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「国営諫早湾干拓事業」に関する質問主意書
衆議院 第140回 第33号検討してまいりたい ×1
質問本文
諫早湾の干拓事業とそれに伴う干潟の削滅は、公共事業と財政、環境保護と関連する条約、農業政策、防災など様々な面で議論を呼び、大きな政治課題となっている。この問題について以下質問する。
一 潮受堤防の開閉等について
1 潮受堤防を、本年四月一四日に締め切った理由(何故この日であったのか)を明らかにされたい。
2 門を開けて潮を入れることによって、どのような障害が発生するのか。予想されるすべての障害・ケースを明らかにせよ。また、その裏付けとなる水理実験、数値解析はなされたか。なされなかったとすれば、その根拠をどこに求めるのか、科学的な根拠を明らかにせよ。
3 潮受堤防の水門の開閉についての管理規則の作成及びその運用について、建設省は、河川法一三条及び政令八条・九条に基づき、どのように関与を行うのか。
二 湿地保護・ラムサール条約関連について
1 全国的に重要な湿地として、環境庁ではどのような湿地を想定しているか。そのための登録地及びその候補地リストは存在するか。存在する場合、その中に諫早干潟は入っているか。
2 諫早干潟の重要性について、他の干潟に比べて、その位置づけとしてどのようなものと認識しているか。
3 米国との間の「地球的展望に立った協力のための共通課題」(コモン・アジェンダ)では、「日本国政府は、豪州政府と共同で「東アジア〜オーストラリア地域におけるシギ・チドリ類に関する保護ネットワーク」を打ち出した。(中略)日米両国はそれぞれの地域の湿地専門家のための研修を協調して行うこととし、日本は九四年よりアジア開発途上国の湿地管理者のための研修を始めている。」とされている。諫早湾の干拓事業による干潟の消滅はこれとの関連で問題があるのではないか。
4 本件干拓がラムサール条約にいう「適正な利用」(賢明な利用)に当たると考えるか。もし、賢明な利用に当たると言うのなら、そのように判断した根拠を、開発によって失われる生物資源・環境資源・社会経済資源等と、開発によって得られる新しい環境資源、社会経済資源等を比較検討して明らかにされたい。
5 国際社会において諫早干潟は世界的に重要な湿地であるとの認識があるが、環境庁は、この干潟の消滅について、ラムサール条約事務局に潮受堤防締切り前に自主的に報告したことがあるか。また、九九年のコスタリカにおける同条約第七回締約国会議の国別報告書の中で、諫早湾干潟の消滅を報告する計画はあるか。
6 諫早干潟は、国際的に重要な干潟であるにもかかわらず、ラムサール条約に基づく登録湿地にも、国設鳥獣保護区にも指定されないのは、本件地域が干拓計画地域に指定されていたからか。もしそうだとすると、行政の都合で国際条約を侵害したことになり、公務員の憲法遵守義務(憲法九八条及び同九九条参照)に違反したことにならないか。
三 鳥類の保護について
1 いわゆる渡り鳥保護条約(アメリカ合衆国、オーストラリア、カナダ、中華人民共和国との二国間条約協定)に基づく定期協議の場で、この度の諫早干潟の消滅について報告したことがあるか。
2 将来、1の各条約に基づき、各相手国が、 諫早干潟の消滅に関して、条約ないし協定の目的を達成するため必要な措置を求めてきた場合(日米二国間条約に関しては第七条参照)、どのような措置をとることが考えられるか。
3 環境庁は、これまで、諫早湾干潟を国設鳥獣保護区に指定するため、いつ、何回、長崎県に照会ないし、協議したか。その際の長崎県の回答はいかなるものであったか。指定できない理由を明らかにされたい。
4 シギ・チドリ類・ハマシギ類・ズグロカモメ、その他の鳥類の棲息数について、日本の中で諫早湾の占めるパーセンテージを明らかにされたい。
5 諫早湾を中継地とする渡り鳥の種類・数、調査時期・調査機関・調査責任者を明らかにされたい。
6 諫早湾以外の有明海の干潟全体に関して、5と同様の鳥類データを明らかにされたい。
7 農水省のアセスメントに、諫早湾干潟が消滅しても、渡り鳥は他の干潟に移動する旨の記載があるが、移動する鳥の種類、数、各種類の鳥類が移動する場所などをすべて明らかにして、あわせて、そのように言える根拠を明らかにされたい。また、潮受堤防締切り後、鳥類の移動に関する調査を行ったことがあるか。行ったことがあるとすると、実際に移動を確認したことがあるか。
四 底生生物について
1 諫早湾を含む有明海全体の底生生物及び魚類に関する生物調査を行ったことがあるか。あるとすれば、調査時期・調査機関(大学・民間研究所など)・担当者名を明らかにされたい。
2 1の調査を行ったとすれば、�@全体の生物種類の名称・その分布状況・個体数ないし個体群の大きさ、さらに、�A有明海特産種の名称・分布状況・個体数ないし個体群の大きさを明らかにされたい。
3 諫早湾に限って底生生物及び魚類に関する生物調査を行ったことがあるか。あるとすれば、その調査時期・調査機関(大学・民間研究所など)・担当者名を明かにされたい。
4 3の調査を行ったとすれば、全体の生物種類の名称・その分布状況・個体数ないし個体群の大きさを明らかにされたい。
五 生態系等関連調査・環境アセスメントについて
1 干潟の浄化作用についての調査を行ったことがあるか。行ったことがあるとすれば、調査時期、調査機関、担当者を明かにされたい。また、その中に、干潟が失われた場合の、諫早市及び周辺地域、有明海の生態系に与える影響についての調査があれば、その結論のみを明らかにされたい。
2 諫早干潟が消滅した場合に失われる主要漁業資源(魚種・漁獲高)を明らかにし、さらに、干潟消滅が有明海、東シナ海の漁業に与える影響を明かにされたい。
