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我が国の農業を支える生態系の保護に関する質問主意書

参議院 第193回 第92号

提出者
参議院
提出日
2017年4月28日
内閣転送 2017年5月8日
答弁書受領日
2017年5月12日
提出から14日
答弁の項目数
5
質問 1,500字/答弁 1,743字

質問本文

農業を支える生態系はかねてから重要な位置付けがなされているが、近年、授粉を担う送粉者の保護の必要性が国際機関及び国内の研究によって指摘されており、送粉者の保護対策の重要度は増している。

昨年十二月に開催された生物多様性条約第十三回締約国会議においては、「7.(j)国や地域レベルで殺虫剤によるリスク低減戦略を立案・実施すること及び総合的病害虫管理(IPM)などの手法を活用して送粉者に有害な殺虫剤の使用を回避又は削減すること(以下略)、(n)殺虫剤が他の要因との相乗効果により送粉者に及ぼす重大又は取り返しのつかない害を回避又は最小化すること」等を含む決定(CBD/COP/DEC/XIII/15)が採択されたところである。

我が国でも、生態系の農業への貢献のうち、野生の送粉者が日本の農業生産にもたらす経済的利益が高いことは政府系研究機関により明らかにされており、送粉者の保護対策は急務である。

ついては、以下質問する。

一 私が提出した質問主意書への答弁(内閣参質一九二第五四号)の二についてで、送粉者を守るための農薬の使用規制の強化に関して「農林水産省においては、都道府県や農薬製造者等と連携して、我が国における農薬による蜜蜂の被害の実態を把握するとともに、国内外の最新の知見の収集等を行っており、これらに基づき、農薬の使用規制を含めた必要な措置を検討していく方針である」としている。

1 農林水産省は既に、飼育されているミツバチの被害を防ぐ対策として、農薬使用者に農薬の注意事項を守って使用するよう指導したり、農薬使用者と養蜂家との情報共有の徹底を求めたりしている。これらの措置が有効に機能し、飼育されているミツバチの被害がどの程度減少しているのか、明らかにされたい。

2 前記1の措置は授粉の大半を担う野生の送粉者を保護するためには、甚だ不十分である。生態系における送粉者を保護するために、林業関係の農薬散布も含めた農薬の使用規制として、どのような地域、樹木・作物、農薬使用者を対象とし、どのような措置を検討しているか具体的に示されたい。

二 現在農薬登録の審査が実施されているスルホキサフロル(以下「当該農薬」という。)について、送粉者への影響を防止するための注意事項は、農薬登録申請書にどのように記載されているか。また、当該記載の内容は、米国において連邦裁判所の命令で当該農薬の農薬登録が取り消された理由等を十分に検討し、これを考慮した記載内容となっているのか。

三 米国における当該農薬の農薬登録の再申請に当たり、農薬製造企業は送粉者への悪影響を考慮して当該農薬の用途を狭め、一部の作物への使用を削除し、再登録された。我が国における当該農薬の登録申請及び審査の際には、当該農薬の送粉者への悪影響は考慮されているのか。考慮されている場合には、どのような影響について考慮されていると考えているのか、申請及び審査についてそれぞれ具体的に説明されたい。

四 当該農薬について、米国では農薬登録審査に際して、原体の他、製剤によるミツバチへの急性毒性試験成績も検討材料としている。我が国における当該農薬の農薬登録審査でも、原体、製剤それぞれについて急性毒性試験成績を検討材料としているのか。当該試験成績を農薬登録審査の検討材料としている場合、当該試験成績の概要を説明されたい。

また、我が国と米国では、気候や対象農作物等、農薬の使用条件が異なるが、それらの相違について検討するための追加試験を同審査で実施する予定はあるのか、予定している場合には追加試験の内容を具体的に説明されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

御指摘の措置については、平成二十六年六月に、農林水産省において、「平成二十六年度の水稲の開花期に向けた蜜蜂被害軽減対策の推進について」(平成二十六年六月二十日付け二六消安第一六八三号・二六生畜第四一一号農林水産省消費・安全局農産安全管理課長及び生産局畜産部畜産振興課長連名通知)を発出し、農薬による蜜蜂の被害軽減のための対策の実施を求めたものであるところ、同省が実施した「蜜蜂被害事例調査」によると、農薬が原因と疑われる蜜蜂の被害事例の数は、平成二十六年度には七十九件であったものが、平成二十七年度には五十件となっており、農薬使用者と養蜂家との間の情報共有等の対策が蜜蜂の被害軽減に有効であったとの報告を都道府県から受けているところである。

一の2について

政府としては、環境省において、花粉を媒介する動物(以下「花粉媒介動物」という。)のうち主要なものである野生のハチを対象とし、農薬が環境中で野生のハチに与える影響についての調査を実施し、当該影響についてのリスク評価手法やリスク管理手法に係る検討を行っているところである。その結果、農薬の使用が、野生のハチの生息に深刻な影響を及ぼしていると認められる場合には、必要な対策を検討していく考えである。

二について

農薬製造者から、農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)に基づく申請があったスルホキサフロルの登録に係る申請書の記載内容については、当該登録の審査を行っている現時点においては、これを公にすることにより、当該農薬製造者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。なお、スルホキサフロルはアブラムシ類等の防除を目的とした農薬として登録の申請があったものであるところ、食品安全委員会農薬専門調査会幹事会に当該農薬製造者が提出した当該登録の申請の概要に関する資料(以下「概要資料」という。)においては、使用上の注意事項の中に「ミツバチの巣箱及びその周辺にかからないようにすること」、「受粉促進を目的としてミツバチ等を放飼中の施設や果樹園等では使用を避けること」及び「養蜂が行われている地区では周辺への飛散に注意する等、ミツバチの危害防止に努めること」との記載があると承知している。

三について

農薬取締法に基づく農薬の登録においては、申請者に対して、花粉媒介動物である蜜蜂への影響が考えられ得る農薬について、当該影響の程度を把握するため、蜜蜂への影響試験の成績を記載した書類の提出を求めるとともに、当該登録の審査においては、当該試験の結果、農薬に含まれる有効成分の蜜蜂に対する有害性が高い場合には、当該農薬による蜜蜂への影響を防止するための注意事項が申請書に適切に記載されているかどうかについても審査しており、スルホキサフロルの登録の審査においても、この観点からの審査を行っているところである。

四について

三についてでお答えした蜜蜂への影響試験は、農薬原体又は製剤を用いた蜜蜂への急性毒性試験により行うこととしており、スルホキサフロルの登録の審査においても、蜜蜂への影響を防止する観点から、当該登録の申請を行った農薬製造者から提出されたスルホキサフロルの農薬原体及び製剤を用いた蜜蜂への急性毒性試験の成績も活用して審査を行っているところである。お尋ねの「当該試験成績の概要」については、概要資料において、スルホキサフロルの農薬原体を用いた試験成績は、当該農薬原体を蜜蜂に経口で与えてから四十八時間後の急性毒性の強弱を把握するための半数致死量の値が蜜蜂一頭当たり○・一四六マイクログラムであり、スルホキサフロルの製剤を用いた試験成績は、当該製剤を蜜蜂に散布してから二十四時間後の死亡率が百パーセントであるとの記載があると承知している。

また、お尋ねの「追加試験を同審査で実施する予定」については、スルホキサフロルの登録の審査を行っている現時点においては、これを公にすることにより、審査に係る意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ及び当該登録の申請を行った農薬製造者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。

参議院の原文

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