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米軍経ヶ岬通信所のXバンドレーダー不停波による救急ヘリ遅延に関する質問主意書
参議院 第196回 第214号
質問本文
本年五月十五日、京都府の宮津与謝消防組合消防本部がドクターヘリの出動を要する救急事案の発生を受けて、京丹後市に所在する米軍経ヶ岬通信所に対して米軍が運用するXバンドレーダーを停波するよう要請をおこなったにもかかわらず、米軍が停波せず、結果として患者の搬送が十七分遅れたことが明らかになった。米軍基地の活動によって人命救助のために一分一秒を争う救急搬送に遅れをもたらす、あってはならない重大事案であり、近隣の住民、関係自治体に憤りと大きな不安を広げている。しかも、防衛省は本件のみならず、以前にも同様に米軍が停波要請を受けたにもかかわらず速やかに停波がおこなわれなかった事案が計二件も発生していたことを後になって明らかにした。
透明性のある再発防止策を講ずるためには、まず事実関係の公表が不可欠であることは論を俟たない。ところが、防衛省の対応は国会答弁においてもその後の住民や報道機関への対応においても、事実関係の秘匿を続ける姿勢に終始している。住民の命を左右しかねない事柄において、所管省庁たりうる責任感も能力も有していないのではないかと疑わせるに十分であり、極めて無責任な姿勢には憤りを禁じえず、到底看過できるものではない。
さらに、同通信所ではXバンドレーダー不停波の問題のみならず、米軍が、提供区域外の土地を「立ち入り禁止」の表示を行ったうえで掘削し、抗議をうけた後に「謝罪」した事案や、発電機による深刻な騒音があるにもかかわらず、京都府や京丹後市から対策として再三求められている商用電力の導入も延期を重ねており、米軍の住民軽視と言うべき行為の続発とともに、こうした事態を漫然と許している防衛省に対する住民や自治体の不信は高まるばかりである。
そこで、以下、具体的に質問する。
一 国土交通省は全国で「上空における航空機の飛行を一定条件下に禁止する区域」として同通信所周辺を含め「飛行制限区域」を設定していると承知しているが、同通信所周辺において飛行制限区域とされている具体的な場所及び設定した理由について示されたい。
ドクターヘリは運用の必要から同区域内であっても飛行を認められるものと承知しているが、同区域内のXバンドレーダーを停波せずにヘリの飛行がおこなわれた場合、ヘリの安全な飛行にどのような影響を及ぼしうるのか。政府の見解を示されたい。
二 防衛省は前記五月の不停波事案が明らかになった後に、二〇一五年一月及び三月にそれぞれ停波が速やかにおこなわれなかった事案があったことを明らかにした。うち一件は、停波が行われないまま飛行制限区域をヘリが飛行するという飛行の安全を脅かしかねない事案が発生していた。発生から三年以上もの間、このような事案を隠していたことは重大な問題である。なぜ両事案の発生を公表しなかったのか。両事案の秘匿が行政への信頼を失墜させる行為であるという認識はあるか。
三 防衛省は消防本部がおこなう米軍への停波要請の手続きを定めた「マニュアル」を作成し、消防本部と米軍はこれを運用していたと説明するが、同マニュアルの公表を拒否している。住民にとって不停波事案の再発防止が肝要であることをふまえれば、不停波や停波の遅れが生じた原因の究明が透明性をもっておこなわれることは不可欠であり、そのためにはマニュアルの公表が重要であることは論を俟たない。防衛省は二〇一五年の両事案の発生をうけてマニュアルの改定をおこなったとしているが、前記五月の不停波事案が発生した。マニュアルの非公表に固執するのは防衛省の責任を問われかねないからか、それとも、米軍からの要請によるものか。
四 防衛省より二〇一五年十二月、近畿中部防衛局を通じ関係自治体に対して、「経ヶ岬における停波に関する情報」の取り扱いについて、「米軍の運用にかかわる事項」であるとして、停波要請の実績以外の情報を開示しないよう要請する「通知」をおこなった事実があるか、明確にされたい。
防衛省は本年六月十二日の参議院外交防衛委員会での答弁において、マニュアルを不公表としている理由について「この内容の一々を公表すると救急搬送等に影響が出る可能性が考えられ」ることを挙げたが、実際には「米軍の運用にかかわる事項」だから開示しないとする立場をとっているのではないか。
五 防衛省は前記外交防衛委員会での質疑において、「意思疎通が円滑に行われず、停波できなかった」旨答弁し、本年七月二日にドクターヘリの拠点である豊岡病院で開かれた検証会議後の会見においても同様の説明をくりかえすだけで、具体的事実について質問されると「差し控える」との説明に終始した。住民の生命を左右しかねない重大な事柄に対して、極めて無責任な姿勢と断ぜざるを得ない。