3 環境アセスメント作成のための専門家に対する委託調査に関し、その調査委託した時期、専門家名、各専門家に委託した調査研究項目をすべて明らかにされたい。各委託調査報告書の結論部分と、本件アセスメントの結論部分をそれぞれ対比させて明らかにされたい。
六 調整池等の水質に関する問題について
1 締切りによって、「調整池の水質に障害が発生する」ことが事前に予測されたか。予測していたとすると、水質悪化の要因はどのようなものと考えていたか、具体的に(生活排水や干潟の生物の死骸など)述べよ。また、このような事態を想定して、潮止めに際し、具体的にどのような措置を講じたか。特に、昭和六三年三月八日付け環境庁長官意見の中で、「調整池に関し、流域内の汚濁の削減、調整池内の水質監視等総合的な水質汚濁防止計画を策定すること」との意見にも関連させて、講じた対策を明らかにされたい。また対策は潮受堤防締切り時点で策定されていたか。いた場合その内容を明示されたい。
2 門を開けないことによる、調整池の水質の悪化及び潮受堤防外の漁業へ悪影響など考えられる弊害及びこれらに対する対策(現在、将来も含めて)を明らかにされたい。
3 平成九年四月一一日付け九州地方建設局長から農水大臣に「国営諫早湾干潟干拓事業に係る潮受堤防及び排水門の一部使用に関する河川法第三〇条二項の承認について」と題する通知書面における第5項の(1)の「水質の障害の発生」はあったか。あったとすれば、具体的にどのような水質悪化があったのか。その調査結果(調査時期、調査方法、水質悪化の程度等)を明らかにされたい。また、農水省は、上記通知に基づき、その結果を建設省に報告したか。さらに、同項の(2)には、「水質に障害が発生した時は、この同意を受けた者(農水省)は、責任を持って適切な措置を講じなければならない」とあるが、農水省として、適切な措置を講じたか。講じたとすると、その「適切な措置」とは具体的にはどのようなものであったか。その方法、講じた時期、それによって改善された効果等について述べよ。
4 3に関し、農水省として、「水質に障害が発生」しなかったと判断して、報告も適切な措置も講じなかった場合、「水質に障害が発生」したと判断する基準は何か、具体的に、国の定めた水質の安全基準(厚生省基準など)に照らして、農水省としての見解を述べよ。
5 調整池の水質の保全の責任はどの省庁にあるのか。この点で農水省と建設省が協議したことはあるか。あるとすればその内容はいかなるものであったか。また河川法に基づき、建設省が直接または農水省と協議して、有効な措置を講ずることは出来るのか。
6 昭和六三年に環境庁長官が関係者に宛てた意見書によれば、調整池内の水質悪化対策として海水によるフラッシュバックに言及しているが、農水省が環境庁との間で設けた「諫早湾干拓調整池水質委員会」の委員長の見解として、フラッシュバックは行わないということが前提となっているが、このような前提を取る理由は何か。科学的根拠を示して明らかにせよ。
七 事業と防災の関連全般について
1 本件事業計画は、当初「諫早湾防災総合干拓事業」と銘打たれていたが、八六年に「国営諫早湾干拓事業」に名称変更された。このように名称変更した理由は何か。
2 調整池内の淡水化を進める理由は何か。防災目的との合理的関連性を説明せよ。
八 潮受堤防の強度・耐震、災害関連について
1 本事業地域における地震予測及び海底活断層の状況を、どのように把握しているのか明らかにせよ。
2 内部堤防、潮受堤防は、どの程度の地震に対して耐震性があるのか、震度・水平震度について明らかにせよ。また、予想最大震度・水平震度はどの程度のものと判断したのか。さらに、その判断となった具体的な根拠を示して回答されたい。また群発地震に対する、内部堤防、潮受堤防の安全性の確保のため、どのような技術的な配慮を行ったのか明らかにせよ。
3 サンドコンパクション工法による堤防の強化を行っているが、その際、パイルをどの深さまで打ち込んだのか、そのパイルの径・打ち込み位置・間隔・深さを明示されたい。さらに、各パイルは岩盤まで達しているかどうかを明らかにされたい。
4 本件事業において、最大規模の災害を想定したか。したとすると、それは、具体的にどのようなものであったか。
5 本件事業による潮受堤防、内部堤防及びその付帯設備に関し、「工作物設置許可基準」(平成六年九月二二日建設省河川発二二号)に基づく水理模型実験、数値解析等を行ったか。
6 潮受堤防は潮流秒速何メートルに耐えられるのか、出入り毎に明らかにされたい。
7 六月一三日衆議院環境委員会で環境庁渡辺水質保全局長が自民党の杉浦正健議員の質問に対し、「調整池内の塩分濃度が下がらないのは、潮受け堤防の鋼板下から海水がしみこんでいる」主旨の答弁をされたが、この発言の根拠を明らかにせよ。これが事実とすればマイナス一メートルの水位にして潮受堤防に負荷を与える事は無理があるのではないか。
九 潮受堤防の管理と干潟の堆積について
1 本件事業完成後、潮受堤防及び内部堤防の管理は誰か。また、これらの構造または設置にかかる瑕疵に起因する事故が発生した場合の責任者は誰か。
2 潮受堤防建設開始後に干潟の堆積はどのように進んだかにつき、その調査を行ったことがあるか。あるとすれば、その最終調査はいつの時点で行ったのか。また、その結果を、「中間報告書」添付の図 ― 9「比較検討案平面図」に対応させて明示し、併せて堆積容量を明らかにされたい。さらに、堆積が進んでいたとすれば、その考えられる原因は何か。
十 雨による水害・洪水について
1 ここ三〇年間の、大雨・豪雨・洪水(諫早大水害並み)による、湾岸及び諫早市内の浸水被害状況(浸水面積…床上・床下・深さ・死亡者の分布など)及び排水機場のポンプの稼働状況が、雨量の程度に応じてどのようであったか明らかにされたい。
