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半導体助成金に関する質問主意書
参議院 第213回 第107号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×5承知していない ×1
質問本文
令和三年十二月二十日に、日本政府は特定半導体生産施設整備等計画(以下「本計画」という。)に対して補正予算を計上した。
Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd(以下「TSMC」という。)とその子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社(以下「JASM」という。)が補助金の申請書を経産省に提出し、令和四年六月十七日、当時の経産大臣によってJASMに対する四千七百六十億円の助成が、国会承認も経ずに決定し、既に助成金の一部分がJASMへ支給された。
一方で、アメリカ合衆国(以下「アメリカ」という。)において、政府から企業に対して大きな額の助成金を拠出する場合においては、国庫から拠出される血税が権力者の一存で偏った企業に流れないように民主主義的な手続きが取られている。
アメリカでは、「CHIPS and Science Act」(以下「CHIPS法」という。)の下で、商務省が企業から助成金の申請を受け、三十億ドルを超える助成金事業計画の場合には、まずは企業が商務省と契約を結び、その事業がアメリカ社会に貢献するかどうか検討を重ねたのちに商務省の承認を経て議会で決議を取るという手続きを踏む。特に、国家安全保障及び経済競争力に関する半導体の国内供給に関する国内生産の増加については、商務長官、国防長官、国家情報長官と協議をしたうえで、当該プロジェクトが必要だということを大統領に提案する。
それをもって、当該プロジェクトが国家安全保障のニーズを満たすか否かを大統領が議会に対して報告・証明し、これが満たされた場合に企業への補助金が認められる。
日米間においての助成金拠出の違いをもとに以下質問する。
一 日本政府が助成金を拠出する事業計画において、今回、TSMC及びJASMに拠出する金額は四千七百六十億円と巨額である。それにもかかわらず、議会での決議も取らず、企業との契約もなし、首相が議会に対して報告・証明することもなく、国民に対する情報開示も十分でないままに裏金問題で名前の挙がった元経産大臣の一存で一外国の私企業に決定したのは手続き上おかしいのではないか。これは、大臣という立場で得られる公権力を濫用した横領に等しいのではないか。
二 米国では企業に助成金を申請する際には、商務省と企業の間で予備的覚書を締結する。その後、包括的なデューデリジェンスに移行し、申請書に記載された内容を精査するのに、外部アドバイザー、専門家、弁護士による検証を求めることもある。日本では、専門家によるJASM工場事業計画のデューデリジェンスは存在するのか。また、それが国民に公開されているのか。
三 前記二に関連して、米国の助成金は手続き上、申請企業のデューデリジェンスが完了したのちに、予備的覚書が締結される。商務省がCHIPS法の下で補助金額が一千万ドルを超える場合には、議会へ通知を行うことになっている。商務省の幹部で構成される取引審査委員会が最終申請を承認した場合、最終的な助成金支給条件を固める手続きを取っている。
助成金支給条件決定後、商務省が申請企業と条件概要書(long form term sheet)を締結する。日本政府は助成金を申請する企業に対して、助成金を支給する際の条件を決めた契約書を締結しているのか。政府見解を示されたい。
四 日本政府がこれまでTSMC及びJASMに対して認定した助成金の総額は、一兆二千八十億円である。5G促進法に基づいて企業が助成金申請を行い、経産大臣より認定をされれば、認定事業者は政府に事業計画を提出しているものの、政府は認定企業と契約も結ばず、国民には詳細を知らせず数ページの計画概要が公表されるのみである。
事業者から助成金申請の際に提出され経産省から承認された計画書の内容を国会議員や国民に公開しない理由は何故なのか。また開示請求に応じないのは国民の知る権利を侵害する行為ではないか。政府見解を示されたい。
五 前記四に関連して、政府は、本政策の目的が安定供給のための助成金だとしているが、マラケシュ協定を理由に「国内優先供給を原則禁止」する立場を取っているため、国内企業に対する優先供給する義務を課していないとしている。国際約束を果たす義務があるなかで、一兆二千八十億円もの巨額の金を国内優先供給できない事業に流すのは不適切ではないか。政府見解を示されたい。
六 二〇二一年五月に、NEDOのハイパワーコンピュータ向け半導体技術の公募について、最大助成額百八十九億円でTSMCが採択された。委託先企業がある場合は委託元と委託先の契約の締結を求め、契約書について、執行機関であるNEDOが検査の際に確認を行っている。
