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株式会社日本抵抗器製作所の労使紛争に関する質問主意書

衆議院 第109回 第19号

提出者
衆議院
提出日
1987年8月25日
内閣転送 1987年8月26日
答弁書受領日
1987年9月22日
提出から28日
答弁の項目数
5
質問 1,745字/答弁 1,462字

質問本文

衆議院議長 原 健三郎 殿

株式会社日本抵抗器製作所の労使紛争に関する質問主意書

一 現在富山県は、円高と繊維不況により昨年末、特定地域中小企業対策臨時措置法の緊急雇用安定地域の指定を小矢部市など南砺五市町村(福野町、城端町、井波町、井ノロ村)が受け、特別融資や雇用対策がとられている。

この様な地域事情の中、株式会社日本抵抗器製作所(所在地 富山県東砺波郡城端町北野二三一五、代表取締役社長木村健吉。以下「会社」という。)と、その従業員で組織する総評全国金属労働組合日本抵抗器支部(所在地 同、執行委員長中村正春。以下「組合」という。)は、昭和六十一年四月三日以降、今日まで労使による紛争が続いている。

その原因と経過並びに現状を明らかにされたい。

二 会社は従業員三百二十名、下請外注先で二百余名の従業員を雇用しており、同地方の地域経済に大きな影響を与えている。

城端町のもう一方の主力産業である繊維は不況の真只中、会社の労使紛争の長期化による雇用不安などで、商店の売上げはおちて町勢は沈滞をし、町当局も紛争解決に努力をされていると聞き及んでいる。

町勢の実態や町当局の働きかけなどの内容、経過、現状を明らかにされたい。

三 この紛争の中で会社は組合との協議を無視し、一方的に円高対策として下請外注化や台湾での生産体制を強化し、その体制が確立されれば会社を潰すという噂を流し、地場産業の空洞化が進められようとしている。

下請外注工場では、苛酷な労働条件で労働者が使われているとの風聞も有り、安全衛生、労働基準法が守られているのか。

この内容と実態を明らかにされたい。

四 この紛争の中で、会社は富山県地方労働委員会の「斡旋」を拒否したばかりか、次の様な紛争拡大を図つているとしか考えられない異常な行動がとられている。

会社はこの「斡旋」の拒否に先立ち、回答期限(六十二年二月四日正午)当日の早朝二時頃、会社の管理職と関係会社日本抵抗器販売株式会社(以下「日抵販売」という。)や大分製作所の従業員百余名をもつて、ハイブリットIC工場の資材、設備を強引に運び出し、生産を長期にわたり停滞させた。

この運び出された資材、設備は会社の命により富山県西砺波郡福光町高宮地区内に建設されている「干柿集出荷センター」に集結保管された。この「干柿集出荷センター」は、農業構造改善事業の一環として国、県、町の補助を受けた施設である。

今年四月、会社は従来「労使で合意した賃金引上げの枠内で初任給調整を行う」という慣行を無視して一方的に実施した。

日抵販売における新入社員調整は昨年七月に実施され、会社は六十一年度、同社との格差是正として四千円(二・六%)から七千二百円(六・四%)の初任給調整を入社六年迄を対象として遡及支給した。

今年七月、会社は八七年春闘要求として出されていた家族手当の改定について、賃上げ、夏一時金「ゼロ」を前提にして四月遡及しての支給を通告して、これまた労使の合意の無いままに一方的に実施した。この内容は、管理職の平均が三千円弱、組合員の平均が四百円強という中身である。

会社は、一昨年来の円高で企業危機を主張し、すべての要求に「ゼロ」回答を為しているが、経営陣自らの姿勢を正し、理解を求めるような役員給与や管理職手当のカットなどは一切行われずに前項の様な事が行われている。