2 五月一三・一四日両日の大雨時の長田地区、小野、森山地区のアメダス(日総降雨量及び一時間最大雨量)をすべて明らかにされたい。また、これら三地区における冠水の分布状況(深さも含めて)、本明川の増水状況、及びそれぞれの地区における浸水被害(床上・床下)状況、並びに、各地区における排水機場のポンプの稼働状況(稼働した時間)を明らかにされたい。あわせて、そのデータの調査責任者、調査方法(調査者の所属団体名・人数・データの収集方法)も明らかにされたい。
3 農水省が、前項と比較する七年前の大雨に関し、前項と同様に明かにせよ。
4 本件三五五〇ヘクタール締切り計画において予測した、洪水時(諫早水害並み)における浸水被害状況(浸水面積、床上浸水、床下浸水被害戸数)を、その調査時点と調査方法(水理実験ないし数値解析など)を明示して明らかにされたい。また、その後の、浸水被害予測対象地の人口、住居地域の変遷にしたがって、被害予測を修正したことがあるか、あるとすれば、その修正結果を明らかにされたい。
5 洪水調整容量を七二〇〇万立方メートルとする算出計算式・根拠を明らかにせよ。
6 調整池の水位をマイナス一メートルに保つことによって、小野、森山地区の地盤沈下を加速させる事実を認識しているか。また、その調査を行ったことがあるか。あるとすれば、その結果はどのようなものであったか。
十一 高潮と堤防嵩上げについて
1 本事業で既設堤防の嵩上げは必要か。また、そのための工事は予定されているか。されているとすると、その要嵩上げ延べ距離、要工事費を明らかにされたい。
2 高潮対策として、既存堤防の嵩上げに巨額の費用が必要であり、現実的でないとの指摘が農水省からあるが、これについての具体的試算結果はあるのか。あれば、これを明らかにせよ。ないとすれば、農水省が断定的にこのように述べる具体的根拠を示して明らかにせよ。
十二 排水の問題、塩害等について
1 低地の常時排水対策を必要とする地域、対象戸数を明らかにせよ。これらに対して、有効な排水対策を行うためには、どの位の排水ポンプが必要と考えるか。またその場合、どの程度の金額が必要と考えるか。
2 潟の障害のないことを前提にして、自然排水可能な落差は何メートルか明らかにされたい。
3 造成農地のうち、海抜零メートル以下の土地はおよそ何ヘクタールあるか。その低地の排水対策として、排水ポンプを何台設置されることが計画されているか。また、その設置費用、運転費用はいくらか、さらに、それらの費用負担は誰が行なうのか。
4 洪水時には、造成農地が導水池(遊水池)として利用されることが予定されているのか。されているとしたら、そのことを農地募集に際して明らかにするのか。また、もし、遊水池として利用されるとしたら、その補償は誰が行なうのか。
5 諫早湾沿岸及び創出干拓地の農地の塩害被害予想額とその根拠を定量化して明らかにせよ。
十三 河川管理関係について
1 本明川、河口周辺の諫早湾地域の河川管理、防災の責任者は誰か。
2 本件干拓事業の計画の策定時に、河川堤防、海岸堤防、排水施設等に不備があったのか。また、建設省の防災対策では、洪水、高潮被害、低地の排水対策に対応できないという事情があったのか。
3 本件潮受堤防設置が存在しなければ、建設省の防災計画(高潮・洪水・低地の排水対策)の目的を達することができないのか。また、本件干拓事業の実施に伴い、建設省の防災計画に変更があったことがあるか。特に、本件事業計画の実施が原因となって、従来の計画に追加的措置を取らなければならなかったことはないか。
4 河川管理者たる建設省は、他の者が設置した工作物の安全性に対しても責任を負うのか。負うとして、河川法第二六条の許可に当たって、本件潮受堤防及び内部堤防等の安全性を審査したか。その際、農水省から、高潮・洪水対策、低地の排水対策に資するという報告がなされていたのか。なされていたとすると、建設省の見解も同様であったのか、また、異なったのか。異なっていたとすれば、どのような点において異なっていたのか。
十四 農業計画見通しについて
1 調整池の水に対する農業用水需要計画を述べよ。また、淡水化せずに新規造成農地に対して調達可能な農業用水の量、及び、その農業用水でまかなえる農地面積を明らかにされたい。
2 干拓による創出農地の土地利用方法に関し、土壌・土質・適正作物・気温等及び農業・酪農業の営農計画・生産性等を明らかにせよ。
3 全国的に干拓地の農地としての利用が進まず転用・放置されている面積が三五〇〇ヘクタールにのぼるとされている中、本件事業地の農業利用計画の見通しを詳細に明らかにせよ。
4 近年全国的に馬鈴薯の作付け面積が減少しているにもかかわらず、五月一四日付けの農水省の発表資料によると創出農地に栽培される主な作物として馬鈴薯が想定されているようであるが、これは無理があると考えないのか。その根拠等を詳細に述べよ。
十五 関連する予算・財政等について
1 当初予算では、以下の工作物及び付属工事等に関し、費用がいくら予定されたか明らかにされたい。�@小江堤防の築堤、�A潮受堤防、�B内部堤防、�C干拓地の造成、�D調整池内の浚せつ、�E既設堤防の嵩上げ・改修、�F本明川の中流域から河口まで、潮受堤防工事と因果関係を有する潟浚せつ、�G水質保全対策、�H漁業補償、�I地元対策。
2 以上の他に支出項目があれば費目、費用を逐一明らかにされたい。
3 地元対策費とはどのようなことを想定したものか、目的と使途を明らかにされたい。また、これらに対する、これまでの具体的な支出目的と支出先、金額をすべて明らかにされたい。
4 1の当初予算に対して、�@〜�Iに関してそれぞれ、これまでの支出実績を述べよ。
5 1の�@〜�Iに関し、今後の完成に至る具体的年度毎の工事予定計画、また、それに対応する予算計画をそれぞれ明かにせよ。
6 当初の予算に比べて大幅に経費が増加しているが、農水省から大蔵省にどのように説明されているか。また、今後完成までにどの程度の追加予算が必要だと報告されているか。
7 本件予算においては「地元対策費」として巨額の予算が計上されているが、会計検査院からこの支出項目についての検査を受けたことがあるか。ある場合、その支出に関して指摘された点があるか、ある場合はその点を明らかにせよ。
