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国会閉会後に繰り返される死刑執行と世論調査などに関する質問主意書

衆議院 第146回 第17号お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×2承知していない ×2個別の事案 ×1

提出者
衆議院
提出日
1999年12月15日
内閣転送 1999年12月15日
答弁書受領日
2000年1月28日
提出から44日
答弁の項目数
34
質問 3,880字/答弁 8,389字

質問本文

臨時国会が間もなく閉会する。また、死刑が執行される。死刑確定者にとって、国会の閉会は殺される恐怖におびえる日々の始まりだ。「今度こそ自分か」「もしかすると、自分だ」。独房の外の足音に身を震わせ、生つばをのむ。何度もそうした恐怖を繰り返してきた人も、死刑確定から間もない人も、緊張の瞬間は次の国会が始まるまで、ずっと続く。「被害者も恐怖におびえながら死んでいった。人殺しが殺されるのは当然だ」。国家による殺人を通告する側はそんな心境か。でも、実際に殺人を実行する刑務官は死刑確定者と同様、国会の閉会におびえる。人を殺さなければならない。そんな立場に指名されないことを願う日々の始まりだ。

国会に「団体規制法」が上程されて間もない十一月八日、いわゆる「平取事件」の太田勝憲死刑確定者が札幌拘置支所で自殺した。次の執行では順番が回ってくる可能性が大きかった。罪を悔い、自ら命を絶ったのか。国にいつ何時殺されるかわからない、その恐怖に押しつぶされたのか。いずれにしても心にわだかまりを残した。

総理府が九月に実施した「基本的法制度に関する世論調査」の結果が十一月に発表された。死刑を「場合によってはやむを得ない」と考える人の割合は、五年前の前回調査より五・五ポイント増えて七九・三%。東京新聞などによると、一連のオウム真理教事件や毒物カレー事件などの凶悪事件が相次いだことが背景になるという。ただ、死刑を「将来も廃止しない」とする人の割合は全体の約四五%。過半数の人は死刑の存続に疑問を持っていることも示された。

臨時国会閉会に当たり、死刑と死刑に関する世論調査などについて、以下質問する。死刑執行という極めて重要な国政課題の是非に関する質問なので、実際の死刑執行の準備に先立って答弁されたい。

一 死刑執行

(一) 日本国憲法施行後、国会会期中に死刑を執行したケースについて、年月日、場所、人数を示されたい。

(二) 日本国憲法施行後、政府は国会の本会議や法務委員会で、死刑に関してどのような答弁をしてきたか。年月日と本会議、委員会の別、答弁内容、質問議員と質問の要旨を示されたい。

(三) 死刑執行の前後、死刑に関する国会答弁が集中してきたか。具体的に示されたい。

(四) 国会での議員の質問で、死刑執行に伴う事故や違法な手続き、措置などが明らかになったことはあるか。

(五) 国会での質問を契機に死刑執行の手続き、措置などが改められたケースはあるか。

(六) 最近の死刑執行は国会閉会中ばかりに集中しているのはなぜか。

(七) 報道関係者によると、法務省刑事局は国会が終わり、法務・検察幹部の人事異動の発令日とされる今月二十二日、大阪で一人、東京で二人、名古屋で一人の計四人の死刑を執行するための準備を進めているというが、本当か。

二 世論調査

(一) 今回の総理府世論調査の設問はどのようにして決めたのか。

(二) 被疑者の権利や被害者の権利については「尊重されている」「尊重されていない」などと明確に当否を質問しているのに、なぜ死刑については「どんな場合でも廃止すべきである」「場合によってはやむを得ない」という設問になるのか。まず「死刑に賛成か」「反対か」と問うべきではないか。

(三) 「場合によっては死刑もやむを得ない」と回答した人の割合が七九・三%となった理由をどのように考えるか。

(四) 「場合によっては死刑もやむを得ない」と回答した人は、おおむね年齢が高くなるほど多くなっているが、その理由をどのように考えるか。

(五) 「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と回答した人は、おおむね年齢が若くなるほど多くなっているが、その理由をどのように考えるか。