二〇一五年一月、同年三月及び本年五月のいずれの事案も発生時点からかなりの時間が経過しており、防衛省には事実関係を速やかに開示する責務がある。どうして消防本部からの要請に従ったレーダー停波がおこなわれなかったのか、原因と責任の所在を各事案の具体的な事実関係とともに明らかにされたい。
六 「京都新聞」二〇一八年七月三日付の記事によれば、停波要請のやりとりは英語でおこなわれたとされる。米側が日本国内に基地を置く以上は、地域の消防・自治体に負担をかけることなく、米側が責任をもって日本語で応じるべきではないか。
七 同通信所のレーダーは米軍が日々の軍事活動上の必要に基づいて運用をおこなっていると推察されるが、防衛省は前記外交防衛委員会での質疑において、「米側は基本的に停波の手続を要請があった場合には行うという認識」だと答弁した。「基本的に」とはどういう意味であるか。要請があった場合は米軍の軍事活動上、レーダーを稼働させておく必要があったとしても必ず停波に応じるのか。
八 そもそも同通信所の活動に関する日米両国間の権利義務関係において、米軍は日本側からレーダーの停波を要請されれば必ず停波しなければならないのか。米軍の活動をそのように制限する根拠となる取り決めがあるなら具体的に示されたい。
もしくは、あくまでも日本側からの停波要請に対しては、米側から「妥当な考慮」が払われることにより停波が期待できるということか、説明されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねについては、米軍経ヶ岬通信所にXバンド・レーダー・システムが配備・運用されることに伴い、同システムから発生する電磁波により同通信所周辺を飛行する航空機の計器等への影響が考えられることから、周辺を飛行する航空機の安全を確保するため、在日米軍の要請を受け、航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)第百七十三条の規定に基づき、飛行制限区域を定める告示(平成十八年国土交通省告示第七百四十七号)の一部を改正し、同通信所を中心とする半径六キロメートルの円内の区域のうち北緯三十五度四十五分五十三秒の線の北側にあるものを飛行制限区域として、地表面又は水面から一万九千フィート以下の高度における飛行であることをその上空における飛行を禁止する条件とすることとしたものである。
二について
御指摘の「二〇一五年一月及び三月にそれぞれ停波が速やかにおこなわれなかった事案」については、「経ヶ岬飛行制限区域に係る停波要請手続等について(通知)」(平成二十六年十月三十一日付け防衛省通知。以下「マニュアル」という。)を定めて間もない平成二十七年に発生したものであり、防衛省においては、当時、その原因を関係者間で共有し、マニュアルの見直し等を実施することで再発防止を図っていたものである。
三及び四について
米軍経ヶ岬通信所における停波に関する情報の取扱いについて、防衛省から関係機関に対し御指摘のような「通知」を行ったことについては事実であるが、マニュアルについては、停波の詳細な手順や米軍等の連絡先等が記載されており、これが公開された場合、救急搬送の実施や米軍のXバンド・レーダー・システムの運用に支障を及ぼすおそれがあり、また、米国との信頼関係が損なわれるおそれがあることから、公表しないこととしている。
五について
お尋ねの事案については、いずれも、停波要請を行った消防本部と米軍の間の意思疎通が円滑に行われず、停波が遅れた又はできなかったものであるが、それ以上は、救急搬送の実施や米軍のXバンド・レーダー・システムの運用に支障を及ぼすおそれがあり、また、米国との信頼関係が損なわれるおそれがあることから、お答えは差し控えたい。
六について
停波要請の在り方については、救急搬送の実施や米軍のXバンド・レーダー・システムの運用に支障を及ぼすおそれがあり、また、米国との信頼関係が損なわれるおそれがあることから、お答えを差し控えたい。なお、防衛省においては、マニュアルについては、関係者間で協議の上、停波に係る意思疎通が円滑に行われるよう適切に見直しを実施してきているところである。
七及び八について
お尋ねの「米軍の活動をそのように制限する根拠となる取り決め」の意味するところが必ずしも明らかでないが、米軍は、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることはいうまでもなく、停波要請を受けた際には、かかる考え方の下、適切に対応するものと承知している。
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