十六 公共事業の変更・見直し等について
1 国の公共事業の細部は行政に委ねられているが、本件事業のように目的の変更・追加があった場合、国会での審議・承認の必要性について政府はいかに考えるか。
2 この先、本件事業費が当初の予定に比して相当の予算オーバーとなった場合、また創出干拓地の利用用途が変更になった場合に、政府は国会に対してどのように対応する考えか。
3 今後、公共事業の変更等に際して、国会において審議する仕組みを検討する考えはあるか。ないとすればそれは何故か。
十七 行政手続きについて
行政手続法の審査基準の根拠として「公有水面埋立法第四条」ならびに通達「公有水面埋立法の一部改正について」(昭和四九・六・一四建設省河政発五七号)があるが、これらの根拠はいずれも環境保全につき一般的見地から配慮すべき事を定めたにとどまり、保全すべき対象ないし範囲については極めて一般的な形でしか定められていない。環境保全についてどのような具体的な審査基準をもって公水法第二条第一項の埋立免許に臨むのか明らかにせよ。
十八 国際関係との関連について
国際社会から、本件干潟を消滅させることに対する批判が起こっているが、ラムサール条約、いわゆる二国間における渡り鳥保護条約、生物の多様性に関する条約遵守の観点から、政府の見解を問う。また、これまで、外国政府・国際機関などから質問ないし抗議を受けたことはないか。あるとしたら、これらに対してどのような対応をとってきたか。また、将来そのようなことがあった場合、どのような対応をとるつもりか。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
潮受堤防の工事工程上、締切りを行う段階であったこと、出水期に備えて締切り区間の盛石を行い堤体の安定を図る必要があったこと、作業の安全性の観点から小潮の満潮前の潮止まり時で、かつ、昼間に行うことが必要であったことから、本年四月十四日に潮受堤防の締切りを行ったものである。
一の2について
調整池の水を造成農地のかんがい用水及び雑用水の水源とし、また、造成農地の除塩を促進するとともに農作物への潮風害等を防止するためには、調整池を淡水化することが必要であること、並びに防災機能を適切に発揮させるためには、調整池の水位を標高マイナス一メートルになるように管理することが必要であることから、排水門により海水を調整池へ流入させることは想定していない。
一の3について
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第十三条は、河川管理施設又は同法第二十六条第一項の許可を受けて設置される工作物の構造について河川管理上必要とされる技術的基準を規定したものにすぎない。
また、河川法施行令(昭和四十年政令第十四号)第八条及び第九条は、操作規則を定めなければならない河川管理施設及び河川管理施設の操作規則に定めるべき事項を規定したものであるが、国営諫早湾干拓事業に係る北部排水門及び南部排水門については、河川法第三条第二項ただし書の規定による同意はなく、したがって河川管理施設には当たらない。
二の1について
湿地の重要性については、渡り鳥を始めとした野生生物の生息地としての重要性などから判断することが適当であると考えている。
「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(昭和五十五年条約第二十八号。以下「ラムサール条約」という。)の登録湿地のリストは存在するが、諫早湾は登録湿地となっていない。また、ラムサール条約登録湿地の候補地リストは作成していない。
二の2について
諫早湾の干潟は、渡り鳥の渡来地として我が国有数の場所であると認識している。
二の3について
「地球的展望に立った協力のための共通課題(コモン・アジェンダ)橋本総理大臣及びクリントン大統領への共同報告書一九九六年六月」では、湿地及び渡り鳥の保護に関する活動として、日本政府とオーストラリア政府が主導的役割を果たして「東アジア・オーストラリア地域におけるシギ・チドリ類に関する湿地ネットワーク」が国際的な非政府機関であるウェットランズ・インターナショナル・アジア太平洋評議会により構築されたこと及び日本政府が平成六年からアジア地域の開発途上国の湿地管理者のための国際協力事業団研修「湿地及び渡り鳥保全コース研修」を開始したことを報告している。
当該報告は、コモン・アジェンダで協力分野として合意された「地球環境の保護」のうち「保全」分野に関する日本の取組を紹介したものにすぎず、国営諫早湾干拓事業を規制する趣旨のものではない。したがって、コモン・アジェンダとの関連では、問題はないと考えている。
二の4について
ラムサール条約は、締約国は、その領域内の湿地をできる限り適正に利用することを促進するため、計画を作成し、実施すると規定しており、政府としては、日本国内の湿地をできる限り適正に利用することを促進するため、環境基本計画等の諸計画を作成し、施策を実施しているところである。
国営諫早湾干拓事業は、生産性の高い農地の造成並びに高潮、洪水及び排水不良に対する防災機能の強化を目的として実施しているものであり、この事業により地域にもたらされる効果は極めて大きい。また、着工に先立ち、環境影響評価を実施し、その後も環境モニタリングを継続しているほか、事業の実施に当たり、環境に配慮した工法を採用するなど、適正な利用の観点にも配慮したものとなっている。
二の5について
潮受堤防の締切り前に、ラムサール条約事務局に報告したことはない。
なお、潮受堤防の締切り後に、同事務局から国営諫早湾干拓事業に関する情報の提供を求められたため、我が国から同事務局に対し、既にしかるべく情報を提供している。
また、平成十一年のラムサール条約締約国会議への対応については、現時点では未定である。
