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高市早苗内閣総理大臣による上野賢一郎厚生労働大臣への労働時間規制の緩和検討指示に関する質問主意書
参議院 第219回 第25号お答えすることは困難 ×1
質問本文
上野賢一郎厚生労働大臣は令和七年十月二十二日の就任後最初の記者会見で、高市早苗内閣総理大臣から、残業時間の上限を定めた労働時間規制の緩和検討の指示があったと明らかにした。一方で、高市内閣総理大臣が令和七年十月二十四日に行った所信表明演説では労働時間規制の緩和について言及はなかった。
平成三十一年四月に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(平成三十年法律第七十一号)が施行され、時間外労働の上限は、月四十五時間、年三百六十時間を原則とし、臨時的で特別な事情がある場合でも単月百時間未満、複数月平均八十時間以内、年七百二十時間を限度に設定されている。これは労働災害認定で業務と過労死等との関連性の評価に用いられる、いわゆる過労死ラインを基準に設けられたものである。
高市内閣総理大臣が自由民主党総裁に就任後、「私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てます」、「働いて働いて働いて働いて、働いてまいります」と発言したことを受けて、労働団体などから長時間労働是正の取組に逆行するのではないかと懸念の声が上がっている。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 高市内閣総理大臣による上野厚生労働大臣への労働時間規制の緩和検討指示について、具体的な内容を示されたい。
二 上野厚生労働大臣に対して検討を指示しながら、令和七年十月二十四日に行われた所信表明演説においては一言も触れなかった。他の政策よりも優先順位が低いため、又は、十月二十二日に行われた上野厚生労働大臣就任挨拶後、批判の声が多くなったため等が考えられるが、所信表明演説において言及しなかった理由を示されたい。
三 労働時間の規制が更に働きたい人の意欲を奪っているとして、労働時間の規制緩和を歓迎する声もある。更に働きたいと考えている人の大半は、賃金が安いから残業を増やして手取り収入を増やしたいと考えており、賃金が増えれば現状よりも働きたいとは思わないと考える。労働者が更に働きたいと考えている理由を政府は把握しているのか示されたい。把握している場合、その理由を示されたい。
四 時間外労働の上限は、過労死ラインを超えてはならないと考えるが、今後過労死ラインを超えることもあり得るか、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねについては、上野厚生労働大臣が令和七年十月二十二日の厚生労働大臣就任に当たっての記者会見において「総理からは、(中略)心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討を行うこと(中略)を進めるように指示がありました」と述べているとおりである。
二について
お尋ねについて、御指摘の所信表明演説の内容については、閣議で検討を行った上で、最終的に内閣として決定したものであり、御指摘の「指示」は、高市内閣総理大臣から上野厚生労働大臣に対して行われ、令和七年十月二十二日の記者会見において、同大臣が「労働基準関係法制の見直しについては、昨日の総理からの指示も踏まえて、今後、総点検の結果を精査しながら、審議会で議論を深めてまいりたいと考えています」と述べているとおり、今後、厚生労働省において、議論、検討が行われるものであり、両者は異なるものである。
三について
お尋ねについては、例えば、令和五年に厚生労働省がPwCコンサルティング合同会社に委託して実施した「労働時間制度等に関するアンケート調査」において、「あなたは残業時間(時間外勤務と休日勤務を合わせた時間)を減らしたいと考えていますか」との質問に対し、「減らしたい」、「やや減らしたい」、「このままでよい」、「やや増やしたい」又は「増やしたい」と回答した労働者の割合は、それぞれ十三・六パーセント、十二・四パーセント、六十三・一パーセント、六・一パーセント及び四・八パーセントとなっており、「増やしたい」及び「やや増やしたい」と回答した労働者の合計の割合は十・九パーセントであるところ、それらの労働者のうち、「残業時間を増やしたい理由は何ですか」との質問に対し、「残業代を増やしたいから」、「自分のペースで仕事をしたいから」、「業務を通じて知識や経験・スキルを高めたいから」、「仕事の完成度や業績をより高めたいから」又は「その他」と回答した労働者の割合は、それぞれ六十七・五パーセント、二十一・二パーセント、十三・八パーセント、十三・二パーセント及び〇・三パーセントとなっている。
四について
お尋ねについては、二についてで述べたとおり、令和七年十月二十二日の記者会見において、上野厚生労働大臣が「労働基準関係法制の見直しについては、昨日の総理からの指示も踏まえて、今後、総点検の結果を精査しながら、審議会で議論を深めてまいりたいと考えています」と述べているとおりであり、現時点で予断をもってお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、同日の記者会見において、同大臣が「労働時間規制については、様々な声があることは承知しています。誰もが働きやすい労働環境を実現していく必要性や、上限規制は過労死認定ラインであるということも踏まえて検討する必要があると考えています」と述べているところである。