四十七年政府見解にある「右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」という文言の意味について、安倍内閣の理解においては、これは、二〇一四年七月一日の七・一閣議決定の中で示されている「従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った」とするところの「必要最小限度の実力を行使すること」との文言と同じ意味のものであると解して良いか。

三 いわゆる昭和四十七年政府見解にある「右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」という文言の意味について、安倍内閣の理解においては、これは、法理として、いわゆる武力行使の新三要件のうちの第三要件「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」に該当するものと解して良いか。

四 武力行使の新三要件の第一要件「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」とは、二〇一四年七月一日の七・一閣議決定の中でいわゆる昭和四十七年政府見解の中に「明確に示されているところである」としているところの「従来の政府見解における憲法第9条の解釈の基本的な論理」に、二〇一四年七月一日現在の我が国を取り巻く安全保障環境の根本的な変容という問題意識をあてはめた結果として得られたものなのか、安倍内閣の認識を示されたい。

五 武力行使の新三要件の第一要件「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」とは、二〇一四年七月一日の七・一閣議決定の中でいわゆる昭和四十七年政府見解の中に「明確に示されているところである」としているところの「従来の政府見解における憲法第9条の解釈の基本的な論理」に基づき、二〇一四年七月一日現在の我が国を取り巻く安全保障環境の根本的な変容という問題意識の下に検討した結果、それと同趣旨の規範を構成する一要件として整理し作成したものなのか、安倍内閣の認識を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一から五までについて

お尋ねの「同じ意味のもの」、「法理として・・・該当する」及び「同趣旨の規範を構成する一要件」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねのいわゆる昭和四十七年政府見解と武力行使の新三要件との関係等については、次のとおりである。すなわち、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しした「武力の行使」の三要件(以下「新三要件」という。)は、その文言からすると国際関係において一切の実力の行使を禁じているかのように見える憲法第九条の下でも、例外的に自衛のための武力の行使が許される場合があるという昭和四十七年十月十四日に参議院決算委員会に対し政府が提出した資料「集団的自衛権と憲法との関係」で示された政府見解(以下「昭和四十七年の政府見解」という。)の基本的な論理を維持したものである。この昭和四十七年の政府見解においては、

(一)まず、「憲法は、第九条において、同条にいわゆる戦争を放棄し、いわゆる戦力の保持を禁止しているが、前文において「全世界の国民が・・・・平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認し、また、第一三条において「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、・・・・国政の上で、最大の尊重を必要とする」旨を定めていることからも、わが国がみずからの存立を全うし国民が平和のうちに生存することまでも放棄していないことは明らかであつて、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」としている。この部分は、昭和三十四年十二月十六日の砂川事件最高裁判所大法廷判決の「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない。」という判示と軌を一にするものである。

(二)次に、「しかしながら、だからといつて、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであつて、それは、あくまで外国の武力攻撃によつて国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための止むを得ない措置としてはじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最少限度の範囲にとどまるべきものである。」として、このような場合に限って、例外的に自衛のための武力の行使が許されるという基本的な論理を示している。

(三)その上で、結論として、「そうだとすれば、わが憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであつて、したがつて、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない。」として、(一)及び(二)の基本的な論理に当てはまる例外的な場合としては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという見解が述べられている。

一方、パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器などの脅威等により我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、変化し続けている状況を踏まえれば、今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしてもその目的、規模、態様等によっては、我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。新三要件は、こうした問題意識の下に、現在の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果、このような昭和四十七年の政府見解の(一)及び(二)の基本的な論理を維持し、この考え方を前提として、これに当てはまる例外的な場合として、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしてきたこれまでの認識を改め、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合もこれに当てはまるとしたものである。すなわち、国際法上集団的自衛権の行使として認められる他国を防衛するための武力の行使それ自体を認めるものではなく、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として、一部、限定された場合において他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とする武力の行使を認めるにとどまるものである。したがって、これまでの政府の憲法解釈との論理的整合性及び法的安定性は保たれている。

新三要件の下で認められる武力の行使のうち、国際法上は集団的自衛権として違法性が阻却されるものは、他国を防衛するための武力の行使ではなく、あくまでも我が国を防衛するためのやむを得ない必要最小限度の自衛の措置にとどまるものである。

憲法の解釈が明確でなければならないことは当然である。もっとも、新三要件においては、国際情勢の変化等によって将来実際に何が起こるかを具体的に予測することが一層困難となっている中で、憲法の平和主義や第九条の規範性を損なうことなく、いかなる事態においても、我が国と国民を守ることができるように備えておくとの要請に応えるという事柄の性質上、ある程度抽象的な表現が用いられることは避けられないところである。

その上で、第一要件においては、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」とし、他国に対する武力攻撃が発生したということだけではなく、そのままでは、すなわち、その状況の下、武力を用いた対処をしなければ、国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかであるということが必要であることを明らかにするとともに、第二要件においては、「これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと」とし、他国に対する武力攻撃の発生を契機とする「武力の行使」についても、あくまでも我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置に限られ、当該他国に対する武力攻撃の排除それ自体を目的とするものでないことを明らかにし、第三要件においては、これまで通り、我が国を防衛するための「必要最小限度の実力の行使にとどまるべきこと」としている。

このように、新三要件は、憲法第九条の下で許される「武力の行使」について、国際法上集団的自衛権の行使として認められる他国を防衛するための武力の行使それ自体ではなく、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない必要最小限度の自衛の措置に限られることを明らかにしており、憲法の解釈として規範性を有する十分に明確なものである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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