(六) 過去六回の同様の調査と比べると、設問は異なるものの、死刑を容認する人の割合は今回が最高だが、その理由をどのように考えるか。

(七) 一九七五年の調査では「どのような場合でも死刑廃止に賛成」が二〇・七%、「反対」が五六・九%と、死刑を容認する人の割合は過去最低となっていたが、その理由をどのように考えるか。

(八) 今回の調査で「どんな場合でも死刑を廃止すべきである」と回答した理由のトップは「国家であっても人を殺すことは許されない」だった。どう考えるか。

(九) 「どんな場合でも死刑を廃止すべきである」と回答した人のうち、四二・一%は「すぐに全面的に廃止する」ことを望んだ。どう考えるか。

(一〇) 死刑容認の理由のうち「死刑を廃止すれば、被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない」の割合が前回調査よりも大幅に増えたが、その理由をどう考えるか。

(十一) 「将来も死刑を廃止しない」と回答した人の割合は、死刑容認の人の五六・五%だが、全体でみると、約四五%にすぎない。過半数の人は死刑制度の維持を望んでいない。どう考えるか。政府は将来に向けて、どのような方針で臨むのか。

(十二) 死刑の犯罪抑止力について、肯定的に考えている人の割合は五四・四%だった。どう考えるか。

(十三) 死刑を廃止したイギリス、フランス、イタリアで、廃止する前と後で凶悪犯罪の発生件数にどのような変動があったか。具体的に示されたい。

(十四) 米国の廃止州と存置州を比較して、凶悪犯罪の発生率に違いはあるか。具体的に示されたい。

(十五) 政府は死刑に犯罪抑止力はあると考えるか。

(十六) 被疑者の権利について「尊重されていない」と回答した人の割合は四一・五%で、「尊重されている」と回答した人より多かったが、政府はこの結果をどのように受け止めているか。

(十七) 多数が「尊重されていない」と指摘した被疑者の権利擁護に向けて、政府は被疑者の国選弁護以外にどのような施策を考えているか。代用監獄の廃止、逮捕状請求時の疎明資料開示、取り調べ時間の制限などを検討しているか。

(十八) 警察官の覚せい剤使用を組織的にもみ消した神奈川県警の事件で、元本部長らを互いに連絡の取れる状態で捜査したのは、世論調査の結果を踏まえ、被疑者の権利擁護を進めた新たな措置か。

三 犯罪被害者対策

(一) 政府は治安維持を国民に対する責務と考えているか。

(二) 各検察庁公安部、警察庁警備局、各都道府県警の公安部または警備部、公安調査庁は国民のために存在しているのか。それとも国家体制維持のために存在しているのか。

(三) 各検察庁公安部、警察庁警備局、各都道府県警の公安部または警備部、公安調査庁がいわゆる「地下鉄サリン事件」「松本サリン事件」を未然に防げなかったのはなぜか。

(四) 政府は「地下鉄サリン事件」や「松本サリン事件」を未然に防げなかったことに責任を感じているか。

(五) 犯罪被害者には国が直接被害を賠償し、国は被告側に賠償分を請求するような方策は考えないのか。

(六) 今回の世論調査で、犯罪被害者の権利について「尊重されていない」と回答した人の割合は六三・一%で、「尊重されている」とする人の三倍に上ったが、政府はこの結果をどのように受け止めているか。

(七) 犯罪被害者の権利擁護のためにどのような施策を考えているか。犯罪被害者を法的に権利擁護の対象として位置付ける「犯罪被害者救済法」についてはどうか。

(八) 「犯罪被害者救済法」のような法律を制定している諸外国の事例を具体的に示されたい。

(九) 政府は死刑を被害者救済と考えているのか。

四 終身刑

(一) 今回の世論調査について、元検事で筑波大名誉教授の土本武司氏は「将来も死刑は必要と考える人は全体の半数以下で、容認理由も被害者の遺族感情を挙げる人が増えた。死刑判決を裁判官全員一致でなければ言い渡せないように限定したり、一生出られないようにする終身刑を新設することも必要だ」(東京新聞十一月二十八日朝刊)とコメントしている。死刑判決の裁判官全員一致について、どう考えるか。