支援のなかで、TSMCの再委託先の公表はイビデンと産総研の二社のみに留まり、その他の再委託企業や再々委託企業を公表しない理由は何か。また、委託元と委託先の契約内容について対外的に公表されていない理由は何か。
七 台湾においてTSMCは、二〇二〇年時点で年間七千万トンの水を汲み上げているため、それが台湾の深刻な水不足の原因だと指摘されている。TSMCの工場拡張計画がそのまま進むことによって二〇二七年までに年間約一・五億トンの水を消費すると指摘されている。世帯にしておおよそ百四十万世帯分の水を消費することになる。
また、台湾でのTSMCの電力消費量は百九十二億キロワットアワーと台湾の総電力需要の六%、工場拡張計画が進めば二〇二八年までに年間四百五十億キロワットアワーと台湾の総電力需要の十三%を消費すると指摘されたことがある。
ところが、台湾の水不足、電力不足の関係からTSMCの当初予定していた台湾国内の工場建設計画が変更され、予定していた工場が日本で建設される流れとなっている。
日本政府は、JASM第一工場及び第二工場の水の汲み上げ量、工場排水の排出量、電力使用量を把握しているのか。TSMCの莫大な水の汲み上げ量、電力消費量は地元住民の生活に深刻な影響を及ぼす可能性があるにもかかわらず、その情報を公開しない理由は何か。
八 前記七に関連して、今後、TSMCあるいはJASMが日本国内で工場建設計画を政府へ提出する際に、水の汲み上げ量、工業廃水の排出量、電力使用量の開示を義務付けるべきだと考えられるが政府見解を示されたい。
九 前記七に関連して、日本の地下水は有限の国民資産である。大企業の水の乱用による水の枯渇や工業廃水による環境破壊を防ぐためには、地下水の汲み上げ量に応じて課税、また、工業廃水排出量に応じて課税するのが望ましい。増税を含む国民負担を引き上げ続ける政府が、大企業を優遇して、取水と排水に対する課税を行わないのは何故か。将来的に課税を検討しているのか。政府見解を示されたい。
十 TSMC及びJASMが工場計画を申請する際、環境に対する影響についての検査、調査を受けて詳細を県に報告しているのか。
また、JASM工場を訪問した人物によると、工場内は迷路のように設計されており、通常の半導体工場とは異なるとの指摘がある。TSMC及びJASMは、工場内部設計の詳細情報を熊本県、あるいは日本政府に届出を行っているのか。情報を公開しない理由は何か。
十一 日本政府はTSMC及びJASMに対して莫大な血税を注いでいるが、日本にどのような社会貢献をするのか条件が契約されているのか。十年間の継続生産義務が課せられているが、供給義務は課せられていないのは政策として不完全ではないか。
また、サプライチェーンを含む間接材料についても国内企業から五十%以上調達することが条件として挙がっているが、「日本に所在する外資企業を含む」とされている。そのため、日経新聞によると、TSMCの台湾サプライヤーが五百社以上日本に来ると報道されている。TSMC及びJASMが日本で巨大な工場を建設したとしても、日本の地元企業の事業を奪い、倒産させる結果となれば、日本における半導体サプライチェーンは壊滅的な打撃を受ける。
日本政府は、そこまで想定をしているのか。政府見解を示されたい。
十二 政府は、一兆二千八十億円に上る血税をTSMCとその子会社にのみ贈与することをなぜ決定したのか。優遇した理由を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の「手続き」を定めている特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(令和二年法律第三十七号。以下「法」という。)は、第二百七回臨時国会において、審議され、成立したものであるが、お尋ねについては、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(以下「TSMC」という。)及びJapan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社(以下「JASM」という。)から提出された法第十一条第一項に規定する特定半導体生産施設整備等計画(以下「特定半導体生産施設整備等計画」という。)に対して、経済産業大臣において、同条第三項の規定に基づく認定(以下「認定」という。)を行ったものであり、「国民に対する情報開示も十分でないままに・・・元経産大臣の一存で・・・決定したのは手続き上おかしい」及び「大臣という立場で得られる公権力を濫用した横領に等しい」との御指摘は当たらないものと考えている。
二について