二の6について
諫早湾については、従来から干拓計画が進められてきており、関係者の合意を得て国設鳥獣保護区の設定及びラムサール条約上の登録簿に掲げるべき湿地としての指定を行う状況にはなかった。
また、ラムサール条約は、いかなる湿地を登録簿に掲げるべきかの判断基準を具体的に規定しておらず、結局は各締約国の判断にゆだねているものと考えられることから、我が国が諫早湾を登録簿に掲げていないことをもって、同条約に反することにはならない。したがって、憲法違反という御指摘にも当たらない。
三の1について
我が国がアメリカ合衆国、オーストラリア、ロシア連邦及び中華人民共和国との間でそれぞれ締結している二国間の渡り鳥等保護条約又は協定(以下「渡り鳥保護条約」と総称する。)は、いずれも両政府に定期協議の開催を義務付けるものではなく、いずれか一方の政府の要請があった場合に、渡り鳥保護条約の実施について協議を行うことを定める。当該規定に基づき、我が国政府は渡り鳥保護条約の相手国政府との間で随時協議を行ってきているが、同協議において諫早湾の干拓の消失について言及したことはない。
三の2について
国営諫早湾干拓事業により消失する干潟は有明海の干潟全体の七パーセントであり、渡り鳥保護条約により保護される渡り鳥等を含む鳥類は周辺の干潟へ移動すると予測されている。さらに、干潟の再生促進のための調査を実施し、今後、鳥類のため自然植生の維持等の措置を講ずることとしている。これらのことから、当該事業は、これら鳥類に対し著しい影響を及ぼすことはないと考えている。このような事情にかんがみれば、当該事業の実施による諫早湾の干潟の消失が渡り鳥保護条約の規定に違反するものとは考えられないが、いずれにせよ、仮に、渡り鳥保護条約の相手国政府から御指摘のような措置が求められた場合には、このような事情を説明した上で、必要に応じ対応を検討してまいりたい。
三の3について
長崎県とは諫早湾も含めた県内全般の鳥獣保護について、これまでも意見交換を行ってきたところである。
なお、この地域については従来から干拓計画が進められてきたことから、関係者の合意を得て国設鳥獣保護区を設定する状況になかった。
三の4について
日本を中継地又は越冬地として利用する渡り鳥の総数を把握する調査を行っていないため、諫早湾を利用する渡り鳥の割合については不明である。
三の5について
諫早湾を中継地として利用している渡り鳥としては、シギ、チドリ類が主と考えられる。環境庁が財団法人日本鳥類保護連盟に委託して実施しているシギ、チドリ類の調査結果によれば、平成四年五月四日にダイゼン、チュウシャクシギ、ハマシギ等二十三種三千八十羽が、同年八月三十一日にダイゼン、ダイシャクシギ、ハマシギ等二十二種四千四百二十三羽が観察されている。
三の6について
諫早湾を除く有明海の干潟全域を対象とした渡り鳥の種類及び数についての調査は、行っていない。
三の7について
有明海においては、諫早湾以外にもシギ、チドリ等の餌となる底生生物の豊富な干潟が広く存在すること及びこれらの鳥類が有明海の干潟間を移動することが確認されていることから、シギ、チドリ等の飛来地は、諫早湾の残存海域や他の有明海の在来干潟に移動すると見込まれる。
なお、潮受堤防の締切り後、現在までに鳥類の移動に関する調査は実施していない。
四の1について
有明海の底生生物については、九州大学理学部の研究グループが、昭和四十七年から五十二年にかけて調査を行った例がある。また、有明海の魚類については、農林水産省西海区水産研究所が、昭和四十八年度から五十年度にかけて調査を行っている。
四の2について
有明海の底生生物については、昭和四十七年六月の調査において、有明海中央部と天草諸島沿岸の調査地点で生物の密度が高く、大半が甲殻類であること、有明海奥部の河川流入部及び菊池川河口に近い調査地点並びに諫早湾内の調査地点では、生物の密度がやや低く、多毛類と二枚貝類が高い比率を占めていること等を確認している。
なお、当該調査の結果においては、有明海特産種は特定されていない。
有明海の魚類については、主要な十一魚種の分布と移動状況等を調査し、コノシロは冬季には有明海中南部に分布し、春季から秋季にかけては有明海全域に分布域を広げるようであること、ボラ類は有明海奥部が分布の中心であること等の調査結果を得ている。
なお、当該調査の対象となった主要な十一魚種には、有明海特産種は含まれていない。
四の3について
農林水産省九州農政局諫早湾干拓事務所が、昭和六十三年度から平成元年度にかけて、諫早湾の底生生物及び稚仔魚の調査を行っている。
四の4について
四の3についての調査の結果、生物の種類の名称及び個体数は次のとおりであった。また、これらの生物の分布は諫早湾全域にわたっている。
備考 昭和六十三年度における四回の調査の平均
五の1について
干潟の浄化作用についての調査としては、環境庁水質保全局瀬戸内海環境保全室が、平成五年度から十一年度までの七か年計画で、瀬戸内海に分布する干潟を対象として調査を実施している。
また、農林水産省東海区水産研究所が、昭和五十七年度から六十一年度にかけて、三河湾の一色干潟を対象として調査を行っている。
これらの調査は、諫早市及び周辺地域又は有明海を対象としたものではない。
五の2について
国営諫早湾干拓事業の実施に当たり行った環境影響評価において、当該事業の実施により、諫早湾においては、湾奥部に生息するムツゴロウ、ワラスボ、ハゼクチ、アサリ等の生息場が失われること等の影響があるものの、諫早湾以外の魚類等にはほとんど影響を及ぼすことはないことを予測している。
五の3について
昭和六十年度から六十一年度にかけて、財団法人九州環境管理協会に対し、国営諫早湾干拓事業に係る環境影響評価について、専門的見地からの検討を委託しており、委託調査の結果が当該事業に係る環境影響評価書(案)となっている。
