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皇室典範の改正による皇位継承及び養子制度の憲法問題等に関する質問主意書

参議院 第221回 第112号趣旨が明らかではない ×2

提出者
参議院
提出日
2026年7月24日
内閣転送 2026年7月24日
答弁書受領日
2026年8月4日
提出から11日
答弁の項目数
6
質問 2,923字/答弁 1,748字

質問本文

一 政府は、皇位継承資格の在り方は象徴天皇制の根幹に関わる事項であると考えているか、政府の見解を示されたい。

二 政府は、養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有するべきか否かについては、憲法第一条が定める「日本国民の総意に基く」べき事項であると考えているか否かについて政府の見解を示すとともに、なぜそのように考えるのかについて具体的に説明されたい。

三 この度の皇室典範の改正によって、養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有することになっていることについて、政府は、「衆参正副議長による議論のとりまとめにおいては養子の子に係る記載がないことから、現行皇室典範の規定に基づいて判断することとなり、現行の皇室典範第一条及び第二条が適用され、皇位継承資格を有することになる」との旨を答弁しているが、皇位継承の在り方は天皇制の根幹に関わる事項であり、かつ、憲法第一条の日本国民の総意に基づくべき事項であることを考えると、①皇族の養子に係る制度は、政府の「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議(以下「有識者会議」という。)の報告書(令和三年十二月二十二日)において、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題であるとの認識で、皇族数の確保のための方策の一つとして提起されていたものであり、かつ、②皇位継承の問題と切り離すという文脈において衆参正副議長のもとの全体会議で議論が行われてきたこと及びそれが故に衆参正副議長による議論のとりまとめにおいては「皇族数確保の具体的方策」としてのみ位置付けられ養子皇族男子の子孫の皇位継承資格の在り方についての記載はなされていなかったことを真摯に踏まえたならば、政府において、養子皇族男子の子孫について皇室典範第二条が適用されることがないようにするなど適用除外の規定を措置するべきであり、かつそうすることが可能であったと考えるが、当該適用除外の規定を措置しなかった理由について具体的に説明されたい。

四 皇室典範第三十八条第四項で養子皇族男子に第二条の適用除外の規定を設けているところ、これと同様の規定を措置することによって、養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有しないようにすることが可能であったと考えるが、こうした養子皇族男子の子孫に皇位継承資格を認めない規定を設けなかった理由について、具体的に説明されたい。

五 皇族の養子に係る制度は、政府の有識者会議報告書において、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題であるとの認識で、皇族数の確保のための方策の一つとして提起されていたものであり、かつ、皇位継承の問題と切り離すという文脈において衆参正副議長のもとの全体会議で議論が行われてきたこと及びそれが故に衆参正副議長による議論のとりまとめにおいては「皇族数確保の具体的方策」としてのみ位置付けられ養子皇族男子の子孫の皇位継承資格の在り方についての記載はなされていなかったことからすれば、この度の政府提出の皇室典範の改正案において「衆参正副議長による議論のとりまとめにおいては、養子の子に係る記載がないことから、現行皇室典範の規定に基づいて判断することとなり、現行の皇室典範第一条及び第二条が適用され、皇位継承資格を有することになる」という考えに基づいて養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を持つことを認めたのは、とりまとめの趣旨に反し、かつ、憲法第一条が定める「日本国民の総意に基く」ものとはならないのではないか、政府の見解を示されたい。

六 皇族数の確保が目的であれば養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有する必要はないところ、この度の政府の皇室典範の改正案において養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有する制度としたのは、いわゆる女系による皇位継承や女性天皇を排除して男系男子のみによる天皇制を維持しようとする目的があったからではないか、政府の見解を示されたい。

七 一般論として、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と定める日本国憲法第十四条第一項は、法律によって特定の門地に属する国民のみに特定の地位や権能を与えることを禁止していると解しているかについて、政府の見解を示されたい。

また、仮に、日本国憲法において、法律によって特定の門地に属する国民のみに特定の地位や権能を与えることが許されることがあると考える場合は、どのような場合がそれに該当すると考えるか、政府の見解を示されたい。

八 皇族の養子に係る制度に関し、「皇統に属する方のうち、いずれの方を養子の対象者として皇族となることができるとするかにつきましては、憲法第一章の規定やこれまで養子を禁じてきた趣旨などを踏まえまして、適切に定めることが法律である皇室典範に委任されている事項であると考える」という参議院皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会における内閣法制局長官の答弁について、具体的に憲法のどの条文により皇室典範に委任されているのか政府の見解を示されたい。

また、仮に、政府において、当該委任の憲法上の根拠を憲法第二条とする場合は、第二条は「皇位は(略)国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と定めるところ、皇位継承ではなく「皇族数確保」を目的とした皇室典範による制度を設けることについて、憲法第二条を根拠とすることは憲法第二条の趣旨の逸脱行為であり、したがって、一般国民の中で旧十一宮家の出自の者のみが養子になることができる制度は、憲法第十四条第一項が禁止する門地による差別に該当する憲法違反ではないのか、政府の見解を示されたい。