(二) 検察官が上告した死刑事件で、最高裁は十一月から十二月にかけて、上告棄却と原判決破棄の二つの判決を言い渡した。この二つの事件を見ても、六つの裁判所の判決が死刑二、無期懲役四に分かれた。人の命を左右する判断にこんなにも揺れがあることをどう考えるか。

(三) 死刑と仮釈放のある無期懲役との差がありすぎるという議論が続いているが、政府はどのように考えるか。仮釈放のない終身刑について、検討しているか。

(四) 終身刑の由来と諸外国での導入例を示されたい。

(五) 終身刑が日本で導入されたことはあるか。

五 刑死者の遺族について

(一) 死刑の執行によって、刑死者の遺族が生まれる。家族の生命を失った苦しみと共に、犯罪者の家族、身内であるという容易に推し量れない心理的ストレスを負う。「刑死者」の家族、身内に対して、死刑執行の際、また、執行後、どのように配慮を行っているか。具体的にその取り組みの運用状況を明らかにされたい。

(二) 死刑囚の家族の子どもという存在については、アメリカでの民間の研究などで、深い心の傷と、ストレスを抱えることが報告されている。わが国における「死刑囚の子ども」の状況を承知しているか。とくに、死刑囚に、年少者の子どもがいた場合、その子どもに対してどのような配慮を行っているか。

(三) 執行後、死刑囚の家庭が崩壊し、子どもが、児童養護施設などに収容された場合、特別なカウンセリングなどの措置が取られているか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の(一)について

平成九年以前の死刑執行に関しては、死刑執行の年月日等を公表していないことから、答弁を差し控えたい。平成十年以後においては、死刑執行後に執行の事実及び執行を受けた者の人数に限って公表することとしているが、国会の会期中に死刑を執行したことはない。

一の(二)について

日本国憲法が施行された昭和二十二年以後、政府が国会の本会議や法務委員会で死刑に関して行った答弁を暦年ごとに示すと、別表第一から別表第五十三までのとおりである。

一の(三)について

平成九年以前に、死刑執行の前後、死刑に関する国会答弁が集中してきたかについては、一の(一)についてでお答えしたとおりの理由により答弁を差し控えたい。平成十年以後においては、平成十年十一月十九日の執行の後、同年十二月三日に死刑執行に関する質疑が行われている。

一の(四)について

御質問のような事例は、調査した限り見当たらないが、死刑執行の前日にその告知を受けた死刑確定者が自殺した事例を紹介したことはある。

一の(五)について

御質問のような事例は、調査した限り見当たらないが、一の(四)についてでお答えした事例にかんがみ、死刑執行の告知時期につき検討した結果、すべて当日に告知するよう改めたことはある。

一の(六)について

死刑執行に関しては、個々の事案につき関係記録を十分に精査し、刑の執行停止、再審又は非常上告の事由の有無、恩赦を相当とする情状の有無等について慎重に検討し、これらの事由等が存在しないことが確認された場合に、初めて死刑執行命令を発することとしているものであり、死刑執行を行う時期と国会の会期とは関係がない。

一の(七)について

平成十一年十二月十七日、死刑確定者二名に対して、死刑を執行した。

二の(一)について

平成十一年九月実施の総理府世論調査における質問については、法務省において案を作成し、総理府において世論調査実施の専門的機関としての見地から検討を加えて、作成したものである。

二の(二)について

平成十一年九月実施の総理府世論調査における死刑制度の存廃に関する質問については、それ以前に行った同種世論調査との継続性を重視するとともに、死刑制度の存廃に関する我が国の議論があらゆる犯罪について死刑を全面的に廃止すべきか否かというものであることを踏まえて、「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」及びこれに対する反対意見である「場合によっては死刑もやむを得ない」並びに「わからない・一概に言えない」との選択肢が適当であると考えたものである。

