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介護職員等の賃金引上げ額が最低賃金の引上げ額にも届いていないことに関する質問主意書
参議院 第212回 第47号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
政府は、令和五年十一月十日に閣議決定された令和五年度補正予算案(以下「補正予算」という。)の中で介護職員等の賃金を月額六千円引き上げることとしている。
一方、今年度の最低賃金の引上げ額は全国の加重平均で時給四十三円となった。
一日の労働時間を八時間、一箇月の労働日数を土日が休日で祝日のない月二十一日とした場合、この月の労働時間は百六十八時間になるが、この労働時間で最低賃金により勤務した場合の賃金を算出すると、最低賃金が四十三円引き上がったことによる賃金の増加額は月額七千二百二十四円になる。
つまり、今回政府が行おうとしている介護職員等の賃金引上げ額月額六千円は最低賃金の引上げ額にも届いていない。
そもそも、介護報酬は通常三年ごとに改定され、毎年行われる最低賃金の引上げや現下のような急激な物価の高騰に対応できる仕組みになっておらず、介護職員等の賃金引上げは各事業所の自助努力に委ねられている。
もちろん、最低賃金が引き上げられたからといって、最低賃金以上の賃金を支給している事業所が賃金の引上げを行う必要があるわけではないので、最低賃金の引上げ額と同等にする必要はないことは理解しつつも、経済対策として行われる介護職員等の賃金引上げ額が月額六千円では全く不十分であると考える。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 今回の補正予算における介護職員等の賃金引上げ額を決めるに当たって、現下の物価上昇や今年度の最低賃金の引上げは考慮されているのか。最低賃金の引上げ額にも届かない月額六千円とした根拠を示されたい。
二 介護報酬の改定が三年ごとに行われており、現下のような物価の高騰や毎年の最低賃金の引上げに適時に対応できる仕組みになっていない。三年ごとの介護報酬の改定を待たずに物価や賃金の上昇に合わせて適時に介護職員等の賃金が引き上がる仕組みを作る必要があると考えるが所見を伺う。
三 介護報酬における既存の介護職員処遇改善加算等の加算は、事業所から申請を行い、実績の報告が必要となる等、事業者の事務負担が過大である。事業者の事務負担軽減のためにも、介護職員処遇改善加算等の加算部分ではなく、そもそもの介護報酬の基本報酬部分を大幅に引き上げることが必要だと考えるが所見を伺う。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「今回の補正予算における介護職員等の賃金引上げ額」については、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和五年十一月二日閣議決定)において、「医療・介護・障害福祉分野においては、二千二十四年度の医療・介護・障害福祉サービス等報酬の同時改定での対応を見据えつつ、喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講ずる」とされており、これを踏まえ、御指摘の「現下の物価上昇」への対応や、「最低賃金の引上げ」が行われている状況の中での労使交渉の結果について日本労働組合総連合会が集計し、公表している「二千二十三春季生活闘争第七回(最終)回答集計結果」における全産業平均の賃上げに対し、介護業界の賃上げが相対的に低い状況であったことへの対応として、介護職員を対象に、介護職員一人当たりの収入の二パーセント程度に相当する賃上げとして、月額平均六千円相当引き上げるための措置を講ずることとしたものである。
二について
御指摘の「三年ごとの介護報酬の改定を待たずに物価や賃金の上昇に合わせて適時に介護職員等の賃金が引き上がる仕組み」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、介護報酬については、原則として三年に一度改定を行っているところであるが、御指摘の「適時」の「物価や賃金の上昇」への対応としては、重点支援地方交付金による支援を行い、また、一についてでお答えした措置を講ずることとしているところであり、引き続き、適切に対応してまいりたい。
三について
御指摘の「介護報酬における既存の介護職員処遇改善加算等の加算」については、平成二十九年三月三十一日の衆議院厚生労働委員会において、馬場厚生労働大臣政務官(当時)が「本体報酬の引き上げは、必ずしも全て介護職員の賃金に、引き上げに充てられるわけではありませんが、処遇改善加算は、加算の形にすることで、その算定額を賃金引き上げに充てることを担保しているものであり、処遇改善加算の実施によって介護職員の着実な処遇改善に努めていくという趣旨でございます」と述べているとおり、介護職員の処遇改善に重要なものであると考えている。その上で、令和六年度介護報酬改定については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二三」(令和五年六月十六日閣議決定)において、「次期診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」とされており、これを踏まえ、必要な対応を行ってまいりたい。