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諫早湾干拓農地における農業用水に関する質問主意書
衆議院 第171回 第158号お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1
質問本文
国営諫早湾干拓事業に関しては、有明海沿岸の漁業と諫早湾干拓農地(以下,「本件干拓農地」とする)における営農を真に両立させ、いわゆる「有明海異変」によって大きな被害を受けている沿岸地域社会の復興を図るためには、潮受堤防の南北排水門を開放し、海水交換を行うことが喫緊の課題となっているが、政府は、調整池が海水化し、本件干拓農地における農業用水の確保が困難となることを理由の一つとして、開門を拒否している。
よって、本件干拓農地における農業用水の問題に関し、次の事項について質問する。
一 開門を求める漁民からは、潮受堤防の南北排水門を開門した場合の代替水源として(ア)下水処理水の再利用、(イ)ため池の設置、(ウ)河川余剰水の利用、(エ)本明川流域における河口堰等の設置などの種々の方策が提案されているが、
�@ 政府の、これらの代替水源に関する見解如何。
�A 政府は、真摯な検討を行っているのか。その具体的検討状況及び検討内容について,明らかにされたい。
二 国営諫早湾土地改良事業変更計画書(干拓)では、本件干拓農地においては四九二万立方メートルの水(消費水量)が必要であるとされ、このうち、二一三万立方メートルに関しては降雨で賄われる(有効雨量)ため、調整池から三三〇万立方メートルの水をかんがい用水として利用する計画とされているが、そもそも、上記計画書における本件干拓農地の消費水量、有効雨量及び調整池からの取水量は、どのような根拠に基づき算出されたものか、その算定根拠及び計算式等を示して具体的に明らかにされたい。
三 農林水産省作成の資料によると、本件干拓農地においては、土地利用率が一九九パーセント(平成二十一年一月十三日現在)と非常に高いにもかかわらず、正式に営農が開始された平成二十年四月から十二月までの実績取水量は、合計約二三万立方メートルであり、同期間の計画取水量である約二六六万立方メートルのわずか八・七パーセントほどに過ぎず、計画取水量と著しくかけ離れたものであることが明らかになっているが、
�@ 何故このような乖離が生じているのか見解如何。
�A 改めて取水量の算定を見直す必要性の認識如何。
四 ビニールハウスを利用するため雨水以外の水を必要とする施設園芸の作付けが進めば、取水量はもっと増加するという主張もあるが、
�@ 施設園芸の作付けに関して今後増加していく見込みが実際にあるのか。
�A 現在の施設園芸に使用されている農業用水の水量からして、どの程度取水量を増加させるものか。
�B 本件干拓農地においては、調整池からの取水とは別に、地下水を汲み上げるポンプが二箇所に設置され、施設園芸を営む営農者はその地下水を利用しているようであるため、今後施設園芸の作付けが増加しても、営農者は上記の地下水や水道水などを利用する方向であり、調整池からの取水量は増加しないのではないか。
五 十年に一度程度発生する渇水時の取水量は平年とは異なるものであるという主張もあるが、過去十年間の諫早地方の年間降水量は、平成十一年から三一六八ミリ、一九一六ミリ、一九八〇ミリ、一七七八ミリ、二〇七六ミリ、一九六九ミリ、一六〇〇ミリ、二六一七ミリ、一六四五ミリで、平成二十年が二〇五九ミリとなっており,過去十年間の平均は約二〇八〇ミリであり、平成二十年が特に雨が多い状況とは思われず、
�@ このような主張は認められないものと考えられるが、政府の見解如何。
�A �@において主張が認められるとするのであれば、十年に一度程度発生する渇水とは、具体的なデータに基づき想定しているのか、具体的事例を示して回答していただきたい。
�B そもそも、調整池からの取水量は、消費水量から有効水量を除いて算出されているため、「十年に一度程度発生する渇水時の取水量は平年とは異なるものである」という主張は、渇水時の不足水量を二重に評価するものではないか、政府の見解如何。
六 本件干拓農地内に設置された地下水のポンプに関しては、当初の利用目的とは異なり、実際の営農に利用がされているようであるが、
�@ 地下水ポンプ設置の現状如何。設置主体、設置理由、利用目的、利用している営農者の戸数、露地栽培又は施設園芸等の利用している農業形態及び本件干拓農地で正式に営農が開始された平成二十年四月から現在までの使用水量を明らかにされたい。
�A なぜこのような利用実態があるのか政府の見解如何。調整池から取水された水では営農に支障が出るとの懸念が営農者にあるという認識はないのか。
