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社会保険料の事業主負担に関する政府見解の整合性に関する質問主意書

参議院 第217回 第29号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×1

提出者
参議院
提出日
2025年2月13日
内閣転送 2025年2月19日
答弁書受領日
2025年2月25日
提出から12日
答弁の項目数
2
質問 1,365字/答弁 2,117字

質問本文

厚生労働省は、社会保険料の労使折半における事業主負担分について、「働く人が安心して就労できる基盤を整備することが、働く人の健康の保持や労働生産性の増進を通じ、事業主の利益にも資するという観点から、事業主に求められているものであり、従業員に転嫁される性質のものとは言えない」と説明している。

しかし、経済学的観点からは、社会保険料の事業主負担が労働者の賃金水準や雇用環境に影響を及ぼす可能性が指摘されており、企業が負担増を理由に賃金を抑制したり、雇用形態を変更したりすることで、社会保険料の事業主負担分が間接的に労働者へ転嫁される可能性があると考えられる。

また、財務省が公表している「国民負担率」には事業主負担分の社会保険料も含まれているが、社会保険料の事業主負担分は「従業員に転嫁される性質のものとは言えない」とする厚生労働省の説明との間に論理的な整合性があるのか疑問が生じる。

以上を踏まえ、以下質問する。

一 社会保険料の事業主負担の経済的影響について

1 厚生労働省は、社会保険料の事業主負担分は「従業員に転嫁される性質のものとは言えない」としている。しかし、企業が社会保険料の負担を理由に賃金を抑制したり、非正規雇用労働者を多く雇用したりすることで社会保険料の事業主負担分を抑制するなど、間接的に労働者に影響を与えている可能性があることについて、政府はどのように認識しているか示されたい。

2 社会保険料の事業主負担分が賃金・雇用環境に与える影響について、過去に政府として調査や分析を行ったことがあるか示されたい。調査や分析を行ったことがある場合は、その結果を示されたい。

3 社会保険料の事業主負担が、労働者の雇用形態(正規・非正規雇用)に与える影響について政府の見解を示されたい。

二 国民負担率との整合性について

1 財務省が公表する「国民負担率」に事業主負担分の社会保険料が含まれていることは、社会保険料の事業主負担分は「従業員に転嫁される性質のものとは言えない」とする厚生労働省の説明と矛盾していると考えるが政府の見解を示されたい。

2 財務省が「国民負担率」を算出する際の「社会保険料」には事業主負担分も含まれる。一方、厚生労働省は社会保険料の事業主負担分について、「従業員に転嫁される性質のものとは言えない」と説明している。社会保険料の事業主負担について、政府内で統一した説明方針があるのか示されたい。統一した説明方針がある場合は、その方針を策定するに当たり参考にした資料及び根拠を示されたい。

三 社会保険料の事業主負担の位置付けについて

1 厚生労働省は、社会保険料の事業主負担分は「事業主の利益にも資する」と説明しているが、その具体的なエビデンス(調査・研究結果)はあるか示されたい。ある場合は、その内容を明示されたい。

2 社会保険料の事業主負担分が「従業員に転嫁される性質のものとは言えない」とする政府の見解が前提となる場合、社会保険料率の引上げが企業経営や雇用に与える影響について、政府の見解を示されたい。