二の(三)、(六)及び(七)について

死刑制度に関する世論について、特定の一回の調査結果を取り上げてその結果が出た理由を分析し、特定すること、あるいは、特定の一回の調査結果とその前後の調査結果とを単純に比較してその変化の具体的原因を特定することは、いずれも困難であり、また、適当でもないと考えており、長期間にわたり同様の調査を繰り返すことにより国民意識の動向を把握することが重要であると考えている。

死刑制度に関する総理府世論調査については、これまで、昭和三十一年四月、昭和四十二年六月、昭和五十年五月、昭和五十五年六月、平成元年六月、平成六年九月及び平成十一年九月の七回にわたり実施してきているところ、昭和三十一年四月から平成元年六月までに実施した五回の世論調査においては、「今の日本で、どんな場合でも死刑を廃止しようという意見に賛成か、反対か」という質問に対して、回答結果は、次の表のとおりであった。

また、平成六年九月及び平成十一年九月に実施した二回の世論調査においては、「死刑制度に関して、このような意見がありますが、あなたはどちらの意見に賛成ですか」という質問に対し、「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」及び「場合によっては死刑もやむを得ない」という選択肢を記載した回答票を示して回答を求めたところ、回答結果は、次の表のとおりであった。

これらの調査結果から、国民世論の多数は、死刑制度の存置はやむを得ないと考えているものと理解している。

二の(四)及び(五)について

御質問の点について、その結果が出た理由を分析し、特定することは、困難である。

二の(八)、(九)及び(十二)について

死刑制度に関する世論について、特定の一回の調査結果を取り上げて評価を加えることは、困難であり、また、適当でもないと考えており、長期間にわたり同様の調査を繰り返すことにより国民意識の動向を把握することが重要であると考えている。

二の(一〇)について

死刑制度に関する世論について、特定の一回の調査結果と直近の調査結果とを単純に比較してその変化の具体的原因を特定することは、困難であり、また、適当でもないと考えており、長期間にわたり同様の調査を繰り返すことにより国民意識の動向を把握することが重要であると考えている。

二の(十一)について

平成十一年九月実施の総理府世論調査において、「場合によっては死刑もやむを得ない」と回答した者のうち、五十六・五パーセントの者が「将来も死刑を廃止しない」と答えているほか、三十七・八パーセントの者についても、状況が変われば、将来的には死刑を廃止してもよいが、現在の状況では、死刑制度の存置をやむを得ないと考えているものと理解でき、御指摘のように、「過半数の人は死刑制度の維持を望んでいない。」ということはできないと考えている。

死刑制度の存廃は、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討すべき問題であるところ、二の(三)、(六)及び(七)についてでお答えしたとおり、国民世論の多数が死刑制度の存置はやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみると、その罪責が著しく重大な凶悪事犯を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ず、死刑を全面的に廃止することは、適当でないと考えている。

二の(十三)について

死刑を廃止した諸外国において、死刑制度の廃止前後で凶悪犯罪の発生件数がどのように変化したかという統計については十分に把握していないが、犯罪の発生原因には様々な要素が考えられるので、凶悪犯罪の発生件数の変化を死刑制度の存廃のみによって説明することは困難であると考えている。

二の(十四)について

アメリカ合衆国の五十州及び一特別区における凶悪犯罪の発生率は、各州によって相当異なるが、それらに影響を与える要因には各州ごとに様々なものがあると考えられるので、その差異を死刑制度の存廃のみによって説明することは困難であると考えている。

二の(十五)について

死刑の犯罪抑止力を科学的、統計的に証明することは困難であるものの、一般に刑罰は犯罪に対する抑止力を有するものと認識されており、また、昭和四十二年六月から平成元年六月までの間に、三回にわたり実施した総理府世論調査において、「死刑という刑罰をなくしてしまうと悪質な犯罪が増えると思うか、別に増えるとは思わないか」という質問に対し、「増えると思う」という回答が常に過半数を占めていたこと、平成六年九月及び平成十一年九月に実施した総理府世論調査においても、「死刑がなくなった場合、凶悪な犯罪が増えるという意見と増えないという意見があるがどのように考えるか」との質問に対し、「増える」と回答したものが過半数を占めていたこと等から、死刑が犯罪に対する抑止力を有することは、広く認識されていると考えられる。さらに、死刑制度の存在が長期的に見た場合の国民の規範意識の維持に有用であることは否定し難く、死刑制度は、凶悪犯罪の抑止のために一定の効果を有しているものと理解している。

