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歯科医師国民健康保険組合の組合員の負担軽減に関する質問主意書
参議院 第221回 第100号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第十三条によれば、国民健康保険組合(以下「国保組合」という。)は、「同種の事業又は業務に従事する者で当該組合の地区内に住所を有するものを組合員として組織」される。また、同法第十八条によれば、具体的な保険料の算定方法は各国保組合の規約で定めることとされているため、保険料水準や運営方法は全国一律ではなく、国保組合ごとに差が生じ得る。
歯科医師に係る国保組合(以下「歯科医師国保組合」という。)は、主に都道府県を単位として設置、運営されている。例えば、千葉県歯科医師国保組合は、千葉県歯科医師会の会員である歯科医師とその医院に勤務する従業員を組合員とし、組合員の世帯に属する家族を合わせて被保険者として構成されている。同組合の保健事業実施計画書によれば、令和四年度末時点の被保険者数は合計一万八百四十六人であり、このうち第二種組合員、すなわち歯科医院の従業員は五千二百八十八人に上っている。
他方、法人の事業所や、一部の業種を除く常時五人以上の従業員を使用する個人事業所は、原則として健康保険及び厚生年金保険の適用事業所とされている。また、健康保険の適用除外となることで国保組合の被保険者となる場合の手続について、承認を要しない申出方式への見直しを行う健康保険法等の一部を改正する法律(令和八年法律第三十一号)が第二百二十一回国会で成立した。こうした中、歯科医院に勤務する従業員について、保険料負担の公平性及び納得感をどのように確保するかは重要な政策課題である。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 歯科医師国保組合ごとに保険料水準や運営方法に差が生じている理由について、政府の見解を示されたい。また、同種の業務に従事する従業員の間で地域又は勤務先により国保組合の保険料負担に差が生じる現状について、公平性の観点からどのように考えているか示されたい。
二 健康保険の適用除外により被用者保険ではなく歯科医師国保組合に加入している組合員の数について、歯科医師国保組合別に示されたい。把握していない場合、その理由を示されたい。
三 国保組合の保険料は、定額の要素が強い仕組みによって、低所得の組合員や家族を有する組合員ほど相対的に重い負担となり得ると考えるが、政府はその実態を把握しているか示されたい。また、国民健康保険料は応益分及び応能分を組み合わせることとされているが、国保組合の保険料は規約で算定方法を定めることとされている。組合員の保険料負担軽減の観点から、資産割又は所得割の比重を高めるなど、より報酬比例的な仕組みに見直すことは制度上可能であるか示されたい。可能である場合、その見直しを促す考えがあるか、政府の見解を示されたい。
四 健康保険の適用除外となっている歯科医院に勤務する従業員について、本人が全国健康保険協会等の被用者保険への加入を希望する場合に、その意思を反映できる制度に改める考えがあるか、政府の見解を示されたい。少なくとも、歯科医師国保組合への加入に当たり、事業主による説明義務、本人同意の確認及び不同意の場合の救済の仕組みを設けるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
五 政府は、歯科医師国保組合について、全国的な統合又は広域共同運営を行った場合の事務費削減効果、財政安定化効果及び保険料軽減効果を試算したことはあるか示されたい。試算したことがない場合、組合員の保険料負担軽減の観点から試算及び検討を行う考えがあるか、政府の見解を示されたい。あわせて、国民健康保険制度において、都道府県及び市町村を保険者とする市町村国保について保険料水準の統一や広域化が進められている中、歯科医師国保組合についても同様の観点から見直しを行う考えがあるか、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
国民健康保険組合(以下「組合」という。)については、令和元年五月十三日の参議院決算委員会において、根本厚生労働大臣(当時)が「昭和三十六年の皆保険の実現より前から同種同業の方々が自主的に組合を立ち上げられました。そして、連帯意識と相扶共済の精神に基づいて、自分たちの健康を守り、医療費を支え合うという役割を果たしてこられました。厚生労働省としても、国保組合の皆様には、このような非常に歴史的な経緯のある国保組合がたくさんあるわけですが、自主的な運営に基づく保険者機能を今後とも一層発揮していただきたいと期待をしております。円滑な事業運営を行うことができるように、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えています」と述べているところ、御指摘の各「歯科医師国保組合」が、円滑な事業運営を行うために、自主的な運営に基づく保険者機能を発揮した結果として、お尋ねのように「保険料水準や運営方法に差が生じている」ものと考えている。また、組合によって、被保険者の属性や所得水準、医療給付費等が異なる中で、御指摘のように「保険料負担に差が生じる」ことのみをもって、必ずしも「公平性の観点から」問題があるとは考えていない。