御指摘の「専門家による・・・デューデリジェンス」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねにお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、事業者から提出された特定半導体生産施設整備等計画については、先の答弁書(令和六年三月十五日内閣参質二一三第六四号。以下「第六四号答弁書」という。)一の7についてでお答えしたとおり、経済産業大臣において、法第十一条第三項各号に掲げる要件を満たすものであると認めるときは、認定を行うものであり、その上で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法(平成十四年法律第百四十五号)第十六条の四第一項に規定する特定半導体基金に係る事業については、行政事業レビューの枠組みの下で、経済産業省において、執行状況等を継続的に把握し、厳格な点検に取り組んでいるところである。
また、TSMC及びJASMから提出された特定半導体生産施設整備等計画については、これが法第六条第一項の規定に基づき定められた特定高度情報通信技術活用システムの開発供給等の促進に関する指針(令和二年総務省・財務省・経済産業省告示第一号。以下「指針」という。)に適合していることを含め、経済産業省のウェブサイトにおいて当該特定半導体生産施設整備等計画の概要を公開している。
三について
認定を受けた者(以下「認定事業者」という。)は、法第十一条第三項各号に掲げる要件を満たすことを始め、法の規定を遵守する必要があり、先の答弁書(令和六年三月五日内閣参質二一三第四六号。以下「第四六号答弁書」という。)五についてでお答えしたとおり、認定事業者が認定に係る特定半導体生産施設整備等計画に従って法第二条第五項に規定する特定半導体生産施設整備等を実施していない、又は法第十一条第三項各号のいずれかに適合しないものとなったと認められるときは、経済産業大臣は、法第十二条第二項及び第三項の規定に基づき、当該特定半導体生産施設整備等計画の変更を指示し、又は当該認定を取り消すことができるとされており、これを踏まえ、助成金の交付を受けた認定事業者に対して当該認定に基づく助成金の返還を請求することが必要な場合においては、当該助成金の交付に係る業務を行う国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構において、特定半導体基金事業費助成金交付規程(令和四年四月三十日付け国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構作成)に基づき、請求する返還額については経済産業省からの指示に従い、適切に対応していくものと承知している。このように、認定事業者が特定半導体生産施設整備等計画に基づき事業を進めるに当たって、認定事業者は法の規定を遵守する必要があり、そもそも政府と認定事業者はお互いに契約の相手方となる関係とはされておらず、双方が契約を締結することは想定されない。
四について
御指摘の「開示請求に応じない」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、事業者から提出された特定半導体生産施設整備等計画の内容については、当該特定半導体生産施設整備等計画に基づき生産を行う半導体の種類や事業の実施期間といった、経済産業省関係特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律施行規則(令和二年経済産業省令第六十八号。以下「省令」という。)第十一条第三項の規定に基づき経済産業省のウェブサイトにおいて公表する情報を除き、公にすることにより、当該事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第五条第二号イに該当すると考えられることを踏まえ、当該公表情報を除く当該内容を明らかにすることは差し控えることとしており、このことが御指摘の「国民の知る権利を侵害する行為」に当たるとは考えていない。
五について
お尋ねについては、第四六号答弁書五についてでお答えしたとおりである。
六について
御指摘の「NEDOのハイパワーコンピュータ向け半導体技術の公募」とは、令和三年五月三十一日に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が、TSMCジャパン3DIC研究開発センター株式会社をその採択先とすることを公表した公募事業を指すものと考えられるところ、当該事業は助成事業であることから、御指摘の「委託先」とは助成先を、また、御指摘の「再委託先」とはポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業費助成金交付規程(令和二年十二月十七日付け国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構作成)第九条第一項第五号に規定する委託先又は共同研究先を、それぞれ指すものと考えられるが、同機構において、現時点において、同号に規定する委託先又は共同研究先として認めているのはイビデン株式会社及び国立研究開発法人産業技術総合研究所のみであり、また、お尋ねの「再々委託」については行われていないものと承知している。