七 全国においては、下水処理水の農業用水としての再利用に関して、多くの利用実績(計画)があるところである。そこで、代替水源として下水処理水の再利用を行う場合、本件干拓農地に程近い諫早中央浄化センターの処理水を利用することが考えられるが、同センターでは、日量六二四二、年間約二二八万立方メートル(平成十九年度)の放流水量があるため、下水処理水を再利用する方法でも、本件干拓農地における農業用水としての水需要に十分に耐えうると考えるが見解如何。
八 諫早中央浄化センターでは、放流水に関する水質データが公表されているが、同センターでは平成十三年度から高度処理が行われており、全国の他の施設よりも水質に関しては、良好な結果となっているところである。そこで、このような同センターの水質データに照らして、下水処理水を農業用水として再利用することについての水質基準に関して、人体に対する影響や農作物(畑作)に対する影響において、何か具体的な支障となる事態が想定されるか、全国での取り組みにおいて実施された調査研究等を踏まえて回答していただきたい。
九 本件干拓農地において実際に代替水源として、諫早中央浄化センターなどの下水処理場からの再生水を農業用水として利用する場合において、
�@ 再生水製造プラント、ファームポンド(農地用ため池)、パイプライン等の設置に要する費用は、どれくらいと算出されるか、全国の取り組み事例に照らして、その算出の計算式を具体的に示して回答していただきたい。
�A 実際の利用までには、どの程度の期間が必要と考えられるか、全国の取り組み事例に照らして、その工程を具体的に示して回答していただきたい。
�B �Aにおける期間中は、ため池等の設置によって、本件干拓農地における農業用水の需要に十分に応えることができると考えるか、見解如何。
十 下水処理水の農業への再利用については、
�@ 循環型・持続可能社会を目指して、積極的に進めるべきものと考えるが、政府の見解如何。
�A 本件干拓農地についても、営農者に対して十分な説明を実施し、その実現に向けた積極的な施策を進めるべきと考えるが、見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の代替水源のうち(ア)については、現時点で利用可能な下水処理水の水量からみて、国営諫早湾土地改良事業(以下「事業」という。)の事業計画上新たな水源として必要な年間総取水量三百三十万立方メートルを確保することが不可能であること、(イ)については、ため池を設置する広大な遊休地の確保が困難であること、(ウ)については、調整池流入河川に渇水時に利水可能な余剰水量は存在しないこと、(エ)については、多額の建設費用を要すること、などの課題が存在することから、御指摘のいずれの方策によっても、事業により造成された干拓地(以下「干拓地」という。)の農業用水として利用することは困難であると考えており、現時点で具体的な検討は行っていない。
二について
御指摘の国営諫早湾土地改良事業変更計画書(以下「事業計画書」という。)における干拓地の消費水量等は、「土地改良事業計画設計基準 計画「農業用水(畑)」の制定について」(平成九年六月三日付け農林水産事務次官依命通知)、「土地改良事業計画設計基準 計画「農業用水(畑)」の運用について」(平成九年六月三日付け農林水産省構造改善局長通知)及び「土地改良事業計画設計基準 計画「農業用水(畑)」の解説及び技術書について」(平成九年六月三日付け農林水産省構造改善局計画部資源課長通知)に基づき算出されたものであり、具体的には、事業の実施により造成した小江干拓地における実測値を基に算定した干拓地全体の消費水量四百九十二万立方メートルから計画基準年(十年に一度程度の渇水が発生したとして基準とした年(平成八年)をいう。以下同じ。)における有効雨量(畑地に降った雨水のうち、作物の生育に直接有効なものをいう。以下同じ。)二百十三万立方メートルを差し引き、かんがいにより損失すると想定される水量四十九万立方メートル及び雑用水の量二万立方メートルを加えることにより、畑地かんがいに必要な水量三百三十万立方メートルを求めている。
三の�@について
干拓地においては、土づくりのために畑地かんがいを必要としない緑肥が作付けされたこと、畑地かんがいが一部の露地野菜や施設園芸にとどまったことなど畑地かんがいによる営農が本格化していないこと、平成二十年四月から同年十二月までの有効雨量が計画取水量の前提となっている計画基準年における四月から十二月までの期間と比較して多かったこと等によるものであると考えている。
三の�Aについて
計画取水量と現在の取水量とのかい離が生じた理由は三の�@についてでお答えしたとおりであり、干拓地の営農は、入植者及び増反者の営農計画によれば、今後、畑地かんがいによる営農の定着は着実に進むことが見込まれることから、調整池からの取水量も増加するものと考えている。