質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一及び三について

御指摘の「賃金・雇用環境に与える影響」及び「政府として調査や分析を行った」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないため、それらの「調査や分析」について網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、御指摘の「社会保険料の事業主負担分」が「賃金」「に与える影響」に関しては、平成十七年度厚生労働科学研究費補助金による「税制と社会保障に関する研究」において行われた、「社会保険料の事業主負担は本当に労働者が負担しているのか?」があり、同研究の「まとめ」においては、「社会保険料の事業主負担が実際には労働者によって負担されているとする標準的な経済学の主張が果たして成立しているのか、海外における実証分析を中心に既存研究のサーベイを行った。その結果、賃金低下や雇用量減少といった形での労働者への帰着の程度は、国や制度によって相当異なっていることが確認された。結果がばらつく理由としては、実証分析方法の違いという要素もあるだろうが、それ以上に一)各国の労働市場の柔軟性の違い、二)各制度の便益に対する労働者の評価の違い、が大きな要因となっていることが考えられる。(中略)日本における実証分析の数は未だ少ないが、今後日本でも、労働者のグループ属性によって、また制度によって帰着の程度が異なりうる可能性を考慮した分析が要請される。事業主負担に変わる手段が雇用に及ぼす影響はどうなのか、といった観点も重要となろう。」とされている。また、御指摘の「事業主負担分」が「雇用環境に与える影響」に関しては、社会保険の適用拡大により、社会保険料の「事業主負担分」も発生するところ、例えば、令和五年五月十六日に独立行政法人労働政策研究・研修機構が「「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)及び「働き方に関するアンケート調査」(労働者Web調査)結果」(以下「調査結果」という)を発表しており、調査結果によると、「常用雇用者百一~五百人企業の適用拡大(二千二十二年十月~)への対応状況」について、「要件を満たす短時間労働者(対象者)」が「いる」と回答した企業の割合は七十七・六パーセントとなっており、そのうち、「厚生年金・健康保険の新たな適用に伴う対象者との調整方針」について、「できるだけ、適用する」、「どちらかといえば、適用する」、「中立(短時間労働者の意向にまかせる)」、「どちらかといえば、適用しない」又は「できるだけ、適用しない」と回答した割合は、それぞれ五十五・一パーセント、七・六パーセント、三十四・三パーセント、〇・三パーセント及び〇・五パーセントとなっており、「中立(短時間労働者の意向にまかせる)」、「どちらかといえば、適用しない」及び「できるだけ、適用しない」の合計の割合は、三十五・一パーセントであるところ、それらの企業のうち、「厚生年金・健康保険の新たな適用を回避した(する)理由」について、「人件費の増加につながるから」と回答した割合は十・〇パーセントであったと承知している。

また、厚生労働省の御指摘の「説明」に係るお尋ねの「具体的なエビデンス(調査・研究結果)」については、例えば、調査結果によると、「厚生年金・健康保険に加入できる条件の求人の受止め方」として、「厚生年金・健康保険に加入できる条件の求人の魅力度合い」について、「非常に魅力的だと思う」又は「どちらかといえば、魅力的だと思う」と回答した「短時間労働者」の割合は、それぞれ十五・五パーセント及び三十・二パーセントであり、その合計は四十五・七パーセントであった一方、「どちらかといえば、魅力的ではないと思う」又は「まったく魅力的ではないと思う」と回答した割合は、それぞれ十一・六パーセント及び八・五パーセントであり、その合計は二十・一パーセントであったとされていることが挙げられると考えている。

その上で、政府としては、御指摘の「間接的に労働者に影響を与えている可能性」については承知しているものの、これらの調査結果等を踏まえると、お尋ねの「労働者の雇用形態(正規・非正規雇用)に与える影響」及び「企業経営や雇用に与える影響」について、一概に評価することは困難であると考えている。

二について

国民負担率における負担については、令和五年四月二十四日の衆議院決算行政監視委員会第二分科会において、井上財務副大臣(当時)が、対国民所得比で算出される国民負担率に関し、「租税負担と社会保障負担の合計額が国民所得に占める比率のことを意味いたしますが、これらの公的負担は、家計のみならず、企業も負担しているところでございます」と答弁しているとおり、御指摘の「事業主負担分の社会保険料」は、企業の負担として国民負担率における負担に算入されているものであり、従業員に転嫁される性質のものとして算入されているものではなく、御指摘のように「矛盾している」とは考えていない。

その上で、「政府内で統一した説明方針があるのか示されたい」とのお尋ねについては、御指摘のように「矛盾している」ことを前提としていることから、お答えすることは困難である。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

件名の語が重なる質問主意書

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