二の(十六)について

御指摘の調査結果については、国民意識を把握する上での基礎的資料の一つとして参考にしてまいりたい。

二の(十七)について

公的な被疑者弁護制度の導入の問題については、被疑者段階に限定することなく、被告人段階における弁護制度とも一体として見て、捜査及び公判を通じた人権保障や手続の迅速化という観点から在るべき公的弁護制度が考究されるべきであり、また、公的弁護制度が国民の税金によって支えられるものであることを考慮すれば、国民の十分な理解と支持を得られるものとすることが不可欠であると考えており、そのためには、弁護活動の適正確保、弁護士偏在の解消のほか、刑事司法における喫緊の課題である迅速な裁判の実現の問題を併せ検討する必要があると考えている。

いわゆる代用監獄については、我が国の刑事司法は、被疑者取調べを含むち密な捜査とそれに裏付けられた起訴、不起訴の決定段階における厳格な選別をその神髄としつつ、起訴前の被疑者の身柄拘束には令状主義と最長二十三日間の期間制限という厳しい限定を設けているところ、このような短期間に被疑者の取調べその他の捜査を円滑かつ効率的に実施しつつ、被疑者と家族、弁護人等との接見の便に資するためには、多数の警察官が常駐し、各地域の中心部にきめ細かく設置されている警察署等の留置場に被疑者を勾留することが現実的な方法であり、いわゆる代用監獄制度は必要であると考えている。

逮捕状請求時の疎明資料の開示については、このような資料の開示によって、関係者のプライバシー等の保護や将来における捜査に対する協力の確保等が害される場合がある上、裁判所が事後的にその内容等を確認する必要がある場合には、捜査機関に対し、その提出を求めることが可能であり、これによって捜査機関の不正や濫用の防止を図ることができるものであって、一律に被疑者若しくは被告人又は弁護人に対し開示することとする必要性はないものと考えている。

被疑者に対する取調べについては、その人権に最大限配慮しつつ行うべきものであることは当然であり、捜査機関においても、食事、休憩をとらせ、連続した長時間の取調べは行わず、深夜に及ぶ取調べはやむを得ない事由のある場合に限り例外的に行うなどの配慮をしている上、捜査が流動的なものであり、取調べに要する時間は事案に応じて様々であること等を考慮すると、取調べ時間を法制化する必要はないし、また、一律にこれを制限することは相当でないと考えている。

我が国の刑事司法手続が適正に運営され、被疑者及び被告人の権利が十分に保障されている点については、今後とも、国民多数の理解を得られるよう努めてまいりたい。

二の(十八)について

神奈川県警察が御指摘の事件を捜査する過程で被疑者の逃亡や罪証隠滅のおそれ等の逮捕の必要の有無について判断した結果であり、被疑者の権利擁護を目的とした新たな措置ではないと承知している。

三の(一)について

国の治安の確保は、国の責務であると考えている。

三の(二)について

検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)によれば、検察庁は、検察官の行う事務を統括し、検察官は、刑事について、公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、かつ、裁判の執行を監督し、又、裁判所の権限に属するその他の事項についても職務上必要と認めるときは、裁判所に、通知を求め、又は意見を述べ、又、公益の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行うこととされている。

警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)によれば、警察は、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持することとされている。

公安調査庁設置法(昭和二十七年法律第二百四十一号)によれば、公安調査庁は、公共の安全の確保に寄与することを目的とし、破壊活動防止法(昭和二十七年法律第二百四十号)の規定による破壊的団体の規制に関する調査及び処分の請求並びに無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成十一年法律第百四十七号)の規定による無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する調査、処分の請求及び規制措置等に関する国の行政事務を一体的に遂行することとされている。

