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親の懲戒権の見直しと体罰の禁止に関する質問主意書
参議院 第210回 第77号お答えすることは困難 ×3個別の事案 ×1
質問本文
民法等の一部を改正する法律案(第二百十回国会閣法第一二号)には、親の懲戒権の見直しと体罰の禁止が含まれている。これに関連し、以下のとおり質問する。
一 子どもが暴力の被害を受ける児童虐待の増加が、大きな社会問題となっている。厚生労働省の資料によれば、全国の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は、毎年、増加が続いており、今や二十万件を超えるほどになっている。こうした児童虐待の増加の理由について、政府はどのように分析しているのか。
二 親権者の懲戒権を定める民法第八百二十二条が今回の改正によって削除されることになるが、その理由として挙げられているのは、同条が児童虐待の口実に用いられていることにあるとされている。
しかし、同条を削除するかどうかについて議論されたのは、今回が初めてではない。平成二十三年の民法等の改正が行われた際にも、同条を削除すべきとの意見があったが、結果的に見送られている。
平成二十三年の時点において、懲戒権を定める民法第八百二十二条を削除しなかった理由を示されたい。また、そのような判断が妥当であったのか、政府の見解を示されたい。
三 今回新設される民法第八百二十一条には、親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならないとされている。
この内容は子どもの利益につながるものであり、大変意義があると考えるが、法改正の実効性を高めるためには、まず、国民が禁止される内容を正しく把握しなくてはならない。
そこで、具体的にどのような言動が禁止されるのか明らかにされたい。また、許される「しつけ」と許されない「体罰」との区別を具体的に明らかにされたい。
四 今回の改正で体罰が禁止されることになるが、この禁止規定に違反した場合のペナルティはどのようになるのか。体罰の禁止に違反した場合の法的効果やその後の支援・保護の施策について、政府の見解を示されたい。
五 厚生労働省の令和二年度子ども・子育て支援推進調査研究事業による「体罰等によらない子育ての推進に向けた実態把握に関する調査 事業報告書」(株式会社キャンサースキャン)では、国民の約四割が、体罰が場合によっては必要だと考え、十八歳以下の子どもの養育者のうち三割超が、過去六か月以内に体罰を行ったとされる。国民の意識改革が必要と思わせる数字である。
法改正を行っただけでは、なかなか意識の変化までは起こらないと考えるが、意識の変化を惹起するためにどのような周知をしていくのか。政府の方針を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
児童虐待の相談対応件数の増加の背景には様々な要因が影響すると考えられることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、児童虐待に対する国民の意識の向上、関係機関からの通告の増加等の要因があるものと考えられる。
二について
平成二十三年の民法改正の際に、民法等の一部を改正する法律(令和四年法律第百二号)による改正前の民法(明治二十九年法律第八十九号。以下「改正前民法」という。)第八百二十二条の規定が削除されなかった理由は、当該規定を削除することによる社会的な影響に対する懸念等を総合的に勘案したことによるものであると認識している。
御指摘の判断については、当時の社会情勢等を踏まえた妥当なものであったと認識している。
三について
いかなる行為が、御指摘の民法等の一部を改正する法律による改正後の民法(以下「新民法」という。)第八百二十一条に定める「子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動」に該当するかは、個別の事案における具体的な事情を踏まえて判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。
また、お尋ねの「許される「しつけ」と許されない「体罰」との区別」については、当該行為の態様のほか、子の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的、時間的状況等を総合的に考慮して個別具体的に判断する必要があることから、一概にお答えすることは困難であるが、例えば、子を殴るといった行為は、「許されない「体罰」」に該当するものと考えられる。
四について
親権を行う者が御指摘の新民法第八百二十一条に定める「体罰」に該当する行為をしたときは、当該親権を行う者に係る親権喪失又は親権停止の審判において考慮される事情の一つになり得るほか、当該親権を行う者が子に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を負う場合がある。
また、お尋ねの「支援・保護の施策」については、児童相談所等において、子どもや保護者等に対する養育に関する相談援助を行うほか、子どもの安全確保のため必要と認められる場合には子どもの一時保護を行うことや、児童養護施設への入所措置をとること等により、保護者やその子どもへの支援を行うこととしているところである。
五について
懲戒権に関する改正前民法第八百二十二条の規定の削除及び子の人格の尊重等に関する新民法第八百二十一条の規定の新設については、法改正の内容や趣旨を広く国民に周知するため、例えば、パンフレットを作成するなどして、分かりやすい広報に努めてまいりたい。
また、体罰等によらない子育てを推進するため、令和二年に厚生労働省が取りまとめた「体罰等によらない子育てのために」の内容についても、引き続き周知啓発を行ってまいりたい。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。