会社は、今年四月末頃より管理職をして従業員とのコミュニケーションを図るとして女性組合員の家庭を集中的に訪問をし、「労働組合はゼロ回答を理解してくれないので、個人的にゼロを理解して欲しい」、あるいは「今年の年末一時金も出せない」などと、休日や夜の十時頃まで個人宅を訪問し、家族を含めて大きな迷惑行為が繰り返されている(本件は、一部不当労働行為として救済申請が為されている。)。

私企業といえども、東証二部上場企業のこの様な非常識な経営に対して、どの様な行政指導が為されてきたのか明らかにされたい。

五 政府並びに通産省、労働省はこの特定不況地域における産業の空洞化や雇用対策についてどのような施策を行われるのか。また、この労使紛争について、いかなる解決と努力をされているのか明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

株式会社日本抵抗器製作所(以下「会社」という。)とその従業員等が組織する総評全国金属労働組合富山地方本部日本抵抗器支部(以下「組合」という。)との間で、昭和六十一年四月、昭和六十一年度の賃金引上げ、同年の夏季一時金の支給等の問題をめぐり、労使紛争が発生し、その後、同年の年末一時金の支給、昭和六十二年度の賃金引上げ等の問題についても労使が対立し、現在も、これらの問題に関し、労使紛争が継続していると聞いている。

なお、この間、昭和六十一年八月には、団体交渉拒否の問題について、総評全国金属労働組合から、東京都地方労働委員会に対し、会社等を被申立人として、不当労働行為救済申立てが行われ、現在、同地方労働委員会に係属中であり、また、同年十二月には、昭和六十一年度の賃金引上げ等の問題について、組合から、富山県地方労働委員会(以下「富山地労委」という。)に対し、あつせん申請が行われたが、会社が富山地労委のあつせん案を拒否したため、あつせんは不調に終わつており、さらに、昭和六十二年五月には、支配介入の問題について、組合等から、富山地労委に対し、会社を被申立人として、不当労働行為救済申立てが行われ、現在、富山地労委に係属中であると聞いている。

二について

1 繊維産業を基幹とする城端町は、最近の急速な円高等の影響を受け、工業出荷額の減少、企業の規模縮小等がみられ、雇用面においても厳しい状況下に置かれていると聞いている。

2 城端町は、本件労使紛争に関し、労使双方に対し、文書により、一日も早く事態を収拾するよう要請するとともに、町長自ら会社の幹部と会見し、早期解決を要請するなどの努力をしていると聞いている。

三について

昭和六十一年度以降、所轄労働基準監督署が行つた会社の関連下請事業場に対する監督指導結果によれば、二事業場において、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)に関しては同法第十五条等の、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)に関しては同法第十二条等の違反が認められ、これら法違反については、それぞれ是正させている。

四について

本件労使紛争中に行われた富山地労委のあつせん案の拒否、資材等の搬出・保管、初任給調整の実施、家族手当の改定、役員給与等の取扱い、女子組合員の家庭への訪問等の行為について、会社は、紛争の拡大を図ることを意図して行つたものではないとしているが、いずれにしても、本件労使紛争については、これまで富山県等関係機関において、紛争の早期かつ円満な解決という観点から、労使当事者からの事情聴取や会社に対する指導及び助言が行われてきたところであると聞いている。

五について

1 不況地域においては、雇用機会の創出を図つていくことが必要であるとの観点から、産業構造転換円滑化臨時措置法(昭和六十二年法律第二十四号)及び特定地域中小企業対策臨時措置法(昭和六十一年法律第九十七号)に基づき、地域の活性化等のための対策を講ずるとともに、地域雇用開発等促進法(昭和六十二年法律第二十三号)に基づき、地域雇用開発の促進、失業の予防、再就職の促進等のための対策を講じているところである。

2 本件労使紛争については、従来、富山県等関係機関において、紛争の早期かつ円満な解決という観点から、労使当事者からの事情聴取や会社に対する指導及び助言が行われてきたところであるが、政府としては、今後とも適切な指導及び助言が行われるよう、これらの機関と連絡を密にして対処してまいりたい。

右答弁する。

衆議院の原文

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