なお、環境影響評価書(案)の結論部分と環境影響評価手続実施後の環境影響評価書の結論部分は、双方とも「本事業が諫早湾及びその周辺海域に及ぼす影響は許容しうるものであると考えられる。」となっている。
六の1について
締切りによって、調整池の水質に障害が発生することは、予測していない。
なお、締切りに際して、調整池内の水質監視体制を強化するとともに、必要があれば臨機の対策をとることとしている。
六の2について
必要に応じ、排水門を開けて排水を行っているところである。
六の3について
御指摘の「国営諫早湾干拓事業に係る潮受堤防及び排水門の一部使用に関する河川法第三十条第二項の承認について」(平成九年四月十一日付け九州地方建設局長通知)の記の条件の第五の(一)の「障害」は、現在まで生じていない。
六の4について
「水質に障害が発生」したことの判断の目安として、水質の悪化が恒常化し、かんがい用水としての利用に著しい悪影響を及ぼす場合等を考えている。
六の5について
公共用水域の水質の汚濁の状況を常時監視する義務は、水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第十五条の規定により都道府県知事が負っており、調整池の水質保全対策については、関係省庁及び関係地方公共団体が、連携して必要な措置を講じていくこととしている。
六の6について
国営諫早湾干拓事業に係る公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)の手続における昭和六十三年の環境庁長官意見には、「海水によるフラッシュバック」という記述はない。
七の1について
「諫早湾防災総合干拓事業」という名称の国営土地改良事業の事業計画は存在しない。
七の2について
調整池の淡水化は、調整池の水を造成農地のかんがい用水及び雑用水の水源とし、また、造成農地の除塩を促進するとともに農作物への潮風害等を防止するために必要である。
八の1について
国営諫早湾干拓事業を実施している地域は、建設省が昭和五十二年に取りまとめた新耐震設計法(案)の地域区分において、地震危険度の低い地域に含まれており、また、これまでの調査では海底活断層は確認されていないことから、当該地域には海底活断層は存在しないものと判断した。
八の2について
内部堤防及び潮受堤防は、新耐震設計法(案)等の基準に従って標準設計水平震度を〇・二として設計されている。
八の3について
サンドコンパクションパイルは直径一・六メートルで、潮受堤防の基礎地盤に二・六メートル又は三・四メートル間隔で最大約三十メートルの深さまで打ち込んでおり、すべてが軟弱粘土層下の砂礫層に達している。
八の4について
国営諫早湾干拓事業の事業計画の策定に当たっては、昭和三十四年の伊勢湾台風級の高潮と昭和三十二年の諫早大水害級の洪水を想定している。
八の5について
潮受堤防等の設置に係る河川法第二十六条第一項及び第九十五条の規定に基づく協議(以下「河川協議」という。)は平成四年に終了しているため、河川協議の許可基準として平成六年に発出された「工作物設置許可基準について」(平成六年九月二十二日付け建設省河川局治水課長通達)に基づく水理模型実験等は、潮受堤防等について行っていない。
なお、当該基準は、河川区域内の工作物を対象としており、潮受堤防等は対象とはならない。
八の6について
潮受堤防の排水門における水流の速度は、調整池から外海への流出時に最大毎秒約七メートルとなる。
なお、外海から調整池への流入については想定していない。
八の7について
現在、潮受堤防は工事中であり、潮受堤防のうち仮締切り区間の断面が完成時の断面に比べて小さいこと等から一部海水が浸透することが想定されることを根拠に発言したものである。
また、潮受堤防は海水が浸透することを見込んで造成している。
九の1について
潮受堤防及び内部堤防は、長崎県が予定管理者となっている。
また、これらの設置に瑕疵があったために損害を生じたときは、国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第二条第一項の規定により、原則として堤防の設置者たる国がその損害を賠償する責任を負うこととなる。
九の2について
平成八年度に海底地形測量を実施している。
「諫早湾防災対策検討委員会中間報告書」添付の図 ― 9「比較検討案平面図」は、概略的な測量に基づくもので、平成八年度の海底地形測量とは測量精度に差があるため、両者を比較対応させ正確な変化を把握できるものではない。
なお、平成八年度の測量結果では、事業計画どおり調整池水位が約三・二メートルの時に約七千二百万立方メートルの洪水調整容量を確保できることを確認しており、問題はないと考えている。
十の1について
過去三十年間のうち住居への浸水被害が記録されているケースにおける降水量、被害状況及びポンプの稼働状況は次のとおりである。
備考
一 諫早市、森山町、高来町、吾妻町及び愛野町を対象に取りまとめた。
二 浸水戸数及び死亡者数は、建設省河川局「水害統計」、長崎県消防防災課「災害報告書」及び関係市町からの聞き取りによる。
三 降水量は、諫早地域気象観測所のデータである。
四 床上浸水、床下浸水及び死亡者の欄の( )は諫早市のみを示す。
五 排水ポンプ稼働時間は、記録の残っているポンプ場のうち、稼働したポンプ一台当たりの平均稼働時間(十分未満の端数は四捨五入)を示す。
六 この他、降水量との関係は明らかでない浸水被害の記録はある。
十の2について
本事業地区の流域内では、気象庁が諫早地域気象観測所及び五家原岳地域気象観測所で降水量の観測を行っている。平成九年五月十三日から十四日にかけての観測によると、日降水量は諫早地域気象観測所で、五月十三日に六十四ミリメートル、五月十四日に六十九ミリメートル、五家原岳地域気象観測所で五月十三日に八十四ミリメートル、五月十四日に百六十三ミリメートル、日最大一時間降水量は諫早地域気象観測所で五月十三日に十九ミリメートル、五月十四日に十六ミリメートル、五家原岳地域気象観測所で五月十三日に十四ミリメートル、五月十四日に五十七ミリメートルであった。