三の(三)について

検察及び警察においては、緊密に連携をとりながら、一連のオウム真理教関連事件に厳正に対処してきたものであるが、オウム真理教の閉鎖性、組織的な証拠隠滅活動等から、御指摘の両事件の発生を予測し得る情報を入手することができなかったものである。

公安調査庁においても、オウム真理教の動向について関心を持って注視していたものの、前記両事件の発生を予測し得る情報を入手することができなかったものである。

三の(四)について

御指摘の両事件については、犯罪史上類を見ない極めて凶悪な犯罪であり、このような事件の発生が再びあってはならないものと考えている。

政府としては、テロ行為を行うおそれのある集団に関する情報の収集、銃器や大量殺りく兵器として使用される可能性のある物質等の規制の強化等を行ってきたところであるが、今後ともこのような事件の再発を防止するための施策を講じ、国民の安全の確保に万全を期してまいりたい。

三の(五)について

犯罪による被害については、加害者である犯人がその損害を賠償するのが原則であって、犯罪被害者は、犯人に対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることができるものであり、御指摘のような方策をとることは考えていない。

なお、社会の連帯共助の精神に基づいて、犯罪被害者の被害の緩和を目的に、昭和五十五年に犯罪被害者等給付金支給法(昭和五十五年法律第三十六号)が制定され、人の生命又は身体を害する犯罪行為により、不慮の死を遂げた者の遺族又は重障害を受けた者に対し、国が犯罪被害者等給付金を支給する制度が設けられている。この制度によれば、国は、犯罪被害者等給付金を支給したときは、その額の限度において、当該犯罪被害者等給付金の支給を受けた者が有する損害賠償請求権を取得することとされている。

三の(六)について

御指摘の調査結果については、国民意識を把握する上での基礎的資料の一つとして参考にしてまいりたい。

三の(七)について

御指摘の「犯罪被害者救済法」が具体的にどのような事項を内容とするものであるのか必ずしも明らかではないが、現在、法務省においては、告訴期間の制限の見直し、ビデオリンク方式(証人を法廷外の別室に在室させ、テレビモニターを通じて尋問を行う方式)による証人尋問等の証人の負担の軽減、被害者等による心情、意見等の陳述等、刑事手続における犯罪被害者等の保護に関する法整備について検討を進めている。また、平成十一年十一月十一日、犯罪被害者対策関係省庁連絡会議を設置し、犯罪被害者対策に係る問題について、関係省庁の密接な連携を確保し、政府として必要な対応を検討している。

三の(八)について

御指摘の「犯罪被害者救済法」が具体的にどのような事項を内容とするものであるのか必ずしも明らかではないことから、このような法律を制定している諸外国の事例を示すことは困難であるが、諸外国における犯罪被害者のための法律としては、例えば以下のものが挙げられる。

アメリカ合衆国(連邦)においては、合衆国法典第四十二編において、公正並びに尊厳及びプライバシーの尊重をもって処遇される権利、裁判手続を知らされる権利、裁判手続に出席する権利等を被害者が有することを定めた規定が置かれている。

ドイツ連邦共和国においては、刑事訴訟法において、被害者の刑事手続への関与及び証人保護等に関する規定が置かれている。

イギリスにおいては、千九百八十八年刑事司法法等においてビデオリンク方式による証人尋問制度等が定められている。

三の(九)について

死刑を含む刑罰には、被害者又はその家族、更には社会一般の報復感情を和らげ、満足させる機能があると認識している。

四の(一)について

死刑の適用を慎重にする立場から、死刑判決については裁判官全員の一致を要することとすべきであるとの意見があることは承知しているが、このような制度を採用した場合、裁判官の中に一人でも死刑の適用に反対する者がいればその言渡しができなくなり、死刑の適用が裁判所の構成という偶然の事情に左右されることとなることから、相当でないと考えている。また、個別の事件における死刑の選択は、昭和五十八年七月八日の最高裁判所判決において示された「死刑制度を存置する現行法制の下では、犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと認められる場合には、死刑の選択も許される」との判断を踏まえて、極めて厳格かつ慎重に行われていることから、死刑の言渡しについて更に厳格な要件を定める必要はないと考えている。

