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日本硝子(株)の不当労働行為ならびに団体交渉拒否等に関する質問

参議院 第82回 第9号

提出者
参議院
提出日
1977年11月11日
内閣転送 1977年11月12日
答弁書受領日
1977年12月2日
提出から21日
答弁の項目数
8
質問 1,657字/答弁 1,675字

質問本文

日本硝子(株)の不当労働行為ならびに団体交渉拒否等に関する質問主意書

労働者の団結権、団体交渉権、争議権は、日本国憲法及び労働組合法により基本権として保障されている。しかし今日、多くの労働争議が労働基本権の保障をめぐつて争われており、その解決が遅れる原因は、不当労働行為救済制度が十分に機能し得ないためと考えられる。

東京都中央区銀座七の九の二〇 日本硝子(株)と総評化学一般労連全日本硝子製壜労働組合(以下全硝労という)日本硝子労働組合連合会との間に於ては、長年にわたつて紛争が続き、特に昭和四十八年一月、全硝労・小野委員長を解雇したのをはじめ、全硝労日本硝子労働組合連合会との団体交渉拒否、同労連加盟組合員に対する賃金、昇格の差別を行つており、これらの事業案は地方労働委員会より、それぞれ救済命令が出されているにも拘わらず、会社側はこれに従わず再審申立てを行つて、いたずらに事態の解決を長びかせるのみか、益々悪化の傾向をみせている。かかる状態に至つたことは、同社の筆頭株主である野村証券(株)グループが日本硝子(株)に対して役員を送り込み、合理化を強行せんとして労働組合の分裂、破壊策動を行つている結果であり、全硝労が野村証券(株)に対し話合いを求めても、同社はこれを拒否している。この状態を放置するならば、今後最悪の事態の発生も憂慮される。

よつて次の事項について質問するので、政府の考え方を明示されたい。

一 野村証券(株)グループが保有する日本硝子(株)の株は何%か。

二 株主として経営陣に役員を派遣した場合は、その企業運営について野村証券(株)としても責任を有するものと解するが、監督官庁の見解はどうか。

三 融資の条件として企業に合理化を強要することは、昭和五十二年十月十九日参議院予算委員会におけるわたしの質問に対する石田労相の「少くとも銀行等が金融をいたします場合に人減らしを条件として金融をするといううわさをちよいちよい聞きます。(中略)少くともそういうことのないような通牒は発するつもりでございます。」の答弁の精神にも反するものと理解するが、大蔵省、労働省の見解はどうか。またかかる事態に対してはどのように対処する方針か。

四 野村証券(株)より派遣された役員は下部職制を指揮して、全硝労所属の労働者に対し、野村証券(株)よりの融資停止による賃金遅配をほのめかしつつ、金硝労脱退を強要する不当労働行為を行つた。かかる行為について大阪府、神奈川県の各地方労働委員会が不当労働行為として救済命令を行つたにも拘わらず、その命令を実行しないことは、労組法第二十七条第五項に違反するものと考えるが、労働省の見解はどうか。またこれに対する制裁はどうか。

五 日本硝子(株)は、全硝労日本硝子労働組合連合会との団体交渉に於て、地労委、中労委等に於て係争中の事案については団体交渉の対象外として交渉を拒否しているが、むしろ自主交渉に於て紛争を解決することが、正常な労使関係を作るための第一義的な方策であるにも拘わらず、あえて第三者機関に判断を求めつつ紛争を続ける無知、無能な経営者に対して、労働省は如何なる行政指導を行う考えか。労組法第七条第二号に抵触するものと解するがどうか。

六 地方労働委員会に於て、証言したことの故をもつて解雇することは不当であり、その結果、昭和五十年六月二十七日、神戸地裁尼崎支部より「寺井組合員の地位保全」の仮処分命令が発せられたにも拘わらず、日本硝子(株)はこれを実行しない。かかる行為は法治国家に対する挑戦と思うが法務省、労働省の見解はどうか。