本明川の増水状況は、建設省が遠方監視装置により水位観測を行っている。本明川の基準地点である裏山での、水位上昇時の最高水位と水位上昇前の水位の差は百四十二センチメートルであった。
関係者からの聞き取りを含む農林水産省の現地調査では、降雨による湛水の分布状況は諫早市の松崎排水機場周辺地域等で約五十五ヘクタール、森山町の諫早湾周辺地域で約九十ヘクタール、吾妻町の釜の鼻排水機場周辺地域で約十ヘクタール、愛野町の有明川河口周辺地域で約五ヘクタールであり、このほか面積は不明であるが黒崎排水機場周辺地域等にも湛水があった。住居の浸水被害はなかった。
また、排水機の稼働状況は運転管理日報によれば次のとおりであった。
十の3について
平成二年六月二十八日から七月三日にかけての気象庁の諫早地域気象観測所及び五家原岳地域気象観測所での観測によると、日降水量は諫早地域気象観測所で六月二十八日に八ミリメートル、二十九日に五十一ミリメートル、三十日に七十二ミリメートル、七月一日に四十九ミリメートル、二日に百五十三ミリメートル、三日に二十三ミリメートル、五家原岳地域気象観測所で六月二十八日に十五ミリメートル、二十九日に七十九ミリメートル、三十日に七十九ミリメートル、七月一日に五十二ミリメートル、二日に二百二十ミリメートル、三日に三十ミリメートル、日最大一時間降水量は諫早地域気象観測所で六月二十八日に八ミリメートル、二十九日に十六ミリメートル、三十日に十ミリメートル、七月一日に十五ミリメートル、二日に三十八ミリメートル、三日に十八ミリメートル、五家原岳地域気象観測所で六月二十八日に十二ミリメートル、二十九日に十九ミリメートル、三十日に十一ミリメートル、七月一日に十一ミリメートル、二日に三十六ミリメートル、三日に十一ミリメートルであった。
本明川の増水状況は建設省の水位観測記録では、本明川の基準地点である裏山での、水位上昇時の最高水位と水位上昇前の水位差は二百十二センチメートルであった。
農林水産省が当時の資料から取りまとめた降雨による湛水の状況は、諫早湾周辺では諫早市で約八百四十ヘクタール、森山町で約五百六十ヘクタール、高来町で約十ヘクタール、吾妻町で約百五十ヘクタール、愛野町で約三十ヘクタールであった。住居の浸水被害状況は、床上浸水一戸、床下浸水六十五戸であった。
また、排水機の稼働状況は運転管理日報によれば次のとおりであった。
十の4について
浸水被害状況等は、事業計画策定時(昭和六十一年)に、伊勢湾台風級の高潮と諫早大水害級の洪水が同時に発生した場合について数値解析により予測しており、その結果は、事業実施前の浸水面積三千二百四十ヘクタール、床上浸水三千三十六戸、床下浸水千三百五十八戸、事業実施後の浸水面積二千二百七十ヘクタール、床上浸水百六十七戸、床下浸水百四十二戸となっている。
なお、人口、住居地域の変遷による予測の修正は行っていない。
十の5について
伊勢湾台風級の高潮と諫早大水害級の洪水が同時に発生した場合を想定して、数値解析を行い、調整池水位が約三・二メートルの時の調整池容量約七千二百万立方メートルを洪水調整容量としたものである。
十の6について
国営諫早湾干拓事業の環境影響評価において、調整池水位を標高マイナス一メートルに管理しても、小野、森山地区の地盤沈下に与える影響は軽微であると予測している。
十一の1について
既設堤防の嵩上げ工事として、延べ四・五キロメートルの区間を予定しており、その工事費は約十億円と見込んでいる。
十一の2について
締切り内部の既存の海岸堤防及び河川堤防を伊勢湾台風級の高潮に対応できるよう嵩上げすると、その費用はおおむね千八百億円と試算される。
十二の1及び2について
大潮満潮時における外潮位(標高二・五メートル)以下の地域には、昭和六十一年時点で戸数約三百七十戸が存在し、この地域においては、水が高い所から低い所へ流れるという原理によれば、大潮満潮時には自然排水による常時排水は不可能であったと考えられるが、国営諫早湾干拓事業により調整池水位を標高マイナス一メートルに管理することにより、自然排水による常時排水が可能となる。
十二の3について
標高零メートル以下となる面積は約千百ヘクタールである。
排水ポンプは、事業計画では八台設置する予定であり、設置費用として約三十八億円、運転費用として年間約四千五百万円を見込んでいる。
設置費用については、原則として国が三分の二、県が十五・四パーセント、地元が十八パーセントを負担することが予定されている。
また、運転費用の負担は、排水ポンプの予定管理者である土地改良区の定款の定めるところによる。
十二の4について
事業計画上、造成農地を導水池(遊水池)として利用することは予定していない。
十二の5について
調整池を淡水化すれば、諫早湾沿岸及び創出干拓地の塩害は予想されない。
十三の1について
一級河川本明川の河川管理者は、建設大臣である。
御指摘の地域については、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第三条から第五条までに定めるところにより、国、長崎県及び諫早市が、それぞれ防災対策に取り組む責務を有している。
十三の2について
国営諫早湾干拓事業計画が決定された昭和六十一年時点では、御指摘の地域においては、河川堤防は改修途上にあり、また、海岸堤防及び排水施設については、整備を要する状況にあった。
なお、建設大臣が行う本明川に係る河川管理の目的は、当該河川についての洪水、高潮等による災害の発生の防止を含んでいるが、これ以外の災害の発生の防止を目的としているものではない。
十三の3について
