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投票時間繰上げの基準と公職選挙法第四十条の解釈に関する質問主意書
参議院 第215回 第1号趣旨が明らかではない ×3
質問本文
総務省によると、令和六年十月二十七日投開票の第五十回衆議院議員総選挙では、全国の約四割の投票所が法定の午後八時よりも早く投票を締め切ったという。この内容が令和六年十月二十七日の読売新聞(オンライン版)で報じられると、ネット上では「「八時までならギリギリ間に合う」と予定していた人の投票権を奪うのはおかしい」、「これはアウトだ。経費節減のために投票所を閉鎖することが許されるなら、民主主義の根幹を揺るがす暴挙だ」といった批判が巻き起こった。
同記事によれば、栃木県では全ての投票所が午後七時までに閉鎖され、茨城県や福島県でも同様の措置が採られているという。また、各地の選挙管理委員会によるアンケートや説明によれば、投票立会人の確保が難しいことや、職員の時間外手当の削減が繰上げの背景にあるとされている。
この点、公職選挙法第四十条は、投票時間の繰上げを「選挙人の投票の便宜のため必要がある」又は「選挙人の投票に支障を来さない」と認められる特別の事情がある場合に限ると規定している。しかし、アンケート結果から見える繰上げ理由は、「投票立会人の確保」や「職員の時間外手当の削減」といった行政側の都合が中心であり、法の趣旨に沿った運用がなされていないという強い懸念がある。
投票時間の繰上げによって、本来投票できたはずの有権者が投票の機会を失う恐れがある。この状況を放置することは、有権者一人一人の選挙への参加権を軽視するものであり、民主主義の基盤である「平等な投票機会の確保」という原則を大きく損なうものである。選挙は、全ての有権者が公平に参加できることが大前提であり、行政側の都合を優先して繰上げを行うことは、選挙制度への信頼をも揺るがす懸念がある。
以上を踏まえ、以下質問する。
一 報道によると、各地の選挙管理委員会のアンケート結果では、投票時間繰上げの理由として「投票立会人の確保」や「職員の時間外手当の削減」といった行政側の事情が挙げられている。このような運用がある可能性について、政府はどのようにして公職選挙法の趣旨に照らして適切であるか確認しているのか。また、適切な運用を確保するために、実態調査を行うべきではないか。政府の見解を示されたい。
二 公職選挙法第四十条では、投票時間の繰上げが認められるのは「選挙人の投票の便宜のため」または「投票に支障を来さないと認められる特別の事情」がある場合に限るとされている。この「特別の事情」とは具体的にどのような状況を指すものと解釈されるか。政府の見解を示されたい。
三 投票時間の繰上げによって、実際に投票できなかった有権者が存在する可能性があるが、こうした影響を最小限に抑えるために、政府として具体的にどのような対策を講じているか。また、今後、選挙管理委員会に対して投票機会を最大限に確保するよう指導する考えはあるか。
四 政府は、「選挙投票所の閉鎖時刻に関する質問主意書」(第二百四回国会質問第七四号)に対する答弁書(内閣参質二〇四第七四号)で「総務省においては(中略)十分な検討を行い適切に対応するよう、都道府県の選挙管理委員会を通じて市町村の選挙管理委員会に助言してきている」と答弁しているが、その「助言」とは具体的に何を指すのか。選挙管理委員会が法の趣旨を理解し、「選挙人の便宜」を守るための具体的な指示や指導はあったのか。総務省の助言が、実際の現場における具体的な対応につながったのかも含めて示されたい。単なる指針の提示ではなく、各市町村の選挙管理委員会がどのように改善すべきかを示した具体的な内容と、その成果を明らかにされたい。
五 期日前投票の利用が促されているが、こうした情報が全ての有権者に適切に周知されているか、政府はどのように確認しているのか。また、期日前投票の利便性を高めるために、更なる施策を講じる考えはあるか。具体的な対応策について示されたい。
六 投票時間の繰上げの実施状況には地域によって大きな差が見られるが、このような地域間格差が選挙の公平性に影響を及ぼす可能性について、政府はどのように考えているのか。また、地域ごとの判断に任せるだけでなく、国として統一的な基準を設ける考えはあるか。政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
投票所閉鎖時刻の繰上げについては、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号。以下「法」という。)第四十条第一項ただし書の規定により、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に限り、市町村の選挙管理委員会が行うことができることとされており、当該規定に基づき、市町村の選挙管理委員会が判断するものと考えている。
当該規定の適用については、市町村の選挙管理委員会において、その理由を選挙人に丁寧に説明するなど、適切に対応しているものと承知しており、また、総務省においては、都道府県の選挙管理委員会を通じて、当該規定の適用状況について把握していることから、実態調査を行うことは考えていない。
二について
法第四十条第一項ただし書の規定の適用に当たっては、選挙の行われる時季や地域の実情等を精査し十分な検討を行った上で、市町村の選挙管理委員会が判断するものと考えている。
三について
御指摘の「実際に投票できなかった有権者が存在する可能性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、投票所閉鎖時刻については、市町村の選挙管理委員会において、投票所入場券等を活用し、適切に周知しているものと承知しており、引き続き、市町村の選挙管理委員会に対し必要な助言を行ってまいりたい。
四について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、総務省においては、国政選挙及び統一地方選挙に際して、法第四十条第一項ただし書の規定の適用に当たっては、その理由を選挙人に説明するべきであること、また、投票所閉鎖時刻について選挙人に混乱が生じないよう、投票所入場券等の活用により、あらかじめ周知を行うべきであることを、都道府県の選挙管理委員会を通じて市町村の選挙管理委員会に助言してきているところであり、当該助言も踏まえ、市町村の選挙管理委員会において、適切に対応しているものと承知している。
五について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、期日前投票所に関する情報については、市町村の選挙管理委員会において、投票所入場券や各種広報媒体を活用し、適切に周知しているものと承知している。
また、期日前投票の利便性の向上については、市町村の選挙管理委員会においてショッピングセンター等の利便性の高い場所における期日前投票所の設置に積極的に取り組めるよう、令和五年度から、会場の借上費用等について特別交付税措置を講じているところであり、今後とも、利便性の高い場所における期日前投票所の設置を促進してまいりたい。
六について
法第四十条第一項ただし書の規定の適用に当たっては、選挙の行われる時季や地域の実情等を精査し十分な検討を行った上で、市町村の選挙管理委員会が判断するものと考えている。
総務省においては、これまでも当該規定の趣旨を踏まえ、十分な検討を行い適切に対応するよう、都道府県の選挙管理委員会を通じて市町村の選挙管理委員会に助言してきているところであり、今後とも様々な機会を活用し、市町村の選挙管理委員会に対し必要な助言を行ってまいりたい。