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ねんきん定期便への事業主負担額記載の方針及び意思決定プロセスに関する質問主意書
参議院 第217回 第150号お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×3
質問本文
厚生年金保険料は被保険者と事業主が折半で負担しており、その負担構造は制度の根幹をなしている。しかし、これまで被保険者に送付されてきた「ねんきん定期便」には、被保険者本人の負担額しか明記されておらず、事業主が拠出する被保険者本人と同額の負担額については一切記載されてこなかった。
日本経済新聞は令和七年三月十六日、厚生労働省が令和七年度から「ねんきん定期便」に事業主負担額を明記する方針を固めたと報道した。これは制度の透明性を高め、被保険者が厚生年金保険の実態を正しく理解する上で評価されるべきである。
厚生年金保険料など事業主負担である法定福利費は、事業者にとって「見えにくい人件費」であり、間接的には労働者が得られたはずの所得(賃金原資)であるとも言える。その負担構造を労働者へ「見せない」設計は、制度の持続可能性に対する世代間・階層間の公平な議論を阻害するものであり、仮に「見せない」制度設計が意図的であったとすれば極めて不適切である。また、記載内容の意思決定プロセスがブラックボックス化している点も、政策に対する説明責任の観点から問題である。
このような問題意識を踏まえ、私が参議院総務委員会(令和七年三月二十五日)において、ねんきん定期便について質疑したところ、政府は「来月四月から発送するねんきん定期便におきましては、厚生年金保険料は被保険者と事業主が折半して負担することとされており、事業主も同額を負担する、している旨の説明を追記することとしております。」と答弁した(以下「政府答弁」という。)。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 ねんきん定期便への事業主負担額の記載について
1 政府答弁について、事業主が保険料を負担していることを明記することが制度の理解・信頼向上に資すると政府は判断したのか。その意図と狙いを明確に示されたい。
2 ねんきん定期便への追記事項について、事業主負担分の具体的な金額を明記しているか示されたい。明記していない場合、その理由を示されたい。
3 令和七年三月までの「ねんきん定期便」において、事業主が保険料を負担していることを明記していなかった理由について、費用、システム対応及び国民への影響の観点からどのような判断が下されていたか示されたい。
4 ねんきん定期便には被保険者負担額・事業主負担額を併記した上で、合計負担額を記載すべきと政府は考えるか示されたい。また、これを所得換算して視覚的に示すなどの工夫について検討しているか示されたい。
5 年金制度の財源構造が国民にとって分かりにくいことにより、国民の年金不信を生んでいるとの指摘について、政府の認識を示されたい。また、改善の必要性について政府の見解を示されたい。
二 ねんきん定期便の記載項目に係る意思決定プロセスについて
1 ねんきん定期便の記載項目はどのような手続を経て決定されているか。厚生労働省内の意思決定プロセス、日本年金機構の関与の有無及び関与がある場合の内容を示されたい。また、有識者の意見聴取の有無及び意見聴取がある場合の内容を示されたい。
2 今般の「事業主負担分記載」の方針について、正式な決定主体と、それに至る検討経緯(会議体、議事録、説明資料等)を示されたい。
3 ねんきん定期便の記載項目に関して、SNS上の指摘も含め外部からの要望や批判を受けたことはあるか示されたい。要望等があった場合、当該要望への対応について、具体例を挙げて全て示されたい。
4 今後の制度設計において、ねんきん定期便やマイナポータルを通じて、国民が負担と給付の構造を時系列で分かりやすく把握できるようなインターフェースの整備を行う考えがあるか示されたい。
質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
お尋ねについては、令和七年三月二十五日の参議院総務委員会において、政府参考人が「ねんきん定期便の事業主負担の記載に係る国民の皆様からの要望を踏まえ、来月四月から発送するねんきん定期便におきましては、厚生年金保険料は被保険者と事業主が折半して負担することとされており、事業主も同額を負担する、している旨の説明を追記することとしております。」と答弁しているところ、当該追記については、御指摘のように「制度の理解・信頼向上に資する」と考えたものである。
一の2及び4の前段について
お尋ねについては、一の1についてで述べたとおり、令和七年四月から発送するねんきん定期便においては、厚生年金保険料は被保険者と事業主が折半して負担し、事業主も被保険者と同額の保険料を負担している旨の説明を追記しているところ、当該追記により、御指摘の「事業主負担分の具体的な金額」についても分かるようになっていることから、現時点においては、当該金額を「明記して」おらず、かつ、御指摘のように「被保険者負担額・事業主負担額を併記した上で、合計負担額を記載すべき」とは考えていない。
一の3について
お尋ねについては、令和七年三月二十五日の参議院総務委員会において、政府参考人が「ねんきん定期便は被保険者の保険料納付の実績や将来の給付に関する情報を分かりやすくお知らせするためのことを目的としておりまして、限られた紙面のスペースの中で」記載事項を検討する必要性について答弁しているところ、当該記載事項については、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第三十一条の二の規定、厚生年金保険法施行規則(昭和二十九年厚生省令第三十七号)第十二条の二の規定等に基づき、時宜に応じて被保険者に対し通知すべき必要性の高さ等を総合的に勘案し、検討しており、御指摘の「令和七年三月までの「ねんきん定期便」」においては、「事業主が保険料を負担していること」を「明記」していなかったところである。
一の4の後段について
お尋ねの「所得換算して視覚的に示すなどの工夫」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
一の5について
お尋ねの「年金制度の財源構造が国民にとって分かりにくいことにより、国民の年金不信を生んでいる」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、年金制度については、厚生労働省ホームページ等において、年金給付の財源も含め公的年金の財政の仕組み等の周知を行っているところであり、引き続き、国民の理解が得られるよう取り組むとともに、必要に応じて、その改善を図ってまいりたい。
二の1について
御指摘の「ねんきん定期便の記載項目」については、一の3についてで述べたとおり、厚生年金保険法第三十一条の二の規定、厚生年金保険法施行規則第十二条の二の規定等に基づき、時宜に応じて被保険者に対し通知すべき必要性の高さ等を総合的に勘案し、検討した上で、「決定」しているものである。その上で、お尋ねの「厚生労働省内の意思決定プロセス」については、厚生労働省年金局が中心となって、関係部局と必要な調整等を行いながら、「意思決定」をしているものであり、また、お尋ねの「日本年金機構の関与」については、同省と日本年金機構との間で、当該「記載項目」の内容について調整を行っているものである。
また、個々の「決定」に際して、御指摘の「有識者の意見聴取」は行っていないが、ねんきん定期便により通知している情報の概要については、同機構が毎年度行う業務実績報告等により、社会保障審議会年金事業管理部会に報告がされているところである。
二の2について
お尋ねの「今般の「事業主負担分記載」の方針」についても、二の1についてで述べたとおりの過程により、調整を行い、決定したものである。
二の3について
御指摘のような「外部からの要望や批判」について様々なものがあることは承知しているが、御指摘の「ねんきん定期便の記載項目」については、これまでも様々な「要望や批判」を踏まえつつ、一の3についてで述べたとおり、時宜に応じて被保険者に対し通知すべき必要性の高さ等を総合的に勘案し、検討した上で、必要な見直し等の対応を行ってきたところ、お尋ねの「要望等があった場合、当該要望への対応について」個々にお答えすることは困難である。
二の4について
お尋ねの「国民が負担と給付の構造を時系列で分かりやすく把握できるようなインターフェースの整備」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、公的年金制度の被保険者は、ねんきん定期便及びマイナポータル等を通じたねんきんネットにより、保険料の納付実績及び将来の給付に関する情報が把握できるようになっているところである。