また、御指摘の「契約内容」については、これを公にすることにより、御指摘の「委託元と委託先」の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)第五条第二号イに該当すると考えられることを踏まえ、同機構において、これを公表することは差し控えているものと承知している。
七から九までについて
地下水の取水については工業用水法(昭和三十一年法律第百四十六号)や建築物用地下水の採取の規制に関する法律(昭和三十七年法律第百号)による規制等を、排水については水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)による規制等を、それぞれ実施し、御指摘の「大企業の水の乱用による水の枯渇や工業廃水による環境破壊」の防止を図ることとされており、また、法においては認定事業者に対して御指摘の「水の汲み上げ量、工場排水の排出量、電力使用量」に関する申請又は報告を求めていないことから、政府としては、お尋ねの「JASM第一工場及び第二工場の水の汲み上げ量、工場排水の排水量、電気使用量」について御指摘の「把握」及び「公開」は行っておらず、また、御指摘のような「課税」についても検討を行っていない。
また、「今後、TSMCあるいはJASMが日本国内で工場建設計画を政府へ提出する際に、水の汲み上げ量、工業廃水の排水量、電力使用量の開示を義務付けるべき」との御指摘については、全国的な水環境の動向や企業への影響等の要素を総合的に勘案して必要な措置の在り方の検討を行っていくことが重要であると考えており、御指摘の「義務付け」の要否については、予断をもって見解を示すことは差し控えたいが、いずれにせよ、御指摘も参考にしつつ、引き続き、不断の検討を行いながら、半導体関連産業に対する支援に積極的に取り組んでいく所存である。
なお、法第十一条第三項第一号において、特定半導体生産施設整備等計画が指針に適合することをその認定の要件としているところ、指針第四の一の8において、国内関係法令を遵守することを求めていることから、法令に基づいて公表が必要な事項については、TSMC及びJASMにおいて適切に公表していくものと承知している。
十について
御指摘の「環境に対する影響についての検査、調査を受けて」の具体的に意味するところが明らかではないが、いずれにせよ、お尋ねの「詳細を県に報告しているのか」については、政府として承知していない。
また、御指摘の「工場内部設計の詳細情報」については、経済産業省においては、事業者から特定半導体生産施設整備等計画が提出された場合には、省令第九条第一項に規定する様式第十三に基づき、導入予定の設備のリスト及び設備の配置図の提出を求め、その内容を確認している。
なお、事業者から提出された特定半導体生産施設整備等計画の内容については、省令第十一条第三項の規定に基づき同省のウェブサイトにおいて公表する情報を除き、これを公にすることにより、当該事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第五条第二号イに該当すると考えられることを踏まえ、当該公表情報を除く当該内容を明らかにすることは差し控えることとしている。
十一について
御指摘の「社会貢献」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「契約されているのか」については、先の答弁書(令和六年三月二十九日内閣参質二一三第七六号)三についてでお答えしたとおりである。また、お尋ねの「十年間の継続生産義務が課せられているが、供給義務は課せられていないのは政策として不完全ではないか」については、第四六号答弁書五についてでお答えしたとおりである。
また、御指摘の「TSMC及びJASMが日本で巨大な工場を建設したとしても、日本の地元企業の事業を奪い、倒産させる結果となれば、日本における半導体サプライチェーンは壊滅的な打撃を受ける。日本政府は、そこまで想定をしているのか」については、第六四号答弁書一の1及び6についてでお答えしたとおり、我が国において特定半導体(法第二条第四項に規定する特定半導体をいう。)の生産施設等が整備され、生産が行われることは、半導体製造装置や半導体材料等の関連産業の集積、人材育成等を通じて、我が国における半導体関連技術の向上や半導体関連産業の発展に資するものであると考えており、政府として、御指摘のような事態は想定していない。
なお、第六四号答弁書一の1及び6についてでお答えしたとおり、TSMCの熊本への進出が、九州地方及び我が国における情報通信機械に関連する産業に大きな経済波及効果等をもたらしているものと認識している。
十二について
御指摘の「TSMCとその子会社にのみ」、「贈与する」及び「優遇」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、第六四号答弁書一の4についてでお答えしたとおりである。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×5承知していない ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。