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今次参議院選挙における「出口調査」、および投票場の管理権等に関する質問主意書

衆議院 第143回 第2号

提出者
衆議院
提出日
1998年8月5日
内閣転送 1998年8月10日
答弁書受領日
1998年8月28日
提出から23日
答弁の項目数
9
質問 2,191字/答弁 1,419字

質問本文

公職の選挙は、公職選挙法に規定されるところであり、公正性を保障するため厳格ともいえる諸条件が付されており、その執行にあたっては国民有権者の疑念を惹起するようであってはならない。特に国政を担う衆参両議院の選挙においては強く要請される。

ところで、今次第十八回参議院議員通常選挙(平成十年七月十二日執行)において、政府要人は投票時間中にもかかわらず、選挙動向の大筋を掌握したと報じられている。これは、報道機関の行った「出口調査」なる調査情報が、報道の目的以外に意図的に流出した結果である。

「出口調査」なる調査情報を、投票時間中に知り得るとすれば、得票割合などが推測でき、その時間以後の投票人に対して票の割り振りなど恣意的な操作が可能となってしまい、よって、このような情報の流布が白日のもとに敢行されるならば、選挙の公正性は一挙に崩壊するであろう。

この度の政府要人の行動は、公正かつ静謐な中で行われなければならない公職選挙への冒涜であり、我が国の議会制民主主義への侮辱であって、看過できない。

また、「出口調査」は、名のとおり投票場出口が地理的要件であることから、投票場の管理権ならびに投票の秘密保護との関係においても問題があると考えられるため、以下、諸点について質問する。

一 内閣官房長官は、内閣の要として首相官邸にあっては最たる高官であり、いうまでもなく公人である。その日程は逐一管理把握されているところと考えるが、土曜日・日曜日を含むいわゆる休日の日程管理はどのような仕様となっているのか、明らかにされたい。

二 平成十年七月十二日(以下、日時はすべて平成十年である。)の村岡官房長官(以下「前官房長官」という。)の行動日程は、把握・保管されているか。されているのであれば、当日正午以降午後八時までの行動を明らかにされたい。

三 七月二十六日朝日新聞朝刊報道によれば、七月十二日夕方、前官房長官は竹下登元首相(以下「元首相」という。)邸を訪問したとあるが、事実か。また、滞在時間および同行・同席の者の氏名を明らかにされたい。

四 三の訪問の際、当日執行された参議院議員選挙の「出口調査結果」が供されたとのことであるが、その資料の名称は、これで正確か。および、その資料は単一か複数か、明らかにされたい。

五 四の資料の原本作成者は誰か。また、誰の手により複製されたものか。なお、三の記事によれば「政府関係機関や一部報道機関の」とあるが、事実か。事実ならば当該機関の名称を明らかにされたい。

六 四および五にいう資料は、前官房長官が元首相邸を訪問する前に、すでに入手していたものであるか、また、その入手先を明らかにされたい。また、その資料は現在も保管され、求めに応じて提示できるか。なお、このような資料は、官房長官が職務上必要とするものであるか、明らかにされたい。

七 公職選挙法に基づく投票場の借用に関して、借用期間中、投票場の管理権は誰に属するのか。その管理権が及ぶのは、投票箱が設置されるいわゆる会場のみか、あるいは、会場の属する建物全体か、更には敷地にも及ぶか。なお、その始期および終期はどうなるのか、明らかにされたい。

八 不在者投票においても「投票場」の概念はあるか。あるとすれば、七と同様の質問に対して、明らかにされたい。

九 投票場の入場は厳格に制限されている。ところで、党首の投票場面などを紙上で散見することがある。当然、記者(カメラマン)の入場が前提となるが、この入場許可は、如何なる規定に基づくものか、明らかにされたい。

十 投票時間の途中(例えば正午のニュース)に発表される「投票率」は、選挙人Aの、あるいはBの投票行為(投票をしたか、まだしていないかを含め)の調査集積に他ならないが、このような調査内容を投票時間中に公表するのは投票の秘密厳守に抵触するおそれはないのか。なお、この中間発表は、誰の要請によるものなのか、あるいは公職選挙法上の必要欠くべからざる行為なのか、明らかにされたい。