七 紛争を早期、かつ自主的に解決するために、野村証券(株)及び日本硝子(株)は直ちに全硝労と話し合い、団体交渉を行うべきだと考えるが労働省、大蔵省の見解はどうか。

八 日本硝子(株)は不当労働行為救済制度を逆に悪用して、紛争の解決を遷延せしめているが、かかる行為に対して厳しく歯止めをかけるべきだと解するがどうか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

1 日本硝子株式会社(以下「日本硝子」という。)が大蔵省に提出した最近の半期報告書(昭和五十一年十二月から昭和五十二年五月までのもの)に記載されている大株主の状況によれば、昭和五十二年五月三十一日現在の野村證券株式会社(以下「野村證券」という。)等の株式の保有状況は、次のとおりである。

野村證券               九・一三パーセント

野村土地建物株式会社       二十四・二五パーセント

2 日本硝子が大蔵省に提出した臨時報告書によれば、同社は昭和五十二年六月三十日払込みで第三者割当ての方法により八億五千万円の増資(増資後資本金十四億五千万円)を行い、これを野村證券等に対し次のような比率で割り当てている。

野村證券               八・八二パーセント

野村土地建物株式会社        五十・〇〇パーセント

野村コンピューターシステム株式会社  八・二四パーセント

株式会社野村総合研究所        二・六一パーセント

二について

証券取引法の免許の対象となる証券業務に関しては大蔵省で監督を行つている。しかし、株主として出資している個々の企業の企業運営一般に対する責任の問題については、見解を示すべき立場にない。

三について

野村證券が日本硝子に対し融資をしているという事実は聞いていない。

四について

日本硝子川崎工場及び尼崎工場の全日本硝子製壜労働組合加盟関係労働組合に所属する労働者の当該労働組合からの脱退をめぐる不当労働行為救済申立事件について、神奈川県地方労働委員会及び大阪府地方労働委員会からそれぞれ一部救済命令が出されているが、現在、いずれも、中央労働委員会(以下「中労委」という。)に係属中であると聞いている。

労働組合法上、労働委員会の命令は交付の日から効力を生じ、地方労働委員会(以下「地労委」という。)の命令については中労委への再審査の申立てがなされてもその効力を停止しないものとされているが、緊急命令が出されている場合を除き、その確定前の命令違反に対する制裁措置は定められていない。

本件命令については、政府としては、基本的には使用者の任意の履行に期待せざるを得ないものと考えるが、いずれにせよ、本紛争について、必要に応じ労使の話合いを促進する等によりその早期かつ円満な解決のために努力してまいりたい。

五について

労働組合法上、使用者が労働組合と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むことは不当労働行為として禁止されており、労働省においては、かねてから各都道府県の労政行政機関を通じ、使用者に対しこのような不当労働行為が行われることのないよう助言、指導等を行つてきているところである。日本硝子の具体的な行為が労働組合法第七条第二号の不当労働行為に該当するかどうかについては、労働委員会等の権限ある機関が判断すべきことであるので、政府としてとかくの見解を述べることは差し控えたい。

六について

神戸地方裁判所尼崎支部の昭和五十年六月二十七日の仮処分決定については、同支部への異議申立てを経て現在大阪高等裁判所において係争中とのことであるが、日本硝子は、この仮処分決定に基づき、賃金支払等を履行していると聞いている。

七について

政府としては、関係労使間で十分話合いが行われ、紛争が早期かつ円満に解決されることを期待している。

なお、野村證券が、本紛争において労働組合法上の使用者として関係労働組合との団体交渉に応ずべき義務を有するかどうかについては、労働委員会等の機関において判断されるべきものである。

八について

使用者が地労委の命令につき中労委に再審査の申立てをすることは、法律上認められていることであるので、日本硝子が関係地労委の命令についてこのような方法によつて争うことを制限することはできない。

政府としては、本紛争について、労使当事者の自主的解決への努力に期待しつつ、必要に応じ労使の話合いを促進する等によりその早期かつ円満な解決のために努力してまいりたい。

参議院の原文

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