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中城湾港泡瀬地区開発事業に関する質問主意書
衆議院 第151回 第102号
質問本文
中城湾港新港地区の浚渫工事に伴う泡瀬干潟埋め立て事業が進められようとしている。しかし、中城湾港開発事業全体の事業目的、需要、採算性等に関して疑問視する声もある。また、昨今、自然界における干潟の重要性が広く知られ、その価値が再認識されているが、泡瀬干潟の埋め立てによる環境への影響についてまだ不確定な点が明らかにされていない。よって、以下質問する。
1 中城湾港事業計画策定時における港湾の需要予測と実績について、需要予測値と最新の実績値(入港隻数、取り扱い貨物量・額、入港船舶の規模、搬入元・搬出先、主要定期航路等)を明らかにされたい。また、中城湾港の使用実績と需要予測に乖離がある場合に、その理由を明らかにされたい。
2 中城湾港の航路浚渫の必要性及び緊急性を具体的に示されたい。
3 中城湾港の浚渫土砂処分事業としての目的がなければ、泡瀬地区埋め立て事業の推進は困難になるのか。
4 中城湾港泡瀬地区埋立事業の埋立着工予定日を明らかにされたい。
5 環境省は、全国千五百の干潟すべての形状や大きさを把握し、主要な干潟を現地調査しながら、民間の調査内容も積極的に取り込み、五年がかりでデータベース化を進める計画に取り組んでいると聞くが、沖縄本島においてシギ・チドリ類など渡り性水鳥の最大の飛来地となっている泡瀬干潟について、政府はどのように認識しているのかを明らかにされたい。また、現在進められている調査の進捗状況と今後の保全対策を具体的に示されたい。
6 琉球列島は重要な渡り鳥フライウェイとなっている。なかでも泡瀬干潟は、埋め立て開発が進む本島中南部において奇跡的に残った干潟であり、渡り鳥の飛来数で沖縄最大規模、ムナグロについては国内最大の越冬地になっている。フライウェイ保全の観点から、沖縄本島の湿地保全に政府はどのように取り組んでいるか。
7 川口環境大臣は、泡瀬干潟の件で、オーストラリア連邦環境通産省のロバート・ヒル大臣から書簡を受け取ったと承知しているが、こうしたオーストラリア環境通産省の泡瀬干潟埋め立てに対する高い関心に対する政府の認識を明らかにされたい。
8 二〇〇〇年十月の国際渡り性水鳥ワークショップ沖縄で再確認された「新しいアジア・太平洋渡り性水鳥保全戦略2001〜2005」の実現に向けては、どのような取り組みがなされているか。
9 事業者の沖縄総合事務局は、泡瀬干潟の埋め立てに伴う環境保全策として、熱心に藻場移植に取り組んでいる。移植実験については、環境影響評価の中で「専門家の助言を得ながら行っており、移植は十分可能」との判断が示されているが、この専門家の研究実績など具体的に示され、専門家の助言の妥当性を示されたい。専門家が複数であれば、そのすべてを明らかにされたい。
10 最終的に「移植が可能」であると判断したのは専門家なのか、事業者なのかを明らかにされたい。
11 泡瀬干潟では、環境省レッドリストによって絶滅危惧�T種に指定されたクビレミドロの生息が確認されている。第二回中城湾港泡瀬地区環境監視委員会の中で、同種の移植実験が失敗し、移植が困難であることが明らかになっているが、絶滅危惧種の保護と生息環境の保全に今後どう取り組むのか、また泡瀬地区埋め立ての影響に対する政府の認識を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
1について
お尋ねの「中城湾港事業計画策定時における港湾の需要予測」は、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)に基づく中城湾港港湾計画の策定時(平成二年)における中城湾港の目標年次(おおむね平成十二年)の取扱貨物量等の予測のことであると考えられるが、この予測値及びそれと対応する平成十二年の実績値は、別表のとおりである。
取扱貨物量(中城湾港新港地区(以下「新港地区」という。)取扱貨物量のうち、供用開始されていない�U、�V期地区の施設の取扱貨物の分を除く。)については、予測値(約八百七十万トン)と最新の実績値(六百十五万トン)にかい離が生じているが、これは、この予測値の太宗(約七百四十万トン)を占める専用貨物(石油精製基地等に隣接する専用岸壁で取り扱われる原油、石油製品等)の取扱量が、平成六年には予測値よりも多い約八百三十九万トンの実績があったものが、その後のアジア各国における石油精製業の台頭等による出荷量の低下等により、実績が約五百万トンに落ち込んでいることが理由であると考えられる。
2について
新港地区は、沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)に基づく沖縄振興開発計画(第二次計画昭和五十七年、第三次計画平成四年)により整備を図ることとなっており、同計画を踏まえて策定された中城湾港港湾計画に基づき、現在、国において水深十一メートル岸壁一バース、沖縄県において水深七・五メートル岸壁六バースの整備を実施しているところである。
お尋ねの航路のしゅんせつは、水深が比較的浅い新港地区においてこれらの岸壁を地元の要請にこたえ早期に供用開始するため実施するものである。
