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青森県三戸郡石村における原野入会権をめぐる紛争事件に関する質問主意書
参議院 第58回 第2号
質問本文
青森県三戸郡倉石村における原野入会権をめぐる紛争事件に関する質問主意書
青森県三戸郡倉石村又重部落における山林原野の入会権をめぐる紛争は、長期間裁判で争われた結果、昭和四十一年十一月二十五日最高裁判所は、第一、二審判決を破棄自判した。すなわちこの判決は、最高裁判所が、民訴法第四百八条第一項第一号に規定する「確定したる事実に基づき、裁判を為すに熟した」と判断したものであつて、本件原野についての入会の事実を「適法に確定したる事実」と認めたものである。しかるに、その後同紛争は継続し、昨年九月には、五戸警察署の武装警官出動の事態にまで発展した。この事件に関し、次の諸点について質問する。
一、政府は、最高裁判所昭和三四年(オ)第六五〇号上告事件主文第一項をいかに解釈するか、本件原野の所有権及び入会権につきいかなる見解を有しているのか、その根拠を明らかにされたい。
二、青森県三戸郡倉石村大字又重売主所有権者山田武雄外百四十二名と宮城県古川市中里字大屋敷二十九買主高橋兵輔とは昭和四十三年一月三十日山林売買契約を締結した。
右山林売買契約について、宮城県塩釜警察署北浜交番警察官、塩釜署防犯課警察官が執拗に調査したことがあるか。
宮城県警古川刑事は高橋兵輔に対して右売買契約を解約するよう迫つたことがあるか。
県警はいかなる法的根拠に基づいて、山林立木売買に干渉するのか。
右事実は警察法第二条第二項に違反してはいないか。
また右事実は刑法第百九十三条に該当してはいないか。
三、昭和四十二年九月三日本件山林に入会し、同地上の立木を伐採運搬しようとした岩手県柴波郡柴波町赤沢字杉町十九番地 木材業 及川貴示、神奈川県鎌倉市大字大町四丁目二番の十一 弁護士 森吉義旭、八戸市大字糖塚字北糖塚二十九番地 弁護士 浅石大和に対し、同日午前十時頃五戸警察署長指揮の武装警察官十数名が現場へ押し寄せ、拡声器をもつて連呼し、この立木を切れば直ちに逮捕すると威赫し、いつでも発砲し得る態度を整えて現場作業員を連行すると強要し、同現場から約五百メートル位離れた草生地で取調を開始する旨宣言して、前記三名及び伐採作業員に対して盗伐の疑で取調を同日午前十時から午後四時頃まで継続した事実があるか。
また、右取調を担当以外の警察官が武装のままで現場を包囲して尽大なる恐怖感をいだかせた事実があるか。
五戸警察署長等の行為はいかなる法的根拠に基づくか明らかにされたい。
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政府答弁書
一、(1) 最高裁判所昭和三十四年(オ)第六五〇号上告事件主文第一項をいかに解釈するか、について述べる。
民法は、入会権については、その地方の慣習に従うほか、共有の性質を有するものについては、共有に関する規定を適用し(同法第二六三条)、然らざるものについては、地役権に関する規定を準用する(同法第二九四条)としているが、元来、入会権とは土地の総有又は他人の土地に対する収益権の準総有と解するのが学説、判例の一致した見解である。
したがつて、入会権の存否について紛争が生じた場合の入会権存在の確認を求める訴は、権利者全員が共同してのみ提起しうる固有必要的共同訴訟であることについても異論をみない。
従つて、入会権の存在確認の訴は、入会権者全員が原告として訴えなければならないことはいうまでもないのであつて、標記判決によれば、本件訴訟は、入会権者と主張されている部落民全員によつて提起されたものではなく、その一部の者によつてなされたものであると認定されているのであるから、第一、第二審判決のごとく「請求を棄却する。」旨の本案判決をなすべきでなく、入会権の存否を判断するまでもなく、当事者適格の欠欠を理由に訴を却下するのが至当であつて、標記判決主文第一項もその趣旨によるものであると解する。つぎに、
(2) 本件原野の所有権及び入会権につきいかなる見解を有しているか、について述べる。
本件原野の所有権の主体及び入会権の存否については、種々紛議を生じ、最終審まで争われた事案であり、その後も青森地方裁判所八戸支部に再度訴が提起されている由聞き及んでいる。したがつて質問の事項については、政府の見解を表明すべきものではなく、すべからく裁判によつて確定せらるべきものと考える。
二、宮城県警察においては、青森県警察からの依頼にもとづき、塩釜警察署員および古川警察署員が高橋兵輔らについて売買契約の内容等の調査を実施したのであるが執ような調査を行なつたことはなく、また高橋兵輔に対して売買契約の解除を迫つたこともない。
この調査は、犯罪の予防上の必要から行なつたものであつて山林立木売買に干渉したものではない。したがつてご指摘のように警察法第二条第二項に違反するものではなく、また刑法第一九三条に該当するものではないと思料する。
三、昭和四十二年九月三日、立木伐採現場に臨場したのは五戸警察署長以下八名である。服装は、けん銃を着装した制服の常装であつたが、現場が森林内であるため事故防止上ヘルメットを着用したものであつて、特に武装したものではない。
トランジスターメガホンを使用したが、これは伐採機の騒音等で肉声では聞き取りにくかつたからである。「この立木を切れば逮捕する。」などと言つたことはない。
及川貴示の指示によつて、伐採が中止されたのち、及川および伐採作業員五名に対して倉石警察官駐在所まで出頭を求めたが、応じなかつたので、伐採現場から約一〇〇メートル離れた草原で、これらの者を森林法違反の疑いで取り調べたものである。取り調べは午前十一時ごろ開始し午後三時ごろまでにおおむね終了したが、そのころから雨が降り出したので、取り調べ未了であつた及川ほか一名に倉石警察官駐在所まで、任意出頭を求めて取り調べを継続し、午後四時ごろ終了した。
弁護士二名を取り調べたことはない。また、取り調べの現場を警察官が包囲したことはない。
五戸警察署長らの行為は、警察法に定める警察の責務として行なつたものである。
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