四の�@について
長崎県からの聞き取りによれば、施設園芸については、平成二十一年一月十三日時点において約五ヘクタール栽培されており、平成二十年度末には約十ヘクタールの栽培となる予定である。また、入植者及び増反者の営農計画によれば、今後、施設園芸の栽培の規模拡大が行われることが見込まれることから、施設園芸の栽培面積は増加していくものと考えている。
四の�Aについて
施設園芸のみに使用されている水量をほ場ごとには把握していないが、施設園芸の栽培においては、施設により降雨が遮断されることから、露地野菜に比べ多量にかん水しなければならないため、施設園芸の栽培増加面積に応じて取水量が増加することとなると考えている。
四の�Bについて
御指摘の二か所の地下水ポンプについては、事業実施中の試験栽培又は農産物流通加工施設で用いる農産物の洗浄目的で設置されたものであり、干拓地のかんがい目的に設置されたものではない。このため、施設園芸の作付けが増加すれば、調整池からの取水量も増加するものと考えている。
五の�@について
平成二十年四月から同年十二月までの有効雨量については、三の�@についてでお答えしたとおり、計画取水量の前提となる計画基準年の四月から十二月までの期間と比較して多い状況となっている。
五の�Aについて
事業計画書における十年に一度程度発生する渇水の検討に当たっては、昭和三十六年から平成十二年までの四十年間のうち有効雨量が四番目に少ない平成八年を計画基準年としている。
五の�Bについて
御指摘の「二重に評価するもの」が何を示すかが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
六の�@について
御指摘の二か所のポンプのうち、小江干拓地のポンプについては、平成八年三月に国が平成八年度から平成十八年度までの試験栽培に使用するために設置したものであり、現在使用されていない。
また、中央干拓地のポンプについては、平成二十年六月に諫早湾中央干拓用水施設利用組合が農産物流通加工施設で用いる農産物の洗浄用水として利用するために設置したものであり、財団法人長崎県農業振興公社からの聞き取りによれば、現在二経営体が利用しており、平成二十年八月から平成二十一年一月までの使用水量は約二千九百立方メートルと聞いている。
六の�Aについて
現在使用されている地下水ポンプは、一部の営農者を含む諫早湾中央干拓用水施設利用組合が農産物の洗浄目的で設置したものであり、干拓地のかんがい用水については、調整池から取水した水を利用していることから、御指摘の懸念が営農者にあるとは考えていない。
七について
諫早中央浄化センターの処理水を利用することについては、一についてでお答えしたとおり、干拓地において必要な年間総取水量三百三十万立方メートルを確保することが不可能であることなどの課題が存在し、農業用水として利用することは困難と考えている。
八について
お尋ねの「下水処理水を農業用水として再利用することについての水質基準」が何を示すかが必ずしも明らかではないが、下水処理水を農業用水に利用した際の人体や畑作物に対する影響については、一般的に、畑作物の種類、下水処理水の水質等によって異なるため、お答えすることは困難である。
九について
諫早中央浄化センターの処理水を利用することについては、一についてでお答えしたとおり、干拓地において必要な年間総取水量三百三十万立方メートルを確保することが不可能であることなどの課題が存在し、干拓地の農業用水として利用することは困難と考えており、現時点で具体的な検討は行っていないことから、お答えすることは困難である。
十の�@について
下水処理水の農業用水への再利用については、一般論として、水資源の有効利用に資するものであるものの、農業用水として利用するために必要な処理に係る費用が生じること、農作物への風評被害のおそれがあること等の課題があるものと考えている。このことから、下水処理水の農業用水への利用については、水の不足する地域であり、かつ、他に水源の選択肢がないなどの条件が満たされる地域において、当該地域の要請に応じて、農業用水に利用した際の畑作物に対する影響がないこと及び採算が取れることを確認した上で、推進することもあるものと考えている。
十の�Aについて
干拓地において、下水処理水を農業用水として利用することについては、一についてでお答えしたとおり、これに必要な年間総取水量三百三十万立方メートルを確保することが不可能であることなどの課題が存在することから、困難と考えている。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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