四の(二)について

個別の事件における裁判所の判断にかかわる事項であり、答弁は差し控えたい。

四の(三)について

仮釈放を認めない終身刑については、死刑を緩慢に執行するようなものであり、長期間の服役により受刑者の人格が完全に破壊されてしまうなど、死刑よりも残虐であるとの意見もあり、そのような終身刑を創設することについては、慎重な検討が必要であると考えている。

四の(四)について

アメリカ合衆国の連邦、一部の州及びコロンビア特別区においては、仮釈放を認めない終身刑が導入されている。

ドイツ連邦共和国においては、千九百八十二年に刑法が改正されるまで、すべての無期自由刑について仮釈放の制度がなかったが、同年の改正により仮釈放が認められることとなった。

仮釈放が認められない終身刑がいつごろどの国でどのような経緯で採用されたのかは、承知していない。

四の(五)について

明治六年七月十日から施行された改定律例(明治六年太政官布告第二百六号)において、懲役終身の刑が設けられていた。

五の(一)及び(二)について

死刑確定者の家族関係等については、必要な範囲で把握しており、死刑執行後、速やかに遺族にその旨を連絡するが、連絡に当たっては、執行の事実が周囲に漏れるなどして刑の執行を受けた者及びその未成年の子を含む遺族の名誉を損なうことのないよう留意するとともに、遺族との応対に際しては、その心情に十分配慮している。

五の(三)について

児童養護施設等に入所している児童については、心身の状況に応じた処遇が行われているところであり、児童の心的後遺症が著しい場合においては、当該施設又は児童相談所の専門職員により、心理療法を含めた相談又は指導等が行われている。

別表第一(昭和二十二年)

別表第二(昭和二十三年)

別表第三(昭和二十四年)

別表第四(昭和二十五年)

別表第五(昭和二十六年)

別表第六(昭和二十七年)

別表第七(昭和二十八年)

別表第八(昭和二十九年)

別表第九(昭和三十年)

別表第十(昭和三十一年)

別表第十一(昭和三十二年)

別表第十二(昭和三十三年)

別表第十三(昭和三十四年)

別表第十四(昭和三十五年)

別表第十五(昭和三十六年)

別表第十六(昭和三十七年)

別表第十七(昭和三十八年)

別表第十八(昭和三十九年)

別表第十九(昭和四十年)

別表第二十(昭和四十一年)

別表第二十一(昭和四十二年)

別表第二十二(昭和四十三年)

別表第二十三(昭和四十四年)

別表第二十四(昭和四十五年)

別表第二十五(昭和四十六年)

別表第二十六(昭和四十七年)

別表第二十七(昭和四十八年)

別表第二十八(昭和四十九年)

別表第二十九(昭和五十年)

別表第三十(昭和五十一年)

別表第三十一(昭和五十二年)

別表第三十二(昭和五十三年)

別表第三十三(昭和五十四年)

別表第三十四(昭和五十五年)

別表第三十五(昭和五十六年)

別表第三十六(昭和五十七年)

別表第三十七(昭和五十八年)

別表第三十八(昭和五十九年)

別表第三十九(昭和六十年)

別表第四十(昭和六十一年)

別表第四十一(昭和六十二年)

別表第四十二(昭和六十三年)

別表第四十三(平成元年)

別表第四十四(平成二年)

別表第四十五(平成三年)

別表第四十六(平成四年)

別表第四十七(平成五年)

別表第四十八(平成六年)

別表第四十九(平成七年)

別表第五十(平成八年)

別表第五十一(平成九年)

別表第五十二(平成十年)

別表第五十三(平成十一年)

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×2承知していない ×2個別の事案 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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衆議院 第183回 第28号承知していない ×1

件名の語が重なる質問主意書

提出 2001年8月10日 保坂 展人(社会民主党・市民連合) 答弁 2001年9月25日

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