ことばで探す › 参議院 第217回
ねんきん定期便に記載されている老齢厚生年金額が実際の受給金額より少ない可能性等に関する質問主意書
参議院 第217回 第51号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
年に一度送付されるねんきん定期便に記載されている老齢厚生年金額について、当職で再現を試みたところ、その金額が実際より少ない可能性に至った。なお、以下の議論は、特に断らない限り、五十歳未満かつ総報酬制導入後の加入期間のみを有する人に送付されるねんきん定期便に関するものである。この点に関し、以下質問する。
一 ねんきん定期便に記載されている老齢厚生年金額は、厚生年金保険法第四十三条第一項に規定する年金額であり、具体的な計算式としては、((N年度の標準報酬月額及び標準賞与額)×(N年度の再評価率))×給付乗率〇・〇〇五四八一で求められる金額を、全ての加入期間について足し上げた金額(以下「本来水準年金額」という。)で相違ないか。
二 老齢厚生年金額については、平成十二年に、年金額算出に用いる係数を五%低下させることにより年金額を削減する法改正をした際、改正前の年金額を下回らないよう経過措置が講じられた。これにより、本来水準年金額と平成六年基準で計算した従前額(以下「従前額保障年金額」という。)のうち大きい方を老齢厚生年金額としているものと承知している。従前額保障年金額の方が大きい場合であっても、従前額保障年金額をねんきん定期便に記載しない理由を示されたい。
三 本来水準年金額の計算に用いる再評価率及び給付乗率〇・〇〇五四八一と、従前額保障年金額の計算に用いる再評価率、給付乗率〇・〇〇五七六九及び従前額改定率一・〇四一(令和六年度)を比較考量すると、二〇一七年度以降は全て、従前額保障年金額の方が大きい値になると承知している。換言すると、二〇一七年度以降初めて厚生年金に加入した二十代から三十代の現役世代に対しては、ねんきん定期便に本来水準年金額を記載していることで、老齢厚生年金額を実際よりも過少に示していると考えられる。従前額保障年金額が適用される人には、従前額保障年金額をねんきん定期便に記載すべきと考えるが政府の見解を示されたい。
四 ねんきん定期便に記載されている老齢厚生年金額には、経過的加算額は含まれていないということで相違ないか。また、ねんきん定期便に経過的加算額を記載していない理由を示されたい。
五 経過的加算額は、特に、二十歳未満又は六十歳以降に厚生年金に加入した場合に大きく増える(ただし、厚生年金加入期間が四百八十月を超えるときは、四百八十月を限度に計算する)。具体例を挙げれば、高校卒業後十八歳で就職して厚生年金に加入し、十代のうちに十八ヶ月厚生年金に加入した人は、令和六年度基準の定額部分単価千七百一円×十八、すなわち三万六百十八円の経過的加算額が生じると承知している。十代で厚生年金に加入した人の経過的加算額が比較的多いことを踏まえれば、五十歳以降に送付されるねんきん定期便と同様に、老齢厚生年金額に経過的加算額を記載すべきと考えるが政府の見解を示されたい。
六 二〇二三年度に適用された年金額改定では、実質賃金の上昇を受け、新規裁定者はプラス二・二%、既裁定者はプラス一・九%の改定となった。この場合、現役世代の年金額見込額の計算はプラス二・二%で改定されるのが原則であるところ、従前額保障年金額は物価上昇率で改定されるため、従前額保障年金額が適用されている現役世代の年金見込額はプラス一・九%の改定にとどまり、一部で混乱が生じた。国民、とりわけ現役世代における年金額改定への意識を高めるためにも、ねんきん定期便又はねんきんネット等に現在記載されている老齢厚生年金額が本来水準年金額と従前額保障年金額のいずれであるかを記載することを検討すべきと考えるが政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「五十歳未満かつ総報酬制導入後の加入期間のみを有する人に送付されるねんきん定期便」に関しては、御指摘のとおりである。
二及び三について
お尋ねの「五十歳未満かつ総報酬制導入後の加入期間のみを有する人に送付されるねんきん定期便」において、御指摘の「老齢厚生年金額」として「本来水準年金額」を記載し、「従前額保障年金額の方が大きい場合であっても、従前額保障年金額をねんきん定期便に記載しない理由」については、「五十歳未満」の人は年金の受給まで相応の期間があり、今後の経済状況等によっては「本来水準年金額」に変動が起こり、必ずしも将来にわたって御指摘のように「二〇一七年度以降は全て、従前額保障年金額の方が大きい値になる」及び「従前額保障年金額が適用される」とは限らず、また、年金給付に関する情報を分かりやすくお示しするよう、「ねんきん定期便」の「送付」までの厚生年金保険への加入による保険料の納付実績を基に単純に計算した「本来水準年金額」を示すことが適当であると考えているためであり、御指摘のように「従前額保障年金額をねんきん定期便に記載すべき」とは考えていない。