3について
中城湾港泡瀬地区(以下「泡瀬地区」という。)の開発計画は、沖縄市が策定した沖縄市新総合計画(昭和六十二年)及び沖縄県が策定した国際都市形成基本計画(平成九年)に基づき、沖縄市が沖縄県とともに海に開かれた国際交流拠点を目指して進めているものであり、地元の要請にこたえ泡瀬地区に隣接する新港地区の港湾整備に伴い発生するしゅんせつ土砂を埋立用材として活用することとしているものである。
新港地区のしゅんせつ土砂を泡瀬地区の埋立用材として活用しない場合は、所要の土砂をより遠方から搬入する必要が生ずるため、泡瀬地区の埋立事業に要する費用が増大することになると認識している。
4について
お尋ねの埋立事業の着工予定日については、本年七月末に開催予定の陸域や海域の環境について専門的知見を有する者等からなる中城湾港泡瀬地区環境監視・検討委員会(以下「環境監視・検討委員会」という。)の結果等を踏まえて総合的に判断することとしている。
5について
御指摘の干潟のデータベース化を目的とした調査が何を指すかは明確ではないが、環境省(当時の環境庁)が第四回自然環境保全基礎調査(平成元年)により全国の干潟の面積等について把握したところでは、泡瀬干潟は、沖縄本島の中でも有数の規模の干潟であり、また、同省が実施しているシギ・チドリ類個体数変動モニタリング調査の結果によれば、泡瀬干潟では、平成十二年度冬季でムナグロなど千羽を超すシギ・チドリ類が確認されており、シギ・チドリ類の全国でも主要な渡来地となっているものと認識している。
泡瀬干潟の今後の保全対策に関しては、環境監視・検討委員会の指導及び助言を得ながら、シギ・チドリ類の大半が飛来する水路及び埋立地周辺に残される干潟の保全に努めるとともに、やむを得ず消失する干潟については、新たな人工干潟を整備する等により、自然環境への配慮を行ってまいりたい。
6について
環境省においては、沖縄本島を含め全国におけるシギ・チドリ類等渡り鳥の生息状況を把握するための調査を継続して実施するとともに、重要な渡来地の選定等を通じて、湿地の保全に取り組んでいるところである。特に、渡り鳥の沖縄本島における重要な渡来地である漫湖及び屋我地については、国設鳥獣保護区を設定し、湿地保全のための施策を講じてきたところであり、さらに、漫湖については、平成十一年一月に「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(昭和五十五年条約第二十八号。以下「ラムサール条約」という。)に基づき、国際的に重要な湿地として指定し、同年五月にラムサール条約に定める登録簿に掲げられたところである。
7について
オーストラリア連邦(以下「豪州」という。)は、第七回ラムサール条約締約国会議において採択された勧告七.三「アジア太平洋地域における渡り性水鳥保全に関する多国間協力」を我が国と共同で提案するなど、アジア太平洋地域における渡り鳥の保護について、我が国と連携を図りつつ積極的に取り組んでいると承知している。
泡瀬干潟の保全について、豪州のロバート・ヒル環境遺産大臣が我が国の川口順子環境大臣あてに書簡を送付したことは、同干潟を越冬地として豪州へ飛来する渡り鳥の保護への高い熱意を示すものであると認識している。
8について
我が国と豪州が主導して策定した渡り鳥保護のための国際協力の枠組みである「アジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略(二〇〇一〜二〇〇五年)」の実現に向けて、環境省においては、同戦略の下で作られたシギ・チドリ類、ツル類及びガンカモ類の重要生息地のネットワークに、湿地の存在する地方自治体の参加を呼び掛けるとともに、渡り鳥の生息状況に係る調査モニタリングの実施、湿地保全のための普及啓発及び関係する国の行政機関等との情報交換を進めている。
9について
内閣府沖縄総合事務局(以下「沖縄総合事務局」という。)では、沖縄における熱帯性海草について専門的な知見を有し、その移植について指導実績を有する者の指導及び助言を得て、平成十年七月から、泡瀬地区の埋立予定地に生育する海草類の移植実験を実施してきたところである。現在、移植から約三年が経過したが、移植した海草類の株は順調に生育していることが確認されているところである。
10について
中城湾港泡瀬地区公有水面埋立事業の事業者である沖縄総合事務局が、9についてで述べた海草類の移植実験の結果において、移植した株が順調に生育していることを確認し、移植は可能と判断したものである。
11について
沖縄総合事務局は、平成十二年二月から、泡瀬地区から中城湾港勝連地区及び金武湾港屋慶名地区(以下「屋慶名地区」という。)へのクビレミドロの移植実験を行っており、約一年後に屋慶名地区において藻体が出現したことを確認している。クビレミドロの移植については、今後、環境監視・検討委員会の指導及び助言を得ながら、引き続き移植実験を通じて移植技術の一層の向上を図っていきたいと考えている。また、泡瀬地区の埋立ての実施に当たっては、周辺環境への影響を可能な限り低減させるよう努めてまいりたい。
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