九 政府は、「皇統に属する方を、このような皇室制度を担っていただくために新たに皇族となることができるとすることは、直ちに憲法が禁止しているものとは解されない」としているが、皇位継承ではなく「皇族数確保」を目的とした養子制度を設けるに当たり、一般国民の中で旧十一宮家の出自の男系男子のみを養子の資格者とすることは、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と定める憲法第十四条第一項において、性別と門地による差別になるのではないのか、また、憲法違反の問題は生じないのか、政府の見解を示されたい。

十 皇室典範等の一部を改正する法律附則第六条第一項の「それぞれの法律」が意味する法律が何であるかについて説明されたい。また、同条の「それぞれの法律の規定」には、皇室典範第一条、第二条及び第三十八条第六項は含まれるのかをそれぞれに示した上で、仮に、これらの条項が含まれないのであれば、養子皇族男子の子孫が皇位継承資格を有することについては皇室典範等の一部を改正する法律附則第六条が定める「検討」(同条第一項及び第二項)及び「措置」(同条第一項)並びに「見直し」(同条第二項)の対象外であるのかについて説明されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一及び二について

お尋ねの「象徴天皇制の根幹に関わる事項」の意味するところが必ずしも明らかではないが、憲法第一条は、天皇の地位が国民の総意に基づくものと規定しており、皇位継承の在り方については、国家の基本に関わる事柄であると考えている。

三から六までについて

令和八年七月十日の衆議院議院運営委員会において、木原内閣官房長官が「この法案は、立法府の総意である衆参正副議長による議論の取りまとめに沿って作成したものでございます」と、また、同月十五日の参議院皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会において、同長官が「衆参正副議長によるとりまとめでは、・・・養子については皇位継承資格を持たないこととするとされております。一方で、その養子のお子様についての記述はありませんから、これは、現行の皇室典範の規定が適用されるということになります。養子の子は生まれながらの皇族でありますから、男子の場合は現行の皇室典範、これ第一条と第二条が適用され、皇位継承資格を有します。その上で、現時点における所要の規定整備としては、養子の子の皇位継承順序については、皇室典範第三十八条第六項としまして、実方の系統によると解釈規定を置かせていただきました。これによって、養子縁組による親族関係ではなく、いわゆる旧十一宮家の皇族男子であった方々との血のつながりによる順位が決定されることとなります。なお、これは、例えば複数の方がいらっしゃる場合など、順序に紛れがあってはいけませんので、そういったことを生じないようにするという趣旨での解釈規定でございますので、何か新しく規定をしたというものではございません」と答弁しているとおりである。

七について

お尋ねの「法律によって特定の門地に属する国民のみに特定の地位や権能を与える」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、憲法第十四条第一項の門地による差別の禁止とその例外については、令和五年十一月十五日の衆議院内閣委員会において、木村内閣法制局第一部長(当時)が「御指摘の憲法第十四条において法の下の平等について定めつつ、天皇の世襲制を第二条で定めております。また、第五条には摂政の制度がございますし、第八条等において皇室の存在を予定しております。したがって、憲法は、天皇、皇族につきまして、一般国民と異なる特殊な地位を認めていると解されます。かかる地位は、憲法第十四条に規定する門地による差別の例外であると考えられます」及び「憲法は、第十四条の例外として、皇族という特殊な地位を認めております。その範囲は、法律の定めるところにより委ねられているというふうに考えております」と答弁したとおりである。

八について

憲法第一条、第二条、第四条第二項、第五条及び第八条の規定を踏まえ、憲法に具体的な定めが置かれていない皇族の範囲については、法律に委ねられている事項であると解しているものである。

九について

令和八年七月十五日の参議院皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会において、岩尾内閣法制局長官が「皇統に属する方を、このような皇室の制度を担っていただくために新たに皇族となることができるとすることは、直ちに憲法が禁止しているものとは解されないところでありまして、皇統に属する方のうち、いずれの方を養子の対象者として皇族となることができるとするかにつきましては、憲法第一章の規定やこれまで養子を禁じてきた趣旨などを踏まえまして、適切に定めることが法律である皇室典範に委任されている事項であると考えるものであります。その上で、今般の養子の対象者は、日本国憲法及び現行皇室典範の施行後も皇族の身分を有していた皇族男子の子孫である男系男子であることから、門地による差別を禁止した憲法第十四条の規定に反するものではないと考えているところでございます」と答弁しているとおりである。

十について

令和八年七月十五日の参議院皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会において、木原内閣官房長官が「改正法の附則第六条第一項ですが、改正後の各法律の規定全般について必要があると認められれば随時見直しが行われるという趣旨の規定であると認識しております」と答弁しているとおりである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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