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福島県東白川郡塙町におけるフィリピン女性ダンサー死亡に関する質問主意書
衆議院 第122回 第2号
質問本文
福島県東白川群塙町におけるフィリピン人女性ダンサー死亡に関する質問主意書
去る九月十四日、福島県東白川郡塙町のナイトクラブで働いていたフィリピン人女性ダンサーが死亡した。その死因について、フィリピンでは、連日、マスコミが「暴行による虐待死」として報道し、人権擁護団体等が在比日本大使館に抗議のデモを行うなどフィリピン中を揺るがす「大事件」となっている。このため、先頃、フィリピンのトーレス労相が事実調査のため来日したほか、フィリピン政府は、我が国への女性の出稼ぎを実質的に禁止することを決定するなど、今後の日比関係に悪影響を及ぼしかねない事態となっている。
よって、以下の点について質問する。
一 死亡したフィリピン人女性ダンサーの死因については、フィリピン法務省国家捜査局(NBI)の検視解剖報告書は、「死因は頭部の外傷」によるものとし、また、検視に当たった医師も暴行・虐待による死亡を示唆している。一方死亡したダンサーの治療に当たった塙厚生病院は、「死因は劇症肝炎であり、病死である」としている。また、関係者からの事情聴取を行った福島県警棚倉署では、死因を「劇症肝炎」とした病院側の死亡診断書に不審な点は認められなかったとしている。さらに、同じナイトクラブで働いていた十数人の同僚フィリピン人女性も伝えられるような暴行や虐待の事実を否定している。
先日、事実調査のため来日したトーレス労相は、病院側の説明に大筋で同意したものの、その死因についてはまだ不明の点が残るとして、関係データを本国に持ち帰る一方、我が国の捜査当局に対しては捜査の再開を申し入れている。以上の如く、その死因については、日比両国関係者の見解が対立したままとなっている。
最近、フィリピン側の検視解剖報告書等を分析した我が国の専門医等の判断によると「病死」の可能性が濃厚となっているものの、いまだ明確な結論が得られていないのが現状である。
本件が国際問題化していることに鑑み、政府においては、「死因」についての真相解明を行い、フィリピン政府の疑念を払拭することが肝要と考えられるが見解を明らかにされたい。
二 フィリピン政府は、去る十月十六日、福島県を「問題地域」として挙げ、福島県へのフィリピン人の出稼ぎを禁止する措置をとり、さらに、十一月二十日にはフィリピン人女性の我が国への出稼ぎを実質的に禁止することを決定した。
福島県は、以前より、フィリピンからの農業技術研修者の受け入れを行うなど日比両国の親善交流を推進してきておるところであり、今回の一方的措置は、内外の福島県に対するイメージを著しく損ね、誠に遺憾と言わざるを得ない。ことは、一地方自治体である福島県の問題にとどまらず我が国の名誉と国際的信用にかかわる問題と考えられる。
フィリピン政府によるこれら一連の措置に対し、政府の見解を明らかにされたい。
三 本件に関して、フィリピン国内において予期せざる感情的反発が起きた背景には、我が国で働く外国人労働者、とりわけアジア諸国からの「出稼ぎ女性」に対する我が国社会における偏見と差別、それに伴う人権上の問題、彼女等をとりまく劣悪な労働環境と労働内容、そしてこれらの問題に対する我が国の行政の立ち遅れ等への不満、苛立ちがその根底にあるものと思われる。
今後も、拡大する経済格差を背景に、深刻な労働力不足に悩む我が国と就労の場を求めて海外への流出圧力を強めるアジア諸国という構造が変わらない限り、我が国への外国人労働者の流入はますます強まるものと思われ、外国人労働者をめぐる様々な問題が起こることが予想される。
我が国は経済大国と言われるようになり、国際国家として政治的にもより以上の責任と役割を求められるようになってきており、特に近隣アジア諸国との関係では、外国人労働者問題にどのように対処していくかは極めて重要な課題となっている。
この際、特に外国人労働者の人権保護についての政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘のフィリピン人女性の死因について、政府は、関係者等に対し調査を行ったが、事件に結び付く虐待・暴行の事実は全く確認されなかったことのほか、フィリピン政府から入手したフィリピン司法省国家捜査局作成の解剖結果報告書、トーレス・フィリピン労働雇用長官一行の一員として来日したフィリピン検死担当官本人からの事情聴取、入院していた病院が所有する詳細な診療記録等及び医学専門家の意見を併せ考慮し、総合的に判断した結果、劇症肝炎による病死との結論に達した。
また、来日したトーレス労働雇用長官一行に対しては、調査状況の説明を行うとともに、その帰国後、在本邦フィリピン大使館に前記結論を通報した。
さらに、本件に関するフィリピン側各層の誤解を払しょくするため、在フィリピン日本大使館からフィリピン政府関係当局、議会関係者及び遺族関係者等に対し、調査結果の詳細な説明を行ってきたところである。
こうした動きの中で、フィリピン国内においては、フィリピン上院の依頼を受け、前記解剖結果報告書の再検討を行ったフィリピン総合病院が、我が方の主張どおり、直接的死因を病死(劇症肝炎)とする報告書を去る十一月十五日、上院に提出していることなどから、我が方の調査結果に対する理解が深まってきているものと考えられる。
なお、我が国政府としては、本件に関するフィリピン国民一般の誤解を解き、もって良好なる日比関係を維持・増進させていくため、引き続き本件に対する理解を深めるべく説明に努めていく所存である。
二について
フィリピン海外雇用庁は、去る十月二十一日付けの内部通達により、福島県に対するフィリピン人芸能人の送り出しを一時的に停止する措置を採ったが、右措置は、一についてにおいて述べた福島県におけるフィリピン人女性死亡事件についての誤解に基づく不当なものであるので、政府としては、これが撤回されるべきであると考え、右誤解を解くための努力を行ってきた。
今般、フィリピン政府は、フィリピン人芸能人の海外派遣に関し、日本のみならず全外国を対象として、規制を強化する措置を決定し、十二月十三日からこれを実施した。
同措置の実施に伴い、福島県に対する前記措置は解除されたと承知している。
他方、右のフィリピン人芸能人の海外派遣全般に関する規制措置強化を採ったこと自体については、基本的には海外におけるフィリピン人芸能人保護のためのフィリピン政府による対応の問題であり、我が国として、その当否を論ずる立場にはないと考えている。
しかしながら、フィリピン側がかかる措置を講ずるに至った契機は、前述のフィリピン人女性の死亡をめぐる問題にあると考えられるので、その死因が劇症肝炎によるもので事件性はないとの我が方の結論についてフィリピン側における理解が一層進むよう引き続き努力してまいりたい。
三について
我が国に在留する外国人についてもその基本的人権が尊重されるべきであることは当然であり、法務省の人権擁護機関においては、このような観点に立って、外国人のための特設人権相談所を開設するなどして、人権相談に応じている。
また、基本的人権の侵害が具体的に起こった場合には、人権侵犯事件として所要の調査を行い、適切に対応するほか、国際化時代にふさわしい人権意識の育成のための啓発活動を展開し、外国人の人権擁護に取り組んできているところであり、今後とも、積極的に取り組んでいく所存である。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。