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新日本製鉄株式会社広畑製鉄所における労働災害および時間外労働等に関する質問

参議院 第80回 第31号

提出者
参議院
提出日
1977年6月8日
内閣転送 1977年6月9日
答弁書受領日
1977年6月21日
提出から13日
答弁の項目数
5
質問 1,565字/答弁 995字

質問本文

新日本製鉄株式会社広畑製鉄所における労働災害および時間外労働等に関する質問主意書

新日本製鉄株式会社広畑製鉄所は、過去、重大な労働災害を連続して発生させており、労働安全衛生上の不備が問題にされてきている。

然るに、同製鉄所は、安全成績向上、無災害日数の延長のため、専ら労働者に無災害をノルマとしておしつけ、強要するという誤つた型での追求を行つている。

その結果、労働者の中には、当然休業災害として扱われるべき労働災害で被災した場合でも、不休災害扱いとするため、肉体的精神的苦痛をこらえて翌日も勤務につく事例も生じている。

加えて、同製鉄所では、当然時間外労働として扱われるべき業務にかかる打合せや会議等に参加しているにもかかわらず、時間外労働分の賃金が支払われていない場合が少なくない。

私は、労働者の安全と権利を保障することの重要性にかんがみ、以下質問を行うので、明確な答弁をされたい。

一 去る一月二十一日、同製鉄所四高炉改修に関連する作業現場において、不動建設株式会社の労働者の死亡災害が発生している。

しかし、前記不動建設が、同製鉄所の関連企業で構成されている「関連安全協力会」の会員でないところから、同製鉄所や「関連安全協力会」においては、労働災害の統計に加えておらず、共に無災害が連続しているものと扱つている。

このような、企業内において発生した労働災害がその企業にかかる安全管理の指導、監督と無関係として取扱われた場合、下請労働者等の安全管理がおろそかになることが考えられる。従つて、企業内で下請企業等出入企業に作業を行わせる場合、当該企業に安全管理についての監督、指導の責任をもたせるようにすべきであると考えるが如何か。

二 去る四月十三日同製鉄所製銑原料工場ベッティング・ヤードにおいて西村茂樹氏が左手四指中節開放骨折、左手四指伸節腱断裂等の被災をうけ、業務上休業災害(一週間)として姫路労働基準監督署に労災保険の申請手続きがなされている。

にもかかわらず、同製鉄所は、この労働災害を有給事故件数からは除外し、事実上無災害として扱つている。このような企業内における労働災害かくしについては、至急改めるよう指導すべきであると考えるがどうか。

三 同製鉄所第二製鋼機械運転職場では、四十五分休憩で実働六時間以上の労働をしている労働者が、時間外労働によつて実質八時間をこえた場合、当然十五分以上の休憩時間が追加して与えられなければならないにもかかわらず、与えられていない。実働が八時間を超えた場合六十分以上の休憩が正当に与えられるよう労働基準法第三十四条の遵守を指導すべきであると考えるがどうか。

四 同製鉄所の多くの職場では交代勤務体制となつており、その方法はハンド・ツー・ハンドの作業現場での交代体制となつている。しかし、交代のための打合せや引継ぎ等に要するラップ時間が当然必要となり、現に始業前にミーティングや職場体操が一定時間行われている。ところが同製鉄所ではこれらの時間の労働に対し、時間外労働賃金を支払つていない。当然支払うよう指導すべきではないか。

五 また、作業員の直接の管理者である工長の場合、交代番の工長に引継ぎ作業を行うため、前項同様に時間外労働が必要となり行つている。これに対しても、当然支払われるべき時間外労働賃金が支払われていないので、至急改善させるよう指導すべきであると考えるがどうか。

六 同製鉄所では、上級職制にあたる掛長が休憩時に工長を集めて業務に対する検討のため行う「昼食検討会」が定期的に開催される職場がある。これは、労働基準法第三十四条第三項により保障されている休憩時間の自由利用を妨げるものとなつているので、ただちに改善の指導を行うべきであると考えるがどうか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

下請企業の安全管理については、労働安全衛生法第二十九条で、下請企業が同法を遵守するよう元方事業者に対し下請企業への指導等の義務を課しているところであり、労働基準監督機関としては、同法の履行の確保を図るため監督指導を行つているところである。

二について

西村茂樹氏の労働災害については、新日本製鉄株式会社広畑製鉄所(以下「広畑製鉄所」という。)から、昭和五十二年五月に、姫路労働基準監督署あて労働者死傷病報告が提出され、同監督署はそれを受理した。

なお、事業者等が独自に作成する労働災害に関する統計については、労働基準監督機関が関与すべき問題ではないと考える。

三について

広畑製鉄所第二製鋼機械運転職場の休憩時間については、その長さが、労働基準法の定める休憩時間に不足する場合があることも認められたので、労働基準監督機関においては、広畑製鉄所に対し、労働時間管理を厳格に行い、同法の定める休憩時間が確保されるよう指導することとしている。

四及び五について

1 交替制勤務の交替のための引継ぎ時間については、就業規則による所定労働時間の外で行われており、その時間は、一回当たり数分程度である。この引継ぎ時間を含めて、実労働時間が八時間を超えている場合には、原則として労働基準法第三十七条に基づく所定の割増賃金の支払が必要であるが、広畑製鉄所の一週平均の所定労働時間が三十八時間六分であつて法定の四十八時間を下回るので、就業規則を実態に照らして適正に改めることを含め、同法違反の生じないよう指導してまいりたい。

2 工長の引継ぎ時間については、一回に数十分にわたるものが認められるが、これについても右と同様に指導してまいりたい。

3 なお、ミーティングは、原則として所定労働時間内に行われていると認められるが、ミーティングを含めて実労働時間が八時間を超える場合については、労働基準法第三十七条に基づく所定の割増賃金を支払う必要があると考えられる。また、職場体操の時間については、その参加が強制されていないので労働時間とは認められない。

六について

昼食検討会については、広畑製鉄所製鉄工場においては、毎週一回行われているが、業務上の事項につき打合せをするものではなく、参加が強制されるものでないので、労働基準法第三十四条第三項に定める休憩時間の自由利用を妨げるものとは認められない。

参議院の原文

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