二について
「令和八年度予算関係等資料の作成について」(令和七年六月二十五日付け厚生労働省保険局国民健康保険課事務連絡)により調査した、令和七年三月三十一日時点のお尋ねの「歯科医師国保組合別」の「組合員の数」をお示しすると、次のとおりである。
北海道歯科医師国民健康保険組合 四千二百二十八人
宮城県歯科医師国民健康保険組合 二千二百七十三人
秋田県歯科医師国民健康保険組合 七百四十一人
山形県歯科医師国民健康保険組合 千三百五十五人
福島県歯科医師国民健康保険組合 千五十八人
茨城県歯科医師国民健康保険組合 千八百七十二人
全国歯科医師国民健康保険組合 二万三千五百十九人
群馬県歯科医師国民健康保険組合 千六百八十一人
埼玉県歯科医師国民健康保険組合 三千四百七十一人
千葉県歯科医師国民健康保険組合 四千八人
神奈川県歯科医師国民健康保険組合 六千九百六十四人
静岡県歯科医師国民健康保険組合 二千七百六十九人
愛知県歯科医師国民健康保険組合 八千六百五十四人
三重県歯科医師国民健康保険組合 千七百六十六人
大阪府歯科医師国民健康保険組合 八千八百八十四人
兵庫県歯科医師国民健康保険組合 五千百四十七人
奈良県歯科医師国民健康保険組合 千百七十五人
和歌山県歯科医師国民健康保険組合 三百十九人
広島県歯科医師国民健康保険組合 二千八百九十八人
愛媛県歯科医師国民健康保険組合 千百四十二人
福岡県歯科医師国民健康保険組合 五千五百十八人
佐賀県歯科医師国民健康保険組合 八百四十七人
長崎県歯科医師国民健康保険組合 千三百四十九人
熊本県歯科医師国民健康保険組合 千六百二十八人
大分県歯科医師国民健康保険組合 千二百十七人
宮崎県歯科医師国民健康保険組合 七百八十人
鹿児島県歯科医師国民健康保険組合 千六百九十九人
三について
前段のお尋ねについては、御指摘の「保険料」に係る「定額」の額や「応益分及び応能分」の組合せ等によっては、必ずしも「低所得の組合員や家族を有する組合員ほど相対的に重い負担」となるものではないが、いずれにせよ、御指摘のような「実態」について具体的に把握しているものではない。また、後段のお尋ねについては、組合が自主的な判断により、御指摘のように「より報酬比例的な仕組みに見直すことは制度上可能である」が、一についてで述べたとおり、組合が円滑な事業運営を行うために、自主的な運営に基づく保険者機能を発揮することが期待されることから、お尋ねのような「見直しを促す考え」はない。
四について
健康保険の適用対象となっている御指摘の「歯科医院に勤務する従業員」については、その「同意」を前提として申請が行われ、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第一項第八号の規定に基づき厚生労働大臣の承認を受けることにより、組合の被保険者となることができるという仕組みとなっていることから、お尋ねの「本人が全国健康保険協会等の被用者保険への加入を希望する場合に、その意思を反映できる制度に改める」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、「不同意の場合の救済」の意味するところも必ずしも明らかではないが、当該申請に当たっては、「事業主による説明」及び「本人同意の確認」が行われているものと承知しており、御指摘のような「仕組みを設けるべき」とは考えていない。
五について
お尋ねについて、一についてで述べたとおり、組合が円滑な事業運営を行うために、自主的な運営に基づく保険者機能を発揮することが期待されることから、御指摘の「歯科医師国保組合」について、「全国的な統合又は広域共同運営」の制度化を行うべきとは考えておらず、「試算」を行ったことはなく、また、「試算及び検討を行う考え」はない。また、「保険料水準の統一や広域化」の制度化を行うべきとも考えておらず、「同様の観点から見直しを行う考え」はない。なお、組合が自主的な判断により合併を行う場合に、合併により国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第七十三条第一項の規定に基づく補助の額が減少する場合の当該減少額相当分等について、国民健康保険の国庫負担金等の算定に関する政令(昭和三十四年政令第四十一号)第五条第九項に規定する組合特別調整補助金の交付による支援を行っているところである。