十一 投票の秘密は、投票されなかった被選挙人のあるいは政党の名誉を守り、また投票された被選挙人と政党においては後続の選挙人に無用の牽制あるいは抑制を働かせないためにも、投票時間中にあっては特別に厳守されなければならないといえる。選挙人といえども、自らの投票結果をみだりに他者に口外することは、投票の秘密を犯すことにならないか、明らかにされたい。

十二 現今の「出口調査」なる所為は、十一の観点から、投票の秘密を侵害するおそれはないのか。もし、この所為が是認・保護されているならば如何なる法理に基づくのか、明らかにされたい。

十三 いわゆる「出口調査」は、何人においても許容される所為なのか。民間人(団体)、政府関係者、報道関係者の間に差異はあるのか、明らかにされたい。

十四 報道機関の取材は、目的以外に漏洩しないことを条件に成立している。三の報道によれば、この条件から大きく逸脱していることになる。また「出口調査結果」なる資料を投票時間中に入手し、これをもって談じた政府要人の行為は、公職選挙法の精神に違背すると思われる。公職選挙法を所管する自治省はこのような行為に関し、調査ないし事情聴取、または対応策を検討する用意はあるのか、明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

内閣官房長官としての日程以外の日程については、必ずしも把握されているわけではないが、緊急時には、いつでも連絡を取ることが可能となっている。

二から六までについて

御質問の日程等については、内閣官房長官としての日程以外の日程等に関することであり、お答えすることはできない。

七について

投票所については、通常、小学校、公民館等の施設内に設けられるが、当該施設全体が公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)にいう投票所となるものではなく、選挙人名簿との対照、投票用紙の交付、投票の記載及びその投函がなされるまとまった区画のみがこれに該当するものである。当該投票所の管理については、その設置者である市町村の選挙管理委員会が行うものである。市町村の選挙管理委員会は、選挙の期日の前日及び当日に当該投票所を管理することが通例である。

なお、投票所内の秩序保持については、投票管理者が行うこととされている。

八について

不在者投票については、公職選挙法第四十九条において、不在者投票管理者の管理する投票を記載する場所において行うこととされており、当日投票とは異なり投票所という概念は存在しない。なお、「投票を記載する場所」は、市役所又は町村役場内の会議室等に設けられることが一般的である。

九について

投票所に出入りし得る者については、公職選挙法第五十八条において制限されているところであるが、当該規定は、第三者が投票所に出入りすることによる選挙人への心理的な圧迫の回避、投票の秘密保持、投票所の秩序保持等の観点から設けられているものである。撮影等のため報道関係者が投票所へ入場することについては、従来から、投票所の秩序が損なわれる等のおそれが生じない場合に、選挙報道の公共性にかんがみ、投票所内の秩序保持を行う投票管理者の判断によりこれを認めることも許容されると解しているところである。

十について

中間投票状況の公表は、公職選挙法第六条の規定の趣旨を踏まえ、選挙に関する情報提供の一環として、選挙管理機関が行っているものである。このように、個々の選挙人が具体的に投票したか否かではなく、全体の投票状況を公表することとしても、投票の秘密を侵すものではない。

十一について

投票の秘密に関しては、公職選挙法第五十二条において、何人も投票した被選挙人の氏名等を陳述する義務はないとされているが、選挙人が任意に自らの投票内容について言及することは制限されていない。

十二及び十三について

御質問の「出口調査」が、選挙報道のために報道機関が投票所外において選挙人に対する面接によりその投票内容を聴取する調査をいうとすれば、このようないわゆる「出口調査」は報道機関が選挙報道のための取材活動の一環として行っているものといえるが、公職選挙法においてこれを禁止する規定は存在しない。なお、国若しくは地方公共団体の公務員又は選挙事務関係者については、選挙人に対しその投票した被選挙人の氏名の表示を求めたときは、公職選挙法第二百二十六条第二項の規定により処罰される。

十四について

自治省は、公職選挙法に基づく選挙の執行に関連して御質問のような個々具体的な事案について調査等を行うべき権限を有していない。

なお、報道機関がいわゆる「出口調査」の結果を投票時間中に選挙人等に対して漏えいすることについては、公職選挙法において直接これを規制する規定は存在しない。

衆議院の原文

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