本明川に係る河川法第十六条第一項に規定する工事実施基本計画(以下「工事実施基本計画」という。)は、当該河川についての洪水、高潮等による災害の発生防止という目的を達成できるよう策定しており、潮受堤防の存在を前提としているものではない。
また、これまで、国営諫早湾干拓事業の実施に伴って工事実施基本計画を変更したことはないが、潮受堤防により本明川の高潮区間において結果的に高潮対策上の効果が生じることを踏まえ、今後、河口部の高潮対策について調査検討を行うこととしている。
十三の4について
河川管理者たる建設大臣は、河川法第二十六条第一項の規定に基づく河川管理者の許可を受けて新築される工作物について、当該許可に際して河川管理上の安全性について判断するものである。建設省九州地方建設局長は、国営諫早湾干拓事業に係る同法第九十五条の規定に基づく農林水産大臣からの協議があったので、潮受堤防等の河川管理上の安全性について審査を行った。
また、当該協議に併せて、農林水産省から建設省に対して、国営諫早湾干拓事業の防災効果について報告があった。
なお、建設省は、本明川の高潮区間において結果的に高潮対策上の効果が生じること及び本明川の洪水に対して支障がないことについては認識しているが、国営諫早湾干拓事業そのものの防災効果については判断する立場にはない。
十四の1について
干拓地のかんがい用水及び雑用水として年間八百万立方メートルの水源依存量を見込んでおり、全量を調整池に依存することとしている。
本事業地区の周辺の河川は水源として不安定である上、既耕地のかんがい用水等として利用されており、新規造成農地における新たな水需要をこれら河川に依存することはできない。
十四の2及び3について
干拓地は平坦な地形で、土壌は多量の有機質を含み肥沃であり、周辺干拓地の実績からみても多様な作物の育成に十分な生産条件を備えている。本地域は温暖で冬期の降雪もほとんどなく恵まれた気象条件を有しており、生産性の高い営農を行うことが可能である。
事業計画上の営農計画は、増反による野菜作及び肉用牛肥育並びに経営移転入植による酪農経営を設定している。
十四の4について
平成七年十二月策定の「農産物の需要と生産の長期見通し」において、ばれいしょの需要は今後伸びるものと見込まれていること、ばれいしょは、既に機械化一貫作業体系が確立されていること等から、広大な干拓地において、生産団地の形成が十分図られるものと考えられる。
十五の1、2、3及び7について
国営諫早湾干拓事業に係る当初の総事業費は千三百五十億円であり、国営土地改良事業特別会計における工事別の内訳は、「諫早湾」(潮受堤防の工事等)が六百五十億円、「諫早湾(開畑工事等)」が七百億円である。
なお、地元対策費という支出項目はない。
十五の4について
国営諫早湾干拓事業の平成八年度末までの支出実績は、「諫早湾」に約千三百三十五億円、「諫早湾(開畑工事等)」に約二百三十五億円である。
十五の5及び6について
「諫早湾」については、平成十年度の完了を目指し、平成九年度以降で約二百億円の事業費を見込んでいる。
「諫早湾(開畑工事等)」については、平成十二年度の完了を目指し、平成九年度以降で約六百億円の事業費を見込んでいる。
なお、国営諫早湾干拓事業に係る事業費については、毎年度、予算編成の過程で、農林水産省から大蔵省に対して説明している。
十六について
国営諫早湾干拓事業等を含む国の公共事業は、国会の審議を経た毎年度の予算に基づき、行われているものである。
なお、国営諫早湾干拓事業については、目的の変更又は追加はない。
十七について
公有水面埋立の免許の環境保全に関する基準については、公有水面埋立法第四条第一項第二号の規定により「其ノ埋立ガ環境保全(中略)ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」、同項第三号の規定により「埋立地ノ用途ガ(中略)環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体(港務局ヲ含ム)ノ法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト」とされており、同項第二号の規定の具体的な運用については、「公有水面埋立法の一部改正について」(昭和四十九年六月十四日付け運輸省港湾局長、建設省河川局長通達)の記の三の(三)に基づき、「埋立てそのものが水面の消滅、自然海岸線の変更、潮流等の変化、工事中の濁り等に関し、海域環境の保全、自然環境の保全、水産資源の保全等に十分配慮されているかどうかにつき慎重に審査すること」を、免許権者である都道府県知事に指導している。
これに従って、都道府県知事が、出願に対して個別に審査を行っている。
十八について
ラムサール条約に関しては、諫早湾は、同条約上の登録簿に掲げられた湿地ではなく、同条約に基づき自然保護区として設定された湿地でもないので、国営諫早湾干拓事業はこの限りにおいては、同条約との関係で問題はないものと考えている。
なお、同条約上の「適正な利用」との関係については、二の4についてにおいて答弁したとおりである。
渡り鳥保護条約に関しては、三の2についてにおいて答弁したとおり、国営諫早湾干拓事業が同条約の規定に違反するものとは考えられない。
生物の多様性に関する条約(平成五年条約第九号)に関しては、政府としては、国営諫早湾干拓事業につき、着工に先立ち環境影響評価を実施したほか、水質、野鳥及び水生生物等についての監視を実施しており、同条約との関係でも問題はないものと考える。
外国政府、国際機関等からの質問等については、ラムサール条約事務局から国営諫早湾干拓事業について情報を求められたので、我が国から同事務局に対し、既にしかるべく情報を提供している。
今後、外国政府、国際機関等から質問等がある場合には、必要に応じ前記のような我が国の考え方を説明していく考えである。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。