なお、「総報酬制導入後の加入期間」に加え、「総報酬制導入」前の「加入期間」を「有する人」の「老齢厚生年金額」は、一で御指摘の「厚生年金保険法第四十三条」の規定に加え、国民年金法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第十八号)附則第二十条及び第二十一条の規定により、「総報酬制導入」前の「加入期間」も勘案して、「本来水準年金額」に相当する額(以下「「本来水準年金額」相当額」という。)及び「従前額保障年金額」に相当する額(以下「「従前額保障年金額」相当額」という。)が計算されるところ、「五十歳未満」であって、「総報酬制導入後の加入期間」に加え、「総報酬制導入」前の「加入期間」を「有する人に送付されるねんきん定期便」においても、同様の考え方で、「本来水準年金額」相当額のみを記載している。
また、「五十歳」以上の「人に送付されるねんきん定期便」においては、年金の受給開始年齢に近く一般に相応の厚生年金保険への加入実績を有するため、老後の生活をイメージしやすいよう実態に即した形で「老齢厚生年金額」を示すことが適当であると考えており、「老齢厚生年金額」として、「ねんきん定期便」の「送付」前の厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第二十条第一項に規定する標準報酬月額で六十歳まで同じ条件で加入し続けたものと仮定して計算した「本来水準年金額」相当額及び「従前額保障年金額」相当額を比較した上で、大きい方の額を記載している。
四及び五について
お尋ねの「五十歳未満かつ総報酬制導入後の加入期間のみを有する人に送付されるねんきん定期便」においては、御指摘の「五十歳以降に送付されるねんきん定期便」の場合と異なり、御指摘のとおり「経過的加算額を記載していない」が、お尋ねのその「理由」としては、「五十歳未満」の人は年金の受給まで相応の期間があり、今後の加入状況によっては「経過的加算額」の計算結果に幅が生じ、現時点で正確な情報をお示しすることは困難であり、年金給付に関する情報を分かりやすくお示しするよう、「ねんきん定期便」の「送付」までの厚生年金保険への加入による保険料の納付実績を基に単純に計算した一で御指摘の「本来水準年金額」のみを示すことが適当であると考えているためであり、御指摘のように「経過的加算額を記載すべき」とは考えていない。なお、「五十歳未満」であって、「総報酬制導入後の加入期間」に加え、「総報酬制導入」前の「加入期間」を「有する人に送付されるねんきん定期便」においても、同様の考え方で、「本来水準年金額」相当額のみを記載している。
六について
御指摘の「ねんきん定期便又はねんきんネット等」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、「五十歳未満」の人の「ねんきん定期便又はねんきんネット」においては、二及び三についてで述べた「五十歳未満かつ総報酬制導入後の加入期間のみを有する人に送付されるねんきん定期便」に関する「理由」と同様、年金給付に関する情報を分かりやすくお示しするよう、厚生年金保険への加入による保険料の納付実績を基に単純に計算した「老齢厚生年金額」を示すことが適当であると考えており、「総報酬制導入後の加入期間のみを有する人」には「本来水準年金額」を、「総報酬制導入後の加入期間」に加え、「総報酬制導入」前の「加入期間」を「有する人」には「本来水準年金額」相当額を示すことが適当であると考えているため、御指摘のように「老齢厚生年金額が本来水準年金額と従前額保障年金額のいずれであるかを記載することを検討すべき」とは考えていない。
また、「五十歳」以上の人の「ねんきん定期便又はねんきんネット」においては、「本来水準年金額」相当額及び「従前額保障年金額」相当額を比較した上で、大きい方の額を「記載」しているが、年金給付に関する情報を分かりやすくお示しする観点からは、「老齢厚生年金額が本来水準年金額と従前額保障年金額のいずれであるかを記載することを検討すべき」とまでは考えていない。
いずれにせよ、「五十歳未満」であるか「五十歳」以上であるかにかかわらず、「ねんきん定期便又はねんきんネット」「に現在記載されている老齢厚生年金額が本来水準年金額と従前額保障年金額のいずれ」かになるということや、四及び五で御指摘の「経過的加算」等を含め、年金制度の仕組みについては、厚生労働省及び日本年金機構のホームページ並びに「ねんきんネット」も活用しながら、幅広い周知に努めてまいりたい。